蓮雪憶

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【病室】

クーラーが効いた涼しい部屋。

ベットがたくさんある部屋。

空から一番近いベット。

小さい頃からの私の特等席。



空には、いろんなものが飛んでいる。

白い雲に暗い雲。

飛行機にヘリコプター。

鳥に虫。

花びらや葉っぱも飛んでいる。



私は、いつも空を見ている。

私には、それしか出来ないから。



私がいつものように、空を見ていると

そこには風船が飛んでいた。

白色の風船だ。



私は、その風船が

どこに旅に行くのかと思うように

この閉じ込められたこの部屋から

その風船を見ていた。



風船は段々私から離れていく。

どんどん離れていく。

私は、その風船を追いかけられない。

閉ざされた部屋から1人で外も歩けない。


その風船は

空へ空へと旅に行く。



私は、もう少しで

白い風船を追いかけに行くだろう。



ああ、

この閉ざされた部屋じゃなくて。

空のように、とても広い広いところを歩いて。

違う景色を見て。

友達を作って。

遊んで。

笑って。

泣いて。

喜んで。

そして空へ空へと行きたかった。






さようなら。
   私の特等席。
  









【あとがき(?)】
風船が多すぎて病室より風船のお題のようになってしまいました。
ごめんなさい。
でも読んでいたただけるとありがたいです。

8/2/2023, 4:35:58 PM