ね。

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とにかく、寒い。
てぶくろを忘れてしまったボクは、ポケットに手を入れた。


「木枯らし、っていうとちょっと寂しい感じもするけど、あちこちで落ち葉たちが舞って、カラコロと音をたてたりして、私はとっても好きだなあ。」
モコモコのマフラーを首に巻いたキミは、足元で舞い踊る枯葉たちを眺めながら楽しそうに言った。
その様子を見ていると、寒さも忘れ、こころがあったかくなる。




🍂🍂🍂



キミと出逢ったのは、木枯らしが吹き始めた頃。その日、ボクは人生最大の落ち込むことがあって、悲しくて悲しくて、トボトボと、自宅までの道を歩いていたんだ。
気がついたら知らない公園に辿り着いていて、今と同じようにベンチに座ったキミが、今と同じように足元で舞い踊る枯葉たちを眺めていたんだよね。その様子を見ていたら、ボクは元気が出てきたんだよ。



それから、ボクはキミのことが気になって暇さえあればその公園に行くようになったんだ。
キミが寒いだろうと思って、モコモコのマフラーをプレゼントしたりもしたなあ。




…………

キミは、いったいナニモノなんだろう?
と、時折思うんだ。
キミは、いつもここにいて、いつも楽しそうに過ごしている。
キミのまわりには、いつも木枯らしが吹いていて、キミの足元では落ち葉たちが楽しそうに舞い踊っている。カラコロと音をたてて。




だんだんとあたたかくなってきた今日この頃、キミがなんとなく薄くなっているような気がするんだよ。


キミと逢えるのは、あと少しかもしれないな、とボクは少しだけ寂しくなるんだ。




1/18/2026, 9:12:58 AM