『1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#1つだけ
ひとつ、ひとつだけ、お願いがあるの
「ねぇ、最後のお願い…してもいい?」
「…最初のお願いな」
「ふふ、そうだね」
「俺がね、もし俺が、もう、ダメになっちゃってもね?」「俺の事、忘れないで欲しいなぁ」「俺以外の愛せる人がいてもいいの。べつに、もう寂しくなくなるから」
「んな、しねぇよ」
「…」
「でも、たまにでいいから、思い出してね」
たまにじゃなくて、毎日ずっと、らんの事考えてるよ
月はひとつしかないんだよ
都合いいよね
だってほら、月がふたつもみっつもあったらさ
月が綺麗ですね、え?どの?って
雰囲気ぶち壊れになるでしょ
1つだけ
「お久s…」
お久しぶりです、そう言おうとしたのだが、言の葉はすぐに喉へ帰ってしまった。まぁ、頭の文字はいくつか聞こえてしまったろう。
1つだけ、たった1つだけ言っておかなければならないことがあり、戻ってきた…いや、今は別人なのです。あくまでも。
えぇ、紛れもなく人違いなのです…あの頃の私の姿など、もう存在しないのですよ…
ですから、まぁ新人ですが…これからもどうぞよろしくお願いしますね。
貴方に銃口を向ける。
大事な人で傷つけたくないのに。
もう許せなかった。
貴方だったから、許せなかった。
私には、別の友人がいた。
貴方と出会う前、私の傍にいてくれた人。
だけど、今は連絡が取れない状態。
どこにいるのかも分からない。
何も言わずにいなくなってしまった。
大事な人を失った私を支えてくれたのは、貴方だった。
けれど、知っていた。
貴方は、私に傍にいる為にあの人を排除したことを。
あなたに、銃を向ける。
なんで私の大切なものを奪ったのか。
なんでずっと一緒にいてくれたのか。
なんで私を苦しめるのか。
抱えていた疑問を全てぶつけて、貴方を傷つけた。
だけど、これまで貴方が私を支えて、傍にいたこと。
それら全て、嘘じゃないこと。
もう分かっていた。
だから、私は貴方をもう許していた。
だけど私は、1つだけ許せないことがあった。
あの人を、貴方を苦しめた私の事。
「だからもう終わりにしよう」
貴方がなにか言う前に、私は私を貫いた。
「何も考えたくない」「疲れた」「死にたい」
そう思う毎日。
私今日も生きている。偉いかな。
我が人生
求めるものは
一つだけ
新たに生まれた
あの月夜から
「この命、尽きるまで」
(Fateサムライレムナント)
目が覚めると、大きい木の下にいた。
あなたの名前を呼んでも、返事はない。
あたりを探してもあなたはいない。
仕方がないから、少し歩いた。
もしかしたら先に起きて
私を探しに行ったかもしれないから。
かなり歩いた。てもあなたはいなかった。
困った私は、近くにいた子供に話しかけた。
聞くと、まだあなたはここに来てないと言う。
手続きをして会いに行くこともできるらしい。
少し悩んだ。
会いに行くのはもう少しあとにすることにした。
会いに行くには私じゃなくなる必要があるから。
魂はひとつ。
あなたとの思い出も1つだけのフォルダ。
私が私の状態での人生も1つだけ
自分の事一つだけでも褒めてあげよう、今日も勉強してて偉い
1つだけ
1つだけ願いが叶うならば...やっぱり会いに行こうかな。
本当は見たかったあの時の推しのパフォーマンス。
体調を崩して、行くのを断念して...
SNSで交流するファンに遠慮して...
そこから、自分自身に嘘ついた。
たぶん、まだ好きなのに。
興味なくなったと見ないフリ。
引退、脱退、解散...
芸能界からの卒業...で、見れなくなってからは遅いから、悲しくなる前に会いに行きたい
『一つだけ、お願いがございます
満たしてほしいものがあるのでございます』
そう言うと、彼女は襖の奥に手を伸ばした。
ガコンという大きい音ともに掛け軸が反転し、奥へと続く階段が出てきた。
彼女は、代々この家に仕えてきた家政婦の一人だ。
有能であるくせに美しい容姿を持っている。
彼女がこの家に来てから数年が経ち、不慣れだった彼女は今やどこかへ行ってしまった。
性格は、天然でよく柱に頭をぶつけたり、何もない所でコケたりもする。
数年ではあるが僕は彼女をずっと見てきた。
どうやら、僕は彼女に惹かれてしまっているらしい。
だからと言って、彼女に手を出すほど僕は愚かじゃない。
そう言いつつも彼女が夜な夜な一人で家を歩いて
いるものだから気になって後をつけていた。
彼女は、どうやら僕に気付いていたらしく、何をしているのかと聞いてきた。
聞きたいのはこちらなのだが…
正直に話すと、彼女はクスッと笑い、付いてきて ほしいと僕に言った。
後に続くと、そう滅多に入らないお爺様の部屋だった。
すると、彼女はいきなり『私も旦那様にお話しなければならないことがございます』
彼女の美しい笑顔でそう言われたものだから少しよくないことを考えてしまった。
着物を口に当て、ゆっくりと唇を動かす。
空いた掛け軸の奥に進むと、やけにそこがゾワッとなるほどひんやりとしていた事に気づく。
何を言っても言い返さなくなる彼女がただただ不気味で堪らなかった。
彼女が突然その場で止まる。
階段は、続いているしまだ先があるのに
彼女は、右の壁に指を指し、笑顔で言う。
『あれは旦那様の一族の皆様でございます。』
壁には、大量の骸骨が飾られていた。
思わず、声が漏れる。
彼女は、そんなことも気にせず、話続ける。
『旦那様の席はあちらにございます』
そこには、何も飾られていない台が一つ。
どこからか空腹を迎えただろう音が鳴り響く。
同時に冷や汗が止まらない。
足を前に逃げようとした。
でも、無理だった。
その時には足は…
体制がすべて崩れる。
情けない声が漏れる。
彼女は、笑顔になる。
振り上げたそれな鋭い爪なのか牙なのか、はたまた凶器なのか。
わからな…
タイトル:たった一つだけ
「大切なもの、くださいな。代わりにあなたのお願い1つ、なんでも叶えてあげるから。」
フードを被った幼子は、小さくて可愛らしい手のひらを此方に差し出す。
白くて柔らかそうなその手は、何かを催促するように揺れている。
「……大切なもの?」
「くださいな、くださいな。代わりにお願い、叶えてあげる。」
歌うように独特の節をつけて、幼子が言う。
フードで顔の見えないその子の声を、何処かで聞いたことがあるような気がする。
大切なもの、一体何だろうか。
家族?友人?居場所?お金?それとも、自分の命か。
どれも大切だが、どうにも違う気もする。
「大切なものって、なに?」
「大切なもの、あなたの思い出。楽しかったこと、悲しかったこと、怒ったこと、嬉しかったこと。
みんな欲しい、ぜんぶ欲しい。あなたの思い出、ぼくは欲しい。」
「思い出……」
「叶えるお願い、なんでもいい。なんでも叶う。
だから、思い出くださいな。」
早く、早くと幼子の手が急かす。
思い出。
今まで生きてきた分の思い出と引き換えに、1つだけなんでも願いが叶うという。
とても、魅力的に聞こえる話だ。
願いはなんでもいいと言う。
億万長者になることも、世界の頂点に立つこともできるのだろう。
だけれど、それは。
本当に、今までの思い出と引き換えるに値するものだろうか。
「……あげない。」
「?」
「悪いけど、僕の思い出はあげられない。どんな願いが叶うとしてもね。」
「……」
幼子が口を閉ざす。
此方を少し見上げたその顔は、相変わらずフードに隠れていて見えない。
やがて幼子は、ゆるりと口元を緩めた。
「あなたは正しい、間違えなかった。
あなたの思い出、あなただけのもの。決して忘れないで。」
幼子の姿が、だんだんぼやけていく。
姿が見えなくなる寸前、外れたフードの下から現れたのは、微笑む幼い自分の顔だった。
[大切なもの]
[1つだけ]
ヤツが死んだ。
年老いたヤツの母は実家近くの病院から出る事が出来ず、唯一の知人だった私に葬儀や遺品整理を頼んできた。
葬儀はごく簡単に済ませ、行政手続きはヤツの母の知り合いだという弁護士に任せた(胡散臭い奴だった)。
部屋の物は好きなようにしていい、と言われた。
「·····」
殺風景な部屋には遺品と言えるものはほとんど無かった。ベッドとテーブルと小さな本棚。作り付けのキッチンには量販品の食器が並んでいる。
死期を悟っていたらしいヤツは、嗜好品や趣味のものを以前から処分していたらしい。クローゼットには似たようなスーツが何枚かぶら下がっていたが、手に取る気は起こらなかった。本棚にあった筈の本も新聞と一緒に縛ってあった。――それをわざわざ解いて偲ぶような仲でもない。このまま遺品整理の業者に任せればいいか、そう思った。
最後にもう一度部屋をぐるりと見渡す。
ベッドのヘッドボードに、くしゃりと潰れた煙草の箱と、ライターがあった。
「·····」
何となく、手を伸ばす。
潰れた箱の中に一本だけ煙草が残っていた。
訪れる度に、咥えていたソレを慌てて消していたのを思い出す。
「体に悪いことは分かってるんだけどね。やめられないんだ」
ヤツはそう言って、困ったような顔をして笑った。
取り出して、ヤツの仕草を思い出しながら銜えてみる。ライターを数度擦ると細く火が点いたので、口元に近付けた。
煙を吸い込むと途端に喉を不快感が襲って噎せた。
激しく咳き込んで、思わず口から煙草を離す。こんなものを好んで摂取していたヤツの気が知れなかった。
ただの知人。仕事の付き合い。それだけ。
むしろ気に食わない相手だった。
だが、ヤツの書いた本は何がなんでも世に出したいと思わせる筆力を持っていた。そしてそう思った私の目に、狂いは無かった。
「·····」
もう一度、煙草を銜える。
気に食わない相手だった。声を荒らげた事も一度や二度では無かった。
だから今、視界が滲んで見えるのは煙草の煙が目にしみたからなのだ――。
END
「1つだけ」
この世界は嘘でできている。
かっこつけたような言葉だけど核心はついてる。
人生で1度も嘘をついたことない人なんていないし、
人と関わる時に本来の自分とは似ても似つかない自分を作り出している時もあるし。上手に生きるためには嘘をつき続けなければやっていけない。
逆を言うならばこの世界には確かなことが1つだけある。
「ずる賢くないとこの世界生きてけないぞ。」
━━━━━━━━━━━━━━━1つだけ
- ̗̀ 一つだけ ̖́-
「もし一つだけ願いが叶うのならばどんな願い事をしますかー?周りのの席の人と話し合ってください。」
(そんなこと考えたって願いが叶うわけないのに。馬鹿馬鹿しい)
「俺はー沙羅ちゃんの彼女になりたーいww」
「お前がなれるわけねぇだろww」 「ガチウケるーw」
「私は女優になって世界で輝こっかなー」「えーじゃあ今のうちにサイン貰わないとww」「きゃー神楽様ー握手してーw」
(どうでもいい。くだらない。叶うわけのない願いを話し合う?本当に馬鹿馬鹿しい)
「あの…」
(うるさい)
「ねぇ雨宮くん」
(うるさい、)
「雨宮くん!」
「うるせぇんだよ!」
.........
「うわー、またあいつキレてるよ…」「なんなの?普通に喋ることも出来ないわけ?」 「雨宮ってさーまともに喋れるのかな」「いや無理無理ww」
(全部聞こえてるっつーの。)
(どいつもこいつも全員消えてしまえばいいのに)
「ねぇ、?」
「……」
「雨宮くんはさ!どんな願い事するの!?」
(なんだこいつ…)
「ってかさーなんでさ七瀬さんって雨宮くんに構ってあげるんだろうねー」「それな?どうせはなしても無駄なのに」「あの子も優等生なのに少し変わってるよねww」「あーちょっと分かるかもw」「ねぇーw聞こえちゃうよ?w」
(全部聞こえてるわ)
(あーこの人七瀬さんって言うんだっけ?確かになんで俺に構うんだろう。時間の無駄なのに。)
「私はね叶えたいことが一つだけあるんだ!」
(はぁ。うるさいな。)
「私の願いは、雨宮くんの世界を見てみたい。」
「……は、?」
俺の人生はその瞬間。彼女の一言で変わった。
続く
【一つだけ】
私にとって、必要なものは一つだけ
貴方さえいれば他に何も要らないの
きれいな星空だな。
薄れゆく意識の中、そう思った。
今日、いじめてくる加害者共に、親が寝静まる深夜に屋上に呼び出された。いつもみたいに殴られ蹴られていた。ただ、いつもと違うのは、そいつらに突きとばされたとき、屋上のフェンスにぶつかった衝撃でフェンスが壊れて頭から転落したことだ。
ただ、幸いなことに、即死ではなかったことだ。あいつらが私が自殺したと言い訳できないように、俗にいうダイイングメッセージを書くことができた。ばれないように、私の体で隠すことも忘れはしなかった。
どんどん視界がぼやけてくる。
いじめられてばっかりのくだらない人生だったと、自笑する。高校生になったら青春出来ると言ってたのは、一部の人間だけだ。それ以外は、いじめや虐待などで苦しんでいる人達が山ほどいる。
あいつらの慌てる声と足音が聞こえてくる。ヤバい、これどうしよう、まじで私達逮捕されるじゃん!という焦っている声が聞こえてくる。いい気味だ。精々、地獄へ行くまで苦しめ。自殺なんてして、自分が犯した罪から逃げるなんて許さないからな。許すつもりはないけど。
もう死ぬな。そう確信したときには、もうほとんどがぼやけて何も見えなかった。
最後にただ一つ、心残りがあるとしたら。
お父さん、お母さん、先に死んじゃってごめんなさい。先立つ不孝をお許しください。
私は静かに目を閉じた。
1つだけ
バシュッ、という音がした。次いで、びしゃっという水音。
「……っつう……」
彼女は小さく呻いた。左腕が千切れ、手の届かないところに飛んで行った。
もうこれを抱える腕もない。
彼女の目や、鼻や、唇はもうなかった。地獄の業火は彼女の身体のあらゆる部位を溶かしてしまったのだ。そして今、辛うじて残っていた左腕もなくなった。
それでも地獄の火は彼女を端から燃やしていく。これは、神へ逆らった罪。純白の羽を切り取られ天使の名を失っても、決して圧倒的な美や知や力に屈しなかった罪。そしてその罰。
たったひとつを守り抜くために、彼女は翼も、称号も、身体も、全てを喪った。
けれど、これさえあれば構わない。
わたしという存在が消えて無くなっても、それでもいい。罪悪の裁きは受けよう。
「わたしは……すべてなくしても、それでも、いい……。あなたより、だいじなものが、……なににも、かえられない、ものが、あるから……」
かつては彼女を愛し、そして今彼女を業火に包む神へ、彼女は囁く。
孤独な神へ、……彼女が一時愛した、ひとりぼっちの神へ、彼女は復讐の楔を打ち込む。
全てを焼かれ、失くして、最後に残った紅く熱く脈打つ心臓。これだけだ。彼女が手足と顔と、全てを失っても守りたかったものは。
「ねえ、アイスあげる」
そんな声とともに小さい袋が投げられた。
黄色いシャーベット風の小さいアイスがコロンと1つ入ってる。
「⋯⋯⋯⋯急になんだい」
投げてきた彼女に目をやれば少し笑って言った。
「それ、食べらんない味なの」
「⋯⋯⋯⋯何味」
「まんごー、とか言ってた」
マンゴー味。
どこから持ってきたとか、食べられない味ならそもそも買わないなり貰わないなりすればいいんじゃないかと思いつつ、口に入れた。
「⋯⋯⋯⋯っ!? 酸っぱ⋯⋯!」
口の中に広がったのは想定していたマンゴーの甘みではなく、柑橘系の、もっと言えばレモンの強い酸味が口の中に広がり、つい声が出てしまった。
なるほど、これも彼女のイタズラだなと見れば、ギョッとした顔でこちらを見たあと、下げていたショルダーバッグから水筒を取り出した。
「これ、水! まだ口つけてないからさ⋯⋯大丈夫?」
あまりにも真っ当な、というか普通の言葉を言われてつい、驚いてしまった。
「あ、あぁ⋯⋯ありがとう」
飲んでみても普通の水で、なぜだか彼女はずっと心配そうな顔でこちらを見つめていて、まるで全く違う人みたいだ。
「助かった」
「良かった」
「そ、そういえばきみはアイス、何味だったんだい?」
「ボク? 食べてないよ?」
あまりにも意外な返答が返ってきて、彼女に水筒を渡そうとした手が止まる。
⋯⋯食べてない? 僕にはアイスをくれたのに?
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯なんで?」
「ひとつだけしか貰わなかったから。じゃあね、『演奏者くん』♪」
何故か少しだけ上機嫌そうな彼女が去っていく。僕は彼女の後ろ姿を見つめるしかなかった。
一つだけ。
一つってのは難しい。どうしても膨らんで、頭の中を這っている後悔を挙げるなら、納まりようのない数値だと思うから。
僕は後悔している。あの時、あの時分に、あんな事を考えて、流されて、心に置いて、声を上げてしまった自分に、今も後悔と猛省と失笑が止まない。
私は船の底をコレと言わんばかりに這いずって、海面へ逃げたい思いを許さない自分と、ただただ恥ずかしさと怒りを寄せる頭の中で、白旗を押し付けあっている。
ああ、あんな事を言わなければ、声に出していれば、考えなければ、考えていれば、感情を持たなければ、感情を読み取っていれば、表裏の全てを後悔として持ち続ける現在に巡ってはいなかったかもしれない。
口は災いの元、ひねくれるな、教訓を持て、人には優しくしろ、謝れる人になれ、これは誰かを慮った教えでは無いんだと思う。
これは自分を守る為の合言葉と、ただ一つ誓う。
謝りたい。
私はとんでもない嘘つきだ。
「こんなに寒いのに手が温かくていいな」
?
「そんなに汗かいて暑がりなんだね」
うん?
「泣いてるの?あの人怖かったもんね」
そうだね
何も特別なことなんてない。誰か他の人からみたら私はそういうふうに映っているだけのこと。
だから嘘なんてついてない。でも否定も訂正もしない。
私にとって都合のいいこと悪いこと、その両方が私という人間を作り上げて誰かの世界で生きている。忘れられたらどこかの名言にあったように私が死ぬだけだ。
人間は二度死ぬという、あれだよ。肉体と、他の人の中にある記憶の2つの存在。それらが消えて初めて私は死んだことになる。
私はね、とても寒がりなんだ。
だから手をより早く温める方法を知っているだけ。
私はね、いつも誰にでも緊張してどこで何をしていても 不安なんだ。
だから暑くても寒くてもずっと冷や汗をかいているだけ。
私はね、言葉の代わりに涙が出てくるんだ。
だから何か言いたいことがあっても泣くことでしか答えられないだけ。
そうやって積み重なってできた私は私ではなくなって、誰かの中で知らない私が生きている。何も話せない話せるわけがない、真実のすべてを私自身でもわかっていない。
とっくの昔に忘れてしまったんだ。誰にもみえない場所で否定し尽くされたから、ぜんぶ忘れてしまいたくて消してしまった。
1つだけ残っているの、この肉体だけが残っている。
目の前のあなただってここを出れば忘れてしまう。そうして残るのはやっぱりこの肉体だけだ。
嘘ばかりでごめんね、もう消えたいの。
【題:1つだけ】