『時計の針』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「夜の音楽室で、時計の針が全部10を指したときにジャンプすると異世界に行けるんだって!」
「はぁ?」
「今日の夜、一緒にやってみようよ!」
「いやだよ、私やりたくない」
「そんなこと言わないでよ〜、異世界だよ?魔法が使える世界とか行ってみたいじゃん!」
「ばっかじゃないの、あるわけないよ」
「私も本気で行けるとは思ってないけど、肝試しがてらやってみよ?」
夜の音楽室に、二人の好奇心旺盛な少女が来ていた。懐中電灯を手に持ち、きゃあきゃあ騒いでいる。
二人は手を握ると、音楽室の真ん中に立ち、時計を懐中電灯で照らしていた。
時計の秒針が一秒ずつ動くのを彼女たちは見つめて、ちょうど10に全ての針が重なったとき、二人は勢いよくジャンプした。
地面に着地しようと、足が床に着きそうになった瞬間、二人が立っていた床は底の見えない闇が広がっていた。二人の足が、床に吸い込まれるように消えていき、一瞬のうちに二人の姿が闇に飲まれていった。
懐中電灯すらも飲み込まれて、部屋には静寂が広がり、時計が秒針を刻む音だけが響いていた。
二人が立っていた床から赤黒いしみが浮かび上がっていた。
「ちっくたっく ちっくたっく」
じりじり響く目覚ましの音、
寝惚けながら、目を覚ます。
今日は久々の家族旅行、
笑顔の妻と待ち切れずに身体を揺さぶる息子たち、昨年買ったスポーツカーに乗って、
遊園地に向かった。
「ちっくたっく ちくたく」
道中、パーキングで息子とアイスを食べた。
こういう所の食べ物は妙に美味しい。
私の分は買わなかったが、
息子がパパ食べる?と可愛い笑顔で、分けてくれたので、夏の甘味を味わう事ができた。
優しい子に育ったものだ。
「ちくたく ちくたく」
うるさい
ジェットコースター、一人は乗れたけど、一人は背が小さくて乗れなかったので、お留守番になった。意外と勢いがあって、大の大人が叫んでしまった、対して、息子も妻も眩しい笑顔でご満悦のようだった。
こりゃ勝てない。
「チクタクチクタクチクタク」
二人は私の反応が楽しかったようだ。
確かに、普段は社長を務める人が絶叫してたら面白いかもしれない。
静かにしろ
「チクタクチクタクチクタクチクタク」
チリソースのかかったタコスを食べながら、家族と話した。
息子はパパみたいになりたいと、妻は将来のことと二人だけの旅行の話、
事業も安定、蓄えも十分、
順風満帆な人生だ。俺は心底幸せだ。
「チクタクチクタクチクタクチクタクチクタク」
うるさい、いつもお前は邪魔をする。喧しい、煩い、だから嫌いなんだ。
幸福なんだ、蓄えがあるんだ。
いいだろ別に?なあ頼むよ、なあ
「ご利用ありがとうございました。」
一人の男が繁華街を歩いている。
目は真っ暗で、皮膚は青白い、
ぶつぶつと何かを呟いて、覚束ない足取りで何処かへ去っていく。
男の背後のネオンサインが、煌々と文字を映し出した。
『叶えます、貴方の理想「代行サービス:下枕」』
『時計の針』
時計の針
先日たまたま事務所のアナログ表示の壁掛け時計の電池が切れたので古い電池と新たな電池を取り替えた。途端、これまでの時間を取り戻そうと分針が勢いよく回ったのをなぜか鮮明に覚えている。 最近は見ることが少なくなったからか。
5年以上前、資格試験用に買った安い腕時計はアナログ表示だったけど使ったのは確か一度きりで、いつの間にか電池が切れていたので、捨ててしまった。
今はスマートフォンでいつでもどこでも時間を知ることができるため、もう何年も、私は時計自体を持っていない。
秒針と分針がせわしなく動くコチコチという音が、しんとした部屋に響くことはないけど、スマートフォンの左上を見るとちゃんと時間はすすんでいるらしい。
針のない時計を見たとき、人々はさぞ驚いたのではないだろうか。私は子どもの頃に大きな公園へ行ったときに見た日時計に驚いたのを覚えている。
日時計と花時計が一緒になったもので、公園の入口の花壇へ、鉄の棒が立てられていてそこから放射線状に花が植えられているので陽がでていればおよその時間がわかるというものだった。
砂時計や花時計など時間を読む事にも美しさを求めて創造した先人たち。
それらは電池式の時計を作るよりエコだったり、気持ちが安らいだりするので私は好きだ。正確な時間を知ることができないし、いつどのような時も使えるという訳では無いのも知っているけどそれでも好きだ。
針のないデジタル表示のシンプルな時計を好む人や反対に
文字盤の凝った時計を好む人もいる。
自身の腹時計に妙に自信がある、という人を思い出した。
きっと、おへそから針が伸びているのだろう。
【時計の針】
進まない時計の針を眺めながら、
何時間経っただろうか。
ダイニングテーブルの上には、
とっくに冷めた朝ご飯。
ご飯時にはいつも膝の上に乗ってくる
小さく愛しい奴は、
昨夜、とうとうベッドで息をするのを止めてしまった。
眠れない夜がやってくる。
淹れたての珈琲から漂う湯気は頬をふわりと撫であげる。たっぷり注いだミルクは夜を思わせる苦さをまったりしたカフェオレへと色づかせた。
秒針の刻む細かい音。長い夜の付き合い方をぼんやりと考える時間は落ち着く。角砂糖のようにぽちゃんと沈んで、底へと溶けてしまいそうになるのだ。
一口すするとほんのりと甘いミルクが胸の内側にじんと染み渡り、微睡むような温かさに瞼がどんどん重くなる。
チクタクと規則正しい秒針は子守唄のようで夜の底へと包み込まれた。
/ 時計の針
かく、かく、かく
冷たい音を立てて時計は刻む。
時計の音があまりに大きすぎて私は彼の言葉を拾いきることができないままだ。
彼の唇___このまま、しんで、しまえたら
胸が深淵の香りで満たされるようで、倒れそうになる。五年前、初めて彼の希死願望に烈しい苛立ちを憶えた己を彷彿とさせる香り。
私は一度だけ、彼に死にたいと伝えた。
彼はそれ以来、幼子が母を呼ぶ様に何度も、不安げにそれを口にするようになった。
一連のこの行為に意味など無い。意味を持つべきではない。
彼のしなやかな指を、その屍のように白い手首を、私が遊びのつもりで自身の首元へ巻き付ける度に、彼は熱を持った目で私を焦そうと試みる。私も彼を、情を孕んだ瞳で覆ってしまおうとする。
時計の姦しき喋り声が増幅する時のみ私と彼は互いに夢中になる。
紅顔の彼の項をひけらかした愛で辿る時、肉林が二度も三度も打ち震えて聖歌に擬態する。
そうなってしまえば、私は堪らず彼の喉笛に噛みついて同じように歓喜に臓腑を震わせる。
時計の針が進むまで、音を上げて無情に泣き出すまで、彼と私はお互いの不揃いな部分を埋め合う。
彼の唇の二度目の震え__このまま、しんで、しまえたら
私の胸はアイデンハイグまで裂けてマグマが溢れ落ちる寸前までに到達した。
この希死願望には全くもって意味が無い。
そう思い込み続けられるまで、この遊戯を縛る深層意識なぞ死んだままでいい。
人は強い幸せを感じると、つい願ってしまう。
「この時間が永遠に続けばいいのに」と。
きっと、辛い経験をした者であるほど強く思うだろう。
もうあんな思いはしたくない、幸せになりたい、と。
もしも世界の時間を司る時計が目の前に現れたなら、恐らくほとんどの人間が、幸せなあの時に戻りたい、あの幸せをもう一度、と思って針を戻すだろう。
勿論、記憶は自分だけが引き継ぐという傲慢な前提で。
例え違っても、そんなのお構いなしに。
何度も、何度も。
__そんな時計がもし存在したら。
私は、それは悪魔の作った道具だよ、と言われても納得してしまうだろう。
無限に甘い蜜を吸い続けられる。
誰に咎められることも無い。
邪魔されることも無い。
少なくとも、自分含めその場にいる全ての人間が幸福。
デメリットなんて、未来が来ないこと、ぐらいだろう。
そんな幸せ×永遠のコンビは、とても魅力的だ。
そして、それを求めてしまう自分がいる。
なんなら、最高に幸せな時間に戻した後、そのまま時計を分解して針を本体から取りたい。
…本当に取ってしまいたい。
永遠の幸せを、手にするために。
「時計の針」
もし時計の針を合わせるように、時間を進めたり戻したりすることができたなら、あなたはどこにその針を合わせますか?
たまにはこんな空想もいいだろう。時間の旅を楽しもうじゃないか。
私なら、まずは過去に行くだろう。後悔ばかりの人生ではなかったが、もし叶うなら、こうしておけばよかったかもと思うことがない訳ではない。
私にだって、あの時ちゃんと想いを伝えていればと思う青春あるあるみたいな話があるのだ。
彼女はかおりちゃんという同じ高校に通う同級生で、部活も一緒だった。家も同じ方向だったので、よく自転車で話をしながら帰ったものだ。
私は密かにかおりちゃんが好きだったが、告白する勇気が持てずに月日だけが流れていった。
そのうちかおりちゃんに別の好きな人ができてしまうという連ドラあるあるになるのだが、こともあろうか、その彼のことでかおりちゃんから相談を受けるという、これまた恋愛漫画あるあるみたいな展開になってしまう。けっきょく応援する立場になってしまったお人好し100%の私は、今更好きですとも言えず、私の青春は終わってしまったのだった。
さて、ここで例の時計の登場だ。
かおりちゃんがその彼に出会う前に私が告白していれば?もしうまくいって付き合うことになっていたなら?
人生変わっていたかもしれない。少なくとも高校時代はハッピーだっただろう。でもそれはその後もうまくいっていたかどうかはわからない。なんだかんだいって結局今の妻と結婚して、娘が産まれて大はしゃぎしている自分がいるような気もする。
妻がかおりちゃんになるということは、娘も違う子になってしまうということだ。その子は、もっと頭が良くて、優しくて、素直な子だったかもしれない。かおりちゃんの子だから、間違っても今の娘のように、何かといえばボケ倒して、宿題もせずにToutubeばかり見ているアホな子ではなかっただろう。
でもこの先何年かして今の娘が生まれてくるとわかっていたら、もうかおりちゃんへの告白も、うきうきデートもなしでいいと思うのだ。
だってそれ以上に、嬉しくて、楽しくて、時にめっちゃ腹も立つけれど、かわいい娘との生活が待っているのだから。
実際過去は変えられない。でも未来はまだ変えられるような気がする。
娘と、家族と、これからも笑っていたいと思う。
時を操る時計なんて、なくてもいいか。
それよりも未来に向けて、まずは蓄えてしまったこのお腹の肉を、なんとかしよう。
それが一番現実的だ。
#.hpmiプラス 🎲
お題:時計の針
いつも通り目が覚めた。でもそこは普段の部屋じゃなくて見知らぬ空間。ゲシュタルト崩壊を起こしてしまいそうなほど真っ白でだだっ広い空間に1つの大きな時計、それから沢山のドアがある。寧ろ、ドアしかない。
ふと気付いたことなのだが、私は紙を握っていた。
「出口を探せ 9回目の鐘、それが全ての終わり 真実の終わりには幸せが訪れるだろう 誤れば――」なんて書いた紙。
誤ればどうなる?死ぬ?見知らぬ空間に閉じ込められた時点で不安で仕様がないのに、続きの文章が分からないことで更に不安は加速した。
色々と考えていたが、それを遮るように鐘が鳴った。成程、考える時間は与えてくれないらしい。仕方がないから出口を探してみようか。
…それはそうと先程からゴォッ、という得体の知れない音がずっと聞こえているのだけれど、この音は何なのだろうか。何かやばい生物、それも見たことの無い怪獣と一緒にこの空間に閉じ込められたりして。
そんなことを考えながら振り返ると、呑気にいびきをかきながら眠りこける青髪の男。それは私の最愛の有栖川帝統だった。
いやお前かい。そうツッコミを入れつつも、私は少し安心した。
「起きろ」
容赦なく彼にデコピンすれば、フゴッなんて情けない声を出し、彼は目を覚ました。
「ってェ、もう少し優しく起こせよ…」
「おはよ」
「んー…ここどこだ…」
そう言うと彼はやはり呑気に欠伸を1つしてみせた。
「なんか閉じ込められた、どこかは私も知らない。出口探せ、だってさ」
そう言って先程の紙を見せれば、
「ふーん、片っ端から開けてこーぜ」
なんて口にした。
扉の先に何があるかも分からないのにそんなリスキーなこと、と驚いたが、ああそうだ、思えば彼はそんな人間だった。
一か八か、生か死か、そんな勝負をこよなく愛する彼だからこその発想なのだ。
何はともあれ、扉を開ければ死ぬとは書かれていないし、出口を探すにはそれが手っ取り早い。試す価値はありそうだ。
こうして私たちはありとあらゆる扉を開けて、開けて、開けまくった。
そうして、8度目の鐘がなった頃。結論から言うと未だに出口には辿り着けていない。
もう私も帝統もかなり疲弊し、飽きがきていた。
「なぁ、もう辞めねぇ?これだけ探しても出口を見つけられないんだぜ」
そう言うと帝統はその場に座った。
「そうだけど…ここから出られなかったら死ぬかもしれないんだよ、私まだ死にたくない、元いた世界で帝統と一緒に色んなとこ行ったり美味しいもの食べたりしたいよ」
「まぁ待てよ、死ぬとかどこに書いてたんだよ」
私は彼に紙を見せて言った。
「ほらここ、『全ての終わり』って書いてるじゃん」
全ての終わり、私はその言葉を「死」だと捉えた。
「全ての終わりってだけで死とは書いてねぇだろ。ここの空間にいることが終わる、つまり扉を開けずともこの空間から抜け出せるって意味にも捉えられるんじゃねーの」
「でも……」
「俺は別にここから出られなくなっても良いと思うぜ。お前と2人っきり、そういう事だろ?つまり、お前に寄ってくる男も俺によってくる女も居ないってことだ。俺はお前と一緒にここに閉じ込められるなら、このままでも幸せだと思うぞ」
ギャンブルが出来ないのはきついけどな、と付け加え、帝統は私を見上げるとニッと笑った。
そんな考え方もあったのか。もしここから出られなくなっても、帝統が言うように2人っきりならば怖くない。邪魔者もいなくてそれはそれで幸せなのだろう。
私は彼の隣に腰掛け、少しでも不安を誤魔化すように強く抱き締めた。
こうして私たちは9度目の鐘が鳴るのを待った。
規則正しく鳴る時計の針の音が疲れた私たちを眠りに誘い、遠ざかっていく意識を手放した。
どれだけ眠っただろうか。目が覚めた時、私が見たものは幸せな世界だった。この世界が帝統にとっても幸せな世界でありますように。
『見なさい。時計の針が、また一つ、歩みを進めた』
『もうすぐだ……分かるかい? この技術が完成すれば、人々の暮らしはもっと快適になる。この技術だけではない、科学が進歩し、人々がより多くの事を、自分の意思で考えるようになる』
『世界が完成するまでの刻限へ、針を進めるのは、他ならぬ、我々の素晴らしい発見と努力なんだ。希望を見つめる力が、この世界をより良くするんだよ』
『──じゃあ、針がてっぺんまでいったら、どうなるの?』
『良い質問だね。その時は、』
『世界はきっと、際限無く美しいのだろうね』
草木も生えぬ荒涼の地で、壊れたレコーダーがそんな音声を流したとして。
もはや聞くものも居なければ、そんなものは無いものと同じではないだろうか?
【時計の針】
私の時計の針は止まったままで
動かない。
まるで空の上の父親を追いかけてるみたい
立ち直れない(๑•́︿•̀๑)
そんな自分が嫌でホントの自分を隠すようになってしまった( ̄▽ ̄;)
これが正解だとは思わないけど少しでもこれで時間が動くならおめんを付けよう。
カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、
カチン、カチン、
すーーっ
ピッ、ピッ、
針は刻み、進む。
前にただ進みゆく。
1日1歩、3日で3歩。後ろには下がらず、ただ道が出来るだけ。
私の想いも、時と共に前に進めるだけだ。
どれも、これも、すべて。
ところで、
1秒に1回。
成人の心拍数はそんなもんらしい。
うるさい時計は殴れば転がって、電池が飛び出したり、あらぬ方向にへしゃげたり。動きは止まって、機能が止まる。
鳴り響く心臓は殴っても、ただ同じ拍動を返してくれるだけ。
そういえば最近は、殴っても止まらない時計があるね。ただ動き続けるあれは、なんのために時を刻むのか、考えたことがあるのだろうか。
あーあ。腕が痛い。
『時計の針』
『針の報せ』
時計の針、5分ごとに噴水の飛沫 寝耳に入る水
夕暮れに染まって 各駅停車 うるめいわしが良い塩梅で焼けている 冗談なら忘れてしまいたい 猿芝居で済ませたい 薄めのウィスキー水割りが 針の報せを聞くようにと僕を促がす。
【時計の針】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
2/10 PM 11:00
「――あ、『メモリー』だ。
もう23時なんだね~」
リビングの壁かけ時計から流れた
ミュージカルCATSのメモリー。
宵がスマホをスピーカーモードに
していたので、暁にも聞こえたらしい。
「明日に備えて、そろそろ寝なくちゃ」
「……本当に出かけるの? 明日」
「もちろんだよ、宵ちゃん!
バレンタインコーナー巡りしないと!」
楽しそうに元気良く暁が答えると、
宵は諦めたように
「分かったわよ、行けばいいんでしょ」
と呟いた。
視線が時計の針に向けられているのは、
暁が天明(てんめい)にバレンタインの話を
してしまう前まで、時間が戻ればいいのに
と思っているからかもしれない。
「じゃあ宵ちゃん、また明日ね。
真夜(よる)くんもそこにいるかな?
2人とも、おやすみ~」
「おやすみ」
通話が切れる。
『メモリー』も流れ終わっていた。
「……宵、ホットミルクでも淹れようか」
「……ありがとう。お願い」
時計の針
あなたと出逢ったとき
時計の針は一瞬止まって
想像もしない方向へと
針を進めた
あなたと私の物語は
そこからはじまったの
🍀時計の針
刻々と迫り来る別れの日。
秒針がスラスラと進むように、1日もスラスラと過ぎてゆく
分針がカチッと進むように、1週間が次の週に変わる
時計がずっしりと進むように、1か月が終わる
針が進めば進むほど「離れたくない」という感情が支配する
君は、少々諦めが早かったようだ。
まあ、僕はその選択について否定も肯定もしないがね。
何?戻りたいって?
それは無理さ。
僕が君の時計に干渉するなんて無理に決まっているだろう。
それに、
「自らの手で止めた時計の針を進める方法を、僕たちは知らないのだから。」
「時計の針」
カチ……カチ……
カチ…カチ…
…
あ、止まった。
もう電池切れだよ。
みんなについていけなくて、
置いてけぼり。
自分に手を差し伸べてくれる人なんていないから。
時は流れるのに、
秒針は止まったまま。
電池交換してもらわなきゃ、そこで終了。
――時が流れ、無数の人が行き来する中、
自分を再び動かしてくれる存在は現れるのか?
〜時計の針〜
時計の針、
時計の針が進むように
僕の寿命も進む
僕の残りの時間を……
全部君にあげるよ
残り半年、その間に
君の笑顔を見ていたい
🥀
- 時計の針 -
追いかけても追いかけても
追いつかない
重ねても重ねても
重なりきれない
あいつとおれ
誰にも言えないこの想い
それでも
惹かれ導かれて 繰り返す
出会いと別れ
次はいつ会える?
恋しいよ…