「じゃあな」と言って、互いに手を振る。
くるりと背を向けて、前へと踏み出した。
数歩ほど行ったところで立ち止まる。
別に示し合わせていた訳でもない。
それでも後ろを振り返れば。
あいつも同じようにこちらを振り向いていた。
俺たちは同時に吹き出して一頻り笑う。
そうして次の言葉がまるで分かっていたかのように、二人して高々と開いた手のひらを天へと突き上げ、大きな声で叫んだ。
「「またな!」」
いつかまたこの世界のどこかで会おう。
それが別れ際に交わしたあいつとの約束だった。
【別れ際に】
9/28/2023, 10:22:16 PM