木枯らしが吹いた。
着ていた上着が薄くて、体が小刻みに震えた。
さっさと帰った方がいいとは思ったが、今日は絶対に譲れない予定があった。
君と一緒に出掛けるって約束をした。
そして、その時、気持ちを伝えるって、決めたんだ。
君が約束の場所で待っている。
君は僕の姿を認めると、「遅い!」と笑いながら言った。
その笑顔もかわいくて、僕は――、
木枯らしが一層強く吹いた。声は風に乗って掻き消された。
「え? 何?」
息を切らして、笑う君のすぐ傍へ。
今度こそ君の耳に届くように。
『木枯らし』
1/18/2026, 8:28:02 AM