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『突然の君の訪問』

突然の君の訪問に、嬉しさとか喜びとかそんなものよりも先に驚きがやってきた。びっくりしすぎて一瞬固まる僕に君はくす、と笑いながら定期を差し出す。
「これ、忘れてたよ。明日じゃ遅いかなって、届けに来た」
「あ、ありがと」
少し震える手で定期を受けとる。
君はまた鈴みたいな笑い声を上げて全然、と答えた。
じゃあね、また明日、なんて言いながらローファーの音を響かせて去っていく君を呼び止める言葉を、僕は知らない。
ただただ小さくなっていく後ろ姿を見つめている。
明日は自分から君に話しかけよう、と決意を固めて家に入ったのは実に10分後のことだった。


主人公の純情ボーイが定期を忘れたのは偶然とかじゃなくて明日受け取って君と話す口実になればな、なんて考えてのことでした。
本文中にうまく入れられなくて申し訳ないです🙏

8/28/2024, 2:04:53 PM