『突然の君の訪問。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君はいつも
何の前触れもなく僕の前に現れる
夜中に突然来た時は驚いたよ
一瞬にして鼓動が速くなっていくのがわかる
出来る事なら連絡くらいしてほしいな
...無理か、連絡手段なんかないもんな
この前だって夜中に友達なんか連れてきてパーティーなんかしちゃってさ、正直大迷惑だよ
昼間はぐーたら寝てるくせに夜になると大はしゃぎ
黒ギャルでフッ軽だし、パリピかよ(笑)
あの時は怒って頭叩いたね
友達もびっくりして隠れてたよ
君と最後に会ったのはいつだったかな?
僕があのボロアパートから勝手に引っ越したのが去年の夏頃だから一年くらいかな
本音を言うと君の事が嫌いだったんだよ
顔も見たくないし、なんなら足音さえも聞きたくなかった
今は新築で前の部屋より広い2LDKのアパート
しかも門部屋
南向きの窓から吹き抜ける風はとても気持ちがいいんだ
だからさ、だから絶対に面見せんじゃねぇぞ
ゴキブリ
俺が貴女の庵に押し入ったことが、俺と貴女との物語の始まりでした。
貴女はもしかしたら、そのことを「突然の来訪」とでも表現するかもしれませんね。茶目っ気たっぷりの貴女の顔が想像できて、微笑ましい気もしますし、申し訳ないとも感じられます。
貴女は俺のような者のことも、受け入れてくださいました。
その愛に浴することができて、俺は全く幸福です。
今、そのいただいた愛を、あるいはそれ以上のものを、貴女にお返しできているでしょうか。そうであることを、日々祈り続けています。
突然の君の訪問。
チャイムが鳴る
戸を開く
君がいる
意味がわからなくて
僕はフリーズする
僕と君は
お互いにそこまでの仲ではないはず
君が急に訪ねてくる理由もわからない
混乱する僕に君は
申し訳無さそうに口を開く
「どうしても
君に話を聞いてもらいたかったの」
期待してもいいのだろうか
僕が密かに君のこと想い続けているように
君も僕のこと頼りたいと思っていると
突然のことでびっくりはしたけれど
幸い僕の部屋はあんまり物がないから
散らかったりはしていない
「よかったら、どうぞ」
家の中に上がるように促す
僕も緊張しているけれど
君も緊張しているの伝わってくる
勇気を出して訪問してくれた
君の気持ちに応えたい
突然の君の訪問。
いや、本当に突然すぎてびびった。何急に。今何時だと思ってんの?夜中だよ?外とか超暗いよ?何はともあれ、久しぶり。
…へぇ、家出ねぇ。君の家は厳しいっていつも言ってたもんね。夜中ぐらいしかチャンスはないか。そしてウチ以外に行くあてが無かったと。
普通さ、こんな時間にどこ行ったって追い返されるよ。まったく…まぁ、とりあえず上がりなよ。うちも親寝てるから静かにね。しーっ。
…あっ、そうだちょっと部屋片付け…まぁいいか。とりあえずここだけ寄せて…よし、ここ座っていいよ。ごめんね汚くて。なにしろ普段誰も遊びに来ないからさ…
まぁゆっくりしていけばいいよ。…親に秘密のこの感じ、ちょっと楽しいかも。
…なんでこの時間に起きてたのかって?うーん。君って口が堅いほう?そっか。家出の理由教えてくれたら教える。
ふんふん…思ったより重いね…なるほど。自分は…実は死のうと思って準備中だったんだよ。ほら、あそこにロープを結んであるし、遺書は書き途中。そこに運良く?運悪く?君が訪ねてきたわけだ。
自分はここから逃げたい。君はあそこから逃げたい。目的が一致している。そして自分は、君と遊ぶのが楽しい。
ねぇ、一緒にどっかに逃げて心中しない?
…賛成ありがとう。準備するからちょっと待ってて!
完全に休日だった。
今日は一日中、ダラダラと怠惰を貪っていた。
畳んだ布団を枕に、床に寝転んで。
余暇時間を贅沢に食い潰していた。
読破済の本を流し読みして、読み潰した漫画をなんとなく捲って、視聴済の動画を視聴して、たまに気を引くおすすめ動画があればそれを開く。
脳を使う気なんて微塵もなかった。
今日の用事は、数時間前に行った病院くらい。
微熱と軽い頭痛。それから軽い食あたり。
動けないほどではないけれど、動く気はしない。そんな体調不良。
一応、内科にかかって薬はもらって、後はもう何をする気もない。
布団にくるまって眠り込むやる気も深刻さもないけど、学校に行ける気はしない。
だから欠席連絡を入れて、とりあえず体力を使わずにゴロゴロすることにしたのだった。
ぐずぐすの体調管理の一日。ダメダメだけど、忙しい毎日にふと恋しくなるそんな一日。
今日はそういう日になるはずだった。
突然の君の訪問。
間の悪いことにそれは今日だった。
君は元気で強い人間。
誰よりも努力をして、誰よりもエネルギッシュで、誰よりも正しい、普通…いや、努力の才能に恵まれた人間。
君がインターホン越しに用件を告げた時、正直、気持ちが落ち込んだ。
君に何が分かるだろうか。
今日、ここで君と会って休みの理由を正直に話したとして、幻滅されてズル休みと見做されて、最悪、噂になって…そんなことになるのがオチだろって。
君は、学校でも人生でも一番の友達だった。
人としての出来は全然違うけど、君が眩しかったし、君に憧れていたし、ずっと仲の良い友達でいたかった。
だから、絶望した。
ここで友情は終わってしまうんだって。
今まで隠してきた、怠惰を極めた本性に呆れられて、疎遠になるんだって。
そんな葛藤を知ってか知らずか、君は家にやってきた。
とりあえず、迎え入れる。
麦茶を出す。
向かい側に座る。
くらくらする。
なんだか頭痛が痛い。酷くなってきた気がする。
緊張からか、心臓がすごく嫌な音を立てている。
君の顔をまともに見れない。
いつも通り、明るく笑って、君がプリントを差し出す。
夕日が窓から差し込んでいる。
君の次の言葉が怖い。
君が麦茶を一口含む。
喉を湿らせて、それから何か言おうとする。
顔を上げられない。
身体が熱い。
頭痛い。お腹も痛くなってきた気がする。
君が血相を変える。
慌てて向かいの席から立ち上がる。
目が霞む。
脂汗と冷や汗が止まらない。
瞼が重い。
君の慌てた顔が見える……
…
目が覚めた。
布団の上で、君が隣で声を掛けてくれた。
どうやら、緊張と行きすぎたネガティブ思考からか、あの後、倒れてしまったらしい。
上半身を起こす。
目に涙を浮かべ、大袈裟に喜ぶ君を見て、一抹の罪悪感と、胸いっぱいの安堵感が込み上げる。
…ああ、君はよくできた人間で、最高の友だ。……それに比べて僕ときたら……
複雑な気持ちから、ようやく君宛の言葉を絞り出す。
「…ありがとう。君が友達で良かった」
ズル休みスレスレで休んだ日の、突然の君の訪問。
…心臓に悪すぎる。
いつの間にか、外はだいぶ暗さを増していた。
突然の君の訪問。
バンッと開かれたアンティークのドア。
隙間から涼しい風が吹き込んできた。
彼はいつも秋の匂いを連れている。
「1年ぶりだな、アキタカ!」
「久しぶりだねルカ。ところで、
そろそろチャイムの存在を覚えてよ。
百歩譲ってノックでもいいんだけど?」
「だって、この1年間で話したいことが沢山できたんだ」
「」
光が入らないところを選んだのに、それでもあなたに見つけられた。運命の相手との出会いが薄暗い路地裏なんて、誰が想像するもんですか。
/突然の君の訪問。
君の訪問
私には、恥ずかしながら不登校だった時がある。
サボリまくっていた。
単位が取れないのは、困るので仕方なくクラスとは違う場所に逃げた。
そこには、同じくサボっていた人達が集まっていた。
最初は、人と話したくも無かったのでこの人達と話すことなんて一つもないと思っていた。
それなのに、最終的に、話してしまった。人はやっぱり話さないと生きていけないし1人では生きれないのだなと思い自分の弱さに悲しくなった。でも、今なら思い直せる。
どれだけ立ち止まっても引きこもっても、少し元気になれば私は、人との繋がりをもつことができて楽しいけど苦しい毎日を生きていけると。逃げた先で人に出会えて良かったと思う。
まあまあな夜更けに
とてもとても会いたくて
『来ちゃった』…をしてしまった事が
あるのだけれど、
あれはドラマとかマンガに任せるものだと
2回とも思った(1度で反省出来ていなかった)。
人にもよるのだろうけど、私が訪ねた一人暮らしの男性は二人とも
ゴミと共同生活しており、
私が部屋に入れてもらえるまでに
(玄関から)小一時間はかかり
「やっぱり帰るわ」と何回も声をかけた。「連絡くれたら片付けといたんだけどさ」と黙々とゴミ袋に色々放り込んでいくのだけど、
予め連絡を入れておくと
『来ちゃった』のドキドキ感がなくなるので、本末転倒なのである。
そして、とりあえずスペースを作ってくれ、飲み物を出してくれるのだけど、余りに周りが不衛生すぎて、会いたかったはずの恋人が近くに来ると
「おっと」と思う。服、毛玉だらけだし…クッション埃が…
果たして彼等は『突然の君の訪問』を歓迎したのだろうか?
君の訪問を夢見る人と
君の訪問に困惑した人の話が楽しみだ。
#突然の君の訪問
突然の君の訪問。
ルールールー、
スマホの着信音に吃驚した…普段、メールの着信音しか鳴らないのに…周章てて出ると、
ねぇ、今からそっちに行ってもいい…
と、あなたからの電話…返事をする間も無く、直ぐに通話が切れた…まだ、日曜日のお昼過ぎで、何時もみたいに、起きたばかりで、頭もぼんやりしている…
そうか、今から、あなたが来るんだ…来るんだ…と頭の中で考えていた、けど…えっ、ヤバく無い…周章てて、部屋の片付けを始めた…よく、◯◯部屋なんて言われるから、滅多に人を呼んだりしてない…押入れや、ベッドの下に色々投げ込み、適当に掃除機をかけて…大雑把な私は、ある程度で諦めて、あの人を待つことに…でも、突然、どうしたのだろうか…
何時も、口数少ないし、感情も読めない…何かあったのか、それとも、私が何かしてしまったのか…色々考えていると、玄関のチャイムが鳴った…
まだ演奏会に時間があるし、せっかくだから家で何かしようと思いつつも、特にすることがなくてぼんやりと外を眺めているたらコンコンと扉がノックされる音がした。
誰だろうなんて疑問が頭によぎったすぐ後に、そもそも意志を持って扉を叩ける人間など権力者しかいないんじゃないかと、そう気づいてしまった。悲しい事実である。
それでも心のどこかでもしかしたら迷い子が扉をノックしてくれたんじゃないかという期待と共に開けば、最初の予想通り権力者が微笑んでいた。
「来ちゃった」
彼女はそう言った。
「何しに来たんだい?」
特に用はないだろうという気持ちを込めてそう問いかければ、彼女はニコニコと笑いながら言ったのだ。
「まあいいじゃん。たまにはさ、外だけじゃなくてお家の中とかさ、そういうところで交流するのもありじゃない?」
「一理あるような無いような……君はいつもそんな感じだね」
「褒めてるようで、褒めてない。そういうところが嫌い」
むっとした顔で言った権力者になんとなく可愛いなんて感情を抱いてしまって、慌ててその思考回路を首をぶんぶんと振ることによってかき消した。
「どうしたの? 急に首なんて振っちゃって…………大丈夫?」
「ああ、平気さ」
なるべく表情を取り繕いながら、いつものように接する。それでももう既に浮かんでしまった思考回路というものは、簡単に消えないもので、なんだかんで笑っているだけで、もう可愛いような気がしてくる。
やはり長い間連れ添っていると、たとえ皮肉しか言ってこないような敵対関係のやつでもそれなりに好意的に見えてしまうんだなということに、少しだけ呆れてしまった。
#突然の君の訪問
「…い、、お〜い、お〜〜い!」
少し遅い朝飯のあと、
腹がいっぱいになって横になっていたら、
そのまま寝てしまったようだ。
もう随分と会っていない息子の声を聞いた気がした。
ぼーっとしたまま体を起こす。
"ああ?今のは夢か?あいつがいるはずないもんなぁ"
またパタリと横になる。
「お〜い、父さん!お〜いお〜い!」
………
………………
"間違いない!あの声は息子だ!"
今度は確信して飛び起きる。
「お〜!俺はここだぁ!!」
ピンポーン。
「はい、、あら!まぁ、随分久しぶりだこと!元気にしてた?」
「急にごめんねぇ。近くまできたもんだから、寄ってみたの。この辺すっかり変わっちゃってさぁ!
道に迷っちゃって(笑)
も〜電話すれば良かったんだけど、チョコがいきなりワンワン吠えてぐいぐい引っ張るもんだから〜」
「あら、そうだったの!最近は滅多に吠えなくなったクロが急に遠吠え始めたから、なんだろうねって話してたところだったのよ〜。案内してたのかしら。さ、上がって」
「わ〜、クロちゃん久しぶりね!白っぽくなったねぇ。ね、チョコ、お父さんだよ、分かる?」
「おぉチョコ、よく来たな、元気だったか?」
「父さん久しぶり!僕はね、元気だよ!父さん、クロじゃなくてシロになってるじゃん!」
「はは、昔は真っ黒だったのになぁ。」
「こんなに楽しそうなクロ久しぶりに見たわ。最近は歳のせいか…寝てばかりだったんだけど、なんだか元気でたみたい。チョコありがとね、また来てね」
「じゃあな、チョコ、またな!」
「父さん、またね!次は、昔一緒に遊んだ公園行きたいなぁ!」
"ふあ〜〜!子供だったチョコがあんなにデカくなってなぁ。。。公園かぁ、……よっしゃ"
「お〜い、飼い主ぃ、久しぶりに散歩でも行こうぜぇ!」
ころあね.
─── 突然の君の訪問。 ───
淡い月明かりを身に纏い
君は僕に会いに来た
昔見た時と同じ姿で
迎えに来てくれたらしい
わざわざご苦労だね
誘われるまま手を取り
眠れぬ夜にさよならする
窓から旅立つ間際
ベッドの上を目の端にとらえる
淡い月明かりに照らされて
眠る僕がそこに居た
【突然の君の訪問】
大事な大事な曲は特別な場所に閉まっておいているから
偶然にもその曲が流れる確率なんて
途方もなく低いだろうし
それにタイミングだって
僕がその曲のことを少しばかり忘れてしまいそうな時で
本当に求めている時に流してくれるなんて
やっぱりきみの仕業だと思うの
2024-08-28
突然の君の訪問。
いつも君は突然やってくる。
何の前触れも無しに突然。
でもいつもタイミングが良い。
僕の心の悲鳴を聞きつけて飛んできたかのようだ。
心友って触れ合わなくても不思議と繋がっているんだな。
『突然の君の訪問』
突然の君の訪問に、嬉しさとか喜びとかそんなものよりも先に驚きがやってきた。びっくりしすぎて一瞬固まる僕に君はくす、と笑いながら定期を差し出す。
「これ、忘れてたよ。明日じゃ遅いかなって、届けに来た」
「あ、ありがと」
少し震える手で定期を受けとる。
君はまた鈴みたいな笑い声を上げて全然、と答えた。
じゃあね、また明日、なんて言いながらローファーの音を響かせて去っていく君を呼び止める言葉を、僕は知らない。
ただただ小さくなっていく後ろ姿を見つめている。
明日は自分から君に話しかけよう、と決意を固めて家に入ったのは実に10分後のことだった。
主人公の純情ボーイが定期を忘れたのは偶然とかじゃなくて明日受け取って君と話す口実になればな、なんて考えてのことでした。
本文中にうまく入れられなくて申し訳ないです🙏
家に帰ってくると
庭にちょこんと君は座っていたね
とても人懐っこくて
すぐに足元に擦り寄ってきた
綺麗な毛並みの猫
迷子になったのかな?
次の日もその次の日も
そのまま庭に座っていた
外に出ると
にゃーんと鳴いて擦り寄ってくる
その可愛さに家族みんながやられた
何時でも帰れるようにと家には入れなかった
それからずっと
その猫は今日も庭で座っている
もう君はうちの子だねw
「突然の君の訪問」
八月、夏休み真っ只中の僕を訪ねる者が居た。心当たりの無いインターホンの音に目覚め、欠伸をしながら玄関へ向かう。
「ふぁあ…ねむ……」
大学生は夏休みが長いから、つい眠り過ぎてしまう事もある。というか、ほぼ毎日10時間以上睡眠している。小さい頃から夢を見る事が大好きだったから、自然と眠りも長くなっていった。保育園時代はお昼寝の時間に起きられなくて何度も叱られた。今となっては良い思い出である。
「先輩、寝起きですか」
「………え?」
ドアを開けた瞬間、僕は思わずそう言ってしまった。高校時代の後輩である木更津くんが居る。何の用で来たのだろうか。疑いつつも、どこか満更でも無いと思ってしまう自分が居た。
「俺、京都行ってきたんでそのお土産です。先輩には絶対渡したくて来ました」
「そ、そうなんだ…ありがとう」
紙袋を除くと、それはお菓子らしかった。金箔押しの高級そうな文字で抹茶チョコ餅と書いてある。僕が抹茶が好きである事をいつの間に知ったのだろうか。というか、お土産を渡す為だけに彼はここに?決して家も近くない筈なのに、僕に会いに……?
「…もし良かったらゆっくりしていかない?」
久々に会えたんだ、このまま帰らせるのも勿体無いし、彼がこの後も時間があるというなら少し話でもしたい。
「先輩が良いなら是非…!俺は今日も明日も暇なので、お泊りも出来ます」
「さ、流石にそれは飛躍しすぎだよ…!!順序っていうものがあるじゃないか…」
「…ん?どういう意味ですか?」
首を傾げてとぼける彼。本当に分かっていないのだろうか、彼の行動パターンから察するにきっと僕の事が好きなんだろうけど、それを隠しているつもりなのか……?それとも僕の勘違い?いやそれは無いな。
「じゃあお邪魔します…先輩?どうしたんですか?」
「…木更津くん、僕は別に君が誰を好きでも構わないよ」
「は?何の事ですか、先輩。さっきから訳の分からない事ばかり…」
そうやって僕をまた騙すつもりなのか、それとも本当に僕に好意を抱いていないのか。僕にも訳が分からないよ。
詩(お題)
『突然の君の訪問』
突然の君の訪問
台風ならば、行ってくれ
ゴキブリならば、死んでくれ
宗教ならば、居留守する
ハチやアリなら、殺虫剤(ころし)屋だ
突然の君の訪問
スマホの電源、落とそうか
ドアホン鳴っても、知らぬ振り
お酒で寝れば、夢の中
会えばケンカに、なりそうで
突然の君の訪問
悲しいことって、突然さ
さよならはいつも、突然さ
鈍感だからか、突然さ
ジタバタしちゃうよ、逃げたいよ
「よっ大我、久しぶり!」
「翼!?お前なんで?!」
突然の訪問だった。
10年振りに会った親友は「ドッキリ大成功〜」などとこちらの心情などつゆ知らず、ふざけた事を抜かしていた。
「驚いた?驚いたか?」
ニヤニヤと顔を覗き込んでくる翼にイラッとする。
そうだこいつはこういうヤツだった。
大我はため息をつき、肩に腕を回してこようとする翼を手で軽くあしらった。
冷たい対応に不貞腐れる翼をつま先から頭のてっぺんまでまじまじとみる。
高校生の頃はお互い同じくらいの背の高さで毎日どちらが背が高いか競っていたのに、少し会わない間に翼はスラッと背が伸びスーツをかっこよく着こなしている大人になっていた。
羨ましい限りだ。
悲しいことに高校生から成長が止まってしまった大我は無意識のうちに猫背気味の背筋が伸びていた。
「それにしてもお前なんでこっち来たんだよ」
「え〜?やっぱ気になっちゃう感じ??まあ、あれだ...強いて言うなら大我に会いたかったから...とか?」
「お前...今の状況分かってんのかよ!!?」
翼のヘラヘラとした態度に再度苛立たしさが募る。
むしゃくしゃした気持ちをぶちまけてやろうとしたのに出てきたのは涙ばかりで言葉が上手く紡げない。
「なんで...だって...お前まだ」
「まあまあ、落ち着けよ。時間は十分すぎるくらいにあるんだろ?」
しゃがみ込み赤子のように泣きじゃくる大我の隣に腰を下ろし翼は背中を優しく摩った。
「ほら、いい加減泣きやめって。俺初めての場所なんだし色々と案内してくれよ」
立ち上がり案内をしろと言う割にはフラフラと勝手に歩き出す翼を涙が溜まった目で追いかける。
久しぶりに会えた嬉しさと苦しさふたつの感情が混じり合い心が苦しい。
「ばか。まだこっちに来るには早いんだよ...」
親友の頭上に浮いている金色の輪っかを静かに睨み呟いた。
【突然の君の訪問。】