海辺に残されたままの私は
どこにも行けなくて途方に暮れていた
この海は世界のどこにだって繋がっているのに
行きたい場所も
渡っていきたい想いも
何もないなんて
なんと虚しいことでしょう
寄せては返す波の音が
足先を擽るように撫でたかと思えば
気を引く振りをしてあっさりと海へ帰っていく
薄情だな
なんて拗ねていたら
優しく寄り添うようにまた返る
気まぐれさを隠しもしない
ああそうか
きっとこのくらい自由に誰かを置いていって
きっとこのくらい自由に誰かに優しくしていいんだ
波音に耳を澄ませてみたら
どこにも行けないと思っていた私は
すでにここに来ていたことにようやく気付き
次はどこへ行こうかなんて
明日のことを考えている
【波音に耳を澄ませて】
7/5/2025, 4:16:26 PM