『遠い日の記憶』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私には、お母さんがいない。
いや、正確には、いなくなった。
ずっと昔には、いた気がする。
でも、それもとても曖昧なくらい遠い日の記憶。
お父さんに聞こうにも、いざ聞こうとすると、言葉が喉につっかかって聞けず終い。
一緒に手を繋いでお散歩をしたり、一緒にお布団に入ってねむってくれたり、一緒にフードコートで昼食をとったり。
そんな他愛のない親子をやっていた記憶は、薄れつつあるが、ある。
どうしていなくなったのか、いつからいなくなったのか、それは私にはわからない。
聞かなければ、永遠と謎のままである。
今日は、私の誕生日。18歳になった。
父がショートケーキに1と8のろうそくをさしてご馳走してくれる。
私はゆらぐろうそくの日を眺める。
そうだ、こんな記憶も断片的にある。
「今日で成人だね、おめでとう」
「ありがとう……あのさ、お父さん……」
遠い日の記憶を胸に、意を決して私は口を開いた。
【遠い日の記憶】
#4 遠い日の記憶
気持ちが離れてないから、君はすぐに思い出せるんだ
「…あ」
また。なんだか最近急なフラッシュバックが起きるようになった。
記憶にはないはずの記憶。
私がタバコを吸うという記憶だ。
夢なのか現実なのか未来なのか。
私はよくわかってない。
少なくとも現実ではない。私は未成年だ。
未来はよく分からない。吸ってるかも。
夢。一番有り得る。
まあ、正夢とかあるし。
遠い記憶。それは未来のものかも。
もしくは過去。
それか前世とかね。信じないけど別に。
何はともあれ、私はヘビースモーカーな気がするけどな。遠い記憶でも二箱は開いてたし。
吸う仕草をする。悪くはないと思ってしまう自分が笑える。
遠い記憶。それは自分が知らない自分。
『物心』
物心がついた瞬間は衝撃的だった。それは誕生日の翌日だった。何か天啓でも受けたかのように、いきなり意識が覚醒したのだ。前日のことはうっすらと思い出せるような気がして、ぼやけたようになっている。それよりさらに数日前はまったく思い出せない。それが物心がついた日の境目だった。
今でもその記憶はなんとなく愛おしい。だって私が私になった瞬間だから。
テーマ:遠い日の記憶
『遠い日の記憶』
友達と恋バナをしてると貴方のことを思い出す。
初めてこんな人を好きになって
夢中になってずっと追いかけて
結局叶わないで終わった恋。
でも最高に楽しくて沢山悩んで最高の思い出なの。
忘れたくても忘れられない遠い日の記憶、
遠い日の記憶
どこまでいこう
いけばいくほど
幼い記憶へもどっていく
幼い心はそこに残されている
あなたはなぜそこで泣いてるの
あなたが来るのを待っていたわ
もういいよ
もういいの
もういいよ
もういいのね
来てくれてありがとう
待っててくれてありがとう
もう大丈夫
もう大丈夫
遠い日の記憶
無償の愛を教えてくれたのは、リリーだった。
あの日学校から帰ると、リビングの真ん中にリリーは横たわっていた。新聞紙と毛布の上で。父と母はそばに座り黙っていた。私は恐る恐る手を伸ばした。暖かい。私を見たリリーは、震えながら立ち上がり私の足に手を乗せて穏やかな顔で見つめてきた。
「わかってる。私も大好きだよ。ありがとうね。」
苦しそうな体をそっと抱えて、寝かせた。それでもリリーは立ち上がり、父、母、そしてまた私に寄り添うことを繰り返した。
遠い日の記憶は
チョコレートアイス
夜の病院、大き過ぎるスリッパ
寒い冬の夜
父親の運転する車から
ぼんやり、外を眺めれば
街の明かりが流れていく。
3歳になったばかりの私の
記憶は、断片的で
ただ、あの日は私が
お姉ちゃんになった日だったのだ。
久々の、お母さん。
初めて出会う小さな赤ちゃん。
父親の大きな手が私の頭を撫でて
帰り道に、チョコレートアイスを
食べたのだ。
口の中で、じんわり溶けてゆく
チョコレートの味と、微睡んでゆく
帰り道の景色。
それが、私の遠い日の愛おしい記憶だ。
【お題:遠い日の記憶】
夕暮れは間もなく濃い藍色へと染まっていく。教科書をとん、と机に置くと大きな窓を開け放った。白く透けたカーテンは空の色を纏ってふわりと中へと風を運ぶ。パンにあうミルクの芳ばしい香り。向かいの雨戸から溢れた光から賑やかな声が聞こえた。ご近所さんはシチューなのかもしれない。そう思うと少しお腹が切なくなった。
/ 遠い日の記憶
遠い日の記憶
"ショウくん"の事を思い出してから、2日が経った。
暇だったし、私は地元へ帰って、あの神社に向かった。
河原の砂利を新しく買ったサンダルで弾いて歩く。
この時期とは思えない冷たい風が、ふんわりと
私の髪と首筋を撫でた。
中を軽くしたセミロングの髪は軽々とはねていき、
毛先が踊っていた。
空気を吸うと、水と雑草と少し木の匂い。
木漏れ日が眩しくって目が歪んだけれど、
雰囲気はとても優しくて、故郷に帰ってきた。
と言う感じがして、少し涙が出た。
十数年前までは綺麗にされていた神社は、
雑草が生い茂って、とても綺麗とは言えない状態だった。
話に聞けば、数年前からこの神社周辺は地元の不良達の
溜まり場になっており、色々と好き放題荒らされていた
らしい。
そう言えば昔、近所の中学生にいじめられていたっけ。
私は昔から"変な子"だった。
今は自覚済みだけど、昔は特に。
虚空に話しかけるなんてしょっちゅうで、
支離滅裂な話を突然し始めたり、
何も無い所で立ち止まっては逃げる様に走り出したり。
祖母や母から聞くこの手の話には飽きるほどあった。
それ故か、友達が少なかった。
それのせいかは知らないが、私はよく絡まれた。
あの人生しょーもなそうな奴らに。
当時の私は純真無垢で可憐な少女だったので、
普通に傷ついた。普通に泣いた。
確かそう。そんな時いつも助けてくれたのは
ショウくんだった。
ショウくんはその度私の手を引いて神社の前まで連れて来て
「もう大丈夫だよ。」
って、言ってくれてたっけ。
そんな事考えながら空き缶や吸い殻が散乱した境内付近を
見て、どうにも釈然としない気持ちが湧き上がった。
私の大切な場所を穢された。
私の大好きな場所を、勝手に。
所有者は私じゃ無いけれど、
村を出てしまった私が言える事じゃ無いけれど、
悲しくて悲しくて。むかついて。
私は近所のおばさん家からデカいゴミ袋を貰って、
片っ端から神社の掃除をした。
確かに誰も使ってない神社だったとしても、
私にとってこの神社は大切な場所だったから。
掃除が終わったのは夜の7時半くらい。
ゴム手袋は5回はち切れて、途中で軍手に変えた。
団子にまとめていた髪を下ろして、
タンクトップの上から上着を着た。
風がとても涼しかった。
陽が傾いていて、ゆっくりと夜が林を飲み込んでいった。
夜になると真っ暗になる神社は、月明かりと星だけの世界
懐かしい。
この景色を見るのは何年振りだろう。
私の記憶の中で飽和される前に、
此処に来れて良かった。
ショウくん。
私を呼んでくれてありがとう。
遠い日の記憶
あ、知っている。
なぜかそう思うことがあった。でも、知っているはずがないんだ。
だって、行ったこともないし、実際に見たこともない。それなのに、どこかで見たような気がして。
それを憶えていたのは、きっと今の自分ではない。
きっとそれは、自分がまだ他の誰かだったときの、遠い日の記憶のことだ。
「申し訳ございません、私は主に支える身でありますし、貴女様とは釣り合う身分ではございません。どうか他の方をお選びくださいませ」
いつの記憶かわからない。しかし、どうやら自分の口から出た発言のようだ。ある方と縁談の話が来たらしいが、年下ということもあり幼子に見え、そして高貴な身分だったので断ったらしい。
でも、その方は、彼女は貴女が!どうしても貴女が!とずっと言ってそして
「私のものに、どうしてもなってくれないのね?くださらないのね?貴女は
なら…!」
と、身包みを剥がされた上に拘束されそして
眼の前には龍がいた
私は 湖に 浅瀬だけど
溺れた その人(龍) に
捕まって
遠い日の 記憶
その子はまるで真夏に咲くヒマワリのようだった。
転校初日。クラスの第一印象ははっきり言って“ひどい”ものだった。教壇の上で自己紹介する僕に誰も目を合わせようとしない。寝てるヤツ、読書してるヤツ、スマホでゲームしてるヤツ。ソイツ等もひどいけど、注意しない担任もどうかと思った。そんなわけでとりあえず、新しい学校生活には夢も希望もわかなかった。
でもそんな中に彼女がいた。僕は彼女の隣の席だった。初日から筆記用具一式を忘れた僕に親切に貸してくれた。シャーペンも消しゴムも定規も、何もかもが黄色。良く見れば、彼女の長い髪を1つに纏めているヘアゴムも、片耳に付いているピアス(この学校の校則ではセーフらしい。もう学校全体がひどいんだと思った)も、彼女が持っているもの身につけているもの全てが黄色だった。
彼女はいつもにこにこしていて、僕が見る限り真面目に授業を受けていた。周りがこんなに粗悪だと言うのに、1人だけ凛としていた。まるで夏の、真っ直ぐ伸びるヒマワリのようだと思った。
『ここが世界の全てじゃないから』
暫く経ってわりと彼女と仲良くなってから僕は、どうしてそんなに真っ直ぐでいられるのかと聞いたことがある。そうしたら、彼女は笑いながらそう答えた。成程と思った。彼女はずっと遠いところを見ている。こんな、長い人生の中のほんの僅かな時に意識を向けて思い悩むようなことをしないのだ。彼女は僕よりもずっとずっと大人で、自分を持った人だった。僕は彼女が眩しいと思った。
あれから十数年。彼女はどうしているだろうか。結局、彼女と一緒に過ごせたのはあの1年だけで、学年が上がった翌年はクラスが離れてしまった。そうこうしているうちに彼女は海外へ留学し、向こうの大学に入り、今や世界を相手に活躍しているらしい。
夏がくるたび、街でヒマワリを見るたびに思い出す。たった1年だけの関わりだったけど、僕の記憶の中ではずっと枯れないヒマワリとして遺っている。またいつか、どこかで会えるだろうか。遠い日の記憶を今夏も辿りながら、そんなことをひっそり思った。
#26【遠い日の記憶】
初めての彼氏は頭が良くて
スポーツ万能で
イケメンではなかったかもしれないけど
自分の能力を鼻にかけることもなく
ユーモアのある人だった。
勉強も運動も中の下だった私は
そんな彼にすっかり魅了され
頼んでもいない友達のアシストで告白し
まさかのお付き合いスタート。
あれよあれよと言う間に彼女に昇格した。
しばらくして
さまざまな要因から不安が押し寄せた私が
彼にその気持ちを伝えると
こんな言葉が返ってきた。
「君が僕を嫌いにならない限り
僕が君と別れることはないよ」
嬉しい言葉なのに、どこか腑に落ちない。
この恋に、あなたの意思はないの?
それから数ヵ月後。
ちょっとした喧嘩の中で
私は繋がれていた手をわざと振り払った。
案の定、その手は引き留められることもなく
嫌いとも、別れるとも言わないまま
カレカノの関係は終わった。
あの時、あの言葉を鵜呑みにして
「私が彼を好きな限りずっと一緒にいられるんだ!」と
思えたら良かったのかな。
告白するつもりはなかった。
付き合うことになるとは思わなかった。
だって、あなたには好きな人がいたでしょう?
あなたの顔は忘れても
この恋だけは忘れられないわ。
僕には年の離れた兄ちゃんがいてさ
まだ幼稚園にも行ってなかった頃、ある日兄ちゃんが、うちに何人か友達を連れて来たんだ
その中の一人が、僕に「何歳?」って聞いたんだけど、恥ずかしくて答えられなかった
彼らはひとしきり遊んだ後、兄ちゃんも一緒にどこかに行ってしまった
僕は、もう誰もいなくなった道を走りながら「3歳! 3歳!」って叫んだっけ
なんでそんなことしたのか今もよくわかんないけど、3歳児なりに、そうしないと気持ちの整理がつかなかったのかもね
あの日
大好きだった人は
急な引越しでいなくなった
大事な大事な人で
きっと相手も同じだったと思う
でも
お互いに子供
カッコつけて引っ越す事に
何でも無いようなフリして
本当はそうじゃ無いのに
どう表現したらいいか分からずに
見送った
覚えているのは
笑うと可愛い笑顔と
バカみたいに近い距離感
そしてあなたの名前だけ
皆はどうだろうか。
俺の記憶はどちらかと言えば、辛いものばかりが鮮明に残っている。
親に初めて手をあげられた日。
飼ってた犬が首輪を外して駆け出した背中。
恋人に別れを告げられた日の青空。
そのどれもがもう遠い昔なのに、色も匂いも思い出せる。
根っからのマイナス思考がそうさせるのか、片手で足りるくらいの幸せな出来事は、反対に朧気だ。
チラチラと舞い戻るその記憶が煩わしく、それでいて忘れたら俺じゃなくなる気がしている。
多分俺という人間を作りあげたその記憶は、忘れてはいけない物なのだろうと思う。
明日から上書きされる新しい記憶が、穏やかであればいいとは……思っている。
「遠い日の記憶」
僕は色んなことを経験したから、都合良く事が運ばないことは知っている。
何年も前の話だ。
僕は予防接種が大の苦手だった。
注射を打つくらいなら死にたいと思うほどに。
だから、
どうにかして注射を打たなくていい方法を考えた。
子供の発想だから今考えるとバカらしいが、
当時は真剣だった。
医者に挨拶をすればいい子だと思われ、
注射を打たなくていいと思ったんだ。
つまり注射は、
悪い事をした子供が打たれるものだと思っていたんだ。まぁそんなことは上手くいくはずもなく、
普通に打たれた。
その日の夕食は僕の大好きなお寿司だった。
都合のいいことなんてない、
でも予期していない良い事は起こりうる。
僕に大切なことを教えてくれるのはいつも、
遠い日の記憶
前もこう思うことがあった。
もし今私の体が誰かに乗っ取られてしまって、
自分の意識なんか微塵もなくて、
そんな状態で自殺されたら、
それは自分の罪になるのか、と。
自分の意思で死ぬ事が自殺なのか、
自分で自分を殺すことが自殺なのか、
自殺が死んでからのいちばん大きな罪だと、
小さい時から思い込んでしまっている私には、
この問題は果てしなく大きく、
無駄なものだった。
誰かが私の代わりに私を動かしてくれるなんて、
そんなことはないのに。
乱雑に置かれた錠剤と、
好きでもない、強い度数のお酒を前にして、
今1度、あの日の記憶のように、
考え直す。
「遠い日の記憶」
「書く習慣っていうアプリやってる人おいで!!!!」
というオプチャの管理人ですー!
みんな優しいとってもよい集まりです!
ぜひおいでね〜!
昨日は納豆ご飯を食べ、白いTシャツにジーンズを履き、部屋の窓から海を眺めた。
では、おとといは、1週間前は、1ヶ月前は、1年前は…
鮮明に覚えている。
昨日と同じように生きていた。
わたしには、遠い記憶など無い。
近い記憶を惰性で繰り返しているだけだから。
生ぬるい海風を感じながら、わたしはまた冷蔵庫のドアに手をかける。中には納豆と卵があった。