星屑

Open App
2/19/2025, 7:41:21 AM

昔おばあちゃんが言っていた。
ーーの手紙は今を超えて相手に届くって。
この手紙を手にした時ふと思い出した。
あの時祖母はなんて言ってたんだっけ。

祖母が亡くなってしばらく経ち、思い出も風化してしまった。
なのに何故だろう。この手紙は初めて見た気がしない。
今どき手紙でなんてやり取りする人はそうそういないのに。一体どこで、、、
封を開けるとなんだか懐かしい香りがした。
香りは鼻を優しく、くすぐり思い出を引き出す。
、、、あぁ、そうだったな。
手紙には何も書かれていなかった。
ただ思い出が僕に語りかける。
自問自答を繰り返した日々が僕の背を押す。
ずっと見守ってくれていたんだね。
上を向くと暖かい日差しが僕を包み込んでくれた。
思い出した。今までも何もかもを。
きっとこの手紙過去も未来も超えて巡り巡ってここへ来たんだね
僕もきっと手紙を出すよ。
いつか時を超えて貴方に届くと信じて。






手紙の行方

1/27/2025, 3:02:43 PM

「この人がやったんだ!」
静かな教室に僕の声がこだました。
沈黙が続いたかと思うと。
ガラの悪いやつが机を蹴る。
「何言ってんだてめぇ!!」
「ヒィッ」
怯むな負けるものか。今日こそは言ってやる。
僕は震える拳を握り直して、キッと前を向いて言った。
「ぼ、僕は知っている。幸村くんが誰よりも朝早く来て、金魚に餌をやっていることを、みんなが寒さに凍えないように毎日ヒーターを焚いておいてくれていることを。たっ、確かに口が悪いかもしれない。誤解されやすいかもしれない。でも彼は彼なんだ。1面だけで彼を知った気になって悪口を言うのは辞めてくれ!」

、、、何あれ、イキっててださ

先程まで静かだった教室が嘘のように、みんなが僕に後ろ指を指す。
針のむしろとはこのようなことを言うのだろう。
、、、でもスッキリした。ようやく言ってやった。
後悔はない。
でも、やっぱり変えられないんだ、悔しいな。
俯いていると、後ろからおい、と声をかけられた。
恐る恐る、後ろを見ると、そこには幸村くんの姿があった。

「ありがとよ」
そう言うとガラの悪いヤツ元言い幸村くんは、少し照れくさそうに鼻をかいて笑った。


小さな勇気

1/19/2025, 3:06:01 PM

この世界には何十億の人がいるけど、一生に会えるの
はたったの3万人しかいない。

この世は随分と生きやすくなったね。

今や同性との恋愛を隠す必要なんてない。

好きな人を自らが選べる時代。

でも、だからこそ思う。

『運命』ってなんだろうと。

もしかしたら僕の運命の人は一生に会える3万人以外なのかもしれない。

なんならもう、ここにはいない人なのかもしれない。


勘違いしないで、僕は後悔をしているわけじゃない。

僕は妥協して君を選んだ訳じゃない。

男とか女とかそんなのじゃなく、

僕は君だから好きになったんだよ。



ただひとりの君へ

1/18/2025, 11:30:36 AM

私の世界は小さく、窮屈だ。
抜け出したいと思っても、硬くて冷たくて、
助けを求めてみても、
私の声は届くことなく消えてしまう。
「ねぇ、こっちにおいでよ」
小さな私が無邪気に笑いかける。
出られやしないとわかってるくせに。
いつしか助けを乞うことはなくなった。
どうせ叫んでも無駄なんだから。
静かで冷たくて暗いこの世界は、気が狂いそうだった。
「ねぇ、こっちにおいで」
顔にモヤがかかった少年が私の手を引く。
思い出しそうで思い出せない。
でも、この手の温もりを私は知っている。
私の声は届かなかったくせに、固く閉ざされて出られないはずだったのに、少年はいとも簡単にここから連れ出してしまう。
「ねぇ、世界は広いよ」
少年はそう言って笑顔を向ける。
あぁ、君だったのか、私を連れ出してくれたのは、
私もまだ捨てたもんじゃないな。
私は私を諦めない。
かつて君がしてくれたように
私も手を差し伸べてみようかな。

1/18/2025, 5:56:39 AM

はしゃぐ小学生を見て懐かしくなる。
あぁ、俺にもこんな時あったんだなぁ。
いつの間にかすっかり大人になってしまって重荷が増えた。
逃げ出したい。
そう思う俺とは裏腹に時は止ってくれない。
今日も重い体を引きずって働きコンビニ飯をかき込む。
唯一楽しいと言えるのは夜景を肴に酒を飲むことだけ。
「俺、なんのために生きてるんだろう」
ぼーっと窓の外を眺めていると。
強い風が吹き抜ける。
カーテンが舞い風景が揺れる。
「なんだ、これ」
涙が頬を伝って落ちる。
「なんで置いていくんだよ、、、」

Next