『雪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『雪』
『かわいい下着が入ってた』
ちょっと、タンマッ!?
事件は飲み会の最中に起こるらしい。
届いたメッセージを確認するや否や、慌てて携帯電話の画面を裏側にしてテーブルに置いた。
メッセージの差出人は彼女である。
師走前にもかかわらず、彼女が福袋を予約していたことを思い出した。
年が明けて彼女のほうも仕事が始まっている。
帰りがけに福袋を引き取りに行ったことは容易に想像がついた。
できれば一緒に中身を確認したかったが、しかたがない。
彼女が買った荷物を彼女のタイミングで開封することに文句を垂れるほど、器量は狭くないつもりだ。
問題は、今、このタイミングでそのメッセージを寄越した意図である。
俺、今日は飲み会があるって言ったよな!?
年始早々、ドデカい誘惑をぶら下げられて帰りたくなった。
しかし、他部署の人も交えた仕事の飲み会で、さすがに1次会の途中で抜けられるはずがない。
不自然にならないように離席した俺は、人目のつかない場所で再びメッセージアプリを立ち上げた。
先ほどのメッセージのほかに、数枚の画像が添付されている。
見慣れたローテーブルの上に、見慣れない華美で布面積が心許ないランジェリーが5組並べられていた。
ほかには靴下が3足と、黒とベージュのフェイクタイツが各1点、紺色のシンプルなルームウェアが1点。
ずいぶん豪華なラインナップだ。
写真が少しブレていたり、品物にフォーカスを当てすぎて背景がボヤけているから、彼女自身もご機嫌な様子が伝わってくる。
『よかったですね』
あえて福袋の中身には触れず、当たりさわりのないメッセージを送ったら、すぐに既読がついた。
『どのパンツが好き?』
普段は既読すらつけないクセして、こんなときばっかり爆速で返信が来る。
しかも言葉をぼかすことすらしなくなった。
画面越しとはいえ、逃してくれそうにない彼女からの見えない圧を感じ取る。
どれって……。
正直なところどれでもいい。
彼女は職業柄、スポーツタイプのインナーウェアを着用するのが常だ。
キラキラとしたレースや細やかな刺繍で装飾された下着を彼女が身につければ、俺の心臓は爆発するに決まっている。
『右側の白いヤツ』
ヤケクソになって、透け感に嫌な予感がしつつも、一番布面積が大きそうな下着を選んだ。
すると、すぐに彼女から電話がかかってくる。
「……なんですか?」
『めっちゃイラついてるじゃん』
1コール鳴り終わる前に出ると、クスクスと彼女の楽しそうな声が溢れた。
『10時までに帰ってきてくれたら、選んでくれたヤツ着て待っててあげる』
…………は?
魅惑的な提案に心が揺さぶられたが、ふたつ返事で食いつくには条件が厳しすぎる。
「それ、俺が今、どこにいるかわかってて言ってます?」
『新宿でしょ?』
そう。
新宿から自宅まではどうがんばっても30分はかかる。
一次会が終わるのは21時だ。
会計、二次会参加の押し問答、解散前の意味のなさない記念撮影、どう逆算しても22時に帰宅なんてできる気がしない。
『がんばってね』
言いたいことだけ言って、彼女は情け容赦なく通話を切った。
以降は、俺がどれだけ着信やメッセージを残しても、うんともすんとも反応がない。
クッッソ!?
仮に寝てたとしても着替えさせて、心ゆくまで堪能してやるからな!?
一次会を終えた俺は、速攻で家に向かった。
*
息を切らし、汗だくになりながら明かりの消えた自宅に戻った俺は、すぐに寝室に直行した。
時刻は22時2分前。
「ウソぉ!?」
間に合うと思っていなかったのか、彼女は目を丸くした。
寝室の常夜灯になった明かりを主照明に切り変え、ベッドで横たわる彼女の羽毛布団を引っぺがす。
彼女の上に跨り、パジャマの前ボタンを外していった。
「うわっ!? ねぇ、ちょっと待って……!?」
この期に及んで往生際悪く抵抗を見せるが、ズボンのウエストゴムをずり下げたらおとなしくなった。
約束通り、彼女は上下ともに画像で見せてもらった下着を身につけている。
なんだ。
間に合わなくても、待っててくれるつもりだったのか。
ホッとした俺は、奥ゆかしく膨らむ彼女の胸に触れた。
繊細にあしらわれた白いレースの上には、よく見ると雪の結晶が散りばめられている。
差し色で入っている青の細いリボンの装飾が、彼女の白くて滑らかな肌をきれいに引き立てていた。
ブラのカップやショーツのクロッチはきちんと布があてがわれているが、そのほかは目に毒なほど白く透けている。
えっろ……。
生唾を飲んで喉を鳴らした俺に、彼女はジリジリと後ずさった。
「あ、あのさ。さすがに無言で服を引っぺがすのはどうかと思う」
なんとでも言え。
身の危険を感じるには遅すぎるくらいだ。
とはいえ、彼女を怖がらせるのは本意ではない。
俺は、艶かしい緩やかなラインを描くウエストに指を這わせた。
ショーツのゴムの内側に指をかけ、散る雪の結晶の刺繍に口づける。
「美しい初雪ですね?」
「ひぇっ!?」
上ずった声を溢した彼女と目が合った。
瑠璃色の瞳に宿ったわずかな期待を、今さら俺が見逃すはずがない。
かわいい。
きれい。
好き。
愛してる。
思いつくままに彼女への気持ちを言葉にしながら、徐々に熱を孕んでいく彼女の皮膚に触れていった。
子供の頃は雪が降ると死ぬほど嬉しかった。なんなら高校生ぐらいまでそうだった。特に大雪のあとの街を歩くのが好きで、電信柱や側溝のそばにたまった、ほぼ氷になっていてただただ溶けていくだけの物体が周りの空気を冷やしている朝が好きだった。今好きか聞かれると、天候であり景色の一部...としか答えないと思う。でも雪の予報のたび、窓を少し確認してしまう。やっぱりまだ好きなのかも。
ざくざく、と大地を一歩一歩踏みしめて、進む、呼吸はキツイ、疲労感も出てきた。
おーい、もうちょっとで小屋に着くから、もう一踏ん張りで着く、お互い頑張るや。
さっきももうちょいって言うてなかったか?ニコッとして前を見る。
見えてるやろ。そこやそこ。
やっと着いた。
覚えてるか、佳代と来た時の事を、12、3年前ぐらいかな確か、お前何したあの時。
何したって、何にもしてないよ。
正直に言ってみ。
何やねん、と間が空く。
分かった、ふられただけや。
笑う、腹を抱えて笑う。
おい、怒るで睨見つける。
悪い、俺も振られたから、同じやな、で殺した。
殺した?マジで沈黙が流れる
嘘やろ、目が合う
ほんまや、ここで首くくるは。
生唾を飲む音が聞こえた、降りるか、上がるかは自分で決めて、ごめん。
かなりの時間たった、止めても、無駄か。
やな。分かった、昔から言い出したらいかんから、行くは。と振り返りドアノブに手をかけた時背中によく分からない痛みが走った、顔を後ろに向けると、どこまでも暗い目が見えた。
嘘、全部嘘や、前からお前が気に入らんだ。
あなた何してるの、行くよ子供達も待ってるから早く。
すぐに行く、また来年来るは、細く笑む。
「雪」
冷たいけど
時に楽しい雪
温かい部屋から見る雪は
綺麗な結晶を作り
降りてくる
窓の外で
シンシンと降り積もり
朝日を浴びて光り
冬の白い景色は
昼には水になり
役割を終えていく
雪は時々なら楽しい雪
『雪』
その日は
わたしにとって
特別だった
真夜中
ガラス張りの円形の吹き抜けに
しんしんと静かに舞い落ちる雪
光をうけてキラキラと
木の枝に雪の結晶を咲かせる
雪が織りなす奇跡
幻想的な世界の中
新しいはじまりと
輝かしい未来を感じた
あの日描いた未来にいま立ち
いまあるしあわせに感謝する
ここからさらにつながる未来
どんな景色が広がるのか
だれと立つのか
あの日みた雪
明日も照らしてくれますか
正月明けの仕事
初日からバタバタと忙しく
遅くなった駅からの帰り道はほとんど人も通らない
空からは牡丹雪が絶え間なく降り続け、
僕の傘は重みを増す
傘に積もった雪をはらおうと
さしていた傘を傾け、ふと空を見上げる
真っ暗な空から
ふわりふわりと雪が落ちてくる
まるで白い羽が舞い散るようだ
…綺麗だなあ
…雪ってこんなに綺麗だったっけ
急に君に会いたくなって
僕は小走りで家へ向かう
愛することを忘れた鳥たちのうた
何処か祈りにも似ている囁きは風
忘れ物をしてしまったの秘密の扉
開けられるのはきっと眩い光の子
秋に咲いた桜の木の下で春を待つ
遠からずその日は訪れる信じてる
今はまだ見えていないの夕暮れに
雨が雪に変わる降り積もる静寂に
真白に溶けて溶かされて空を見る
『雪』
雪
外があまりに寒いと
雪がふっていればまだ素敵なのにと
思うことがある
実際に雪が積もってしまうと
電車は止まるし
自転車も乗れないし
歩くしかなくて疲れるし
歓迎できることではないのに
それでも
年に数回しか雪の降らない地域に住む私は
雪に憧れを持ち続けている
雪
1999年12月24日
私は、太陽を見たことがない
「みなさん!手を合わせて!さぁ神様に感謝を!、いただきます!」
「「「いただきます!」」」
みんな何の疑問も抱かずに手を合わせて、そしてご飯を食べている
私からすればこの世に神様なんていないと思う
もし神様がいるのであれば、もうとっくにこの世界はどうにかなっているはずだから
齢12歳の私はそんな世の中に対する不満を抱きながら生きている
ただ一人私は、目の前に置かれたご飯を見つめているだけ
「みなさん!礼拝堂に行きますよ。ちゃんとコートは着ましたか」
「「「はーい」」」
みんなこの状況に何の違和感も感じていない
私のようなまだ年端もいかない子どもたちにとってはこの世界が当たり前
でも私には理解できなかった
この世界には時間がない
時間は止まったままなのだ
だから永遠に太陽は昇らない
ここ何十年以上、夜のまま時間は止まっている
外に出るときは特殊な毛皮のコートを着ないと凍え死んでしまうほどの寒さが広がる世界
「お姉さんが今からこの絵本をみなさんに読むので、静かに聞いてくれるとうれしいな。」
礼拝堂ではボランティアのお姉さんが待っていた
そのお姉さんはやさしい声音で言ってくれた
みんな「はーい」と返事をする
そしてみんな静かに座って、少しせり上がった舞台の上のお姉さんへと視線を向ける
お姉さんは絵本の読み聞かせを始めてくれる
私にはやっぱりこの状況が理解できない
屋外にむやみに出ることはできず、くたびれた屋内にみんなで身を寄せ合う
「もう無理」
私はそう小声で言って、礼拝堂から飛び出る
コートを着ないで、屋外へと飛び出る
寒い。私は何の目的もなく真っ暗で誰もいない町中を駆ける
限界は意外とすぐに来て、私は寒さに立ち止まり、縮こまる
「もう無理、、、」
私はこのまま一人孤独に死んでいくんだ
「大丈夫。」
死にかけの私に、やさしい声音が降りかかる
そして後ろから私の縮こまっている背中にコートが羽織られる
「やだ!もうほっといて!」
私はそのコートを跳ね除ける
そして後ろを振り向くと、そこには読み聞かせボランティアのお姉さんがいた
もちろんコートを着て、そして私のためのコートも手にしている
「寒いよ。」
お姉さんはやさしい声で心配してくれる
「もうこのまま死なせて、、」
お姉さんは私の正面へとしゃがみ込む
私は縮こまりながら俯く
寒い。私は手を擦る
すると手があたたかくなった
体にやさしいあたたかさを感じる
私は正面を向いた
「えっ」
私は驚いて、尻もちをつく
そこには炎があった
お姉さんは手を差し出していて、その手のひらの上からは炎が上がっている
「あたたかい。」
お姉さんはやさしい声で問いかける
「なにこれ?どういうこと?」
私は困惑する
寒さで幻覚が見えているに違いない
「これはね。熱くない炎だよ。でもあたたかいよ。」
「、、、」
「これは、、、雪、かな。生まれては消えてを繰り返す雪みたいな炎だよ。手をかざしてみて。」
お姉さんはまるで言い訳を言うように、しどろもどろに言う
まだ意味がわからない
でも私は試しに、その炎に手をかざしてみる
「あたたかい」
それにはやさしいあたたかさがあった
「でしょ。」
お姉さんはやさしい笑顔を私に向けてくれる
その顔を見て、私はこれ以上この炎に関して詮索しないようにした
それがやさしさと思っての考えだった
この世の中は理解できないことでありふれている
世界もこの炎もそうだ
私は炎の向こう側にいるお姉さんに聞いてみる
「お姉さんは太陽を見たことがある?」
「ないよ。」
やさしい炎と沈黙が広がる
「太陽、見たいの。」
お姉さんは問いかける
私は首を横に振る
「太陽かぁ。」
お姉さんは夜空にそう呟く
「本当に大丈夫?」
「うん、一人で大丈夫だから」
私はコートを着て一人で外へと出る
「舗装されていない道は歩かないようにね」
先生の声は常に心配一色だった
私は何の目的もなく一人暗い街中を歩き出した
礼拝堂を勝手に飛び出した日から先生たちが私のことを心配して、一人での外出をなかなか許してくれなかった
でも今日はどうしても一人になりたい気分だったので、なんとか押し切った
街は変わりなく真っ暗で人はほとんどいない
長期的な夜の到来はこの世界に寒さを与えた
その寒さは世界を大きく変えてしまった
既存の建物はすべてその寒さに耐えうることができず、利用されることもなく、時間とともに廃れていった
この街も廃都市と化していた
そして道も一緒
既存の道は底冷えにより歩くことさえできない
だからしっかりと舗装された道を歩かなければいけないのだ
私はそんな街を目的もなく一人歩いていた
「何してるの。」
後ろからやさしい声が聞こえてきた
振り向かなくてもわかった、ボランティアのお姉さんだ
だから私はそのまま歩きながら答える
「お姉さんには関係ないでしょ」
「そっかぁ。」
私は歩き続ける
「今日も寒いね。」
お姉さんは私の後ろについてきて、まだ話しかけてくる
私は無視して歩き続ける
「太陽、見たいの。」
「もうついてこないで!」
私は振り向いて、しつこいお姉さんに怒鳴る
「えっ」
私は驚いた
「なに、その格好、」
私はそう口にしていた
お姉さんはコートを着ていなかった
それだけではない、サンタクロースの格好をしているのだ
「今日は12月24日でしょ。」
理解できない
「いや、、そんなの私たちが生まれる前からずっとそうじゃん」
この世界は1999年12月24日で時間が止まっている
そんなのは当たり前
「それよりも、コートは?」
私は一番の問題点をつく
「大丈夫だよ。これ、意外とあたたかいの。」
そんなわけがない
そのサンタクロースの格好は脚や腕が露出している
これであたたかいわけがない
そう思っているとお姉さんは答えてくれた
「まぁそれは建前で。私、寒いのは平気なの。」
「それはこの前の、、雪みたいな炎の力で?」
普通の人間であれば絶対に生きられない寒さに耐えられるとすればそれしか私には考えられなかった
「まぁそんな感じかな。あそこにこの街で一番高いビルがあるでしょ。」
お姉さんは話を変えた
私はお姉さんが指差した方、そのビルの方を見る
「あの辺りを見ててね。」
「どういう意味?」
私はお姉さんの言葉が理解できなく、意味を問う
でもお姉さんは「見たらわかるよ。」とだけ答えて、去っていってしまった
それを見送り、私は再び何の目的もなく歩き出した
この街にいれば嫌でも、どこからでもあのビルは見える
それほどに高いからだ
先ほどお姉さんが指差したそのビルを気にしながら私は歩き続けていた
するとそのビルの屋上になにやら人影が見えた
私は立ち止まる
「えっ」
私は驚いた
その人影はビルの屋上から落ちたのだ
その時だった
「うわっ!眩しいっ」
その人影は爆発的に激しく燃え上がったのだ
なんとか目を見開いてそれを見ると、それはやさしく燃え上がる大きい炎だった
それは街を照らした
そしてすぐに消えていった
まるで生まれては消える雪のような、太陽
私は、初めて太陽を見た
「どうだった。」
声がして、後ろに振り向くと、そこにはサンタクロースのお姉さんが立っていた
この世の中は理解できないことでありふれている
そして自分でもよくわからないが私はそう口にした、
「お姉さん、ありがと」
私はそう言って、微笑む
【雪】
いつもより早く起きて
窓の外を眺める
車は無理そうだ
電車動いてるかなぁ
なんて思いながらも
一夜にして単色に変わった光景に
ついニヤニヤしてしまう
まだ誰も通ってない所を
ダイブしたい欲求を抑えながら歩く
人気のない公園で立ち止まると
何だか白の仲間に入れてもらった気分
吐く息も白い
昔
モコモコジャンパーを着て保育園に行った長男が
ペッタンコジャンパーで帰って来た
何かに引っ掛け少し破れた所から
中綿が見えたらしい
中から取り出した冷たくない雪を
お友達に大盤振る舞い
雪遊びを楽しんだそうだ
確かに分からんでもない
雪
今日は雪でもふったのかってくらい寒かったな。ただ去年とかはもっと寒かった気がするからやっぱ暖冬だとは思う。
今年は雪が一瞬だけふったけどもうふらない感じなのかな。大人になったら雪なんて寒いし道路はぐちゃぐちゃだしでふらないでくれたほうが助かるから嬉しいけど。
さて、昨日ダイエットのためにあすけんを使うと決意して今日から本格的にダイエットだ。いや最近はほんと死を意識するほど体調が悪い。
とりあえず体重と朝食は記入した。なんだかんだ食事と体重を管理するならあすけんは使いやすい。無料だし。
しばらくは2000カロリーを目標にして最終的には1800の少食になるのが理想。あとは空腹がデフォでも気にならないくらい食事に興味をなくしたい。
それと食事のコスパだな。今までは目先の安さだけ考えてたけどこれからは健康を第一に考えて食事を組み立てていこう。
あなたの目に映る世界は何色ですか?
「茜は雪は好き?」
想が唐突に問いかけた。授業が終わったばかりの、二人きりの教室。窓の外では、ちらちらと白い粒が舞っている。
「嫌い」
茜は即答した。
「え、雪嫌いな人って初めて見たかも」
「だって雪って“冬”でしょ。冬の次は春が来るじゃん」
「……え、急に季節の話?」
「春が来るってことは、色んな選択肢を迫られるってこと。新しい年って、なんか苦手なんだよね」
「じゃあ春が嫌いなんじゃん」
「違うよ。春を急かしてくる“冬”が嫌いなの。で、その冬を連想させる雪はもっと嫌い。とりあえず、冬の具体例が全部嫌いなの」
「ははっ、“作用でございますか”」
想は大げさに頭を下げて、面白がるように笑った。
「茜、人は一人で生きているんだよ」
「? 人は一人じゃ生きていけないよ。寂しいじゃん」
「そういう意味じゃなくてさ――」
想は言いかけて、窓の外に視線を戻した。
「んーとね。俺たちが生きてる“世界”って、ひとつじゃないと思うんだ。人が違えば、見てる景色も、考え方も違う。みんな別々のメガネをかけて生きてるんだから、世界はその分だけあるってこと」
茜は黙って想の横顔を見つめる。
「でさ、その世界にはそれぞれの“善”がある。正しいって思える基準も、気持ちの基準も、人の数だけ違う」
ゆっくりと、想は茜の方を向いた。
「だからね、世界の外側に立って『こっちが正しい』って決めつけられる人なんて、この世にいない。そんな“神みたいな立場”の人間なんていないんだよ」
小さく笑って、想は続ける。
「だから茜は――茜がいいと思うほうを選べばいいんだよ。嫌いでも、怖くても、好きでも。茜の世界の話なんだから」
茜の睫毛がわずかに揺れた。窓の外では、相変わらず雪が静かに降っている。
「雪」
子供のころから、ゆきは大好き
ゆきだるま、ゆきうさぎ、かまくら
そり、寒いけど、なぜか楽しく温かい
思い出が残る、最近は雪山をみるのが
もっぱら幸せを感じる瞬間。
そのへんの木々にのってるゆきの姿を
おさめるのもまたいい
初めてのひとへ
どうも。いわしです。今回はじめて書くことになったので、はじめましての人に注意書きを書くことにしました。この時点でめんどくさいですよね…。
強制では無いので、何も見なかったことにしてもらって構いません。
今回テーマが「雪」となっています。彼女(ヴァーニャ)が体験したことは、私の実体験でも少しあります。ファイブのように心優しい少年は来ませんでしたけど…。
◤◢◤ ◢◤⚠️WARNING⚠️◢◤◢◤◢
⚠️アンブレラアカデミーという海外ドラマの作品の二次創作のようなものを書いています。
⚠️オリジナルキャラクターがいます。エイトです。文字通りアンブレラアカデミーの一員で、No,8です。彼は触れたものを銅に出来る、または操れる力を持ちます。
⚠️全く知らないし…なにこれ?無理無理!などと肌に合わないと感じたら直ぐにスライドしてもらって構いません!!
⚠️それでも見たい、と思った人だけどうぞ!!
⚠️英語+意訳なので、会話がめちゃくちゃな時があるかもしれません。そこはご了承ください。
⚠️個人的に世界観はとても面白い作品だと思います…!この作品はアンブレラアカデミーを知ってる前提で書いているので、分からない人が出てきた場合は調べてもらって構いません!
⚠️今回は幼少期です。アンブレラアカデミー時代の子供たちを描きました。テーマが「雪」なので…
アンブレラ・アカデミー:The Brass Core and the Silver Battlefield
その日の朝、アカデミーの窓の外は、すべてが白銀の静寂に包まれていた。
稀に見る大雪。レジナルド卿は「悪天候により、精密射撃訓練は非効率である」と宣言し、午前中の屋外演習を中止した。それは、過酷な規律に縛られた子供たちにとって、神が与えたわずかな隙間のような「自由時間」を意味していた。
図書室の窓際。エイトは制服のブレザーの襟を正し、冷たいガラスに指を触れた。
「Look at them. Number Two and Number Six are already behaving like primitive nomads.」
(見てよ。ナンバー2とナンバー6は、もう原始的な遊牧民みたいに振る舞ってる)
中庭では、すでにディエゴが雪を丸め、ベンが戸惑いながらもそれを見守っている。
エイトは肩をすくめたが、その瞳には退屈とは別の、小さな火が灯っていた。彼は部屋の隅にあった古い真鍮のペーパーウェイトを手に取ると、コートも羽織らずに中庭へと足を踏み出した。
【中庭:開戦】
中庭の空気は、肺が凍りつくほど冷たかった。三人は冬用のコートすら与えられておらず、アカデミーの制服であるハーフパンツとブレザー姿だ。膝から下はすでに真っ赤に冷え切り、吐く息は真っ白な霧となって消えていく。
「Hey, Eight! I thought you weren’t the type to get caught up in stuff like this!」
(おい、エイト! お前はこういうお遊びにはノらないタイプだと思ってたぜ!)
ディエゴが不敵に笑い、手の中の雪玉を弄ぶ。エイトは余裕の笑みを浮かべ、手の中の雪を優雅に固めた。
「I should really be observing your foolishness from the warmth of the library. But… I guess a little fieldwork on projectile motion isn’t so bad either.」
(図書室の暖かさの中から君たちの愚かさを観察すべきなんだけどね。でも……投射運動のちょっとしたフィールドワークも悪くないかなと思って)
エイトは雪を丸める際、密かに懐のペーパーウェイトから一部の真鍮を削り出し、雪玉の芯(コア)へと埋め込んだ。
「Here’s the thing, Diego. Physics always wins.」
(いいかい、ディエゴ。物理学は常に勝利するんだ)
エイトが投じた雪玉は、真鍮の重みによって完璧な放物線を描き、ディエゴの肩に正確に直撃した。
「Ow! What the hell was in that?! It felt like a rock! 」
(痛っ! 何が入ってたんだ!? 石みたいだったぞ!)
「It’s called 'density', Number Two. You should try it sometime. 」
(『密度』って言うんだよ、ナンバー2。君もいつか試してみるといい)
激昂したディエゴが次々と雪玉を投げつけるが、エイトは一歩も動かずにそれを見越していた。ディエゴの軌道操作能力は凄まじいが、エイトは投擲の瞬間の筋肉の動きから着弾点を逆算し、最小限の動きで避けてみせる。
「Ben! Don't just stand there! Help me out! 」
(ベン! 突っ立ってないで助けろよ!)
背後にいたベンが、恥ずかしそうに顔を赤らめながら一歩前に出た。
「I don't know, guys... Father said we shouldn't use our powers for recreational purposes.」
(どうかな……父さん、レクリエーション目的で能力を使うなって言ってたし)
「Oh, come on, Six! Eight is literally using heavy metals! 」
(頼むよ、シックス! エイトは文字通り重金属を使ってんだぞ!)
「...Fine. Just a little. 」
(……分かったよ。ほんの少しだけ)
ベンが目を閉じると、彼の背中から「中のもの」の触手が一本だけ、控えめに出現した。その触手は雪を巨大な塊にまとめ上げ、エイトに向かって一斉に放った。
「Oh, you naughty one!"」
(おや、悪い子だ)
エイトは笑いながらも、指先で雪玉の中の真鍮コアを操り、空中でベンの雪玉を撃墜した。雪の粉が三人の間に霧のように舞い上がる。
【沈黙の後の、本当の遊び】
能力の応酬が数分続いた後、ふと、エイトの計算が狂った。
ディエゴが放った本気の雪玉を避けようとした瞬間、足元の氷に滑ったのだ。
「Whoa—! 」
(うわっ!)
エイトが不格好に尻餅をつくと、それを見たディエゴが腹を抱えて笑い出した。
「Look at the 'Golden Boy'! Not so graceful now, are you?! 」
(『黄金の少年』様を見てろよ! 今はちっとも優雅じゃないぜ!)
エイトは屈辱に顔を赤くしたが、すぐに冷たい雪を両手で掴んだ。今度は能力を使わない、ただの、柔らかな雪の塊だ。
「That’s it. The fun stops now.」
(そこまでだ。お遊びはここまで)
エイトが投げた無造作な雪玉がディエゴの鼻先に当たった。ベンも笑いながら加勢し、三人はいつの間にか能力を使うのを忘れ、ただ無邪気に雪を投げ合っていた。
笑いながら追いかけっこをしているうちに、三人は中庭の隅にある大きな雪の吹き溜まりに突っ込んだ。
「Wait, wait—! 」
(待て、待て——!)
ディエゴがエイトの足を引き、エイトがベンの袖を掴み、三人は連鎖するように雪の山へと崩れ落ちた。
深い雪の中に、三人の少年の体が埋まる。
「...Is everyone alive? 」
(……みんな生きてるかい?)
雪の中からエイトの声が聞こえた。
ディエゴが顔を出し、頭に積もった雪を振り払った。ベンも雪だるまのようになって笑っている。
「I think... I think my socks are officially gone. 」
(僕の靴下……完全に行方不明になった気がする)
ベンの言葉に、エイトは仰向けに寝転んだまま、真っ白な空を見上げて笑った。
「My collar is filled with ice. I will have a fever by dinner.」
(襟の中が氷でいっぱいだ。夕食までに熱が出るね)
「Shut up about the after, Eight. That was fun.right?」
(その後の話はいいよ、エイト。楽しかっただろ?)
ディエゴがエイトの肩を叩く。三人は真っ赤になった鼻をすすりながら、しばらく冷たい雪の上で笑い続けていた。
【帰還:嵐の前の静けさ】
屋敷の勝手口に戻る頃には、三人は文字通り「びしょ濡れ」だった。
ブレザーは雪を吸って重くなり、ハーフパンツからは水が滴っている。
「I told you we should have used umbrellas.」
(傘を使うべきだったって言っただろう)
エイトがブツブツと文句を言う。彼の完璧だった髪型は崩れ、首元には溶けかかった雪が入り込んでいた。
「You’re the 'Umbrella' Academy, Eight. Use your head.」
(お前こそ『アンブレラ』・アカデミーだろ、エイト。頭を使えよ)
「My head is currently frozen, Diego. 」
(僕の頭は今、凍結中だよ、ディエゴ)
「Guys, we need to sneak in... if Mom sees us like this...」
(みんな、こっそり入らないと……もしママに見つかったら……)
ベンの懸念は、その瞬間に現実となった。
「Oh, my!」
(まあ、なんてこと!)
エプロン姿のグレース(ママ)が、廊下で立ち止まっていた。彼女はいつも通りの優しい微笑みを浮かべていたが、その瞳には「お仕置き」の光が宿っている。
「Look at you three. You look like you’ve been swimming in the Arctic! 」
(あなたたち三人を見てみて。まるで北極で泳いできたみたい!)
「Mom, it was Diego’s fault. He wanted a caveman level fight.」
(ママ、ディエゴのせいだよ。彼が原始人レベルの戦いを欲しがってたから)
エイトが即座に責任を転嫁するが、グレースは三人の耳をひょいとつまんだ。
「No excuses, Number Eight. Into the bath, all of you! And no cookies until you’re dry and warm.」
(言い訳はなしよ、ナンバー8。全員お風呂に入りなさい! 乾いて温まるまでクッキーはお預けよ)
「No cookies?! 」
(クッキーなし!?)
三人は一斉に絶望の声を上げた。
温かい風呂に入れられ、お揃いのパジャマに着替えさせられた後、三人は図書室の暖炉の前で震えながら並んで座った。
エイトは毛布にくるまりながら、まだ少し冷たい自分の指先を見つめた。
能力や任務、父様の期待……そんな重圧がすべて消えた、純粋な冬の午後。
「Hey, Eight. 」
(ねえ、エイト)
ディエゴが小声で話しかけてきた。
「What? 」
(何だい?)
「Next time... no brass cores. Just regular snow.」
(次は……真鍮の芯はなしだ。普通の雪でやろうぜ)
エイトは温かいココアを一口飲み、余裕のある笑みを取り戻した。
「We’ll see, Number Two. 」
(考えておくよ、ナンバー2。)
暖炉の火が三人の顔を赤く照らしていた。それは、やがて来る過酷な運命の前の一時的な、しかし決して消えることのない「家族」の記憶だった。
アンブレラ・アカデミー:The Unsent Invitation and the Cold Comfort
窓の外では、三人の少年たちが泥臭く雪を投げ合っていた。
エイトが不格好に転び、ディエゴが爆笑し、ベンがそれを支えようとして一緒に倒れ込む。アカデミーの冷たい規律を、彼らの笑い声が少しずつ溶かしていく。
その光景を、二階の窓から二人の少女が見つめていた。
「Look at them. They’re like puppies in the mud. How immature.」
(見てよ。泥だらけの子犬みたい。なんて幼いの)
アリソンが退屈そうに髪を指でいじりながら言った。彼女の目には、その「泥臭い遊び」に加わる価値など微塵も感じられないようだった。
「But... they look happy.」
(でも……楽しそうだよ)
ヴァーニャが控えめに呟く。彼女の手は、窓ガラスに触れたい衝動を抑えるように、スカートの裾を固く握りしめていた。
「If you want to go freeze your toes off with those idiots, be my guest. I’m going to stay here where it’s warm and civilized.」
(あのバカたちと一緒に足の指を凍らせたいなら、ご自由に。私はここに残って、温かくて文明的な時間を過ごすわ)
アリソンは背を向け、鏡の前へと戻ってしまった。
一人残されたヴァーニャは、もう一度中庭を見下ろした。エイトがディエゴの首筋に雪を詰め込み、追いかけっこが始まっている。
——私も、あそこに行ってもいいのかな。
胸が高鳴った。ヴァーニャは自室へ駆け戻り、クローゼットの奥から「準備」を始めた。
アンブレラ・アカデミーのロゴが入った厚手のコート、編みかけの毛糸の帽子、そして耳当て。彼女は一つ一つのアイテムを、まるでお守りのように丁寧に身につけていった。
指先が震える。ワクワクする気持ちが、冷たい心臓を温めていく。
「Wait for me...」
(待ってて……)
彼女は廊下を走り、重い勝手口の扉を開けた。冷たい外気が肺に飛び込み、真っ白な雪原が彼女を迎え入れる。
だが。
中庭には、誰もいなかった。
そこにあるのは、三人が暴れ回った後の無残な雪の轍と、エイトが落としたであろう小さな真鍮の破片だけだった。
笑い声はもう聞こえない。風の音だけが、ヴァーニャの頬を冷たく撫でていく。
「Oh... 」
(あ……)
期待が大きかった分、失望は重く鋭かった。
準備したコートも、耳当ても、今はただ自分を「外側」の人間だと強調するための重石にしか感じられない。ヴァーニャは雪原の真ん中で、一人ぽつんと立ち尽くした。
視界がじわりと滲む。溢れそうになった涙が、冷たい風で凍りつきそうだった。
その時。
——パフッ。
軽い衝撃と共に、ヴァーニャの背中に雪玉が当たった。
驚いて振り返ると、そこにはファイブが立っていた。彼はコートも羽織らず、制服のままで、手の中で次の雪玉を転がしている。
「Your defense is wide open, Vanya. If this is true, you’d be dead in three seconds.」
(防御がガラ空きだよ、ヴァーニャ。統計的に言えば、君は3秒で死んでるね)
ファイブはエイトのような皮肉を口にしたが、その瞳には冷徹さよりも、どこか気まずそうな色が混じっていた。
「Five... I thought you were in the library. 」
(ファイブ……図書室にいるんだと思ってた)
「Books are quiet. But the silence out here was getting annoying.」
(本は静かだけど、ここの静けさはちょっと鼻につき始めてたからね)
ファイブはそう言うと、わざと下手なフォームでもう一つの雪玉を投げた。それはヴァーニャの足元で虚しく弾ける。
「...Is that the best you can do?」
(……それが精一杯?)
ヴァーニャが鼻をすすりながら、小さく笑った。彼女は地面の雪を掴むと、ファイブに向かって投げ返した。
ファイブは空間跳躍を使えば簡単に避けられたはずだ。だが、彼は一歩も動かず、ヴァーニャの不器用な雪玉を正面から受け止めた。
「Bullseye.」
(命中だ)
ファイブは胸元についた雪を払い、ヴァーニャの隣まで歩いてきた。二人は並んで、三人が残した雪の跡を見つめた。
「They already went inside. Mom is giving them cocoa.」
(みんな、もう中に入っちゃった。ママがココアを淹れてるよ)
「I noticed. They looked like drowned rats.」
(気づいてたよ。ずぶ濡れのネズミみたいだったね)
ファイブはポケットに手を突っ込み、どうでもいい日常の話を始めた。
「By the way, did you see Pogo this morning? He was trying to clear the porch and nearly slipped on his cane. It was almost worth recording.」
(ところで、今朝のポゴを見たかい? ポーチを掃除しようとして、杖を滑らせそうになってた。記録に残す価値があるくらいだったよ)
「He would have been so embarrassed. 」
(ポゴ、すごく恥ずかしがっただろうね)
「Exactly. 」
(その通り)
二人はしばらく、冬の冷たい空気の中で、とりとめのない会話を続けた。
ヴァーニャの悲しみは、ファイブの淡々とした言葉によって、少しずつ凪いでいった。彼はヴァーニャを「家族の輪」に強引に入れることはしなかったが、今、彼女が一人ではないことだけを、その場に留まることで証明していた。
「Let’s go back,Vanya. If we stay out here any longer, we’ll start looking like those three idiots. And I have a reputation to maintain.」
(戻ろう、セブン。これ以上ここにいたら、あの三人のバカと同じに見えちゃう。僕には守るべき評判があるからね)
「Okay, Five.」
(うん、ファイブ)
ヴァーニャは、自分で用意した耳当てを少しだけ直した。
二人が屋敷へ戻る歩調は、ゆっくりとしていた。中庭に残された二つの足跡は、重なり合うようにして、温かな光の漏れる玄関へと続いていた。
「雪」
落ちてくる間に、崩れて消えてしまいそうな、雪の降る日だった。足元を包み込んだ雪は、私の足音を吸い込んでいた。
私は何も考えずに歩いた。少しの街灯に照らし出された雪が、ゆっくり、彷徨いながら落ちていくのをただ眺めながら。その瞬間、街灯も雪も全て、視界の片隅に光の尾を引いて流れ込んだ。今感じるのは、手のひらと膝に押し寄せる、鈍く重い痛みと、熱に消えていく雪の冷たさだけだ。
私は立ちあがろうとした。でも、立ち上がらなかった。もう子どもじゃないから、転んだくらいじゃ泣かない。正直、それほど痛くはなかった。鼻の奥がつんとして、涙が次々に溢れて止まらない。私は雪の上に手をついたまま、泣いた。たくさん泣いた。今は痛みも冷たさも心地良い。大人でも、泣いていい理由が欲しかったのかもしれなかった。
『雪』
雪を見るのは好き。
降っても構わない。
ただ、積もるな!!
雪かきはしたくない。
「雪」
冬になれば、この国は雪に覆われる。
濃い緑色の木々も、黒い大地も、すべて白色に包まれる。
とても綺麗だと思う。同時に、この景色の中に踏み入ったら戻れないのではないか、とも思う。
そんな景色に彩りを与えて、現実感を取り戻させてくれるのは彼女の姿だ。
「すっごく積もったね! 綺麗だけど、お家の周りの雪かきとか大変そう……みんなで頑張ろうね!」
元気に笑いつつスコップを構える彼女に、私は「そうだね」と返事する。
幻想的な景色があろうと、私達はここに生きている。
生きている以上、生きるための活動は続けなければならない。
私もまた気合いを入れて、彼女と共にスコップを握りしめた。
雪
「あ、雪だ」
寒さが激しくなり、カーテンを閉めようと窓の外を覗くと、パラパラと大粒の雪が降はじめていた。
大粒の雪は間隔をあけて、ベランダのサッシに着地するとすぐに水になって流れてしまう。
「これは積もらないね」
「わからないよ、長い時間降れば積もりそう」
しばらく二人は、パラパラと静かに降る雪を観察していた。
少しずつ雪が速度を上げて降り始める。
サッシに着地した雪同士が重なった。その雪は解ける間も与えられず、上からふわふわと雪が積もり始める。
「本当だ、積もるかも」
「でしょ、今のうちにダッフルコートを出しておこうっと」
「手袋ってあったっけ」
まだ雪は積もっていないのに、二人はワクワクしながら雪遊びの支度を始めた。
0.1mmの氷を研磨する鋭い風。人の手が敵わない美しい模様を自然の彫刻刀が彫り込んでいく。何千のパターンを一夜にして降り落とす様は、さぞ愉快なのだろう。
肉眼では見れない、自然の宝石。
「お題 雪」#127
その日の敵はあまりにも早い出現だった。より具体的に言うと夜の十二時をほんとに若干、十分ほど過ぎたあたりで、なんの感触もなかったのに急に結界にぶち込まれたのだ。
家で結界の中に入るなんてこと一回もなかったから、もしかしたら全て戦いは幻想で、戻ってきたと思った時には部屋が大惨事だったらどうしよう、なんて密かに思っていたものの、そんなに強くなかった敵を倒して戻ってきたとき、あたしは床で倒れていて、部屋は特に何かが起こってはいなかった。
とりあえずなんか猛烈に寒いので一旦リビングで温かいココアを啜りながら言った。
「それにしてもさ、早くない?」
『敵は十二時更新だからね』
「何その言い方。ゲームみたいじゃん」
とはいえいい具合ではあるのかもしれない。それこそ本当にゲームのように、例えば四時更新とかだったら、きっとあたしは寝てる間に結界に引きずり込まれて死んでしまっていただろう。
『そんなことはないよ』
「…………!?」
何も口には出てないはずなのにマスコットは不意にそう言ったので、あたしは口に含んだココアを勢いよく飲んでしまい、喉が焼けるように熱くなった。
『キミが結界に入った瞬間に意識は通常時まで覚醒する。じゃないと戦えないからね』
「……それは、怪物の意思?」
『いや。魔法少女の耐性の話さ』
「そっか」
それはとってもいい事だ、と思った。あたしがあたし以外のせいにできるような状況で死ぬことはない、というのはいいんだと思う。何かのせいで死んじゃうなんてできれば避けたいことだから。
「それにしても……寒くない?」
『ボクには外気温を感じる器官は残念ながら無いのだけれど、そんなにかい?』
「人外だな…………。寒いよ、いつもより」
寒くないでもちょうどいいでもなく、感じる器官が無いだなんてえらく人間じゃない回答に若干苦笑しながらカーテンを開けば雪が降っていた。
「……! 雪だ!!」
『ああ、だからじゃないかい。あまりにも外気温が低い時に雨が雪へと変わるんだろう?』
「そうだけどそんなことは最早どうでもいいよ! 雪だよ、雪!」
第七話 雪