星屑

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8/24/2025, 12:01:32 PM

見知らぬ街で売られている青年を買った。
いや、青年と言うにはまだ幼い気がするが、顔つきは少年のそれではない。
「私、これから姉の結婚式に行かないと行けないの
着いてきてくれる?」
そう言うと青年は驚いた顔をした後相槌をひとつ打った。

おめでとう。そう言うと姉はありがとう、ごめんねと言った。
謝るくらいなら人の男をとるなよとも思ったが、今となっては''愛していた''男だから別にいい。
そう言ってもきっと強がりだと思われてしまうのだろう。
姉と別れたあと、
「あの、、」
と元彼がおずおずと私に話しかけてくれる。
多少なりとも罪悪感は感じているのか?
それとも未練があると思われているのか、、、
はー、めんどくさい。
そう思っていると、会場の端できゃあと黄色い歓声が上がる。
有名人でも来ているのかとそちらを見ると。
なんとも言えないほど整った顔の青年がいた。
青年はキョロキョロと辺りを見渡したあと、こちらに向かってくる。
「探した」
青年はそう一言告げると私の手を引いた。
急な出来事にあいつはポカンとした表情をしていた。
その顔を拝めただけでもこの結婚式に参加した意味があったというものだ。

、、、ところで。
「どちら様ですか?」
私が青年にそう言うと。
青年はなに言ってんだとばかりに頭を抱えた。
「、、、お前が俺の事連れてきたんだろ」
あぁ、そうだったと手を打ってみせる。
とても人前に出せる格好をしていなかったから、
シャワールームに押し込んでお金も置いておいて
ここに来るように言ったんだった。
お金もあれば逃げることも出来ただろうに。
律儀というかなんと言うか。
まぁ、お陰で助かったわけだし
「ありがとう」
そう言うと青年は照れくさそうに笑った。

〜続く〜

8/2/2025, 3:59:11 PM

「あのブサイクが、よくーー君の隣歩けるよね」
「本当にね笑笑」
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。
きっと彼女達は私とーー君がここで聞いているなんて思ってはいないのだろう。
隣にいるーー君はどんな顔をしているのか、怖くて確かめる事ができない。
私が不細工なせいでーー君にまで迷惑をかけてしまう。





「もし、自分の事を好きになれたら、、、
来世も自分がいいって思えるようになったら貴方の隣に立てる女性に、素敵な人になれますか?」
そう言って彼女は涙を零す。
さっきの事を気にしているのだろうか、
俺は、今のままでも十分素敵だ。と言いたい気持ちをぐっと堪えて。
うん、と言った。
彼女はきっと俺が気を使って返事をしたのだと思っているのだろう。
本心なのに。
きっと今の彼女にに何を言おうと僕の気持ちは届かない。
見守ることしかできないことにもどかしさを感じるが、彼女の選んだ道を僕は尊重したい。
丁度明日から長期の休みに入る。
きっと彼女に会えるのは休み明けになるだろう。



結果はどうであれ、彼女の頑張りを認めるつもりだ。
、、、なんて考えていたあの時の俺を殴ってやりたい。
目に飛び込んできたのは透き通る肌と流れるような黒髪。俺を見つめる大きな瞳と花が咲くような笑顔。
誰もが振り向き惹き付けられる。
そんな女性。
認めるつもりだなんて何様だ。
烏滸がましいにも程がある。
これだけ変わるのにどれだけ努力をしたのか、理解せずとも考えはできる。
群がる男共の間を縫って戸惑っている様子の彼女の元へ行く。
彼女の熱を帯びる手を取って駆け出した。


「、、、私、変わることができたかな?」
彼女は遠慮がちに問いかける。
「うん、、、見違えたよ」
俺は素直にそう答える。
すると彼女はありがとうと微笑んで言葉を続ける。
「あのね、ーーくんだけなの、、私に気づいてくれたの。皆私が誰だか分かっていないみたい。」
始めましてって言われちゃった。
そう言って彼女は笑う。
「、、、私、自分に自信が無かったんだ。
だから変わるきっかけをずっと探してた。
でも、君に会って君を好きになって君の隣に居たいって思うようになった。だから君の隣に並んでも恥ずかしくないようになりたかったんだ。なんてただの自己満足──」
「好きだよ、ずっと前から」
彼女の努力を否定して欲しくなくて思わず言葉を遮ってしまう。
彼女は驚いた表情をしていたが、続けさせてもらう。
「いつも周りの事を見ていて、貧乏くじ引いちゃうところも、悲しそうな人を見るとつられちゃうような所も何もかも全部僕は愛おしいと思ってた。
だから、こんな俺で良ければ付き合ってくれませんか?」
俺がそう言うと彼女は目を潤ませてはい、と頷いてくれた。












8/1/2025, 10:19:08 AM

なびく黒髪も、白い肌も、大きな瞳も
悔しいくらいに眩しくて、嫌いだ。

「ただいまー、、、帰ってたんだね」
居間に入ると、出迎えてくれたのは両親ではなく、
大学に通うため家を出た兄貴の姿があった。
「おう!久しぶりだな、外暑かっただろ?お茶でも飲むか?あー、急に俺がいてびっくりしたよな、夏休み前だけど、単位の都合で休みが続いててな。
久しぶりにお前たちの顔を見たいなって思って」
兄貴は捲し立てるように一通り話すと僕に席を勧め、お茶を用意してくれる。
相変わらずうるさいヤツだと思ったが、気の良い兄貴をなんやかんや邪険にできなくて。いつも押し負けてしまう。
「そうなんだ、俺はもう夏休み入るよ。
、、とは言っても勉強三昧で遊ぶ暇などほとんど無いけどね」
高校三年生になった今、人生の分岐点にいる。
どこの大学へ入るかによって自分の人生が変わると言っても過言ではない。
勉学を疎かにしていたつもりは無いが、この長期休みをどれだけ効率良く使えるかが重要になると思う。

「、、、行きたいところは決まってるのか?」
兄貴が遠慮がちに聞いてくる。
一足先に受験を終えた兄もきっとこの苦労を知っているからだろう。
「一応いくつか目星はつけてるけど、、」
兄は続く言葉を待っているようだった。
でも、続きを口にするつもりはなかった。
いや、できないと言った方がいいのか、
兄貴と同じ大学に通いたいだなんて。
身の丈に合わないなんてそんなの自分だって分かっている。
先生方からも再三忠告された。
でもやはり諦められない。
家庭教師を引き受けて、最後まで教え続けてくれたあの人、、、。
兄貴の彼女の為にも。

7/30/2025, 11:10:50 AM

気になるあの子に声をかけられた。
「放課後𓏸𓏸教室に来てください。」と、
その声は震えていて顔は熱を帯びている。
何か大事なことを伝えようとしてくれている。
ただそう感じた。
(一体何の話だろう。)
その日はあまり授業に集中できなかった。
柄にもなく緊張していたんだと思う。
そしてその時は訪れた。
教室で待っていると、戸を叩く音が聞こえた。
上ずる声と震える手。が見える。
あまりにも切羽詰まった顔をするものだから少し驚いてしまう。
未だに彼女が自分に何を話そうとしてくれているのか検討もつかなかったが、緊張が少しでも解けたらいいなと思い笑顔を作った。
「本日はお日柄もよく、、、」
彼女はそう話始めた。
余程言いづらいことなのだろう。
彼女は言葉を選び、タイミングを伺っているように感じた。
話すネタが尽きたのか、彼女は何も話さなくなった。
僕から話を振るべきかと思い声をかけようとする。
すると「君が好き」と唐突に彼女はそう言った。
初めは冗談なんかじゃないかと思ってしまった。
しかし彼女はそんなことをする人ではない。
何より彼女の真剣な眼差しが、震える手が本当だと訴えているように感じた。
彼女は僕に思いを伝えてくれた。
それならば僕も彼女に本当の事を伝えるのが筋だと言うものだろう。
「ありがとう。、、、、ごめんなさい」






熱い鼓動

7/30/2025, 10:47:24 AM

授業の終わりを示すチャイムが鳴る。
鼓動が高鳴る。
(今日こそは絶対に思いを伝えるんだ!)
そう決意を胸にした。
今日を逃してしまうと夏休みを明けなくては会うことができなくなる。
コンディションは正直良くない。
昨日手紙を書くのに睡眠時間を大幅に削ってしまったせいだ。
夏休みに君と会えるかは今日にかかっている。
鬼が出るか蛇が出るか、、、考えるのはよそう。
私は素直な気持ちを伝えるだけだ。
フィクションじゃないリアルなのだから全てが上手くいくわけじゃない。
そんなのわかってる。
よし!
気分が落ち込みそうな自分に叱咤激励をして約束の教室で待つ。
時間より早めに着いてしまったのに既に君の姿があった。
「し、失礼します!!」
面接のように3回ノックをして入る。
声も上ずってしまった。
君は少しだけ驚いた顔を見せたが、優しく微笑むと手招きしてくれた。

「えっと、本日はお日柄もよく、、、」
中々本題に入れない私を君は急かすことなく聞いてくれた。
どう切り出すものか、そればかり考えてしまう。
(でも、やっぱり君は優しいな、相手が話しをしっかりと聞いて頷いてくれて、あの時だって、、、)
「お前のそういう所が嫌いなんだよ!!!
何されてもヘラヘラ笑って気色悪い!!」
そう言って私はクラスメイトに罵られた。
すれ違う同級生からの視線が痛い。
後々聞いた話だが、彼は私を好きだったらしい。
自分だけを見て欲しいのに色んな人に愛想を振りまくのが気に入らなかったとか、
今となっては笑い話にできるが、その後の出来事がなければトラウマを抱えて生きることになっていたかもしれない。
私は彼にそう言われた後、頭が真っ白になった。
徐々に考えが追いついてきて、なぜそんな事を言われなければならないのかという怒りと、皆から見られたという恥ずかしさで涙が込み上げてきた。
しかし反論する勇気も何と言うのが正解何かも分からなかった私はただ黙って俯くしか無かった。
そんな時だった。
「僕は、笑顔で接する事が出来る彼女は素晴らしいと思うし、尊敬しているよ。簡単そうに見えるかもしれないけど、誰にでもできる事じゃない。」
君はあの時そう言ってくれた。
「そして、僕は君のことも尊敬しているよ、行動力があって皆を動かす力もある。ただし、今はもっと周りを見るといいかもね。」
「うるせぇ!」
きっと周りの視線に気づいたのだろう。
彼はそう言い去っていった。
それから恋に落ちるのに時間はかからなかった。
気づけば君の姿を目で追うようになっていた。
君の仕草も、話し方も、笑い方も何もかも全部全部。
やっぱり私は、
「君が好きだな、、」
意図せず声に出してしまい。慌てて口を塞ぐ。
君の反応はどうだろう。目にするのがどうしようもなく怖い。
「、、、ありがとう。尊敬する君にそう言って貰えて凄く嬉しい。でも、ごめんなさい」
(あぁ、私の夏は始まらずに終わった。)
そう思った。





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