暖かい、違う、燃えたぎるように熱い。
遠くで見つめていた美しいものは、近づいた途端に俺を燃やし尽くした。
星に包まれて
はたり、と世界が音を途絶えさせた。
深く息をする僕とは対照的に、君の呼吸は止まっている。優しげな光彩のその瞳はもう僕をとらえない。触れあった手から温度が引いていく。
あまりにも静かすぎる、全ての終わりだった。
静かな終わり
私の小指に結わえつけられたそれ。リボン結びになっている赤い糸は、隣の席、私が思いを寄せている彼の小指に繋がっていた。
驚きのあまり潰れたカエルみたいな声が出そうになったのを必死で押し殺して、端正な横顔を見つめる。長い睫に囲まれた瞳は先生が文字を綴る黒板を見つめていた。瞬いて、私の視線に気づいたのかその瞳がこちらをとらえる。交わった視線の先でどうしたの?とでも言わんばかりに目が優しく細められた。まさか赤い糸が、だなんて言えなくて、だけど咄嗟に誤魔化す言葉も出ず、曖昧に微笑んで見せる。絶対変だと思われたじゃん、なんて頭の中では大混乱だ。
そんな私の様子をとらえて、彼がこれ?とでも言う風にやっぱり糸がリボン結びになっている小指を掲げた。見えてたんだ。驚き、戸惑い、私だけじゃないと言う安堵、全てが混ざった変な気持ちに襲われる。頷きを返すと、優しい笑みが返ってきた。少し席が近づけられて、彼との間が狭くなる。
「俺もね、急に見えてびっくりしてた」
「全然そんな風に見えなかったよ」
「そう?」
悪戯げに笑うその顔があまりに近すぎて、鼓動がばれないか不安になった。速すぎるそれは、きっと私の気持ちを伝えてしまう。
でもね、と彼は続けた。
「俺は相手が君でよかったよ」
そんな言葉に時が止まった。
夢か現か、冗談か本気かわからない言葉は、彼の表情で、声のトーンで、現だし本気だと言うことを伝えてくる。
「なんで」
少し声が震えたかもしれない。
「君が好きだから。ずっと」
彼の声も震えていた。周りの音も、先生の声も、全てが小さくなる。聞こえるのは、速まった鼓動の彼の声だけ。
「私も、ずっと」
その声だってやけに大きかった。
彼の目が見開かれる。
3年に及ぶ私の恋は、リボン結びの赤い糸によって優しく形を変えた。
時を結ぶリボン
明日研究発表会からの明後日から韓国研修なので準備でどたばたしてました。来年度は受験生なので今年度中にたくさん書きたいです!
飲み込まれそうなほどの夜空に手を伸ばした。星たちは私など眼中にないかのように瞬き続けている。
燦然と星が輝く中、空を切り裂いた手は天の川をつかむほどの勢いで空を駆ける。
運命なんて、そんなもの。
口から漏れ出た息は白く濁って姿を消す。
私の瞳には、あなたしか映っていなかった。
夜空を越えて
それは君だったみたい。
贈り物の中身