星屑

Open App

(本当に大切な人は一目見ただけでわかるものよ)
「ねぇ、起きて!ねえってば!!」
僕は彼女に揺さぶられて目を覚ました。とても懐かしい夢を見ていた気がする。
「もう!こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまうわ」
僕を心配をしてくれる君にありがとうと伝え、重い瞼を擦った。
「ところで、随分と長く何かを探していたようだけど目的のものは見つかった?」
僕がそう聞くと、君は聞い欲しかったと言わんばかりの満面の笑みを浮かべ、あるものを僕の胸の前へ突き出した。
「、、、何?これ」
君から手渡されたのは10センチ程の赤い紐だった。
「懐かしいでしょ!あなたのお祖母様からいただいたものよ、」
僕が不思議そうな顔をすると。君もあれ、知らない?と不思議そうな表情を見せた。
「昔、あなたのお家へ遊びに行ったじゃない?その時にお祖母様が、お互いの1番心臓に近い指に赤い紐を巻くと相手に幸せが訪れるって」
彼女がそう言うと、途端にさっき見ていた夢を思い出した。
(本当に大切な人はね、貴方が相手のことを大切に思うように。貴方のことをあなた以上に大切に思ってくれるはずよ)そう祖母が言っていた。
「あなた最近元気なかったじゃない?だから少しでも元気になって欲しくて」
彼女はそう言い。僕の薬指に紐を絡ませた。
今は亡き祖母のことを思い出し、涙腺が緩くなる。
でも僕は、決して1人じゃないってことを君に思い出させてもらった。
「ありがとう。」僕がそう言うと。
君は、どういたしまして。そう言い笑った。

6/30/2024, 1:14:49 PM