『ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夜の公園で、1人のしょぼくれたおっちゃんが、ブランコに乗って、
訥々と、か細い声で歌っていた。
いのち短し 恋せよおとめ
朱き唇あせぬ間に
熱き血潮の冷えぬ間に
明日の命はないものを、…
むかし、もう30年以上も前に名画座で観た黒澤明の「生きる」である。
たった1度しか観てないけれど、忘れられない記憶として残っている。
とくに、ブランコのシーンはあまりにも有名。
映画はストーリーではない、
シーンなのだそうな。
なるほどと、私も思う。
日課の早朝散歩、底冷えのする静かな住宅街をテクテク歩く。
犬の散歩をするご近所さんと挨拶を交わして、気ままに右へ左へと角を曲がる。
住宅街の真ん中ら辺、小さい公園に出た。
ちょっと疲れたので休憩したいが、ベンチには同様の理由で座っているだろう犬連れの老夫婦。
仕方ない、これは仕方ないことだよ。
ウキウキと青い囲いを越えて、久方ぶりのブランコに座る。
キンキンに冷えた硬い座面、鉄さびの浮いた懐かしい骨の様な形のチェーンを握りしめた。
そのまま足で前後にゆらゆらと揺らしてみる。
うーん、懐かしい。
地面からそっと足を離して、冴え冴えとした黎明の空を見上げた。
テーマ「ブランコ」
僕はこの景色が好きだ……
大きな大樹の前に今僕はいる
『ここの景色はいつもきれいだな……』
その一言を言ってもいつも返事する声はない
そう思ってたのに……
今日だけは違った……
〔本当だね!!こことってもきれいな景色だね♪〕
『えっ……』
声が聞こえても僕は動けない……
『ねぇ、誰かいるの…』
〔うん。いるよ。あっそっか。
君の方からだと俺は見えないのか(笑)〕
ごめんごめんといいながら僕の前にその人物は
来た。
〔こんにちわ〜〕
『こんにちわ……』
二人で挨拶を交わす。
〔急に声かけてごめんな。
たまたま同じこと思ってたから
つい返事してた(笑)〕
『ううん。大丈夫だよ。驚いただけだから。
えっと……』
〔あっ名前言ってなかったな。ごめん
俺は[チェッロ]。君は?〕
『僕は、[アルタ]。』
〔アルタは昔からずっとここにいるのか……〕
『うん、ここに連れて来られてからはずっと
ここにいるよ。』
〔そうなんだ…。さみしくないの?〕
『さみしいけど、でも僕のことを必要と
してくれる子もいるから。役に立てれて
嬉しいんだ……』
〔そっか……〕
『チェッロはどうしてここに?』
〔ん?俺、俺は旅の途中で疲れたから
上の大樹の上で休んでたんだよ〕
『えっ。チェッロ。旅してるの?』
〔うん。気ままな一人旅。〕
『へぇ〜。旅なんてかっこいいね。』
〔そうか……〕
『うん。カッコイイ。旅って
どんなことしてたの』
〔どんなことって色々だよ。そうだな……〕
そう言ってチェッロは旅の話をしてくれた。
チェッロの話はどれも僕には新鮮でとっても
楽しい時間だった…
気がつくと夕日がでていた…
〔わぁ…もうこんな時間か……〕
『本当だね…。そろそろお話もおしまいかな(笑)』
僕が言うとチェッロはニコニコしながら言った
〔決めた!!俺さ。ここに住むことにする〕
『へっ?住むって…』
〔そのまんまの意味。ここの土地には初めて
来たからまだ色々みたいところもあるし
それに……お前と話すの楽しいから。〕
『でも、それじゃあ旅は?』
〔旅はこの土地を調べ尽くしてから行くよ。
それまではお前と一緒に話したい。まだまだ
話し足りないから。だめかな?〕
『ううん。チェッロがそれでいいなら
僕もまだチェッロの話を聞きたい。』
〔じゃあ、決まり!!これからよろしくな。
アルタ。〕
『うん…よろしくね。チェッロ』
この日から僕に大事な親友ができました…
名前はチェッロ。僕の大事な小鳥の親友です。
このお話は、一人ぼっちのブランコと
旅をしていた小鳥のお話。
おしまい。
家の後ろの方にある、木や草が生い茂る山に、1本の立派な木があった。子供どころか、大人ですら手を広げて囲っても何人も必要だ。そのくらい幹が太く、枝も大人の胴体くらいありそうな、樹齢百年は下らないだろう木だった。
その木の枝や葉が日光を遮っているらしく、その木の下は薄らと緑があるだけで草が生えておらず、ちょっとした円状の広場のようになっていた。
放課後、いつも連んでいる幼馴染たちに、今日は用事があるからと遊びの誘いを断られた俺は、ランドセルを部屋に放り投げると、家の後ろの山に探検に出かけた。親からは入ってはいけないと散々注意されているが、好奇心には勝てない。ダメだと言われれば尚更だ。
そうして草を分けてまっすぐ進むと、大きな木があった。
「うわ……!」
あまりの大きさに上を見上げると、空を覆うように広がった葉の間から少しの木漏れ日がキラキラとしていた。家の近くにこんな木があったなんて、とキョロキョロと見渡す。すると、俺がきた方向とは逆方向の木の枝に、ブランコが風に揺られているのを発見した。
丸太を縦半分に切り、断面を削ったものを、大きな木からロープでぶら下げているだけのシンプルなものだった。ずっと使われていなかったのだろう、砂埃に塗れている。
誰が作ったのだろう、乗れるのだろうか? 俺はブランコに近づき、砂埃を手で軽く払って、丸太に座ってみた。ギシィ! と盛大に軋む音がなるも、落ちる様子はない。恐る恐る、地面を蹴ってブランコを漕ぐ。老朽化でギシギシ音が鳴るが、まだ現役だった。ぐんと空中へ漕ぎ出すたびに木漏れ日が近くなり、それが面白くて夢中で漕ぎ続けた。
しばらく漕ぎ続けていたが、不意に母の自分を呼ぶ声が聞こえ、途端にお腹の虫が鳴り出した。当たりを見回すと、少し薄暗い周囲が、さらに薄暗くなってきている。探検もここで終わりか、と家に向かって歩き出した。明日、学校でこの木とブランコのことを話そうと心に決めて。
「懐かしいな」
くたびれた中年の俺は、またその木までやって来ていた。俺がきた方向とは逆、幹の裏を覗き込む。
「お、あったあった」
そこには、記憶と変わらないシンプルなブランコが風に揺られていた。この木とブランコを見つけた次の日、幼馴染たちに自分の発見を自慢したくて、学校に着くと早速その話をした。得意げに、その木とブランコの場所まであいつらを案内し、あれよあれよという間に、俺とあいつらしかしらない秘密基地になっていた。
社会の荒波に揉まれ、あの頃の気持ちを忘れていたが、この木を見るとあの頃のワクワク感が戻ってきたかのような感じがした。久しぶりにいい気分だ。
長い間感じることのなかった、ブランコに乗りたいという気持ちが湧いてきた。
「よし、乗ってみるか!」
あの頃より少し小さく感じる丸太に腰掛ける。ギシィ!と音が鳴るのは昔と一緒だ。しかし。
ブチブチっ!
「うわっ!」
あの頃とは違い、老朽化と成長した俺の体重のせいで、丸太を支えているロープが引きちぎれた。痛めた尻をさすりながら起き上がる。
ブランコのロープの片方は完全に引きちぎれ、もう片方も半分ほど千切れていた。もう乗れなさそうだ。
「はは、お前も歳を取ったな」
俺が歳を取ってくたびれたように、ブランコも同じ時間を歩んでいた。
『ブランコ』
俺にとってはもう1人の幼馴染だった。
『ブランコ』
久しぶりの里帰り。昔遊んでいた公園はあの頃のままいつもの場所にある。
昔はあんなに高かった滑り台のてっぺんも、今となっては私の頭より少し高いくらいであの頃の自分は小さかったんだななんて一人で笑ってしまう。
何もかもが懐かしい場所を見て回れば思い出すのはここで泣いてた時にいたお兄さん。
金髪のサラサラの髪に、青い瞳で整った顔を見た瞬間天使が遊んでいるのかって思ったくらい、この田舎の公園には不釣り合いな人だった。
あの頃の私はまだ真ん丸に太っていて、緑色の髪も相まって皆から『芋虫!』なんていじめられていたから、いっつも一人でこの公園のブランコに座りながら一人どうしたらいいかわからなくてぼんやりと空を眺めるのが日課になっていた。
その日も男子に囲まれて、『芋虫』『汚い』『消えろ』の連呼と、後ろで申し訳無さそうにしながらも何処かニヤついてる女子の目線に耐えきれなくて、ボロボロになったランドセルを抱えながら公園まで逃げて一人ブランコに座って泣いていたら
『どうしたの?』
そう声とともに、目の前に綺麗なお兄さんが立っていた。
一瞬その綺麗さに目を奪われ自分を迎えにきた天使かと思ったけれど、真っ黒な服は自分のお兄ちゃんも通っている中学の制服で、人間なんだって直ぐわかった。
『私は太って芋虫みたいだから、汚いんだって。
掃除用具とか私が触ったりすると皆触りたがらないの。
あんな芋虫が触ったやつなんか気持ち悪いって…
消えろっていつもランドセルとか投げられて、こんな風になっちゃた
怖くて、お母さんにも、お父さんにも、お兄ちゃんにも言えない。
学校…行きたくないよ。』
今思えばあってはならないが、あの頃特有の些細な事。
目立つ誰かをからかいたくなって、良くわからないままに攻撃してしまう。流せばいいのかもしれないがまだ集団生活をしだして一年か二年かそれくらいの自分には生きるのが辛いくらい深刻だった
ぎゅっとランドセルを抱きながらもう学校に行きたくないと泣いてしまって、上手く進まない見知らぬ私の話を、お兄さんは目線を合わせて何も言わず頷きながら聞いてくれた上に
『君は芋虫でもなければ汚くもない。ちゃんとした女の子だよ
見た目で判断されるのはつらいよね。
怖くて苦しい思いを俺に話してくれてありがとう。
辛い事があって逃げる事も凄く勇気がいる事なんだよそれを君はしたんだ。偉いよ』
優しく微笑みながら力強く頷いてくれた。
自分が太って緑の髪をしてるからなんて思っていた私には、そのお兄さんの言葉が嬉しくて、ますます泣いてしまった
学校から昼休み中に消えててしまったと連絡を受け必死に探しにお母さんが来るまでお兄さんは私の側にいて慰めてくれて、抱きしめながらごめんねと謝るお母さんに事情を話した後、また私の視線に合わせしゃがみ込むと袋を差し出して
『俺も、見た目で色々言われたから。
でも、君も頑張ったから俺も頑張ってみるね。
今日授業で俺の作ったお菓子。
よければ食べて』
そう告げて行ってしまった。
中身はハートとか星とかの普通のクッキーだったけどどんなお菓子より一番美味しかった。
「あのお兄さん、今何してるのかな
お礼言いたいな」
あの日救われたブランコに座りながら空を見上げる。
昔の様に太った自分はもういない。あの日救われたように誰かを救いたくてカウンセラーを目指して勉強している。
あのお兄さんさんは今何をしてるのだろう
ブランコ揺れる心地はあの日の気持ちみたいに優しく穏やかだった。
私があのお兄さんに会うのはこれからもう少し後。
それはまた別のお話。
小さい頃よく行ってた公園。
私の時代は、ブランコが流行っていた。
特にスマホとかもなかった為、皆ずーっと公園のブランコで遊んでいた。
でも、もう遊ぶことは出来ない。
1年前にその公園は無くなったから。
#ブランコ
小さい頃は
公園の遊具の中で
ブランコが大好きだった。
立ち上がって大きく動かすのも
座ってゆっくり動かすのも好きだった。
一回転できるかな
なんて
本気で思ってた頃もある。
今ではブランコ見かけても
気軽に乗れないから
もどかしい。
幼い頃、俺がまだ幼稚園生くらいだった頃によく親父に連れられて公園のブランコに乗って遊んだ。
俺は自分で上手に漕げなくて、何度も背中を押してもらった。
「もっと、もっとたかくー。」そう言って何度も何度も背中を押してもらった。
そう言えば、大学受験や就職活動の時もそうだった。
「自分のやりたい事をとにかくやるだけやってみろ。」
お陰で俺はやりたかったモノ作りの研究、開発の仕事に就くことができた。
だけど、親父はもういない。
三年前に膵臓癌の闘病の末、他界した。
人生に行き詰まることは誰にでもある。
そんな時、俺は親父の言葉を思い出す。
「やるだけやってみろ。」
それでも、やっぱり無理な時は公園のブランコを夢中で漕ぐ。
つま先が天に届きそうな時、親父の笑う声がきこえる。
やるだけやってみろ
ブランコに乗る人を押す係にニンメイされた。
なんでわたしなのかは分からないけれど、今日突然そういうことになったらしい。ミチコちゃんが言ってた。
あなたは乗る人乗る人の背中をゆっくり押してあげるの。そうして勢いがついた頃にそっと抜けてあげるといいわ。
ミチコちゃんはおねえさんみたいに言った。わたしはミチコちゃんみたいになりたいと思ったから、その係を勿論セッキョクテキにした。
ブランコ、みんな乗ってください。
ブランコ、楽しいよ。
ブランコ、押してあげるよ。
来る人来る人に優しくしてあげて、そっと背中を押したげるの。とってもやりがいがあった。
でもね、つまんなくなっちゃった。だってミチコちゃんはいないんだもん。いつもわたしをブランコに置いて、自分はほかのお友達とお砂場で遊ぶんだもん。
あるとき、ミチコちゃんがお友達を連れてブランコに来た。
私の背中を押してちょうだい。
ミチコちゃんは相変わらずおねえさんみたいに指図した。むかついたから、ブランコの勢いが乗ってきたタイミングで、思いっきり突き飛ばした。
ミチコちゃんは動かなくなっちゃった。
まぁいっか。
ミチコちゃんのお友達に話しかける。
「今日からミチコちゃんがブランコの係になったからね。わたしが遊んであげるわ」
おねえさんみたいに話してみた。ねぇ、どうかな?
ねぇ、どうしてそんな怖い顔してるの?
#ブランコ
ロボットが一体、目を覚ましました。
彼は、執事ロボットです。
人間のお世話をするのが仕事です。彼のご主人さまは、このお屋敷に住んでいる、ちいさな女の子
です。
女の子の部屋へ向かうとちゅう、ロボットは温室に寄りました。
ピンク色の花を摘みました。女の子の好きな色です。この温室も、ロボットが世話をしています。以前は庭師ロボットがいたのですが、いつのまにか、姿を見なくなりました。でも、彼は執事ロボットです。お屋敷の仕事なら、ひと通りインストールされています。専門職のロボットほど上手くはできませんが、土いじりは好きです。丁寧に世話をしてやれば、花壇の花はきちんと応えて、咲いてくれます。
女の子の部屋につくと、ロボットは厚いカーテン
をあけました。
大きな窓から朝の光が差しこんで、部屋の中央のベッドを照らします。ベッドは空っぽです。
執事ロボットは、ベッドサイドの花瓶に咲いている昨日の花を、摘んできた花と取り替えました。
ベッドをととのえて、掃除をして、それから、庭へ向かいました。
お屋敷の庭は、女の子のお気に入りの遊び場
です。
彼のご主人さまは、体が弱くて、お屋敷の外に出られません。そんな彼女のために、お屋敷の庭には世界中のめずらしい草花が、一年中とりどりに咲い
ています。
庭の中央にどっしり立っている巨大なオークの古木が、女の子のお気に入りです。オークの太い枝からは、ブランコがひとつ、さがっています。女の子にねだられて、執事ロボットがつくったのです。女の子を座らせて、ロボットが背中を押してあげるのです。空を飛んでいるみたいだと、女の子は嬉しそうに笑います。彼女の笑顔が、ロボットは好きです。
ブランコのそばまでやって来ました。
ブランコは、空っぽです。
チェーンがかすかに揺れていますが、女の子の姿は見当たりません。
チェーンは錆びついてボロボロです。片方が
だらんと垂れ下がって、傾いています。座板はすっ
かり朽ちています。
ブランコの足元の芝生に、なにか、落ちているの
を見つけました。
ちいさな、金色の輪っかです。
女の子が左腕にはめていた腕輪と、データが一致しました。腕輪の裏に、日付が刻まれています。
女の子の生まれた日です。ちょうど三日後の日付
ですが、今から200年前をさしています。200年が
人間にとっては長すぎることを、ロボットは知って
います。
けれど、彼は執事ロボットです。
人間のお世話をするのが、仕事です。ご主人が
いなくなった後の行動もプログラムされていたはずですが、壊れた彼を修理してくれる人間は、この
お屋敷には、もういません。
風で、ブランコが揺れています。
金色の腕輪をブランコの足元にもどして、ロボットは屋内へもどっていきます。ちいさなご主人さまのために、朝の紅茶を用意しにいくのです。
ブランコ
活発そうな大きな目に栗色の髪の小さい男の子が僕を連れ去った。
いつも一緒だったあの子はきっと心配していたと思う。もしかしたら僕がいなくなってからあの子はきっと街中を探し回ったのかもしれない、なんて自惚れなのかな。
なんでも話してくれたからたぶん1番あの子のことを理解していたのは僕だろう。隣の席のゆりちゃんが好きとか、けんたくんと喧嘩したとか。お母さんに言えないことも話してくれた。もう何十年か前のことだと思うけど今でも君の記憶に残っていたら嬉しいな。
僕を突然連れ去った男の子は僕のことを女の子だと思っていたのだろう。まあ別に気にしないけど外で遊ぶ方が僕は好きだからどこかへ連れて行って欲しいなんて考えながら、その遊びに付き合っていた。外に出ればあの子に見つけてもらえるかもと思ったのは心にしまっている。
年月が経つにつれてほとんどおうちで留守番することが増えていった。男の子の成長を見守っているのは退屈ではなかったし、何よりずっと大事にしてくれていることが誇らしかった。
そのまた何十年後男の子だったこの子は大人になって、また遊び相手が小さい男の子になった。この子は僕を食べ物だと思っているのか涎だらけにする。くすぐったいなと思いながらも可愛くて仕方がなかった。この子のお父さんは週末、近所の公園へこの子を連れて遊びに行く。僕も一緒に連れて行ってくれるから今のところ退屈はしていない。
いつものように夕暮れ時もう帰る時間だよとお父さんが呼ぶ。でも夢中で遊んでいたこの子は僕を置いて走っていってしまった。
まって!!!
僕は大声で呼んだけどもう遠くに行ってしまって聞こえない。
また誰かのところに行くのかな
憂鬱な気分でブランコに座っていると下から勢いよく持ち上げられた。
「ねー!わすれてるよーー!」
少し高めの女の子の声がした後、こちらへ走ってくる足音が聞こえる。後ろ向きで持たれているから前は確認できないけどたぶんあの男の子がお父さんと戻ってきたんだと思う。
「ありがとう!」
嬉しそうな声で抱きしめられる。
正面を向いて僕は驚いた。
女の子のお父さんが僕を見て懐かしそうに笑っている。
いつも恥ずかしそうに僕に秘密を打ち明けてくれた時の面影を残して、少し寂しいような嬉しいような、そんな目をしていた。
確信ではないからこれは僕だけの秘密。
なんだか隠し事は悪いことのように思えるけど僕は幸せだ。
こんなに大事にされてまたあの子に会えたんだから。
仕事終わりの帰り道
ひたすら地面を見て歩く
勝手に足が自宅に向かって進んでいく
きっと体が覚えてるんだ。
自宅の空気が重い
家にいるのに帰りたいと思う
外に出て散歩した
ブランコに腰をかけ夜空を見上げた
月が出たり消えたり
自分の終着点はどこなんだろう
子供の頃に高いと感じてたブランコは
酷く低く感じた
毎日同じ事の繰り返し
明日もそれなりに頑張ろ。
勝手に揺れるブランコ
誰も乗っていない
そこに在るのは
誰かの魂
ブランコ
キィ、キィ
油が取れているからか、金属同士が擦れ、音がする。
甲高い音が、耳に嫌に反響して背筋がざわつく。
まただ。あの公園のブランコはいつもそう。
風もないのにキィ、キィ揺れるのだ。
私はいつも気がつかなければよかったと思いながら通り過ぎる。
不思議なものは触らないに越したことはない。
キィ、キィ
ほらまた呼んでいる。
気になるという好奇心を抑えつけ、
通り過ぎなければならない。
視線をブランコから逸らし、前を向く。
キィ、キィ。音はまだ、止まない。
足早に公園の外側の道路を通り過ぎる。
キィ、キィ。嫌な金属音は、聞こえない。
聞こえない。そう。聞こえないんだ。
こんなことあったか?ブランコはどうなっているんだ?
安心感を得るためか、揺れていないであろうブランコを見ようと、私は足を止め振り返ろうとした。
まて、本当に振り返っていいのか。
押してダメならというやつなのではないか。
そんな疑心暗鬼が心に住む。
考えても仕方がない、ブランコのことは考えず、家に帰ろう。
私は振り返ろうと止めてた足を家へと進める。
キィ、キィ。
私を待っていたかのように、あのブランコはまた、軋み始めた。
何を書いても良い
とあるので書きたい。
ブランコって良いですよね。
幼少期、ブランコは人気の遊び場だった。
子供達にとってブランコは特別で、保育園でも小学校でも、休み時間には行列が出来ていた。
前後に揺らして、何処まで高く漕げるかをやったり
立ち漕ぎで靴飛ばしをしてみたり
エビ乗りという、2人乗りで遊ぶのも流行ってた。
エビ乗りでは立ち漕ぎの子の方が技を掛けてくれるんだけど
上手な子が居て、人気だったな。
大人になると遠ざかるブランコ
だけど、大人だって乗りたい時はあって
憧れというのか
住宅街の一角にある公園で
夜にお酒を1人飲むのなんか、哀愁漂うのもやってみたい
友達とブランコに座ってダベるだけの懐かしい時間や
恋人に背中を押して貰うなんて行為もやってみたい。
大人は大人で
子供時代とは違ったブランコの遊び方が
付き合い方があって
それもきっと楽しい。
最近公園自体が減ってきて
危ないからとブランコは取り外されているなんて事もある
時代の変化には逆らえないのだろうが
寂しさを感じてしまうのは私だけではないだろう。
大人になって分かったのは
幼少期の様に純粋な気持ちでブランコを楽しめないという事
これは年齢には逆らえないという話。
昔あんなに好きで、並んでまで乗っていたブランコが
今は乗りたくても乗られない
手の届かない存在になっている。
これはそもそもブランコが少ないという話ではない。
もちろんそれもあるのだが、個人的な問題
共感してくれる者は居るだろうか。
私はブランコが好きだ
とても好きだが、私の身体までそれが好きとは限らない
大人になり久しぶりに乗ったブランコは
いつの間にか楽しい遊具から地獄の遊具に変わってしまった
いや、変わったのは私だ
ブランコ
それは前後の揺れを楽しむもの
どれだけ高さを出せるかの自己の限界を確かめるもの
そして大人にとってそれは
三半規管を狂わせる存在なのだ。
詰まる所ブランコ酔いだ。
大人になってもわかったことは
フィクションで見る大人達とブランコの関係性
あれがフィクションである本当の部分は
あんな関係の友人や恋人が居ない事でも
1人黄昏ながら酒を飲む為の公園がない事でもなく
そもそもブランコに乗る事ができないという所にあったのだ
その事実に愕然としながら
楽しそうにブランコに乗る子供の姿を今日も眺めた。
純粋な笑顔での「一緒に乗ろう!」が
今では悪魔の囁きに変わってしまった。
#ブランコ
ブランコ
私はポツリと1人誰もいない公園でブランコに乗っていた
今日はまさに最悪。会社でヘマをやり1週間の謹慎になったのだ…そのヘマは私のせいではない。同期になすりつけられたのだ。好きこのんでヘマをするやつは居ない。
それに私は仕事に対して真剣に取り組んでいた。
失敗をする前に先輩にこれでいいかとか、◯◯様から電話なのですがどうすればいいのか…とか聞いていた。
真剣にやりすぎて疲れ果ててしまう場合もある。
何故今日は同期になすりつけられたのかわからない。
私と同期は一緒に入社したけれど、今の場所になったのは同期が早く行ったのだ。同期でも少し先輩になる。
ヘマの原因が支店にファックスをしなかったのだ。
私はその事を知らなかった。その時電話が鳴った
その支店長からだった。何故か私の名前を言ってきた。
はい、わたくしですがどのような…と言ったら本店のお前からのファックスが来ていなくて発注ができない!!
と言われた…私はみに覚えがない。その時、同期の顔が見えた。笑ってみえた。私はわからないので折り返しにしてもらい、すぐに課長に連絡して指示を仰いだ。
課長から支店長に電話をしてもらった。その後私と先輩と同期と係長、主任が呼ばれた。
今日の事は大事にはいかなかったが誰がやったんだ?
と言われみんな私の方をみた。その時同期が、
あの子がくるの遅かったみたいなんですよ。だからその子の代わりに私がやりましたが名前は責任者のあの子の
名前を使いました。と言ってきた。その同期は言ってきた。みんな忙しいから私がやりました。それにあの子がいけないんですよ。遅くくるから…そう言った。
課長達は同期の振る舞いはいい事だと話し合いで決め
私は1週間の謹慎になった…
ブランコをこぎながら考えた。私はこのままこの会社にいてもいいのかと…その時誰かが背中を押してくれた。
いいの?そんな事で諦めて。あなたには他の部署にいい仲間がいるんだから頑張りな…と言われた。私は後ろをみた。そこには前の部署の先輩がいた。泣きながら会社を出ていった私をみたからみんなで探していたとの事。
先輩も昔謹慎したらここにいたからもしかしたらと思ってきたらしい。諦めてはいけないよ。といいながら
力一杯押してくれた
ブランコじゃなくてブランコの周りを囲う柵にイキって座って駄弁ってたら滑り落ちて腕骨折したことを思い出しました。せめてブランコから落ちたほうがおもろかったやろがい。アーメン
『ブランコ』(創作)
飲みすぎた。
夜中の路地裏、駅までの道をフラフラと歩きながら今夜の飲み会の余韻に浸っていた。顔がニヤけてしまう。
大学時代の集まりだった。いつも見慣れた面子だけだと思っていたら、今日は珍しい人が来ていたから、張り切って飲み過ぎてしまった。
─相変わらず、美しく凛とした女性だったな─
大して話すことも出来なかったが、それでも、顔がニヤけてしまう。眼福とは、こういうことを言うのだろうと、考えながらフラフラと歩いていたら、目の前に小さな公園が現れた。ブランコが風に揺れている。
「あーだめだ。飲みすぎた。ちょっと休もう。」
誰に言うでもなく、ブランコに乗る。
─ブランコって、こんなに小さかったかな─
と、思うほど、ブランコは小さかった。窮屈さを感じながら、座ったまま揺らしてみる。
「うっ。やばい。」
込み上げる吐き気に、目眩がした。激しい目眩に意識が遠のく感覚の中、微かに誰かの声が聞こえた。
気が付くと、病院だった。
なぜか病室の隅から、憧れの彼女が、心配そうにこっちを見ている。
「大丈夫?わたしが、救急車を呼んだの。忘れ物を届けに追いかけたら、倒れていたものだから。」
僕は青ざめた。格好悪くて、穴があったら入りたかった。
そんな気持ちを知ってか知らずか、彼女は毎日病室に来てくれた。
そんな訳で、妻との馴れ初めは「ブランコ」なのだ。
【ブランコ】
高校生の頃好きな人と話した時に
「今外いるんだよね」って言ってた彼女に合わせて
私も仕事終わりに公園寄って
ブランコを漕ぎながら彼女と話してた。
寒かったけど同じ外にいるということが
ただただ嬉しかったそんな単純な私だったなぁ。
ブランコを
キーコキーコ
泣きながら こいでいたの
あーちゃんとみーちゃんは
受け入れてくれたけど
わたしはジャンルジムより
シーソーで遊びたかったの
高いところはこわいわ
それを見ていた風くんは
事情を聞いて
一緒にシーソーで遊んでくれたわ
でも まさか来てくれると思わなかったわ
だってとっても楽しくすべり台をしていたの
風くん ありがとう