見上げたこの空の向こう側に
まだ見ぬ誰かがいる
見上げたこの空の向こう側に
まだ見ぬ誰かに出会った私がいる
きっとこのどこまでも続く空の下で
私たちは繋がっている
顔を上げればいつだって
出会うべく人に巡り会えるんだ
【空恋】
海辺に残されたままの私は
どこにも行けなくて途方に暮れていた
この海は世界のどこにだって繋がっているのに
行きたい場所も
渡っていきたい想いも
何もないなんて
なんと虚しいことでしょう
寄せては返す波の音が
足先を擽るように撫でたかと思えば
気を引く振りをしてあっさりと海へ帰っていく
薄情だな
なんて拗ねていたら
優しく寄り添うようにまた返る
気まぐれさを隠しもしない
ああそうか
きっとこのくらい自由に誰かを置いていって
きっとこのくらい自由に誰かに優しくしていいんだ
波音に耳を澄ませてみたら
どこにも行けないと思っていた私は
すでにここに来ていたことにようやく気付き
次はどこへ行こうかなんて
明日のことを考えている
【波音に耳を澄ませて】
嫌なことがあった
顔を上げるのすら億劫なほど打ちのめされた
今日の天気はあいにくの雨で
気持ちは沈むばかり
ようやく晴れた雨上がりの帰り道
俯くわたしの目に映ったのは
綺麗な青色
上を向ける人しか出会えないはずの景色が
ふと飛び込んでくる
自分には遠く手の届かないと思い込んでいた
雄々しく澄んだ広大な空は
実は案外近かったのかもしれない
揺蕩う水面に映る空の下で
私が笑っていた
【水たまりに映る空】
燻らせた紫煙にのせて吐き出した
もう取り戻せない後悔の日々
伝えられなかった君への想い
いつかはとばかり言い訳を並べ立てて
叶えられなかった理想の自分
せめてこの青い広大な空になって
いまの俺を見ていてくれ
【空に溶ける】
あの日の温もりなんて
もう忘れてしまったよ
だって
思い出すと悲しいもの
もうあの日には戻れない
君をもっと
抱き締めてあげたかったのに
優しくしてあげたかったのに
なんで私ばっかり
温かくして貰っちゃったんだろ
【あの日の温もり】