NoName14

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遠い日の記憶は
チョコレートアイス

夜の病院、大き過ぎるスリッパ
寒い冬の夜
父親の運転する車から
ぼんやり、外を眺めれば
街の明かりが流れていく。

3歳になったばかりの私の
記憶は、断片的で

ただ、あの日は私が
お姉ちゃんになった日だったのだ。

久々の、お母さん。
初めて出会う小さな赤ちゃん。
父親の大きな手が私の頭を撫でて

帰り道に、チョコレートアイスを
食べたのだ。
口の中で、じんわり溶けてゆく
チョコレートの味と、微睡んでゆく
帰り道の景色。


それが、私の遠い日の愛おしい記憶だ。


【お題:遠い日の記憶】

7/17/2023, 1:33:24 PM