好きじゃないのに。
青い瞳の来客編8
「……やっぱり人間は信用できない!あなたの元には行かない!!」
トルコ猫は拒否した。
「……そうか…。それなら仕方ない…。では、君の脱出プランを聞かせてもらおう」
僕は質問した。
「……そんなもんはないよ!あるわけないがない!ノ−プランだよ、ノ−プラン!」
「ハァ?なんでないんだよ!」
「俺たち猫はネズミなどの小動物を狩るのが仕事。考えて何かをするのはあなた方人間の役割でしよ?」
「お前はプランAが通用しなかったら、後は選手任せの帝拳ジムより酷いじゃないか!WBCボクシング世界バンタム級タイトルマッチで、那須川天心が井上拓真に負けちまったじゃねえかよ!天心を応援してたのに…。僕は井上一家は好きだし、尊敬してるよ。井上尚弥さんは無敵の偉大なチャンピオンで人格者だし、お父さんの真吾トレ−ナ−も素晴らしい。なのに、なぜ、弟の拓真は結婚しているのに、合宿に愛人を連れているのを容認するんだ?ここは尚弥さんも、真吾さんも激怒して別れささなあかんやろ?奥さんが可哀想だよ…。僕が言う事ではないけど奥さんを大事にしたれよ!そこが残念でならない…。だから拓真は好きじゃない!ちなみに天心も浮気したからよろしくないけど、独身だからまだマシかなっと思ってね…」
「……旦那、本題から外れてます」
「僕も分かってはいるんだけど、こういう話をする相手がいないのよ…。じゃあ、ここから本編に戻ろう…。僕は今から15分この場を離れる。脚立はそのままにしておくから、逃げろ!分かったな!じゃあな!」
僕はそう言うと脚立から降りて、ホテル内に姿を消した。
15分後、僕は駐車場に戻ってきて脚立を片付けた。
これで一件落着だ。
良かった…。
僕は満足して屋根を見上げるとそこにトルコ猫がいた。
「なんでそこにいるんだよ!逃げろよ!!」
続く。
胸が高鳴る。
青い瞳の来客編7
午前1時30分。
僕は前半の仕事を終えて、バックヤ−ドにある脚立を担いだ。
そして、ホテルを出て外灯がある屋根の下に来た。
その場所はお客様の車が駐車してあるので狭い。
車に当てないように脚立を慎重に動かした。
それを屋根から見ていたトルコ猫は隠れた。
脚立を開脚して塀と壁に当てた。
脚立の高さは145cm、開脚すると290cmになる。
それでもトルコ猫がいる屋根には届かない。
僕は意を決して脚立を昇る。
誰にも目撃されないようにしないと…。
緊張で胸が高鳴る。
やがて脚立の最上段に昇りきった。
これでようやく僕の顔が屋根に届いた。
想像よりも屋根は高い。
屋根は二等辺三角形になっており、トルコ猫はその裏側に身を隠し、顔を出して覗いている。
「おい!助けに来たぞ!早く来いよ!」
僕はスマホの猫翻訳アプリを使用した。
しかし、トルコ猫は反応しない。
「どうした?屋根から降りたいだろ?おいで!」
僕は優しく言った。
「俺は人を信用したけど、捕獲器で捕まってゴ−ルデンボ−ルを取られた。騙されるのはもうゴメンだ。だから行かない」
トルコ猫は言った。
「何を言ってるんだ!今は状況が違うだろう!いいか、君らは1回の交尾でメス猫が妊娠する確率が高い。それで3〜5匹の子猫が生まれる。更に母猫は半年後に交尾すれば妊娠して出産する。ほっとけばとんでもない数の子猫が増える。それが現実だ。お前は自分の子猫をすべて育てる事は出来るのか?」
「……出来ない」
「そうだろ?だから人間が不幸な子猫を増やさないように野良猫に不妊治療の活動してるんだよ。過去は忘れろ!それに今回は君が僕に助けを求めた訳だよね」
「はい」
「だから僕は君の希望通り助けに来た。君がここに来てくれたら屋根から降ろしてあげるよ。そうすれば、君は自由になれる!僕はちょっとした英雄になれる!この家の主やホテル関係者に迷惑をかけないで済む!君がここに来て、僕に身を任せれば全員がハッピ−になれるだよ!何も恐れる事はない、僕の胸に飛び込んで来いよ!」
「…………」
トルコ猫の決断は…?
次回に続く。
特別な存在。
青い瞳の来客編6
深夜。
屋根にいるトルコ猫と駐車場にいる僕は見つめ合っている。
僕はスマホを取り出して猫翻訳アプリを起動した。
「要するに屋根に登ったけど自力で降りられなくなったから助けてほしいんだね?」
僕は話した。
「はい、そうです」
トルコ猫は素直に答えた。
「誰かに無理やり連れて来られた訳じゃないんだから、自分で降りられるでしよ!」
「それがですね。猫は爪で引っ掛けて登るんですけど、降りる時は爪が引っ掛かる所がないと無理なんですよ…」
「降りる場所を調べてから登らないの?」
「屋根から降りれない事は今までなかったので調べてなかったです」
「ざっと見た感じ、あなたのいる建物の高さは約3m、それを囲む塀の高さが1m。そこから飛び降りた時に壁を蹴って、塀に着地したらいいんじゃないの?空手の三角跳びみたいな感じで」
「いや、それは危険です。自分、石橋を叩いて渡るタイプなんで」
「だったら、降りれる事を確認してから登れよ!」
僕はツッコミを入れた。
「おっしゃる通りですね。次からそうします」
トルコ猫は後悔しているようだ。
「あのね、駐車場と建物の間に塀があるでしょ。つまり、あなたのいる建物は他所様の物なの!ウチのホテルの物じゃないからどうにもできないの。あなたに分かるように言うと他の猫の縄張りに侵入することなの!ヤバいって分かるでしょ?」
「はい、分かります」
「第一、あなたは特別な存在じゃないし、リスク犯して救助するメリットが僕にはないんだよ…」
「じゃあ、取引しませんか?」
「取引?」
「俺を無事に救助してくれたら可愛い女の子紹介しますよ」
「ええ!?本気で!?その子は何歳?」
「3歳です」
「……僕、仕事があるから行くね!頑張ってトルコ猫君!応援してるよ!君なら出来るよ!」
僕は笑顔で立ち去ろうとした。
「待って!待って!行かないで!旦那、あなたしかいないんですよ!お願いです。助けて下さい!」
トルコ猫は懇願した。
「分かったよ…。もうしょうがねえな…。なんでこう厄介事に巻き込まれるんだよ…」
僕は大きく溜息をついた。
続く??????
バカみたい。
青い瞳の来客編5
2026年3月16日月曜日23時32分
一通りの作業を終えて、駐車場管理の為ホテルの外に出た。
いつものように連泊の車に赤いコ−ンを置いていく。
街灯の落ちる屋根の下で作業に没頭していると、アォ−ン!アォ−ン!と猫の鳴き声が聞こえた。
またか、この近くに猫がいるのか?
周囲を注意深く見るが猫の姿はなかった。
車の下を覗くがいない。
あれ?もしかして上にいるわけないよね。
僕は上を見上げた。
すると、トルコ猫が屋根から前足を出して見下ろしている。
ゲッ!!猫が上から見ている。
正直驚いた。
僕は一瞬、人間が見てるんじゃないか?と勘違いした。
こんな光景を目撃するのは僕ぐらいだろう。
「昨日から鳴いているのは君だね。お腹空いているんだね。特別にエサをあげるよ」
僕はジャケットのポケットからキャットフ−ドと小皿を取り出した。
そして、アスファルトの上に小皿を置き、キャットフ−ドを乗せた。
トルコ猫は微動だにしなかった。
あっ!そうか!僕がいるから警戒して食べに来ないだね。もう〜、しょうがないな。猫ってワガママなんだから…」
僕はエサから3m離れた。
「ハイ、どうぞ!遠慮なくお食べ」
僕は笑顔で言った。
それでもトルコ猫は食べに来ない。
「ええ!?どういう事?君、もしかして屋根から降りられないの?」
僕はトルコ猫に聞いた。
トルコ猫は頷いた。
「それで、君は僕にそこから降ろしてほしいと頼んでいるわけ?」
トルコ猫はまた頷いた。
「ざけんじゃねえぞ!自分で屋根に登って降りられないなんてバカみたい!己でなんとかしろ!僕をトラブルに巻き込まないで!」
人も猫も自分で蒔いた種は、自分で刈り取ろう。
続く?????
二人ぼっち。
青い瞳の来客編4
2026年3月15日日曜日23時38分。
僕の名前は風雪武士。
職業はホテルのフロントマン。
男なので夜勤担当である。
お客様のチェックインが終わり、清掃指示書も作成した。
次は駐車場管理だ。
駐車場管理は、連泊で車をご利用のお客様のみ車のナンバーを管理表に記入し、停車している駐車場で車のナンバーが一致したら赤いコ−ンを置く。
その場所がお客様の駐車場となるのだ。
僕はホテルの自動ドアから出た。
僕はバインダーを片手にボ−ルペンを握っている。
入口付近からテキパキとこなして行く。
屋根の下の駐車場に歩いて行き作業をした。
すると、アォ−ン!アォ−ン!と鳴き声が聞こえた。
うん!?猫かな?
僕は立ち止まって、周りを観察した。
いないな?
取り敢えず、駐車場の右端に移動した。
アォ−ン!アォ−ン!と鳴き声がする。
猫はいない。
今度は左端に向かった。
アォ−ン!アォ−ン!と確かに聞こえる。
でも、ここにもいない。
最後に屋根の下の駐車場に戻り、車の下に潜った。
結局、猫は見つからなかった。
冬が終わり、春が訪れたのだ。
3月だから猫が発情しているのだろう…。
この声はオス猫がメス猫を誘っているのだ。
なるほど、そういうことか!
二人ぼっちで楽しもうってことか!
なんせ猫は出会って数分で◯◯だからね。
可愛い顔してるけとやることやってるからね。
だから猫は去勢しないと大繁殖してしまうのだ。
それに比べて人間はハ−ドルが高い。
猫のそういう所はいいな!羨ましいぜ!
男は笑顔で自動ドア内に去って行った。
続く????