遠い異国の地で仲良くなった子供から、別れ際に一輪の美しい花を貰った。
それを大事に大事に母国に持ち帰り、なんという花なのか調べてみると、根が万病に効くという、今は目にすることのない幻の花だった。
そして、その花を巡り、戦争が始まった。
あの美しい花が根付いているかもしれない恵まれた土地を奪い合う。幸せそうに笑っていた人々を、また来てね。と、大好きだよ。と、そう言って花を差し出したあの子供達の居場所を、生命を奪い取る。
欲に塗れた人間はなんて愚かなんだと、嘆いたところでもう遅かった。
あの別れが、今生の別れになってしまった。
もう花が咲くことはない。
『別れ際に』
9/28/2023, 9:39:35 PM