私はとんでもない嘘つきだ。
「こんなに寒いのに手が温かくていいな」
?
「そんなに汗かいて暑がりなんだね」
うん?
「泣いてるの?あの人怖かったもんね」
そうだね
何も特別なことなんてない。誰か他の人からみたら私はそういうふうに映っているだけのこと。
だから嘘なんてついてない。でも否定も訂正もしない。
私にとって都合のいいこと悪いこと、その両方が私という人間を作り上げて誰かの世界で生きている。忘れられたらどこかの名言にあったように私が死ぬだけだ。
人間は二度死ぬという、あれだよ。肉体と、他の人の中にある記憶の2つの存在。それらが消えて初めて私は死んだことになる。
私はね、とても寒がりなんだ。
だから手をより早く温める方法を知っているだけ。
私はね、いつも誰にでも緊張してどこで何をしていても 不安なんだ。
だから暑くても寒くてもずっと冷や汗をかいているだけ。
私はね、言葉の代わりに涙が出てくるんだ。
だから何か言いたいことがあっても泣くことでしか答えられないだけ。
そうやって積み重なってできた私は私ではなくなって、誰かの中で知らない私が生きている。何も話せない話せるわけがない、真実のすべてを私自身でもわかっていない。
とっくの昔に忘れてしまったんだ。誰にもみえない場所で否定し尽くされたから、ぜんぶ忘れてしまいたくて消してしまった。
1つだけ残っているの、この肉体だけが残っている。
目の前のあなただってここを出れば忘れてしまう。そうして残るのはやっぱりこの肉体だけだ。
嘘ばかりでごめんね、もう消えたいの。
【題:1つだけ】
4/3/2024, 3:09:08 PM