『別れ際に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【別れ際に】
別れ際に貴方が言った言葉は
「ごめんね」だったけど
俺が聞きたかったのは
「好きだよ」だったんだよ
【別れ際に】
地平線へと沈みゆく太陽が、空を赤く燃やしていた。
「またね」
別れ道の三叉路で、君はいつも通り微笑んだ。ひらひらと手を振って、僕を振り返ることもなく帰路を歩いていく。地面に伸びた長い影が見えなくなるまで君の背中を見送る僕になんて、一切構うこともなく。そんな君のつれなさが悔しくて、だけど誰にも媚びることのないその高潔さに幼い頃からずっと憧れていた。
君が行方をくらませたのは、その翌日。古い因習にがんじがらめにされた田舎町を自分の意思で飛び出していったのだと、教室の僕の机の中に残されていた君からの手紙で知った。
もう何年も昔の話だ。君が今どこで何をしているのかすら、僕は知らない。だけどそれでも、忘れることができないんだ。夕暮れの中に佇む、あの日の美しい君の姿を。
別れ際にすらいつも通りの挨拶しかくれなかった君に、僕は今でも恋をしている。
「じゃあな」と言って、互いに手を振る。
くるりと背を向けて、前へと踏み出した。
数歩ほど行ったところで立ち止まる。
別に示し合わせていた訳でもない。
それでも後ろを振り返れば。
あいつも同じようにこちらを振り向いていた。
俺たちは同時に吹き出して一頻り笑う。
そうして次の言葉がまるで分かっていたかのように、二人して高々と開いた手のひらを天へと突き上げ、大きな声で叫んだ。
「「またな!」」
いつかまたこの世界のどこかで会おう。
それが別れ際に交わしたあいつとの約束だった。
【別れ際に】
釣った魚に、エサをやるのは生きている時だ。死んだ後に餌をやるなんて真似をするのは、よっぽどの物好きくらいなものだ。
だから、皆、求められたものに見合った対価を差し出す。恋も愛も浮気も、間引いても減らない人間の中で対価が等しい者達が手を取り合う事で初めて成り立つものだからだ。言い方を変えれば、大きすぎても小さすぎてもダメということだ。
仮に自分とは違うが、自分のパーソナルスペースに入れてもいい人間がいたとする。君達は、彼等が求めてくれるのを期待していたとする。けれど、彼等は求めるどころか意思表示すらしない。この場合、君達はまず彼等に対して呆れを持つだろう。そして、やがて自分の中のパーソナルスペースから徐々に追い出していく。
つまり、エサが欲しければ自分にも相手にも素直になるべきと言う事だ。
別れ際に、魚は餓死していた事に気づく。
お終い
エサ=見合った対価
餌=不釣合いな対価
餓死=自己満足
【別れ際に】#59
-して欲しいと言うから。
こんな関係は良くないことであるのは
誰でも分かりきっている。
それを蔑すむ中秋の名月は
あと一晩先であるようだった。
だがそれはほぼ満月であって
周りの黒くただあるその空は
指輪を描いているかのように
窓越しに月色を帯びていた。
放置された風呂場は
タオルがあちこちで広がり
歯ブラシは自由に横たわっていた。
ベッドはキングサイズが一つ
二人で寝ていたため片付ける術はない。
それ以外のソファや入り口などは
比較的元あった状態を保っている。
掃除する必要があるのは風呂場とベッド。
眩しいほどの薄い朝方の空が見え始める頃。
別れ際の彼女の額に一度キスをした。
戻って来れてしまう自身も悪いとは思うが
地縛霊のような奴と一緒にいれば
他人からは一人の可笑しい人間と思われる。
「悪く思わないでくれよ」
そう書いたつもりでいる置き手紙をし
これを聞かれた時には
はぐらかしでもしておこうと思う。
カーテンを開け放ち明るい部屋で
彼女の細く滑らかな首に手を添えた。
-して欲しいと言うから。
「連れていってくれたお店で頬っぺたが落ちそうになったり、お洋服選んでくれてありがとう。今日もとっても楽しかった!」
こんなありふれた言葉では伝わらないかもしれない。もっとふわふわ浮くような感情を彼に伝えてしまいたかったのに、別れの時間が近付いて焦っていた。いつもとっても楽しい。それだけは分かってほしくて。
「あの店は俺の行きつけでね、君のお気に召したようで良かった」
ふわ、と笑ってくれるだけでこんなにも満たされる。付き合って少しずつ彼が自分の世界を教えてくれるのが嬉しかった。好きな場所に物、おすすめの料理屋。彼は無口な訳ではない。むしろお喋りな部類だけど境界線を引くのが上手だった。
同じ路線だけど私と彼の電車の行き先は反対方向、上りと下り。いつも私が電車に乗るところまで見送ってくれる。荷物も電車が到着するギリギリまで持ってくれて私の手を塞がないようにしてくれた。彼の手を塞ぐ事にはかわりないけど「腕に掴まって」とより彼とくっつけるので密かな楽しみだった。
ホームに響く電車のブレーキ音、開くドア、車窓さんのアナウンス。全てが揃うと別れの時間だった。
「俺も今日も楽しかった」
荷物が手渡されて「うん」と言いかけた『別れ際に』。彼の手が私に何かを握らせる。
「タイミング逃しちゃったけど君に似合うと思って。今日買った服と一緒に着けて見せて」
「え、まって…!」
私の声は発車メロディに書き消されてしまった。無邪気に笑う彼に見送られて電車が動く。
手の中の箱をすぐ開けたくもあるのに、力強く握られた彼の温もりが消えてしまうと思うとなかなか開けられなかった。
遠い異国の地で仲良くなった子供から、別れ際に一輪の美しい花を貰った。
それを大事に大事に母国に持ち帰り、なんという花なのか調べてみると、根が万病に効くという、今は目にすることのない幻の花だった。
そして、その花を巡り、戦争が始まった。
あの美しい花が根付いているかもしれない恵まれた土地を奪い合う。幸せそうに笑っていた人々を、また来てね。と、大好きだよ。と、そう言って花を差し出したあの子供達の居場所を、生命を奪い取る。
欲に塗れた人間はなんて愚かなんだと、嘆いたところでもう遅かった。
あの別れが、今生の別れになってしまった。
もう花が咲くことはない。
『別れ際に』
別れ際に
別れ際に彼から、
「好きな人ができた」
と言われた。返す言葉がなく、その場を足早に立ち去った。4年も付き合っている彼だった。付き合い始めた頃の熱い気持ちはなかったが、愛し合い唯一無二の存在だと思っていた。
別れ際に言われた言葉から逃げる様に帰って来たが、その間の記憶はない。泣くこともなく、ただ心臓の鼓動が大きく速く波打っていた。
好きな人、どんな人だろう。私とは全く違ったタイプだろうか?そういえば彼は、小柄な目がぱっちりした可愛いアイドルが好きだった。私はどちらかと言うと、背が高く痩せ型である。やはり、彼のタイプではなかったんだ。
もう諦めるしかない。泣いて縋る様なことはしたくない。
そして、別れて1年が経ったある朝。ストーカー事件のニュースが流れる。
女子高生にストーカーをして、殺害容疑で逮捕されたのは、彼だった。テレビに映し出される彼の顔を見て、愕然とした。
なんてことをしたの?そんなに彼女のことが好きだったの?私じゃダメだったの?と思いながら泣き崩れた。
でも、何処か心の片隅で別れて良かったと安堵する自分もいた。
別れ際に
君のことを眺める
今日も
"バイバイ''
って伝えられなかった
別れ際に
君のことをこっそりと見る
好きだなって思う
「これ、もう一品頼んでい? あとおかわりも」
また始まったな。照れくさそうにしながらメニューをトントン指で叩く君に笑みが止まらない。
君はいつもそうだ。そろそろお開きの別れ際、もう一品、もう一杯が始まる。
たとえ明日会えるとしても、君の大嫌いな別れ際の、これは儀式。
だから俺はニコニコ笑ってこう言うしかないわけで。
「もちろん。もちろんもう少し一緒にいよ。だから俺のも一緒に頼んでね」
▼別れ際に
約束
思い出して笑顔になる
寂しくて真顔になる
会いたくて必死になる
安堵と反省が始まる
※別れ際に
「 Don't go! My ___ 」
がばっ_
額にびっしりと汗が滲みだし乍目を覚ました。
周りの酸素が少ない様に息が出来ない。
過呼吸気味に喉をひゅーヾと鳴らし
近くのペットボトルの中の水を飲み干した。
時計を見遣れば0:00。
嗚呼、不吉だ。深夜でもこの時間なのか…
無意識に溜息が出てくる。
また寝るには……夢見が悪過ぎた。
何処か出掛けよう、
指輪がぶら下がるネックレスを握り締め
数分祈りを捧げては
ベットから身体を起こし
シャワーへと足を動かして
適温流れるシャワーで汗を流し、
上がっては髪を乾かし
そして、外服へと着替える
今夜は近くの公園に行ってみよう。
なんて考えながら玄関を開け外へ
マンションに響く革靴の音。
一人、英国の細道を歩いてる
そんな懐かしい気になりながら
マンションから出て
目的地の公園に着き
一息近くのベンチに座り込んだ 。
あの日の夜 も こんな 静かな 日 だった 。
あの夜 彼女 の 最後 の 言葉で ___
¿ 仮
『また明日!』
夕暮れを背に、彼女は笑顔で手を振った。
貴方の明日はいつ訪れているのだろう。
ふと街を歩いていて、泣きたくなった。
ずっとずっと忘れられない、懐かしい香りがしたから。
少し甘く爽やかなその香りは、あなたに本当によく似合っていて。
別れ際にふわりと香るのが大好きだった。
それは別れる時も同じだった。
あなたの声を忘れることはできた。
どんな顔をしていたのかも、ぼんやりとしか思い出せなくなった。
私にどんな風に触れるのかも、一緒に食べたご飯の味も、朧気にしか残っていないのに。
あなたのその香りだけは強烈に記憶に焼き付いていて、いつまで経っても忘れられない。
デートの度、別れ際にハグなんかするんじゃなかった。
似た香りを探す癖なんかつけるんじゃなかった。
別れる時、あなたの香りを消すぐらい強い香りの香水を纏っていけばよかった。
そしたらこんなに切ない思いをすることもなかったのに。
高校の親友。
卒業して4年。互いに全く違う道に進む。
会う時間も、喋る時間も、少なくなる。
ある時、久々に会って、別れ際。
「またな〜」
1年後、突然の連絡…
あなたともう喋ることができない。
あなたともう会うことができない。
若くして亡くなったあなたへ。
別れ際の言葉をもう少し言わせて欲しかった。
どんな声をしていたか、徐々に薄れる記憶。
突然の連絡から10年。
30代のあなたに会いたかった。
別れ際、何気ない会話から、「ありがとう」をもう一度。。
別れ際に
別れてるのが常だから
特別な何かはしない通常運転です
今の所は誰が相手だろうとね
別れ際に
別れる前にってことだけど
特に何も思わないって意味ではない
それでもいつも通りで
そのいつも通りに違いはない
何と別れるにしても
どうってことはない
元々が別々なんだよ
別れ際に何かするとしても
それも含めての別れ際な訳で
自分を継続していくだけ
自分に残ってるものは何かしらある
例え思い出せないにしても
思い残しがあるのが普通で
仮に全てを伝えても
継続して変化していくので
全てでは無くなってしまうよね
何かを与えても
何かを奪っても
その何かは
自分にとってじゃないかな?
【別れ際に】
私は見知らぬ土地に立っていた。
頭上には多くの大木から張り巡らされた無数の枝葉が生い茂る。空すら拝めぬ暗闇のカーテンは、鬱々とした空気を周囲に漂わせていた。
眼前にも同様に暗闇が続いているが、そこに一人、白装束の人間が立っていた。顔を手で覆い隠しているため誰かは判然としない。長い髪を後ろに垂らしているのでおそらく女性だろう。
女は顔を隠しながら震えた声で話しかけてきた。
「私を見ないでくださいな」
聞いたことのある声だ。ぼんやりと声の主を思い浮かべるが、顔にモヤがかかっておりどうにも思い出すことはできない。
女は時折しゃくり上げながら、尚も話しかけてくる。
「あなたがこちらに来るのはまだ早いの。後ろに灯りが見えるでしょう。その灯りを目指して早くここから出て行って」
背面を見据えると、確かに彼女が言った通り小さな灯りが見えた。
正直、言っている意味はよくわからなかった。しかし、彼女の言った通りにしなければ、何か取り返しのつかないことが起こるのではないか、という恐怖が内から湧き出ていた。
私は彼女に礼をいい、背面の灯りに向かって歩みを進める。灯りは坂の上からこちらを照らすように光を放っていた。
坂を登る前に、もう一度助言をくれた彼女に礼を言おうと振り返る。
そこで私は見てしまったのだ。露わになった彼女の顔を。
彼女の顔は、元々そこに張り付いていたであろう皮膚が腐り落ち見るに堪えないものだった。眼球の一つは完全に外れ眼窩に深淵が広がっている。もう一方は視神経の一つでなんとか繋がっているのか、ぷらんぷらんと宙に揺れていた。
「……だから、言ったのに」
その一言を皮切りに、私は全力で坂を駆け上がる。
私は彼女のことをよく知っていたし、この話にも聞き覚えがあった。
別れ際の彼女の顔も表情も、あの悲しげな声色も、私は全てひっくるめて一生涯忘れることはできないだろう。
その背中に 何を呟けば良い
きっと 二度と会えない
「ごめん…。」
喉から絞り出した細い糸
震えた右手が 空を切る
「」
何かが切れる音がした
/別れ際に
これが最後かもしれない、なんて、普通思わないよね。
別れ際に
あなたに拒絶され、全てに絶望を感じた
真っ暗闇の底のないどこかに堕ちいくような…
色あざかな世界が白黒に塗りつぶされるかのような…
全ての音が遠のき、もう何も聞こえない…
もうその場にとどまること自体が辛くなった。
部屋を出ようと歩みを始めた時、
不意に、振り返り、
一言「さようなら」。
また歩みを進めようとすると
突如後ろから温かいものに包まれる。
それがあなたの腕の中だと理解すると小さく
「ごめん。」