風雪 武士

Open App

木枯らし。

木枯らしが吹く深夜に男が駐車場にいる。
「ピ−ピ−」。
僕は暗闇に向かって口笛を吹いた。
すると青い目が二つ光り、こちらに近づいて来た。
野良猫だ。
頭が茶色、体は白、しっぽが白黒のトルコ猫。
タ−キッシュバンである。
ペットショップにいてもおかしくない美しい猫だ。
左耳が少しカットされた去勢済みのメス猫である。
僕はエサを入れた皿を差し出した。
トルコ猫はエサにがっつき平らげた。
「相変わらずいい食べっぷりだな」
僕は話した。
「いつもお腹が空いていたから当然よ。今日は遅かったじゃない」
トルコ猫は鳴いた。
男と猫はスマホの猫翻訳アプリを介して会話している。
「仕事が長引いたんだよ」
「仕事?」
「君らの狩りみたいなもんだよ」
「ふ〜ん、あなた達もそんなことしてるのね。てっきり好きな事をして遊んでると思ってたわ」
「それはないな」
「ところで、いつもタダでご飯いただいて悪いから、お礼に今度ネズミを持っているわ」
「いや、大丈夫!気持ちだけ受けもらっておくよ」
僕は丁重にお断りした。
「あら、そう、なんか悪いわね」
「その代わりにマッサージをさせて」
僕は猫の頭を撫で撫でした。
トルコ猫は気持ち良さそうにしている。
「レディに言う事じゃないが、トイレは川岸でやってくれ、くれぐれも人に迷惑かけないようにな」
「分かってるわ、他の野良猫にも言っとくわ」
「そうしてくれ。あと、猫ハウスに湯たんぽ入れておいたから」
「ありがとう、助かるわ」
「トルコ猫ちゃん」
「何?」
「死ぬなよ!車や悪い人間には気をつけろよ!」
「分かったわ!あなたもね!今日もありがとう!」
野良猫は暗闇に消えていった。

なんてことが出来れば人と猫が共存できるのに…。

1/18/2026, 5:19:23 AM