白藤桜空

Open App

『物心』
 物心がついた瞬間は衝撃的だった。それは誕生日の翌日だった。何か天啓でも受けたかのように、いきなり意識が覚醒したのだ。前日のことはうっすらと思い出せるような気がして、ぼやけたようになっている。それよりさらに数日前はまったく思い出せない。それが物心がついた日の境目だった。
 今でもその記憶はなんとなく愛おしい。だって私が私になった瞬間だから。
テーマ:遠い日の記憶

7/17/2023, 1:37:53 PM