『木枯らし』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
地面に落ちた枯葉がくるくると舞い上がるほど風が強い。耳元を過ぎる風がびゅーっと音をたてている。思わず、コートの首元をしっかりしめて、マフラーを上からかぶせる。
後から色々思ってしまう。人との関わりに、思い悩むことがある。もっとこうすればとか、こう言えば良かったとか。そう、言い方かな。風のように自然に流れていくような感じがいいのだ。
うまくいかなかったことも、もう過ぎてしまった。またの時に考えたらいいか。こんな小悩みは、この風のように吹き飛ばしてしまおう。
今日の風は、木枯らし1号だったらしい。
「木枯らし」
「お、来たの?やっほ。」
カラリと控えめな音を立てて病室に入ってきた友人に、軽く手を振る。心配です、なんてオーラが前面に漂う子犬のような瞳が、俺を真っ直ぐ射抜いた。
「ん……今日は体調大丈夫?昨日、また夜中急変したって聞いたけど……」
「あー、あれ?平気平気。ちょっと調子乗って夕飯食いすぎたわ。」
へらりと軽く笑って見せれば、彼はほっとしたような溜息を零して柔らかく笑った。
ベッドサイドの小さな机に、品のいい控えめな花束が新しく飾られる。少し萎れてしまった以前の物は、彼がそっと新聞紙に包んでいた。
「そっか。それなら……よかった。今日はクッキー持ってきたんだ。君が好きだったやつ。」
おずおずと目の前に差し出されたクッキーは、よく彼と2人で食べたものだった。特段好きだった記憶もないが、彼から見ると、きっと好きそうに見えているのだろう。
「マジ?さんきゅ。一緒に食おうぜ。」
受け取った箱の中から数枚を適当に取り出して、押し付けるように彼に渡す。彼の顔が小さく綻んだのを、俺は見逃さなかった。このクッキーが好きなのは、俺じゃなくて彼の方。俺が好きなのは、このクッキーを食べる彼の、子供っぽいような緩い笑顔だった。
サクサクと、しばらく2人して無言でクッキーを齧る。病室の外には、冬とはいえまだ少し青さを残した葉が茂っていた。
「……治るんだよね?」
ふと、また不安そうな顔をした彼がぽつりと問いかける。語尾は小さく震えていて、心なしか瞳も潤んで見えた。
「大丈夫だって。ほら、なんかあんじゃん?『この木の葉っぱが無くなったら私は死にます』みたいなやつ。こんだけ葉ぁありゃ平気だろ。」
茶化すように笑ってやれば、彼の顔に浮かんだ憂色もすっかり拭われた。
本当は、俺は知っている。俺の病気にもう治る見込みが無いのも、今週中に強い強い木枯らしが吹くのも。
昨日だって、別に夕飯は食べ過ぎていない。寧ろ、本来食べるべき量さえ、体が受け付けなくなってきた。
それでも、俺はずっと笑い続ける。すっかり痩せて背骨の浮いてきた体も、ずっと痛む頭も隠して。この心配性な友人の顔を、せめてもう少しだけでも曇らせないように。
僅かに開けられた窓の隙間から、木枯らしの気配を孕んだ冷たい風が吹き込んで、淡いレースのカーテンを揺らしていた。
テーマ:木枯らし
過ぎる凍てついた風に、身を震わせた。
くしゅん、とくしゃみをひとつ。身に染みる寒さに、足早に街路樹を抜けていく。
「寒い」
思わず呟いた。口にすることで、余計に寒さが増した気がして眉が寄る。溜息一つでさえ今は熱を奪っていくようで、白いマフラーに顔を埋める。俯き身を縮めながら、只管に家路を急いだ。
「おかえり。早かったね」
こたつに入り、みかんを剝きつつ姉は笑う。
「ただいま」
それに少しばかり拍子抜けしながら、おざなりに挨拶をしてこたつの中に入り込んだ。
暖かい。足元からじんわりと熱が伝わり、体の力が抜けていく。
「どうしたの?随分疲れているみたい」
「別に……ただ、今日は寒かった」
足だけでは足りず、温もりを求めてこたつの中に潜り込む。
不思議そうに問いかけられ、感じた寒さを訴える。目を瞬いた姉は窓の外に視線を向け、あぁ、と小さく声を上げた。
「木枯らしか」
「木枯らし?」
眉を寄せ、窓の外を見る。枯れた木々には葉が一枚も残ってはおらず、枝には僅かに雪が積もっていた。
年が明けて、一月も経っていないのだから当然だ。春はまだ遠く、況して木枯らしが吹く晩秋はとうに過ぎ去ってしまった。
「玉風じゃないの?」
「木枯らしだよ……きっとどこかに残っていた秋を見つけて、冬が奪い去っていったんだね」
目を細めて呟く姉は、どこか切なげだ。もぞもぞと体を起こし、姉と同じ目線で窓の外を見る。
外では枯れた木々の枝を、風が揺らしている。積もる雪を散らし、まるで何かを探しているようにも見えた。
秋を奪い去る冬。荒れる風と、枯れて何も残っていないはずの木々。
まだ残っているのだろうか。一つ残さず見つけ出そうとする冬を思い浮かべ、その執着にふるりと肩を震わせた。
「何だか、恐ろしい」
「確かにね。春を迎えるためには必要なことではあるのだけれど」
こたつの上のみかんに手を伸ばし、姉は小さく息を吐く。
「残っている秋は、去年のものだから。新しい年の、新しい春には必要ないからね」
そういうものなのか。姉のようにみかんを手に取り、皮を剥きながら考えた。
去年。そして今年。何もかもが変わらないように見えるが、やはり何かは違っているのだろう。
皮の剥かれたみかん。一房食べれば瑞々しい甘さが口に広がっていく。口元を緩めながら、このみかんは去年育ったみかんだな、と取り留めのないことを思った。
かたん、と窓が鳴る。視線を向ければ、外では変わらず風が木々を揺らすほど強く吹いていた。
「荒れてるね」
「そうね。きっとまだ全部見つかってないのでしょうね」
こたつで姉と二人、黙々とみかんを食べる。
ふと、喉の渇きを覚えた。名残惜しげにこたつを出て、台所へと向かう。
ひやりとした床や空気が、容赦なく熱を奪っていく。ふるりと肩を震わせ、手早くやかんに水を入れ火にかけた。
湯が沸く間に湯飲みや急須、茶筒を盆に乗せる。甲高いやかんの音を合図に、火を止めた。
不意に、冷たい風が吹き抜けた。誰かの視線を感じて振り返れば、いつの間に戻ってきていたのか、兄が台所の入口に佇んでいた。
「あ、おかえり」
「ただいま」
僅かに目を細めて微笑み、兄が台所に入ってくる。外から帰って来たばかりの兄の周囲は、まだ外の冷えた空気が残っているような気がした。
「お仕事はもう終わり?」
「あぁ。今日は終いにした」
「そう」
湯飲みを一つ新たに盆に乗せ、沸かした湯を保温ポットに入れる。茶請けも必要かと戸棚に視線を向ければ、兄が察して茶請けを取り出し盆に乗せて台所を出て行った。
ポットを持って後に続く。兄のいた場所はどこか冷えていて、吐き出した息がうっすらと白くなるのに、また小さく体を震わせた。
「今日は早かったのね」
こたつに置かれた茶請けに早速手を伸ばしながら、姉は首を傾げて問いかけた。
兄は肩を竦めるだけで何も答えない。黙々と茶を淹れて、姉の前へ湯飲みを置いた。
同じように目の前に湯飲みを置かれ、そっと手を伸ばす。湯飲みから伝わる熱で冷えていた手を温めながら、湯飲みを覗き込んだ。
「あ、茶柱」
「相変わらず、お茶を淹れるのが上手よね」
くすくすと姉は笑う。それに同意しながら、湯気に息を吹きかけた。
湯呑みに口をつける。まだ冷めていない茶の熱さに舌が痛むが、それが気にならないほどの美味しさに笑みが浮かぶ。誰かといるぬくもりと幸せに、段々と意識が微睡んでいく。
「寝ちゃいそうね。じゃあ、ちょっと早いけど、夕ご飯の支度をしてくるわ」
優しく頭を撫でられる感覚。離れていく姉の気配に、手伝いをしなければと閉じかけている目を擦る。
「今日は鍋だから、それまで寝てなさい」
姉の声が遠くなり、肩を抱かれ、そのまま横になる。薄く目を開ければ、膝枕をする兄と目が合った。
「寝ていろ。そう言われただろう」
大きな手が、目を塞ぐ。暗闇と冷たさに、ほぅ、と吐息が溢れ落ちた。
いつの間にか、風が止んでいる。何故かそれが気になって、目を塞ぐ兄の手に触れた。
「木枯らしは止んだの?残っていた秋は見つかった?」
「何だ、それは」
「だって……秋が残ると、春が……」
頭を撫でられる。冷たい手に、浮かんだ疑問が消えていく。
「担がれたのだろう。秋が残るなどあり得ない……冬が秋を置いていくことなどないのだから」
声が遠い。疑問も、記憶も、何もかも遠くなって、どこまでも沈んでいく。
そういえば。
眠りに抗うように、疑問が込み上げる。
兄と姉。家族であるはずの二人の名は、何だっただろうか。
本当に彼らは自分の家族だっただろうか。
両親の顔を、自分の名さえ、思い出せない。
「眠れ。心配せずともここにいよう。一人でないのだから、泣くことはないだろう」
意識が沈む。
思い出せないことすら忘れて、暖かな眠りへと落ちていく。
かたん、と風が窓を揺らす。
冬に移り変わる前の、秋の風が呼んでいる。
けれどもう、冬の腕の中の自分には。
その呼び声は聞こえなかった。
20260117 『木枯らし』
秋の風
少しずつ吹く
風が木の葉を飛ばし
君と過ごす
物語の最終章の
始まりとげる
〜物語の木枯らし〜
わた雲が埋め尽くした曇り空は、街から光を奪いさっていた。押しつけるように重たく天井が近い。
道に並んだ枯れ木達は、無数に枝分かれしたまま空を仰いでいた。
木枯らしが吹き付けて顔を刺してきたので、マフラーの中に顔を沈めるようにあごを引く。厚底のブラウンのロングブーツが、乾いた落ち葉をぱりぱりと踏みつぶした。
散らかったアスファルト、人通りのない真っ直ぐな道、乾いた空気、色素がなくなってセピア色の世界に足を踏み入れたようだった。
一張羅でめかし込んだ、バーバリーチェックのマフラーだけが、色鮮やかに儚く浮いている。
寒さをごまかそうとコートの中に手を入れると、
携帯電話が振動した。彼からの通知だった。
『ごめん。』
『気付かなかった』
『今電話できる?』
私は既読をつけずに携帯電話をコートにしまう。
顔を上げると、視界を遮っていた枯れ木が無くなり、見慣れた角に差し掛かっていた。
道を曲がると冷たかった冬の風が急に止んだ。
夕飯の準備をしているのかクリームシチューの匂いがする。
壁に立てかけられたハマーの黄色い自転車、
公園で遊ぶ子どもの声、陽が傾いた茜色の空。
街は色を取り戻していた。
『木枯らし』
僕らは友人からの誘いで、夏休み中、3人で登山に来ていた。その友人が言うには、その山から見る朝日が綺麗で、人も少ない穴場らしい。
朝日を見るためとはいえ、真夜中の山というのは雰囲気がある。「なぁ、俺さ、この山に登るって聞いて、少し調べたんだけど、ここ、出るらしいぜ。」
「ちょっと、こんなところで怪談なんて言わないでよ」僕はすぐ、抗議した。しかし、もう一人の友人も「あ、俺も知ってる。真夜中に季節外れの木枯らしが吹いて、化け物に襲われるっていうやつ?」と、話に乗ってきた。「いや、俺が聞いたのは、化け物じゃなくて、ここで殺された女の霊に呪われるっていうやつだぜ」「その怪談あやふやじゃん」とツッコんだとき、ひときわ強い〝木枯らし〟が吹いた。「寒っ!山とはいえ、寒すぎないか?」「まさか、あの怪談ってホントなんじゃ、、、」と僕が言った。「そんなことないだろ!さすがにないよな、、、?」その時、ガサガサと葉を踏む音がした。3人で一斉に振り返った。いや、実際には振り返ってはないのかも知れない。だが、絶対に会ってはならない危険なナニカだと言うことを本能的に悟った。
気付けば、下の受付にいた。他の登山客が倒れている僕らを見つけて、報告してくれたらしい。僕らは何があったか、全く覚えていなかった。でも、そこで恐ろしい出来事があったこと。服越しでも感じるピリピリとした空気。異様なまでに冷たい木枯らし。その3つはいつまでも忘れられなかった。
【木枯らし】
木の葉を強い風がさらった
冬が始まる
木々の間を歩いた
地面には落ち葉の絨毯
何て幻想的なんだろう
この気持ちを誰かに伝えたくて
隣を見ても君はもう居ない
こうしてると感傷的な気分に
ついなってしまう
いけないとわかっているのに
君とはもう会えない
そう思うと心に風が吹いた気がした
頬を涙が伝う
早く帰ろうそして風呂を沸かして
ゆっくり浸かろう
少し足早になった歩みで
俺は家路についた
『タイミング』
真っ平らな白紙があって
何も言って来ないからと
理解に苦しむ、本心かわからない
怒声で滅多刺しにして、皆の前で
晒しあげて、じわじわと炙ったり
その場で捨てなくても、もとの紙
には戻らないでしょ?
テセウスの船の折り紙で我慢しろ
あと、思い出を捨てる人なのか…
と悟った10日前。
あの時連呼していた犯罪者と生きる
紅く熟れた紅葉の葉が、風に飛ばされ彼の頬へと触れた。
彼はその葉を手に取り、しげしげと眺める。
昨日の夜、彼女から話があると言われて来たはいいものの、待ち合わせ時刻になっても彼女はこない。
相変わらずの傍若無人ぶりに溜息を吐くと、彼は近くのベンチへと腰掛けた。
木枯らしが彼の体を冷やしていく。
彼女が来た時には既に待ち合わせから三十分が経過していた。
「ごめん、遅れちゃった」
「大丈夫だよ。それで、話って?」
「その……」
彼女は言いにくそうに言葉を区切ってから、別れてほしいの。と告げた。
「……え?嘘、嘘だよね?」
彼の言葉に彼女は小さく首を横に振った。人気のないこの公園で、この絶望を見る者はいない。
「僕の、僕の何が駄目?直すから。ちゃんと君好みになれるようにするからさ、だからーー」
「それがっ!その、あたしのために自分を消す貴方が嫌だ……」
彼女の強い言葉に暫く彼は言葉を失った。口を開いて何かを発そうとするものの、結局それは言葉にならず風に攫われていく。
「それだけだから、じゃあ」
「っ、待って!待ってよっ」
彼の制止など気にもとめず彼女は踵を返した。
秒速8メートルで心が離れていく。
彼女というパーツを失った彼の心には冷たい風が吹き込んで、より心を荒ませていく。
不意に彼の瞳から涙が溢れ落ちた。
それは誰に受け止められるでもなく地面に落ち、染み込んでいく。
紅葉がまた一枚彼の元へ舞い落ちた。
この紅葉もまた、誰かの涙を栄養に育ったのだろうか?
ーークソくらえだ。
彼は地面に落ちていった紅葉をスニーカーで踏みつけ、何度も何度もぐちゃぐちゃにした。
息が荒くなる。視界が揺れる。
それでも彼は構わなかった。
少ししてからハッと我に返って彼が足をどけると、地面には紅い何かが広がっていた。
スニーカーの靴裏にも付着したそれは彼の罪のよう。
彼女が好きなデザインだからと買ったものだったのに、彼が穢してしまった。
手の甲で涙を拭って、彼もまた帰路へつく。
今頃彼女は部屋で新しい男探しでもしているのかもしれない。
そう思えば思うほど心は軋んで、取り繕いようのない穴だけが残る。
彼女と別れてもう十五分はたった。心の距離は7,200メートル。今さら追いつけるわけもなく。
木枯らしに押されて帰る彼の足取りは重たかった。
【木枯らし】
俺の住んでる所だけなのか
ここ数年
衣替えが間に合ってないのか
木が青々としたまま
冬を迎えてるような
思えば
10月末の夜にある
伝統芸能の年中行事
寒さに震えながらやっていたけど
ここ最近は快適だ
伝統芸能の衣装に
季節の衣替えは無いから
気温の変化がよく分かる
体型の変化も.......
そのあとにやる衣装干しなんかも
のどかなもんだ
衣装を干して風を通す間
お弁当を食べる
冷たいお茶で喉を潤す
これも前はあったかいお茶だった
風に揺れる色とりどりの衣装を眺めながら
お弁当を食べながら談笑してると
ちょっとしたピクニックだ
揺れる衣装も
木枯らしに耐えてた頃に比べると
楽しそうに見えなくもない
木枯らし/熱燗で
木枯らしのような強い北風
の吹く日、退勤後手を擦り
こんな夜は酒が飲みたい、
と通い慣れた居酒屋の暖簾
をくぐると暖かいざわめき
と酒の匂いが満ちて一人
だが寂しさは感じない。
熱燗と、と言いつつ今日は
どんな魚が上がったかいと
尋ねると、今日は良い型の
鰤が入ったと大将の声がし
た。
任せるよとコートを脱ぎ、
カウンターの席に当たり前
のように座れば、ほんわり
と肩の力が抜けて、運ばれ
てきた徳利とぐい呑みで、
おつかれさまと一人ごち、
ふうふういってすする酒が
胸を温かく流れていくのが
私の楽しみだ。
日々ぐったりするまで働く
ことも当たり前の国では、
同じような時間を過ごす人
は少なくないだろう。
何時まで、が空虚な時間の
うら寂しさはひとり酒では
晴れないな
という夕べである。
ひらりはらり。黄土には少し満たない色が空を舞い、湿った地へと落ちる。それに見惚れていたらまた、シャッターにかけていた指を動かすのを忘れてしまった。
枯れた草木や葉、花でしか感じられない哀愁混じりの感触。それに魅入られてレンズを構える秋の暮れ、もう3年になるが未だ納得の行く一枚は撮れていない。
それはきっと私自身が、心動かされる瞬間と言うのは前後の脈絡があってこそだと、どこかで感じてしまっているが故なのだろう。
もちろん一枚の写真で感動することだってある。しかしそこに自分の手が加わるとなると、どうしたって納得できないものだ。
思慮を巡らせていたらまた、目の前で一枚。音もなく、濡れた足元へと茶色いそれが落ちる。まるで私を見ているような、渾身の一枚なんて撮らせないぞとでも言いたげに、眼下のひとひらはそこに在る。
ひゅうるる、思わずコートを深く着被る。冷たい風が吹いた。目の前にあった枯葉は、冷えた空気に攫われて、何処かへと吹いていったらしい。どうか、かの葉が最後に見る景色が、雨傘の葉の裏でありますように。
木枯らし。
木枯らしが吹く深夜に男が駐車場にいる。
「ピ−ピ−」。
僕は暗闇に向かって口笛を吹いた。
すると青い目が二つ光り、こちらに近づいて来た。
野良猫だ。
頭が茶色、体は白、しっぽが白黒のトルコ猫。
タ−キッシュバンである。
ペットショップにいてもおかしくない美しい猫だ。
左耳が少しカットされた去勢済みのメス猫である。
僕はエサを入れた皿を差し出した。
トルコ猫はエサにがっつき平らげた。
「相変わらずいい食べっぷりだな」
僕は話した。
「いつもお腹が空いているから当然よ。今日は遅かったじゃない」
トルコ猫は鳴いた。
男と猫はスマホの猫翻訳アプリを介して会話している。
「仕事が長引いたんだよ」
「仕事?」
「君らの狩りみたいなもんだよ」
「ふ〜ん、あなた達もそんなことしてるのね。てっきり好きな事をして遊んでると思ってたわ」
「それはないな」
「ところで、いつもタダでご飯いただいて悪いから、お礼に今度ネズミを持っているわ」
「いや、大丈夫!気持ちだけ受けもらっておくよ」
僕は丁重にお断りした。
「あら、そう、なんか悪いわね」
「その代わりにマッサージをさせて」
僕は猫の頭を撫で撫でした。
トルコ猫は気持ち良さそうにしている。
「レディに言う事じゃないが、トイレは川岸でやってくれ、くれぐれも人に迷惑かけないようにな」
「分かってるわ、他の野良猫にも言っとくわ」
「そうしてくれ。あと、猫ハウスに湯たんぽ入れておいたから」
「ありがとう、助かるわ」
「トルコ猫ちゃん」
「何?」
「死ぬなよ!車や悪い人間には気をつけろよ!」
「分かったわ!あなたもね!今日もありがとう!」
野良猫は暗闇に消えていった。
なんてことが出来れば人と猫が共存できるのに…。
タイトル:木枯らし
わたしにとって「木枯らし」といえば童謡「たきび」の歌詞。冷たくて強い風のイメージ。
調べてみたところ、「木枯らし1号」という名の風があるらしい。冬の到来を告げる風とのこと。かっこいいな!
「木枯らし」と書いて「こがらし」と読ませてくれるのも文字としてかっこよくて好き。カラコロした飴みたいな響き。乾いた手触りも感じられて、たしかに冬にぴったりだ。
木枯らし
冬よ、いらっしゃい。
もう暑い日はこりごりなの。
私はあなたが大好きよ。
布団に篭る瞬間、幸せを与えてくれること。
家族でストーブを囲んで暖をとった。
楽しくて楽しくて、忘れられない。
どうぞ、いらっしゃい。
『木枯らし』
私的には今年は
やっと寒くなった
と言った感じ
11月から1月にしては、
まだ秋物の服で
何とかなってる日もある
寒い日は苦手だけど
必要でもある
この寒さがあるから
桜や梅が咲いてくれる
……寒いのは苦手だけど
感情的になりにくくて済む
冷静になれるし、
落ち着いた考えがきちんと出来る
猫が寄ってきてくれるから嬉しくなる
…………寒いのは苦手だけど!!
〜シロツメ ナナシ〜
木枯らしというものが何か、
アタシたちは知っている。
知識で、体感で。
今は冬であるのだし。
なのに、思い出せない。
肌を撫でるあの風。
皮膚を引き攣かせるあの風。
都会っ子だから?
アタシがぼんやりさんだから?
だから目を覚ますような木枯らし、
アタシは知らない。
テーマ:木枯らし
木枯らし
それが吹くたびに誰かが寒いンゴと呟く
木枯らし
それが吹くたびに誰かが靴下を履く
木枯らし
それが吹くたびにワイはニートになる
【無題】
あのとき遠くへ行こうと思ったのは
あのとき消えたいと思ったのは
傷つけた自分が嫌になったから
あなたはあなたのまま
抱きしめようとしてくれた
それを振り払ったのは
わたしのほうだ
大嫌いだ泣き虫な嘘つき
空はこんなにも眩しいのに
心は夜のなか泣いたまま
また独り人混みに消えていく
本当はね"でもねって言い訳を繰り返して
頭の中はあなたで溢れているのに
真っ直ぐなその瞳から
逃げてばかりだ
あのとき素直になれなかったのは
あのとき消えようと思ったのは
自分に自信がなかったから
あなたはあなたのまま
ただ静かに聞こうとしてくれた
何もできなかったのは
わたしのほうだ
大嫌いだ泣き虫な嘘つき
空はこんなにも広いのに
心は押しつぶされそうで
今は行き交う人のなか漂うだけ
宛もない先は見えない
1人きりそれもいい
また自分を守って歩いてる
「ところで」
「ところで?」
「山茶花山茶花」
「ピューピュー」
「何か違う気がするが」
「味が薄いのは?」
「それは出涸らしか二番出汁」
「味が濃いのは?」
「それは再仕込みで」
「最後に」
「お茶が一杯怖い」
「なんだっけそれ?」
お題『木枯らし』