「雪」
落ちてくる間に、崩れて消えてしまいそうな、雪の降る日だった。足元を包み込んだ雪は、私の足音を吸い込んでいた。
私は何も考えずに歩いた。少しの街灯に照らし出された雪が、ゆっくり、彷徨いながら落ちていくのをただ眺めながら。その瞬間、街灯も雪も全て、視界の片隅に光の尾を引いて流れ込んだ。今感じるのは、手のひらと膝に押し寄せる、鈍く重い痛みと、熱に消えていく雪の冷たさだけだ。
私は立ちあがろうとした。でも、立ち上がらなかった。もう子どもじゃないから、転んだくらいじゃ泣かない。正直、それほど痛くはなかった。鼻の奥がつんとして、涙が次々に溢れて止まらない。私は雪の上に手をついたまま、泣いた。たくさん泣いた。今は痛みも冷たさも心地良い。大人でも、泣いていい理由が欲しかったのかもしれなかった。
1/8/2026, 1:24:23 AM