迷い道、寄り道、後戻り。
出口のないトンネル
振り向けない恐怖
開かない扉を叩き続けて
首元にかかった、鍵にすら気づかない。
どうすればいいのと、思うほどに
視野はボヤけて世界は狭まる。
迫り来る壁に挟まれたくないからと
足元から上がってくる水で
溺れたくないからと
思えば思うほどに
思考の縛りは強まるばかり。
ただ、目を閉じて
深く呼吸を整えて
もう一度、世界の広さを
見る事が出来れば
苦しみばかりでは、無いのに。
【お題:どうすればいいの?】
父親が、私の事を宝物と死ぬまで
言っていた。
ぶたれた記憶は1度しかない。
理由は、忘れたけど…
頬はいつまでも熱く耳は高音を響かせた。
私は、抵抗しない子どもだった。
それでも、年頃になり
親が離婚後は無気力の塊で
時々、襲ってくる無我のトラウマが
私を狂わせた。
手に負えないと、思った母が
父親を呼んだ。
父が私の部屋に顔を覗かせるとすぐさま
私は、手元の目覚まし時計を
投げつけた。
時計は、壁に当たり砕けた。
ショックな顔をした父親に
『おまえのせいで、こうなってんだよ!』
と、言葉を浴びせた。
それが、私の本音か八当たりかは
わからない。
父親は、何も言うことなく
扉を閉め帰った。
それでも、母との衝突が絶えない日は
父親の家に転がり込む事もあった。
こたつで、2人寝た日の朝
下着に違和感を感じた。
嗅いだことの無い奇妙なモノが
ドロっと付着していた。
父親は、既に仕事に行っていた。
私はソレの正体をまだ知らない年齢だった。
だから、忘れた。
そして父親は、あまりにも突然に
あまりにも早くこの世を去った。
死因は不明。病死。
孤独死だったので、解剖の結果は
書き殴られたような、その一文のみだった。
宝物だと言われ続けて
宝物だったのかと思うこともある。
だけど、私の事を宝物だと
他に言ってくれる人は、もう居ない
かもしれない。
【お題:宝物】
友達で、良いの?
友達が、良いの?
あなたの中の、私は
どこに立っているのかな。
言葉ひとつで
何者でもなくなってしまうのが
こわいよ。
【お題:友達】
過ぎた日を想う事は
良いことばかりではない。
私の中のブラックボックスは
…時に、カタカタと
私自身を、脅かす。
傷だらけ、ぼろぼろ。
二重の皮を被ったような違和感。
この心は、ささやかな幸せを
感じ取ることも出来るし
人の痛みにも、ちゃんと反応
するけれど。
そうなるまでには、確かに
痛かったよ。
もう、忘れたいほどに。
【お題:過ぎた日を想う】
星のことは、詳しくない僕だけど
星空を眺めるのは好きなんだ。
あの星とあの星を
繋いだらねと、語る君を
見つめながら。
僕は、君の隣に居れたら
良いなと思ったよ。
君と僕、手を繋いで
もしこの先も一緒に居たとして
家族になれたのなら
名もない星座になれるのかな
そんなことを、考えながら
また、星を眺める。
星と君と僕とで
この夜を楽しむんだ。
【お題:星座】