『木枯らし』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
たとえ木枯らしが吹きすさぶ中でも
心はあたたかくして生きている
黄色や橙色に染まった枯葉が風に震え、木枯らしに舞うころ、僕はその人と出会った。その人のことは木枯らしが運んできたんだと思うことにした。
その人は人を愛することに疲れ、傷つき、人を信じることをも恐れていた。かと言って死ぬこともできない。そんな人だった。
僕はせめてその人の心の傷を癒してあげたいと、誠意と優しさを持って、時折衝突しながらも、わかり合いながら共に過ごした。僕はこんな日々がずっと続けば良いと思っていた。
なのにある日、
「あなたの真心にはとても打たれたけど、私はあなたとは一緒になれない」そう言ってその人は僕の元を去って行った。
「人生はハッピーエンドばかりじゃない」
そんなことはわかっていたつもりだったけど、僕の心の隙間には木枯らしが吹いたみたいだった。
#102 木枯らし
貴方の背中をみて
育ちました。
次は貴方の背中を支えます。
木枯らし
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2024.1.18 藍
秋冬の木枯らしが吹き
心にしまい込んだはずの気持ちが溢れて
君に早く会いたいなって寂しいくなる
木枯らしが吹いて、葉っぱが地面を転がって行く。
道路には葉が全て落ちた街路樹以外には何もない。
まるで世界に誰もいなくなったかのような錯覚を覚える。
その感覚に恐怖を覚えるが、向こうから歩いてくる男性が錯覚だと確信させてくれる。
だが寂しいという感情を想起させるには十分な風景だった。
しかし冬になったというのに、まさか木枯らしが吹くとは……
冬にもかかわらず春のような暖かい日が続き、あんまり冬のような気がしない。
と思えば秋のように木枯らしが吹く。
メディアが異常気象と言って騒ぎ立てるのも、無理の無い事なのだろう。
待て待て待て。
おかしいぞ。
たとえ異常気象でも冬に木枯らしが吹くはずが無いのだ。
木枯らしが吹くのは秋だけ、それも10月から11月にかけて吹く風をそう呼ぶ。
そういうもの、と言うのではなく定義がきっちり決まっているものだ。
それ以外の時期に吹く風は木枯らしなどとは決して呼ばないのだ。
なんで一月に吹いた風なんかを、木枯らしなどと思ったのだろう?
理由は分からない。
だが一つ分かることがある。
これは異変だ!!
『異変を見つけたら、すぐに引き返すこと』
頭にあるフレーズが浮かび上がる。
気づいた瞬間に体を反転させ、全力で走り出す。
遠くのほうを見れば、見慣れた通路がある。
あそこに逃げよう。
普段運動をしないため、すぐに息が切れる。
これから毎日ジョギングをしよう。
後悔していると、何かが後ろから何かが襲い掛かってくる気配が!
本能的に危険を感じ、止まりたくなる欲求に抗いながら道路を走り抜ける。
心臓が爆発しそうなくらい走り、ようやく通路に到着すると背後の気配は消えていた。
どうやら助かったらしい。
壁に手をついて息を整える。
後を振り返れば、ただの壁があるだけ。
通路なんて最初から無かったかのようだ。
まるで夢を見ていた気分だが、激しい呼吸がそれを否定する。
それにしても、最近流行っているというので、ゲームのプレイ動画を見ていて助かった。
気配の感じ方から察するに、すぐ後ろまで迫っていたと思う。
すこしでも判断が遅れていれば助からなかっただろう。
だんだんと今までのことを思い出してくる。
たしか見慣れない通路を発見し、好奇心から入り込んで気づいたらあそこにいた。
とてつもなく疲れた。
ホッとしていると、あることに気づく。
さっきの男性は何者なんだろうか?
もしや何かに捕まってしまった人間なのだろうか?
思わず背筋が寒くなる。
たとえそうだとしても自分には何もできない。
自分が助かっただけでも良しとしよう。
帰ろう。
誰もいない通路を歩き出す
遅い時間とは言え、誰も歩いていないと不安になるな。
そう思っていると、足音が聞こえ少し安心する。
何気なく音の方向を見ると、向こう側から見覚えのある男性が歩いてきた。
木枯らし
今まで生きていた中で一番寒いと感じたのは、
オーロラを見に行ったカナダのイエローナイフではなく(バナナで釘が打てるとか…)、
木枯らしが吹きすさぶ初冬の日光だった。
二十年以上前のことになるけれど、冬枯れの景色を見ながら、誰も歩いていない道を華厳の滝や中禅寺まで父や母や妹と歩いた。紅葉などすっかり終わっていて雪までちらついて、鼻や耳が千切れそうなほど寒かった。
あの凍りそうな寒さと中禅寺湖の深くて凄いような青さは忘れられない。懐かしい思い出だ。
#150
木枯らしが吹いたので、僕の心は空虚になった。
もし木枯らしが吹かなかったなら、この空虚さはいくぶんマシだったはずだ。
木枯らし
ここにいる人たちは、この1つの単語で、共通の情景を思い浮かべることができるでしょう。
それだけでなく、肌寒さや寂しさなどを感じることができます。
地域や年齢などで感じることは少しずつ変わっていくと思いますが、こういった言葉は、日本人が自然と共感できる素敵な言葉ですね。
ドルチェ&ガッバーナとかは知らないからわかんなかった
《木枯らし》
季節から少し外れた、冷たい風。
バサリと音を立てて着地したそれは、僕の後ろでゆらりと立ち上がった。
黒い翼を軽く畳むようにして閉じ、その手を僕に伸ばす。
「いや、普通に現れてくれる!?」
「充分普通だろう?」
空から現れることが普通なのは、どこぞのヒーローだけだ。
少なくとも人間からすれば普通とは言えない行動だが、それを簡単に取ってしまえるのは彼だからこそなのだろう。
「で、何しに来たんだよ。魂ならやんないぞ」
「ほら、契約に則り何でも願いを言え、叶えてやる」
「代わりに死後の魂をお前に奪われるんだろ、やなこった!」
悪魔、と呼ばれる存在の彼は普通の人の目には映らない。
だが、時として『視える存在』というのがいるらしい。それは人に限らず虫や動物にもいるというが、僕もまた、その『視える存在』だった。
「今日も木枯らしを背に、迎えに来てやったというのに……」
「カッコつけんな。単純に高いとこ飛んでてそっから急降下したら空気ごと来ちゃったんだろ」
無駄にギラギラとした笑顔でポーズを決めているが、本当に無駄だ。
このカッコつけたがりめ。
「ほら、契約書にはしっかりと血印が……」
「それ初めて会ったときあんたが顔面に突っ込んで来た所為で鼻血出ちゃって、それがちろっと付いただけじゃんかよ」
「それでも契約者の血だからな、血印扱いで問題ないぞ、うん」
「うっかり付いた鼻血でも!? 最低だ!」
「そう褒めてくれるなよ……照れるだろ」
「褒めてるわけないだろー! ああでも悪魔だから罵倒しても逆効果か……?」
こうして頭を悩ませるのも、よくある話だった。僕らのいつも通りの会話だ。
「ほんと、うざい。——消えてほしい」
罵倒が意味をなさないことを理解しながら、僕はそう続けた。
すると、悪魔は黙り込んだ。
いつもならまた『またまたぁ、照れちゃって』みたいな、そんな反応をするのに。
「……そうか。わかった」
そう言うと悪魔は僕に背を向け、飛び去った。なんなんだ一体。
それからというもの、幾ら悪態を吐いても、幾ら契約に同意するからと叫んでも、悪魔が姿を現すことはなかった。
——そうして僕に木枯らしが吹かなくなって、三年経った。
「少しだけですからね、いいですか?」
看護師さんの窘める声を背中で受けて、僕は窓を開けた。
春の心地よい風に目を閉じると、ふと、春の陽の光で柔らかくなった、少しの冷たさを感じた。
馬鹿な、そんなことがある筈がない。有り得ない。
頭では否定していても、これは、木枯らしだった。それも、酷く懐かしい。
「……久しぶりだな」
答えはないが、そこにいるのはわかっている。
「……たった三年だけど、僕は随分変わっちゃったよ。だから君に、願いがあるんだ」
そう。ずっと心の中にあった願い。
「——僕の友達になってくれないか」
「その代償に、死後の魂を捧げるのか」
ああ、懐かしい。聞きたかった声がする。
「そうだよ、だって君は悪魔だ。代償なくして願いを叶えられないんだろ? 憐れだね」
「本当に憐れなのはお前だ。見えなくなって、その目を見えるようにしてほしいとも望まない、悪魔なんぞに友情を求めるお前だ」
悪魔の言うことはもっともだと思う。
「でも、それが僕の契約書に書く内容さ。呆れた?」
「ああ、お前ほどの阿呆はいないな」
そうか、僕くらいなのか。
なら、君の中に、僕との記憶が残れば嬉しいな。
木枯らしは、目に映らずとも悪魔を感じさせてくれる。だから僕は、木枯らしが好きで、悪魔も——。
「木枯らし」
貴方の特別になりたい。
思っていたのに
愛されないことは知っていた。
貴方には特別な人がいるもんね
勝とうとも思わない。
不公平だな、、
貴方と出会うために年齢とか関係とか自分で決めれたら良いのにね。
私に吹いてくる木枯らしが私を馬鹿にしているみたい。
寒い。冷たいこの手を握ってくれる人は誰もいない
来年も貴方のことを好きでいるかな、
貴方を好きな私が好きだった。
「って言えば焚き火じゃない?」
「うん?……あ、歌か」
そうそう!と指差された赤色は、残念ながらポインセチアだったけれど。
「今は出来ないんだったっけ」
「らしいね。一度くらい芋とか蜜柑とか焼いてみたかったけど」
「風情が死んでる……」
「良いじゃん!」
発声と合わせたかのような鋭く冷たい一迅。落ち葉を巻いて通り抜けたそれに、寒太郎と呟かれては。音楽と国語の教科書、どちらで突っ込みを入れるべきか少し悩んで笑ってしまった。
<木枯らし>
【木枯らし】
時代劇、木枯らし紋次郎を思い出す(笑)
いつからなんだろ…
この街に
つめたく
強く吹き抜けて
季節のページをめくる
冬の足音が
私の心
そっと くすぐるの…
もう冬だな…
少し斜め上
見上げる
あなたの横顔に
また恋をして
降り落ちる木の葉が
ユラユラと
時間をゆっくりにする
このささやかな幸せを
全部 言葉にできないから
なんかね…
少しだけ悔しい。
いつからなんだろ…
自然にそこに居たから
気がつかなかったな…
冬が寒いだけの
季節じゃないって
そう思えたのは…。
- 木枯らしが吹いた その時に -
長寿も
生まれたばかりも
枯らしてしまうこの地球。
泣くあなたは
被害者か
加害者か
木からし
【踊る彼女】
カラカラと乾いた風に舞う木の葉
赤い靴を履いたパジャマ姿の彼女も優雅に無心に舞っている。
TikTokに載せたらBuZZるかも?
悲嘆に暮れすぎてとうとう打算が生まれ始めたよ(苦笑
彼女の呪いを解くのを諦めた訳じゃないけど、
見守るのもアリなんじゃないかなって思うんだ。
お題「木枯らし」
木が枯れてしまった。
私の木が。
私の水となる、あの人の存在や。言葉や。
枯れてしまった。
いつか、桜が咲く季節になっても私の気は枯れたまま。
私の木は枯れたままなのだ。
‘’木枯らし’’
高校三年生の春。
あの時の選択を今も悔いている。
あの人の背中を追わなかったこと。
見送ってしまったこと。
それはきっと、自分の中のプライド。
プライドは、時に凶器である。
プライドは、時に誇りでもあり、埃でもある。
その当時の私にとっては、誇り。
今の私にとっては、ただの埃。
人生は長い。
誰かを思いやるプライドにこそ真価は宿る。
あの時、追いかけてこそ自分。
頭を下げてこそ自分だと、青い私は気付かぬまま。
これはきっと、後悔というよりも、嫉妬。
あの時選択できた未来への。
自分への嫉妬だったや。そうやろ。
新しい未来に、あの人はいない。
ならせめて、私の中で枯れた木を。
私のプライドという名の埃を。
誰かが水をあげてくれるその日まで、私は木枯らし。
秋街の風
木枯らしが吹く街を歩く
貴方の思い出と共に歩く
ふいに、貴方の影が見える
急いで無い影を追う
されどそこにあるのは枯葉である
風が吹き髪が揺れる
貴方の居ない街を歩く
貴方の思い出と共に歩く
僕は池の畔を散歩した。
水を見てると余計に寒く感じる。
だけど、背筋を伸ばして上を向いた。
いつもとは違う。
寒いと背中を丸めて余計に俯くのに。
その上には木枯らしがあった。
僕は、また俯いて散歩をやめにした。
「今日の天気は、晴れ、
強い風が吹くでしょう」
今日は大きい転機が訪れる日
気になるあの子とも
『木枯れし』