『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雲よ
お願いだから
月を
隠さないでくれないか
淋しくて
淋しくて
暗闇にまぎれたら
きっと
泣いてしまうから
今夜は
月明かりを
消さないでほしいのだ
☆ 淋しい夜 (231)
私はアンチストレッチマン。
興味本位で家の2階から飛び降り膝を悪くした私は世にはびこる健常者を恨んでいる。
「今日もアンチストレッチストレッチ!」
私が街を巡回しているとさっそく邪悪な活動を見つけた。
子供たちが公園でラジオ体操をしている。
私は全速力でラジオに近づくと蹴り飛ばし提案した。
「クソガキどもが地獄に落ちろ!」
するとガキどもは蜘蛛の子を散らすようにどこかに逃げて行った。
健康児どもが。家でゲームでもしてろ。
しかしよく見るとまだ帰っていない人物がいた。子供の保護者だ。
保護者は言った。
「ラジオ代を弁償しろ!」
しまった!コイツはモンスターペアレントか。
ラジオが壊れたのはラジオの責任であって私は関係無いのだが。
しかし私も負けるわけにはいかない。ネットで調べた格闘術で応戦してやる。
が、
「これを持ってきていて良かった」
保護者はどこからか取り出したチェンソーを取り出しエンジンをかけた。ブゥーンブゥーン。
まずい殺される。
私は逃げようとしたが、足が動かない。
さっきラジオを蹴飛ばしたせいで膝がやられたみたいだ。
また病院通いか。
「ラジオの仇ーあああああー」
膝をついた私に保護者がチェンソーをかかげながら飛びかかってきた。
─その時
「あいつが不審者だ!」
警察官が保護者を取り押さえた。
どうやらガキどもが通報したらしい。
「待て!私は善良な一般人だぞ。異常者はアイツだ」
保護者は何か言っていたが問答無用でしょっぴかれていった。
「やれやれ。今日も街を平和にしてしまった」
私はカッコよく決めつつ、病院まで這っていった。
#病室
四角く区切られたこの病室に窓はない。
あるのは唯一の出入口である扉と区切り板だけだ。
こんなに息が詰まる部屋は、そこにいるだけで気が触れてしまいそうになると思った。
真っ暗闇な中、自分以外に誰かいないだろうかと周りを見回してみる。
だが真っ暗闇なのだから何も見えず、代わりに聞こえてくるのはゴウゴウという風の慟哭だけだった。
誰か助けてくれと叫ぼうとしたが、自分は声が出せないのを思い出した。
そうしてどれくらい経った頃だっただろうか。
ガチャリと唯一の出入口である扉が開いて、そこに見たこともない奇妙ななにかがぬっと現れた。
そして、奇妙ななにかは細長い小枝が五本ついた太い枝をこちらに伸ばしてから自分をむんずと鷲掴みにすると、そのまま光の方へ連れて行き。
「ママぁー、卵ってこれで終わりー?」
「テーブルの上にある買い物袋にさっき買ってきたのがあるから、それも一緒に使っちゃいなさい」
「はーい。オムレツにしようかなー?それとも卵サラダ?うーん、どっちがいいかなぁ」
開けてある窓にかかるカーテンはひらりと揺れては外の景色をちらりと見せる。
無機質なこの部屋から見える彩り、ろくに動けない身体で眺める外の世界が私にとって唯一の楽しみ。正面に見える通路は部活の練習のためによく走っていた、今は全く違う視点から見ている。知ってる道のはずなのに、知らない道のようだ。
入院したばかりの頃は家族も友達も、私を退屈させないために色々と用意してくれた。絶対治るよ、また走れるよ、そう言って渡してくれたのは花束と沢山の書き込みがあるメッセージカード。
漫画や文庫、手遊びにゲームやノート、様々。
でも時間が経つに連れて、訪ねる人は減ってゆく。
それはそうだ、皆やるべきことがあるのだ、日常的に会えなくなった人に、自分の生活に関わることのない人に尽くしてやることは出来ないだろう。
私の両親だって最近は会いに来なくなった、他人なら尚更。
廊下にいる看護師たちの密やかな声、扉越しに微かに。
聞き取れない声に体か強ばる。私を憐れんでるの?
「あぁああッ!」
頭では理解出来てる、でも心は納得してくれない。
衝動のままにベッドサイドの棚から物を払い飛ばす。
かつては彩りの一部だったもの、今や私を惨めにするゴミだ、価値などない。
物音に駆け着けた看護師が声を掛けてくる。
うるさいうるさいうるさい。
ベッドにうつ伏せて、何も見えない聞こえないフリ。
看護師のため息なんて聞こえない、聞こえない。
「びっくりした、怪我してない?」
看護師ではない声に、顔を上げる。クラスメートの女の子、数少ない来客。度々やって来る変な奴。看護師と一緒に入ってきたようだ、肝がすわっているというのか、ただ鈍いのか。
「今日はね、駅前で路上ライブを見たんだけどさ」
そういえば彼女は差し入れの類いは持ってこない、いつも土産話だ。最初は学校の行事やクラスの様子を話してくれたけど、いつからか話さなくなった。最近は彼女の周りで起こったことや見聞きした話しだ。気を遣わせたようだ、私のためにこんなに尽くしてくれる必要なんてないのに。
モヤモヤとした気持ちがまた戻ってくる、ダメ。
「それで、そのオバサンは」
「もう、無理に来なくていいよ」
言ってしまった。後悔、本当に来なくなるかも。
「私なんかのためにさ、ここまでしなくていいんだよ、自分の好きにすればいいじゃん」
ムシャクシャした気持ちを勢いのままに向けてしまった。
こんなこと、言いたかったんじゃないのに。
会いに来てくれる相手に、こんな。
「もう来ないで」
違う違う、なのに本当の言葉が出てこない。
沈黙が痛い、どうして、だってでも。
何も言えなくなった私の表情から何を感じ取ったのか、彼女は微笑む。
「……ん~、ならさ最後に私の語りを聞いてくれない?」
――一目惚れみたいな感じなのかな。大会前かな、放課後に練習で走ってるとこ見た時さ、貴方の表情に、なんか、すごい、衝撃を感じてさ。あ、恋愛って訳ではないよ、多分。ただ、あの時見た表情が、また見たいな、好きだな、もう一回、いや何度でも見たい。うん、ゴメン恋愛否定したけど言葉にしたら自信無くなってきた。ずれたね戻すわ。
とにかくそんな調子だから、見るチャンスを逃したくなくて何かと来てたわけ。うん、もう見れないかも知れないし、けどそんなことないかも知れない。うん、もう前みたいに走れないのは聞いた。でもさ、それでも諦められないのですよ、見たいなって思うわけですよ。我ながらしつこいねぇ。
……世の中、色んなものが溢れていて、出会いも沢山あるわけだから、もしかしたら『走る』以外でもあの顔を引き出せるものが有るのではないかと、期待しているわけですよ。また、見せて欲しいわけなのですのよ、生を謳歌していると言わんばかりの眩しい顔を。君を望んでいるわけですよ、私のためにね。
「口調おかしくなってら。とにかくさ、自分の欲望のままの行動なので気にしなくてよろしいのでして、待って泣くなよぉ」
――私たちまだ若いんだぜ、何もかも諦めるには早いのでは? だからさ、退院したら私と一緒に色んなとこ行こうよ、色んなものに会いに行こうよ
「何だコレ?プロポーズ?」
「自分で言って、自分で疑問になってんの可笑しいでしょ」
久々に笑えた気がする、そっか諦めるにはまだ早いか。
「その顔も好きだね」
「私のこと好き過ぎでしょ」
ほんの少し、彩りが戻って来た気がする。
私たちの色、もっと鮮やかに広がりますように。
「病室」
「悦ばれる肛門ですよ」
耳を疑った…どういう事?
見返した医師は爽やかに微笑んでいる
イボ痔を診てもらいに来ただけなのに…
この人は肛門からイボを取り除くだけじゃなく自信を植え付けようとしてくれてる?
ダメ…今、そんな優しくされたら…私
泣きじゃくる私を尻目に彼はゆっくり座薬を押し込んでくれた
【病室】
乙一の著書に、『失はれる物語』という短編小説がある。
初めてこの物語を読んだとき、夜雨はいたく感動して、こっそり泣いて、読み返して、そして、分かち合うべく春歌に勧めた。
短編小説なので夜雨が数十分で読み終えたそれを、春歌は貸してから三日後の土曜日の夕方、赤い目と不機嫌な表情を隠しもせずに返しに来た。
聞くに、春歌はこの物語の家族の方に感情移入したらしい。読み終えた後こそ盛大に泣いていたが、落ち着くにつれ、ふつふつと怒りがわいてきたそうだ。
主人公は勝手だ、これで家族は幸せなのか、確かに辛く苦しいだろうけど、その中に少しも幸せがないなんて誰も言ってないのに。鼻をぐずぐずいわせながら憤る春歌は、次にそれを夜雨にも向けた。
夜雨が物語の主人公に共感し、もしも同じ境遇に置かれたとしたら同じ行動を取るだろうことは、春歌にはお見通しだったのだ。
現実に起きていることでもないのに夜雨を想い怒る春歌に、ごめんと小さく謝る。
この思い出だけでもう充分、暗闇の病室に溶けていけそうだった。
外を見ると楽しそうに遊んでいる人達が見えた。僕も混じりたいな.....けど、そんな思いはすべて風と共に去って行く。僕はあと少ししか生きられない。家へ行っても心配なんてされない。家族は出来底ないの僕を嫌っているから。
けれど、学校でも、家族の中でも僕を空いてくれる人は唯一人だけいた。全く似ていないが双子の弟がいた。弟の名前は凪桜。凪桜は僕のように病弱ではなかった。運動も勉強も何でも出来る。それとは裏腹に、僕はなにも出来ない、駄目な兄だった。
「あ〜お!今日も来たぜ!」
「凪桜....こんなところに来たらまた怒られるよ?」
「おい藍桜?俺高一だぞ?親に反抗くらいできる」
「いや、でも....」
「あーもー!藍桜の声なんて聞こえな〜い!」
餓鬼だなぁ、何が高一だ。精神年齢は小学生じゃん。
「なぁ、藍桜?」
「ん?」
「寂しくないの?こんな病室に一人で」
「嗚呼、寂しく無いよ。昔から僕は一人だったからね」
「寂しかったらいつでも言えよ〜、昔みたいに」
ニヤッと笑って言った凪桜の顔面に枕を投げつけた。
其の時、僕の病室の扉が開いた。
「凪桜何をしているんだ?」
「お見舞いですよ。父上も母上も自分の子を見捨てたのによくもまぁ、ぬけぬけと藍桜に面を出せますねニコ」
「使え無い奴は切り捨てる。其れが家のルールだ」
其の言葉が僕の方に重くのしかかった。
そう、僕は切り捨てられた。だから凪桜はここにいてはいけない。父上が正しいんだ。
「凪桜、もう、いいよニコ。凪桜が僕なんかに構ってたら、凪桜も切り捨てられるかもしれない。そうですよね?」
そう言って父上の方を見た。
「嗚呼」
「だから、もういいよニコ」
「でも藍桜は...___」
「凪桜」
その瞬間其の部屋の中が藍桜だけの圧に包まれた。勿論誰一人として動けなかった。父上でさえも。
「いいですか凪桜。僕はもう長くないのですよ。ですから、今更跡取りになどなれません。今は弟の貴方が継ぐのでしょう?僕のような人に構っている暇があるのならば、跡取りの事のみを考えなさい」
「其れでも!もしかしたら治るかもじゃん!」
「.....っ!五月蝿い!昔から僕はお前の事が嫌いだったんだよ!全てに恵まれたお前が!」
病室には僕の声だけが響いていた。
「顔も見たくないんだよ.....もう二度と僕の前に顔を出すな。反吐が出るハアハア」
言い終わってから凪桜と父上がいなくなってすぐに我に返った。とんでもないことをやらかした事に。
思い出すだけ自分が嫌になる。兄なのに弟を傷つけてしまった事。あんなの唯の八つ当たりだ。
こんな日々にうんざりしていた。溜まっていた事を当てるべき相手ではない人に当てた。
此れでもう二度と僕の前に顔を出さないだろう。
唯一、僕に優しくしてくれた凪桜。
病室で一人後悔しながら泣いた。
# 82
うだるように暑い夏の日だった。
どこまでも続きそうな青い空が見えていた。
私と祖母と大叔母と。ベッドの上の祖父。
まるでその日常がずっと続くみたいに3人で笑った。
そこはどこまでも平和で、いつまでも平和。
私はあの日、たしかに永遠の中にいた。
病室の窓からは永遠が見えた。
永遠に忘れられない私の永遠。
いつ来ても、ツンとした臭いのするこの白い空間は好きになれない。
薄いピンクのカーテンをすり抜けて、白いベッドの上の若い女を眺めた。
紫がかった土気色の顔は、骨と皮になり、目が落ち窪んで、鼻には管が刺さっている。
枯れ枝のように痩せ細り、カサついた腕には紫色の斑点が散らばっていた。
こちらにも何本もの太い管が刺してあり、ベッド脇の大きな機械に繋がっているようだ。
この状態でまだ生きているのかと、哀れに思う。
人間は恐ろしいことをする。
こうなってまで、何故生かそうとするのか。
これでは、ただの……。
フツフツと怒りが込み上げてくる、最近は怒ってばかりで何だか疲れた。
さっさと、この女の魂を狩り、生を全うさせよう。
仄かに輝く女の魂を掬い上げ、肉体と繋がっている臍の緒のような白い糸を、自慢の長い鉤爪で千切ろうとし。
微かな声が聞こえて、女の顔を見た。
落ち窪んだ虚ろな目から涙をポロリポロリと零しながら私をしっかりと見て、首をゆっくりと横に振ったのだ。
もう少し、待って、と。
直ぐに廊下の方からドタドタと、ココには似つかわしくない音を立てながら男が一人、顔面をグチャグチャにさせながら女の元へ駆け込んできた。
女の枯れ枝のような腕を愛おしそうに絡め取り、血管の浮いた手の甲に優しく口付けを落す男。
擽ったそうな女の笑い声に、男は頬に鼻にキスを落としながらやせ細った女を掻き抱く。
愛する男に優しく抱きしめられて心底嬉しそうな笑みを浮かべながら、女はちらりと私を見て小さく頷いた。
テーマ「病室」
【病室】
消毒液の匂いから逃げるように窓を開けた。
木々の陰から風が吹き込んで部屋を巡る。
髪が煽られ、なんだかとても生きているって感じ。
憂鬱だった気分がほんの少しだけすっきりした。
ここにいると、できることが限られる。
食べて、眠って。テレビを見たり、読書をしたり。
楽だと思っていたけど、終わりない暇はなかなかつらい。
扉を見つめた。早く来て。あなたがいないと退屈だよ。
日の沈む前に、あなたは毎日欠かさず来てくれる。
仕事終わりにはくたびれた背広姿のまま。
休日には差し入れの本を持ったラフな格好で。
あなたがいると白い部屋も華やいで見える。
今日はどんな話をしよう、と考えるだけで楽しい。
「遅くなってごめんな」背広を手に、眉尻を下げて笑う。
あなたはベッドサイドに置かれた椅子に腰を下ろした。
顔を見るだけで、私の頬は自然と緩くなる。
「今日はどうだった?」それは、いつも聞かれる質問。
ほとんど一日中ベッドの上にいては新しい発見もない。
だから話す内容は本のことか、何度目かの繰り返し。
だけど、どんな話でもあなたは楽しそうに相づちを打つ。
私ばかり話してしまうけど退屈していないかな。
たまに不安になる。「疲れてるのにごめんね」
口に出せば、あなたは呆気にとられた様子だった。
「何言ってるの。聞きたいんだから変に遠慮しないでよ」
面会時間が終われば、当然、あなたは帰ってしまう。
部屋は静けさに包まれて、鳥の鳴き声が聞こえる。
また明日も来てくれることを期待して、布団に潜りこむ。
かすかに残るあなたの匂いで、安心して眠れる気がした。
入院したことがある
寂しくそして
辛かった
どうしてだろうって
思った
今おもえば
わかる気もします
大事なときだった
病室
冷房の効いた病室の中で、蝉の鳴き声だけが夏の訪れを知らせてくれる。窓の外を眺めていると、静かに音を立ててドアが開いた。
「斎藤」
よ、と片手を上げて齋藤は室内に入ってくる。
「元気かって聞くのものおかしいな。あ、これ、お見舞いの花と、野球部のみんなからの寄せ書き」
「おー、すげ。あざす」
「それだけっすか?」
「あざーす。感謝してマース」
受け取った紙袋の中身を覗くと、一人一人の筆跡が学校での日々を想起させた。かつては自分もこれを書く側で、送られるようになるとは思ってもいなかった。
「てかさ、スタメン様がこんなところで油売ってていいの?」
「馬鹿野郎、俺が行かなくて誰が行くってんだよ。……で、足どー?」
「あー、まあ、ぼちぼち? 今年の夏には間に合いそうもないけど」
「そ。……俺らもう3年だけどな」
「だな。あーでもそう考えるとおれでよかったのかも、ベンチだし。いやベンチはどうでもいいとかそういうことじゃなくて。」
「やめろよ」
「甲子園決まったのに、足引っ張るようなこと、ぜってえしたくなかったから」
「やめろ」
「でもおれはさ、お前じゃなくて良かったと思うよ」
足の靭帯損傷。最後の夏もベンチになって、それでも足掻いたその結果のこれだ。蝉が長い人生の最後の7日間空を見ることが叶うように、自分に才能がないとわかっていても、いつか羽化すると信じて頑張ってきたのだ。
もし、お前がおれみたいに足怪我したら、漫画とか小説の主人公みたいにカッコついたのかもしれないけどさ、おれはそうはなれないから。
「おれ甲子園の土欲しくてさ、おれの分も取ってきてくんね」
「……結構時間長引くと思うけど、それでいい?」
「おう、なるべく時間かけてくれ」
そういうと、斎藤は病室を出ていった。おれがいつもベンチから見ていた背中だった。
その夏、おれは泣き崩れる齋藤の背中を、涼しい病室の中で画面越しに見ていた。薄暗い土の中で光を見ることなく死んでいく出来損ないの蝉のように、自分の中の何かがひっそりと死んでいくのを、おれは感じていた。
無題
分からない
不安
正解がないから怖い
私は間違ってるのかな
何かを失うのが怖い
病室
暇だよ
ただ休むにはいいと思う
特に人数が少ない部屋だと
日常生活が如何に労力が必要かを
ものすごく実感できる
スマホやタブレットがあると
逆に休めないかも
自覚あるかわからないけど
割と体力持っていかれるんだよね
かなり疲れてると判る
疲れ果ててると
音楽すらだるいんだよ
病院にコンビニ
病室にスマホ
あとはお財布と相談
スマホでコスパがいいのはアマプラ
いままでの月額の中で最強
無料がいいなら麻雀と将棋が奥深いよ
私は将棋は諦めました
麻雀はやる気次第ではある
暇つぶしに困らなくても
喫煙とか回線が必要なゲームをするなら
それなりによろしくはない
スマホって偉大だなって話
最大の不満は寝る時間かもしれない
まぁ守らないんだけど
ってかそんなに寝てられない
iPhoneが15万くらいだとしても
6年持ってくれるなら
年2万5千円
こう考えれると高くはない
実際は3万くらいかもしれない
一括だと高い
分割は月々の計算的に重い
でもトータルだといい買い物
病室だったね
割と時間が制限される
それなりにいい環境ではある
それでも入院させられるのは避けたい
がらがら、がら、と大きな音を立てて崩れていった。
「膝前十字靭帯断裂」「アキレス腱断裂」
それが俺の死刑宣告。
陸上部のエースだった俺は、この夏に死んだ。
事故だった。
隣のレーンで走ってたヤツが上手くハードルを避けられなくてバランスが崩れた。そして俺のレーンに倒れた。俺がソイツを避けようとして、失敗した。
ただ、それだけのこと。
後輩だというソイツは泣きながら俺に謝ったいた。
人懐っこそうな顔をくしゃくしゃにして、ぼろぼろと涙を流していた。悪いことしたなぁ、と思った。
少し、鬱陶しいとも思った。
ごめんなさいも、俺のせいでも、要らなかった。
俺が欲しかったのは、確かな「大丈夫」だった。
お前は、まだ走れる。
お前のハードラー人生はまだ、終わっていない。
その言葉だけで良かった。
それでも現実は理不尽で、お医者さまは俺の欲しい言葉をくれない。言うのはひとつ、諦めろ。
もう、元のように走れない。
ハードルを飛ぶことが出来ない。
記憶にないが、それを聞いた俺は暴れまわったらしい。面会が出来るようになったのが3日前。後輩が来たのが昨日。あれからぼんやり過ごして1日。
あっけないもんだなあ。
コワレモノの脚を見つめて、そう思った。
真っ白な病室とマッチしない、黒く焼けた肌が恨めしくて仕方がなかった。
生ぬるい風が、気持ち悪かった。
こういう時、漫画の主人公なら違ったんだろうな。
リハビリとかケアをして、また羽ばたくんだろうな。
でも俺は、そんなふうになれない。
そう思ってしまったから。
無機質な病室の窓から見た、鮮やかな入道雲の白に泣きたくなった。
2023.8.2. 病室
『病室』
そこにいる父を
見る日が来るなんて
想像もしていなかった
面会に行くたび考える
どんな気持ちで
1人過ごしているだろうと
長時間にわたる手術
入院期間を経て退院
あれから3年
元通りではない生活
でも
生きてくれているだけで
ありがとう
あの期間のことは忘れない
命を助けるために
関わってくれた人たちに
ずっとずっとありがとう
【病室】
クーラーが効いた涼しい部屋。
ベットがたくさんある部屋。
空から一番近いベット。
小さい頃からの私の特等席。
空には、いろんなものが飛んでいる。
白い雲に暗い雲。
飛行機にヘリコプター。
鳥に虫。
花びらや葉っぱも飛んでいる。
私は、いつも空を見ている。
私には、それしか出来ないから。
私がいつものように、空を見ていると
そこには風船が飛んでいた。
白色の風船だ。
私は、その風船が
どこに旅に行くのかと思うように
この閉じ込められたこの部屋から
その風船を見ていた。
風船は段々私から離れていく。
どんどん離れていく。
私は、その風船を追いかけられない。
閉ざされた部屋から1人で外も歩けない。
その風船は
空へ空へと旅に行く。
私は、もう少しで
白い風船を追いかけに行くだろう。
ああ、
この閉ざされた部屋じゃなくて。
空のように、とても広い広いところを歩いて。
違う景色を見て。
友達を作って。
遊んで。
笑って。
泣いて。
喜んで。
そして空へ空へと行きたかった。
さようなら。
私の特等席。
【あとがき(?)】
風船が多すぎて病室より風船のお題のようになってしまいました。
ごめんなさい。
でも読んでいたただけるとありがたいです。
裸足で駆ける
常夜灯の点滅
優しさは まるで氷のやう
手を引かれるの
頰にナニか伝うの
優しさで包んで 手を引くの
また1人 かえっていくの
何重も優しさで包んだ手に引かれて
きっと ママとパパと笑えたの
扉を 前に後ろに
開けられないから 笑ったの
扉は 横に
あの子は何か 知ってるの
扉を前に 押さないの
あの子は 優しく手を引かれない
この檻の中で 笑うのよ
頰にナニか伝っても
パパとママと笑うのは
扉が開かないお仕置きの後
みんなのお腹が 満たされる頃
お題【病室】
タイトル【今日ご飯はなぁに?】
お題「病室」
気づいたら桜の舞う季節になっていた。病院の前にある大きな桜の木。もうそんな時期になってしまったのかと寂しい気持ちになる。友達との別れの時期。短い時間のはずなのに私には長い日々に感じた。ずっと学校に通える日を夢見て何日も待っている日々。結局叶わずに終わってしまったのだ。友達と行きたかった修学旅行も、文化祭も叶わない。辛い現実に思わず涙がこぼれる。でも、友達は私よりももっと辛いはず。私は友達の手を握り声をかける。
「ねぇ、早く目を覚ましてよ…。」
【病室】
「えーんえーん」と赤ちゃんの泣く声が
病院の廊下に響いた。
あたしはヒタヒタと廊下を歩いて
赤ちゃんの泣き声のもとへと向かった。
小さなベッドを覗き込むと
産まれたての赤ちゃんが横たわっていた。
あたしはその赤ちゃんを優しく抱きかかえた。
「大丈夫だよ ママはここだよ」
あたしは赤ちゃんを頬に寄せ
泣き止むようにあやした。
「えーんえーん」と泣き続ける赤ちゃんをかかえたまま
あたしは自分の病室へ向かった。
「何をしているのです?」
看護師さんがあたしに話しかけた。
「ああ、看護師さん
あたしの赤ちゃんが泣いていたので
あやしに来たのです。」
「あなたの赤ちゃん…?」
「ええ とても可愛いくて愛らしくて
泣き止まないからつい病室から出ちゃいました。」
あたしはにっこりと笑った。
「愛斗さん…また『ままごと』をしているのですか?
その赤ちゃんは 『あなたの子』ではありません。
それにあなたは…
『男性』でしょ。」
「え…?」
オレの幸せな幻想が崩れ落ちた。
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202×年 8月
オレは赤ちゃんを身ごもったと思っていた。
念願の赤ちゃん…
オレと好きな人の子供だと…
オレは『母親』になりたかった。
あたたかい『家庭 』がほしかった。
好きな人と結ばれる気がした。
それよりも『大人の女性』への憧れが強くなっていた。
動きもしない人形を『わが子』として思い込んでいた。
「ねえ 見た?今、この子が笑ったの」
「そんな抱え方しないで!優しく抱っこしてあげてよ」
「今やっと眠ったところなの 静かにして」等…
オレは『母親』になりきっていた。
前は犬の人形に『半蔵』という名前を付け、
『はーくん』と呼んでいた。
大人しくていい子で優しい子だったのを覚えている。
現在、オレに人生のパートナーができ、
2人で猫の人形を『わが子』と思って
扱い過ごしている。
いつか本当の『わが子』を迎えるまで
オレ達の『ままごと』は続く…。