運命の赤い糸。
とても素敵な響きだ。『運命』と『情熱の赤』。
私にも繋がっているのだろうか? と、何も付いていない小指を眺めてみる。
どんな風に結ばれているのだろうか。その糸の先には誰がいるんだろう。
まあでも、と私は息を吐く。
家のリビングでソファに座って、テレビのリモコンを手持ち無沙汰に操作している彼を見て。
私に運命の赤い糸が繋がってたとして、その糸の先にいるのは──。
「あれ、帰ってたんだ。おかえり」
彼はようやく私に気づいたのか、ひらひら手を振りながら言った。
「……ん、ただいまお兄ちゃん」
糸の先は、この人じゃないだろうな。
6/30/2024, 1:10:21 PM