赤い糸』の作文集

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赤い糸』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

6/30/2024, 1:36:53 PM

赤い糸


昔の恋愛マンガには必ずと言っていいくらい、このワードが出てきました。なのに今や死語と言うより、忘れ去られた言葉に分類されるのではないでしょうか。

当時と言えば、ロングヘアをなびかせ、大小の星が描かれた大きな瞳の主人公とその相手役(大概お金持ち)がテッパンでした。
そんな2人の恋の行き先にキュンキュンして。

でもそんな時代ど真ん中の私ですら、忘れてしまってた。(歳のせいではないと思う)

今時の子が知ったら「エモいんだけどー」とか言われそうです。(個人的見解)

今の恋愛マンガにおいての“赤い糸的存在”はスマホのようです。

主人公が恋愛成就するためにはまず相手の連絡先をゲットすることから始まります。

若しくは、落としたスマホを通りがかった男性が拾ってあげるとか。
スマホを忘れて家を出てしまい、道に迷ったところを通りがかった(好みのタイプの)男性が道案内してくれたりとか。

となったら、現代においての赤い糸って、スマホになるのでは?

おかしいな。
私、ほとんど一日中肌身離さず持ってるのになぁ。
繋がってる感が無いみたいですが?
結構な頻度で落とすからかなー。(故意ではない)

スマホ様、これからはぞんざいに扱うのを改めますから、そろそろ本気出して頂けないでしょうか。

end

6/30/2024, 1:36:15 PM

『赤い糸』

古くは縄だと思ったが、
神に頼る者はとかく赤い糸やら紐やらを結びたがるな。
己の守護や幸運を願い、
その繁栄を神に委ねて契りたいか。
見えない糸に目を凝らすより、
沸き立つ血にでも耳を澄ませたほうが早そうなものだ。

出会えた相手が既に誰かの気まぐれで、
他の誰かと紐結ばれていては堪らないが。
千切れる想いに身を焦がすのも運命ならば、
果たして神の定めし幸福とやらが、
僅かな個人の望みにも叶うと良いのだがな。

6/30/2024, 1:33:48 PM

運命の赤い糸。そんなものはない。
あってたまるか運命くらい自分で探しに行け!

6/30/2024, 1:31:05 PM

蜃気楼の向こうから一人の背の高い男が歩いてくる。

足音もたてず、でも確実にこちらに向かってきている。

すぐそばまで来た時、男はこちらを向いて、大きな口でにたり、と笑った。

「ヒィッ」

口の中は血でいっぱいになっていた。



『恐怖!赤い糸ようじ』
糸ようじのやりすぎには気をつけよう!

「赤い糸」

6/30/2024, 1:30:26 PM

「赤い糸」

細くて丈夫な赤い糸

下手なあやとりでもつれた糸は

ちょっとやそっとじゃほどけない

糸切りばさみを用意して

絡まる所を切って結べば

少しは間が近くなる

6/30/2024, 1:29:46 PM

赤い糸


同級生思い出す。
読み返そうかな。

6/30/2024, 1:27:34 PM

人類は突然、小指に巻きつけられた赤い糸が見えるようになった。運命の赤い糸という言葉の通り、運命の人と繋がっているらしい。
 この赤い糸の存在で、世の中は阿鼻地獄となった。
 夫婦なのに結ばれていない。手繰り寄せたらストーカーと結ばれていた。そもそも相手は人間でなかった。
 大混乱の中、私は自分に巻きついた赤い糸を見て、幼い頃に読んだ絵本を思い出した。赤い糸で繋がったお姫様を、素敵な王子様が迎えに行く物語だ。

 私もきっと、王子様が迎えに来る。

 過信していた私は、王子様の迎えを待った。
 一か月、半年、一年、三年。
 迎えなんて来やしないのだと気がついたのは、赤い糸が初めて見えた日から五年が経っていた。世間では赤い糸騒動と称して、一連の事件は終息したと思われている。赤い糸で結ばれていようがいまいが、幸せな人は幸せだし、不幸な人は不幸だという認識に落ち着いたからだ。

 それでも、私はこの小指にずっと存在している赤い糸の先が知りたい。

 居ても立っても居られなくて、私は夏休みを利用して自分の赤い糸を辿った。約半日、炎天下の中を歩きっぱなしになったが、ようやく終点が見えた。
 辿り着いた場所は、白い建物で表に救急車が止まっていた。

 私の運命の人は、ここにいるらしい。
 患者側か、職員側か。どちらかまだ分からないけど、一つ確かに分かったことがある。

 患者ならそれどころじゃなくて。
 職員なら激務すぎて。
 そりゃ迎えに来られないわ。


『赤い糸』

6/30/2024, 1:25:12 PM

運命だとか
赤い糸だとか
そんなのは
どうだっていい

俺は
君が好きだから
一緒にいたい

ただ
それだけなんだ

6/30/2024, 1:24:30 PM

赤い糸

赤、という色は何故だろう。赤い色の糸を象徴として用いる文化は多い。白だったら?…何か縁の質が違う気がする。黒だったら…ヤだな。人間の暮らしや人生の、一般的で重要な「縁あればこそ」結ぶ縁には、赤い色の糸がしっくりくるのかも知れない。

ここ数日、複雑に錯綜し縺れてしまっている糸を辿るような流れに取り込まれて、深い深い、深い闇を見るはめになった。重力かと思うほどの重さ、密度、暗さ、痛さ、苦しみ、呻き、破裂する絶叫。その中に居る飛び立ちたい小鳥達。正直に言えば、心臓周りの内蔵がまるで裏返るようなストレス反応が顕れている。またか。出くわしたこと自体を事故とは言えない。何か意味が、私なりに作用できるポイントが在るはずだ…「人間の愚かな因業」などという薄っぺらい言葉で捨てるにはあまりに重い。

溜まった涙がこぼれて止まらぬ鳥の瞳。「生きろ」とすら言えぬいたましさ。

しっかりしろ、こころ折れるな。
おとなが私だけなんて最悪だが、それは今考えることじゃない。今はまだ。

6/30/2024, 1:19:33 PM

赤い糸



私には昔から不思議な力がある。
その人の『運命の赤い糸』が視えるのだ。

『運命の赤い糸』は将来、その人が誰と結ばれるのか分かる糸だ。
ぐっと瞳に力を入れると視えるようになるけれど、普段は見ないようにしている。

誰と誰が結ばれるのかが最初分かった時は、恋のキューピッド役なんていうのをやっていて、それはとても良いことだと思っていた。

自分の赤い糸は見えない。
どんなに凝らしても視えない。

だから、自分の好きな人が別な人と繋がっていると、とても胸が痛んだ。

何回も『そうか…私じゃないんだ…』って思った。
それから、他人の恋に対しても応援することができなくなってしまった。

神様はなんでこんな力をくれたんだろうか?
他の人には無い力。
何か役立てることがあるはずなんじゃないだろうか?

そんなふうに葛藤もした。
それから年齢=彼氏いない歴になってしまい、もう30代も目前だ。
正直、処女であることに焦りを感じる。
とは言いつつも、恋愛をどこか遠いどこかの出来事のようにしか思えなかった。


そんなある時、中途入社してきた男性がいた。
その人は少し強面の体格がガッシリしている人で、
少し凄みという目力がある人だった。

何となく苦手だと思ったけれど、その人の『運命の赤い糸』がいきなり視えた。
いつもなら、瞳を凝らせないと視えないはずなのに、今はそんなことをしなくても楽に視えていた。

誰と繋がっているんだろ?と少し好奇心が勝った。
たどっていくと、段々と私の近くにいる人に近づいているようだった。

というより、自分の視界の端に赤い色が視えた。
よく見れば自分の小指に繋がっていたのだ。

「えっ?」

あまりの出来事に素っ頓狂な声が出て、周囲の注目を浴びてしまった。
だがそんなことよりも、ちょっと苦手なあの人と私が…!?という驚きもそうなのだが、自分の赤い糸が初めて視えたことに感動した。

(私にもあるんだ…。運命の人…。)

これから、あの人とどう結ばれるのか、少し気恥ずかしい気持ちながらも、これから起こる様々なことに胸の高鳴りを覚えた。

6/30/2024, 1:18:43 PM

夕暮れ時、ふらふらと街を歩いていた。
そこで信号待ちをしている君を見つけた。
信号が青になり、渡ろうとした瞬間
クラクションを鳴らすトラックが目の前まで迫った。
咄嗟に君を庇おうとして突き飛ばした。


君が泣き叫ぶ声、周りの騒々しさ、辺りに漂う鉄の匂い、目の前の鮮血。

赤い糸が、見えた気がした。

6/30/2024, 1:15:51 PM

このたび私は 大人になりました
卒業式という 節目を超えて

ーー

子供じゃ なくなりました


いつもクラスみんな 仲が良くて
運命だねって 笑ってました

担任の先生は三年間同じでした
友達くらいの距離で仲のいい先生でした
ずっと へらへらしてたけど

最後は一番泣いていました

先生、言いました
゛最高のクラスで 一生 忘れない゛と
私、何故だか 泣くのが恥ずかしくてね

「先生!私、先生のクラスでよかったよ!!ありがとう!!」って

笑って ムード作って 
親も混ざって 
みんなで先生ちゃかしてね

誤魔化したの

だってね これで終わりって思えなかったんですよ
卒業してもクラスみんなで
集まって遊ぶんだって思ってたんです

違いました

ーーー

このたび私は 社会人になりました
運命って思ってたけど みんな なかなか
会えませんでした
勉強が 苦手だからとか 理由は色々でした
大学とか 行きませんでした

早く働いて 大人になって 一人暮らししようって
張り切ってたんです

けれど現実は全然甘くなくて
人付き合い、大変で
うまく、やれなくて

学校 遊び行ったら 先生迎えてくれたから
話して 帰る途中にね

「大人に なりたくないなぁ」って

1人でちょっと 心がきゅってして
泣いたの

だってね もっと、うまくやれると思ったんです
すぐに大人になるって
自分のお金でたくさん旅行行くんだって

思ってたんですよ

ーーー

結局 大人になってから
遊ぶ子は ひとりだけでした
一番仲良い子でした
運命は 一つだけでした
他のみんなは 何してるんだろう

運命は それの赤い糸は 他の皆は 
オレンジくらいの色だったのかもなと
今なら思うんです
運命だけど ちょっと薄かったのかなって


強がりとかじゃなくて 今は
本当に 寂しくないんです
色々、あったから
沢山、悲しい思いしたので

心が強く、そして、優しく、
なったんです

だから、だから、

私 大人になれてるといいなと

思いながら 生きてるんです

6/30/2024, 1:14:49 PM

(本当に大切な人は一目見ただけでわかるものよ)
「ねぇ、起きて!ねえってば!!」
僕は彼女に揺さぶられて目を覚ました。とても懐かしい夢を見ていた気がする。
「もう!こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまうわ」
僕を心配をしてくれる君にありがとうと伝え、重い瞼を擦った。
「ところで、随分と長く何かを探していたようだけど目的のものは見つかった?」
僕がそう聞くと、君は聞い欲しかったと言わんばかりの満面の笑みを浮かべ、あるものを僕の胸の前へ突き出した。
「、、、何?これ」
君から手渡されたのは10センチ程の赤い紐だった。
「懐かしいでしょ!あなたのお祖母様からいただいたものよ、」
僕が不思議そうな顔をすると。君もあれ、知らない?と不思議そうな表情を見せた。
「昔、あなたのお家へ遊びに行ったじゃない?その時にお祖母様が、お互いの1番心臓に近い指に赤い紐を巻くと相手に幸せが訪れるって」
彼女がそう言うと、途端にさっき見ていた夢を思い出した。
(本当に大切な人はね、貴方が相手のことを大切に思うように。貴方のことをあなた以上に大切に思ってくれるはずよ)そう祖母が言っていた。
「あなた最近元気なかったじゃない?だから少しでも元気になって欲しくて」
彼女はそう言い。僕の薬指に紐を絡ませた。
今は亡き祖母のことを思い出し、涙腺が緩くなる。
でも僕は、決して1人じゃないってことを君に思い出させてもらった。
「ありがとう。」僕がそう言うと。
君は、どういたしまして。そう言い笑った。

6/30/2024, 1:11:17 PM

河原を歩いている。

 自宅から何分もかからない距離にある川は、昔から俺の散歩コースだ。勉強に集中できない時や寝付きが悪い時なんかにはよく、親や兄弟には内緒でこっそり家を出て適当に歩き回る。

 今夜も今夜とてゲームの合間の息抜きにこっそり抜け出してきた。河原には誰もおらず、水の流れも穏やかだ。周囲の街頭と月明かりの下、水面がゆらゆらと揺れている。

 俺はこの時間が好きだ。

 昼間は勉強や部活に明け暮れ、夕方は家族の喧騒に紛れながら身の回りのことをこなしていく。俺の家族は良くも悪くも皆、賑やかな人たちばかりで、落ち着いて過ごすということを知らない。さっきまでいた自室からは何かスポーツの試合番組を観ていたのだろうか、居間から歓声が壁越しに響いていた。

 草を蹴り、石を蹴る。

 静かな川を眺めながら、俺はズボンのポケットに両手を突っ込む。高校生である自分にはやらないといけないことが多い。

 勉強。
 部活。
 そして、進路のことを考えること。

 進路ねぇ、と思わず溜息が漏れる。

 勉強は数学と歴史が好き、部活もまぁまぁ、あと好きなことは、ゲーム。主に格闘ゲームが好きかな。などと色々頭を巡らせるが、どうにもしっくりとはこない。

 ばしゃ、と川の向こうで魚か何かが跳ねる音がした。

 何となく気になり、音がした方へ歩いていくといつの間にか橋の下まで来ていた。コンクリートの柱には誰かがスプレーで描いたであろうローマ字の落書きが柱いっぱいにかかれている。

 こういう落書きって誰が描いているだろうな。

 そっ、とローマ字の端を撫でる。不良かアーティストか、それとも普段は学生やサラリーマンをしているのだろうか。やっていることの違法性はさておき、そのセンスは少々羨ましいとさえ思える。

 俺にも何か特別なことが出来るのだろうか。

 ふと、柱の影でごそごそと黒いものが動いた。急なことで鳥肌が立ったが、すぐに動いたものの正体が分かった。

 黒い子猫だった。

 生まれて何日かは経っている様子だが、親猫の気配は感じられない。他に猫はおらず、この子猫だけだ。捨てられたのか、親猫に何かあったのか。

 みぃ みぃ

 赤ん坊の靴のような鳴き声をあげながら、子猫は、てとてと、と近づいてくる。足元までやっとくると小さな頭を上げて俺をじ、と見つめてきた。

 今、俺が出来ることはきっと…

 そっと子猫を抱き、頭を撫でながら、どう説明したものか、と河原を後にした。



 時が経ち、俺は社会人になり、実家を離れて一人暮らしを始めた。

 あの日河原で拾った子猫はすっかり大人の黒猫になり、今でも実家でのんびりと暮らしている。

 今思うとあれはきっと何かに導かれていたのだろう。

 そして最近も何かに導かれている気がしている。

 そう思い、今日も今日とて仕事終わりにゲームセンターへ足を運ぶのだった。

【赤い糸】

6/30/2024, 1:10:40 PM

「君と私は赤い糸で結ばれてるんだよ。」
そう言って小指を立てた。ずるい私でごめんね。

「何で運命の糸は、赤なんだろうね。」
私が聞くと彼は、悪戯っぽく笑った。
「それはね。血の色だからだよ。」
彼は私を驚かそうとしたのだろうか。しかし、逆効果だ。いつだって私を楽しませてくれる彼が、とても愛おしい。
「血の色って、何だか呪いみたい。」
「確かに。」
二人で笑った。こんな幸せな日々は、長く続かないのに。

「ごめんね。駄目な彼女で。」
私は最後の力を振り絞って、彼の手を握った。投薬で浮腫んだ手を、彼は強く握り返してきた。もう時期、私は死ぬのだろう。前々から分かっていた事なのに、こんなにも怖いなんて。
「大丈夫。俺はずっと傍にいるよ。」
彼は笑顔で言ってくれた。しかし、目元が赤くなっている。私に気遣ってくれたのだろう。
「ありがとう。じゃあ、一つお願いしていい?」
彼は頷いた。きっとこれは、彼の人生を邪魔する最悪の願いだ。それでも、最後ぐらい我儘な呪いをかけさせてね。
「私以外と、結ばれないでね。君と私は赤い糸で結ばれてるんだから。」
彼は驚いた顔を見せた。しかし、笑顔で言ってくれた。
「俺には君だけだよ。だから君も、天国で浮気したら駄目だよ。」
二人で笑った。二人を結ぶ赤い糸。私は願う。糸が切れないように、ただ願う。

6/30/2024, 1:10:36 PM

きみと赤い糸で繋がっているんじゃないかって、なんとなく思う。今までモノクロだった世界だったけど、きみと出会って、世界が彩った。運命の人の定義ってなんだろう。きみが運命の人だったらいいのに。

6/30/2024, 1:10:21 PM

運命の赤い糸。
 とても素敵な響きだ。『運命』と『情熱の赤』。
 私にも繋がっているのだろうか? と、何も付いていない小指を眺めてみる。
 どんな風に結ばれているのだろうか。その糸の先には誰がいるんだろう。
 まあでも、と私は息を吐く。
 家のリビングでソファに座って、テレビのリモコンを手持ち無沙汰に操作している彼を見て。
 私に運命の赤い糸が繋がってたとして、その糸の先にいるのは──。
「あれ、帰ってたんだ。おかえり」
 彼はようやく私に気づいたのか、ひらひら手を振りながら言った。
「……ん、ただいまお兄ちゃん」
 糸の先は、この人じゃないだろうな。

6/30/2024, 1:10:20 PM

僕の運命の人

運命の赤い糸。目には見えないけど、繋がってる人、見つけてしまったかも。嗚呼、絶対に君だよ。

6/30/2024, 1:08:53 PM

運命だって、初めてそう思えたの


『運命の赤い糸』が見える世界でただ一人『糸』が見えない私がそう言った時、君は戸惑いながらも優しくしてくれたよね。

でも赤い糸が繋がってる相手を見つけた途端すぐそっちに行っちゃった!なんて薄情な人!

赤い糸で繋がってないとダメなの?
運命じゃなきゃ幸せになれないの?
私は赤い糸なんかじゃなくて、君を見てこの人となら幸せになれるかもって思ったのに君は違うの?
そんな糸なんかで繋がれた相手を見たらすぐ好きになっちゃうような人だったの


私はどうすれば君と運命になれるの、おしえてよ





■赤い糸

6/30/2024, 1:08:21 PM

キジバトが翼を鳴らして飛んでゆく。

眼下の街並みは、朝の日差しと共に、忙しく、長閑に目覚め始めた。
穏やかな一抹の朝風が、ゆっくりと街の家々の隙間を吹き抜ける。

城壁のバルコニーの手すりに、朝露が光っている。
定刻を告げる教会の鐘の音が、穏やかな朝の中に響き渡る。
朝の祈念の刻を告げる音だ。
修道士たちの朝の祈念と一日の始まりを告げる音であり、そのまま労働民たちの一日の始まりの刻の音でもある。

私は朝の王国を眺めながら、小さく伸びをする。
先程の鐘の音で、宮廷人たちも目覚めたことだろう。
私たちにずっと貼り付いて世話を行う、侍女たちも、流石に今から準備があるだろう。

まだ一人で過ごす時間がある。

次の鐘で、侍女たちがやってくるだろう。
その後、貴族や官僚人が出仕して、朝の御前会議をして、今日は、今月付で城に上がる侍女の臣従儀礼があって…。
これからの予定を脳裏に描くだけで思わずため息が漏れる。

バルコニーのテーブルに置いておいたハンカチを取る。
一週間ほど前に、元騎士団長の戦大臣からお願いされてたハンカチの刺繍。
官司任命と出仕の記念品として、ぜひ私に刺繍をいただいて奥様にプレゼントしたい、と頼まれたのだ。
ほんのり桃色のリネンのハンカチは、すっきりと上品で、伯爵家出の奥様に、よくお似合いだ。

その薄桃色に映えるよう、赤い刺繍を入れていた。
完成間近まで縫い進めているので、この時間に仕上げてしまおう。

赤い糸を通して玉結ぶ。

この王国に嫁いで、もう一年が経つ。
暮らしぶりは、まあ、そこそこだ。
ご飯の美味しさや生活水準は、さして変わらない。

大変なのは業務だ。
貴族の娘と国王夫人では、仕事の量が桁違いだ。
宮廷人や城の雑務の指示、官司とその夫人家族との社交、外交相の労い、後継を成す準備に、出資や申立ての対応、労働民への労い…

さらに、夫_国王の歳が若くないせいもあり、新興の事業や法令改正の相談は、若く提案しやすいこちらの耳に入る。
国王は進んだ男女観の持ち主であり、私が官司や国民から、いろいろな相談事されることを黙認している。

そして、夜の寝室で、こっそりと御助言をなさる。
「気を引き締めよ。贔屓は権力の均衡崩壊に、権力の均衡の崩壊は我々支配者の死に繋がるでな」
「朕と其方は、平和を手にしたが、平和の光も影を写すでな、平和の維持とは難しきものよ」
「できれば朕は、其方と生涯を全うしたいのでな、くれぐれも頼むぞ」
そして、私と王は、疲れの滲む顔を見合わせるのだ。

赤い糸に導かれるように、戦の時勢の中で出会って、ここまで走ってきた。
先の大戦で、国王のさっぱりとした気質に惚れた私は、共に戦場を駆け、敵を退け、平和を掴んで、ここまでやってきた。
運命の針に導かれ、針に通る赤い糸に引かれるように、運良く、逞しく、なんとかこの地位を掴み取ったものだが……

世の女性たちは高貴な身に焦がれるという。
存外、楽でも気楽でもないわよ、と助言したいものである。

小さい頃読んでいたお伽話は、運良く王子様と婚約したところで皆話が閉じる。
その後の彼女たちは、いったい幸せだったのだろうか。
彼女らの何人が、平和な治世を末長く治められたのであろうか。

赤い糸に結ばれた相手と、このような刺激的で慌ただしい日々を、助け合いながら生きていくのは、なんだかんだ幸せなことであろう。
実際、心の内の裡から、私は幸せだ。

だが、その幸せは針の上の糸の如く、繊細で細やかな日常であり…
毎日続けば、朝がちと憂鬱にもなる。
今朝のように。

教会の鐘が鳴った。
そろそろ侍女が、今日の衣装と予定表を手に部屋へ来るだろう。
私は赤い刺繍糸を玉留めて、立ち上がる。
侍女を迎える準備をしなくては。

ガラガラと、荷車の音が賑やかだ。
街はすっかり目を覚ました。
これから、この国の、繊細な平和の一日が始まる。

私は朝の城下街に背を向け、城内へ向かう。
私たちの赤い糸の如き現実が待つ、華やかで儚い城の中へ。
キジバトの柔らかくこもった鳴き声が、私の背を押していた。

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