『流れ星に願いを』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「鷹」
君は幸せだったのかな。
羽を失って飛べなくなってしまって。
君は汚い羽だからと言って無くなって良かったぐらいに思うかもしれないけれど。
そんな羽が消えても
それでも背負わされるものは変わらなくて。
生きるために周りを見る癖がついていて。
いつも人のことばかり考えている。
頭の回転は早いけど自分を数に入れてない。
きっと自分が傷つくことなんかなんとも思っていない。
辛くても弱音ひとつ吐かない君は強い。
負けない君は、絶望しない君は本当に強い。
自分が幸せになることは罪なことかな。
人を助け続ける姿は私の憧れ。
だけど、鳥籠に閉じ込められていないで
幸せになってほしい。
流れ星に願いを
「流れ星が消えるまでに願い事を3回言えたら叶うらしいじゃん。」
メガネをかけた男は夜空を見上げながら友に語りかける。
「あー、あれ誰が言い出したんだろな。」
「俺、その迷信おかしいと思う。」
「て言うと、どの辺が?」
少しわざとらしくメガネをクイッとあげながら男が答える。
「流れ星、流星って宇宙にある岩が地球の大気に降ってきて燃え尽きてる訳だろ。消えていくものに願い事をするって、馬鹿げてないか?」
ロマンスの欠けらも無い、実に地学的視点から見た考察だ。
「お前さぁ....そういうとこが女から冷たい言われるんじゃねーの。」
なにが?と、心底不思議そうに首を傾げる。
「願うなら、新しく誕生した星に願いをかけるべきだと思うぞ。」
その言葉を最後に、男はまた星空を見上げ出した。
その横顔を見ながら、隣の男はぽつりと呟く。
「....まぁ、俺はお前のそういうとこが好きなんだけどな。」
流れ星に願いを
流れ星って本当に一瞬で1秒もなくて、
光だって薄くて、近眼の私には脳で認識したときには消えている。
本当にあ!っと思う間に消えている。
あ!と声に出す間もない。
願いをかけようなんて気持ちは全く湧かないくらいだ。
だけど、もし3度唱える時間が与えるなら
幸せに生きて、幸せに死ねますように
幸せに生きて、幸せに死ねますように
幸せに生きて、幸せに死ねますように
と唱えたい。
『あ、流れた。』
満点の星の中、一筋の光が流れる。
「え、見えたの?いいなぁ。俺まだ一個も見えてない。」
『へへ、俺三個目〜』
夏の夜。
星が好きだった俺は、よく流星群を見に来ていた。
この時期だと、ペルセウス座流星群を見ることが出来る。
地元は明かりも少ない田舎だったのもあって、星を見るのには最適だった。
そして、流星群を見に行く時、必ず着いてくるやつもいた。
「ちぇ。全然見えねぇ。」
『もう少し粘ってみろよ。変に探すから見えねぇのかもよ。』
拗ねて友人が草むらに座る。
「大体、毎年見に来てるけどさ、星のどこが好きなわけ?流れ星だって、実際宇宙を漂うゴミとか塵屑だろ?」
『おま……夢ねぇなぁ。』
友人の発言に呆れながら、荷物の中からペットボトルを取りだし、口を付ける。
「あ、それ俺にも分けて。」
『お前のは?』
「もう無くなった。」
仕方ない、と思いながら座る友人のところで屈み、ペットボトルを差し出す。
「サンキュ。」
『退屈なら見にこなくたって良いのに。別に星好きでもないんだろ?』
「んー?まぁ、そうだけどさぁ。」
曖昧な返事をしながら友人は。俺が渡した飲み物を飲み干した。
『あ、ちょ、おい。全部飲んでいいとは……』
「お前と少しでも一緒にいるため。」
ピタリとペットボトルを奪おうとした手が止まる。
何言ってんだ、と茶かそうと友人の顔を見たら、普段しないような優しい顔をしていた。黙っていると、彼が口を開く。
「お前とずっと一緒にいるために、流れ星に願おうと思って。」
そう言うと立ち上がり、空のペットボトルを俺に返してくる。
『柄でもないことを……俺の事そんなに好きなわけ?』
「好きだよ。」
ドキンッと心臓が跳ねた。
長い間一緒にいた彼に対して、今まで抱いたことの無い感情に襲われている。
得体の知れない気持ちから逃げるための言葉を、気づいたら探していた。
『やけに素直じゃん……?まぁ俺もお前の事、大事な友達だと思ってるから……好きだけど。』
普段しない言葉を発したせいか、彼の顔を見れず、そっぽを向いて話す。
「……そうじゃないんだよなぁ。」
ボソッと、小さく。友人の声が聞こえた。
そこで、自分が勘違いしないようにしていた事が無駄だったのと、
生まれて初めて、相手を傷つけた事に絶望したのだ。
そこからの記憶は曖昧だった。
どっちから帰ろうと言ったのかも覚えていないが、俺らは一言も話さずに解散して家へ帰ったのを覚えている。
夏休み期間だったのもあって、翌日友人と顔を合わす事もなかったためか、学校へ行く頃には何も無かったかのように話すことができた。
いつも通りすぎて正直戸惑っていたけども、変に追求したり狼狽えるよりも、その方が俺らにとってもいい気がした。
数年後、俺は上京して都内の会社で働いていた。
社会人生活にも慣れてきて、夜の天気のいい日には空を見上げることが出来るくらいにはなった。
家事や寝支度をひと通り済ませた俺は、いつも通りベランダへ出て星空を眺める。
地元と比べると明かりが多いのでそこまで見えないが、ちらほら星を見つけることは出来る。
あんな出来事があった今でも、俺は星が好きだ。
あの後しばらく星は見れなかったが、小さい頃から好きだったからか、気づけばまたこうして星を眺めていた。
とはいえ、星を見る度に友人の顔がフラッシュバックはする。
その度にどこか切なくもなるのだ。
『ほんと……ガキだったよなぁ。』
「誰がガキだったって?」
声に振り返ると、切なさの対象である彼が立っている。
そう、今俺たちは絶賛二人暮らし中である。
上京してしばらく経った頃、会社に彼が転職してきたのだ。そこからまた話すようになっていき、今は同僚であり友人……
いや、恋人になっていた。
「まーた、空見てるの?」
『まぁな、今日も天気いいし。』
「でもやっぱ地元に比べると見えねぇよなぁ。」
彼は俺の隣にさりげなく来ると、同じように空を見上げる。
昔は、一緒に見てくれる友人にありがたく思っていたが、今はこうして好きな事を共有できる時間や彼に対して、愛おしく思う。
『少しくらいは見えるぞ。まぁ流れ星は見えないけど。』
少し残念に言うと、彼はハハッと笑った。
「でも俺はもう見えなくてもいいや。」
『そうなのか?』
よく流れ星を見たがってたのに、と少し驚いて聞くと、彼の顔がこちらへ向く。
「だってもう、一番叶えて欲しい願いは叶ったからな。」
そうやって言った恋人の顔は、とても可愛く見えた。
#流れ星に願いを
塩水が乾き濃縮された塩田、そこに湖の様に溜まった雨水が夜天を映す。星の降りしきる空は暗く、冷えた夜の大気は呼吸の度に体温を奪う。
流星は願いを叶えるとも言うが、人の死と繋げて考えられる事も多い。落ちる星が自分の星でないよう祈る話もある。もう随分昔に、ここで友と共に見た一つの流星は、その友の星であっただろうか、それとも己の星であっただろうか。流星を見て間もなく戦火に巻かれ、友のその後は知れない。自分はその時に親兄弟をなくし孤児となった。
流星というのはすぐに燃え尽きるか、人の目に触れず確認されないだけで一日に数え切れない程落ちている。落ちる星が人の命なら、目に見える程の降り続ける星ゞは未だ続く戦争によるものだろうか。兵士も一般人も、大人も子供も死んでいく。
自分の願いは自分のものだ、誰かの、自分の外にある星には願わない。ここに居るのは己の未練だ。己が方をつけるべきものだ、頼るものは自分だ。今までもそうだった。友を失くし、家族を亡くし、ただ一人となり頼れるものは己が身一つだった。
流星は燃え尽きても塵を残す。何も残さないわけではないのだ。誰にも知られず消え入ろうと、残るものはたしかに在った。誰にも知られたくなくても、ほんの砂一粒と言えるほどのものだろうと、何も残さずに行くことは出来なかった。たとえどのような姿を取ろうと、生きたことがいずれは他の誰かの道を示す輝きになる。地図も羅針盤も無く先の見えない暗闇でも、星と地形を見定めれば進むべき道がわかる。己の現実と、星から発された光を導に自分は生きぬいた。自分以外の誰にもわからないことだ。
どれもすべてを知られる必要はなく、この先詳しく知られることも無いだろう。それでも、枯れた植物も養分となって巡るように、たしかに在った存在が遺していったものが、多くの存在に役立つように自分は願う。いずれ人を生かすものの一つとなるように。
その日、幻想世界ファンタズマに流星が落ちてきた。
神が命を捧げて呼び寄せた異世界の希望。
その名を龍馬と言う。
あの神に蹴り落とされるとジェットコースターの安全ベルトを付けないで落ちているかの様な浮遊感が俺を襲っていた。随分高いところらしく5分ほどぼっとしていると地上が見えてきた。
このままでは俺死ぬのでは?と思いましたが流石にあの神もそこに配慮して何事もなく地上に降りることができた。辺りを見渡すと村があったので近づいて行くと先程の流星に警戒されているらしく村に中々通してくれなかった。
埒が開かないので脅してやろうかと俺があの流星だと言うと顔つきが神妙な顔に変わって俺を村へと歓迎してくれた。その日全世界に流星の救世主が降臨したと話題になった。
そしてかの救世主の為胸に手を当てて項垂れた。
流星に願いを込めて。
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
(二次創作)(流れ星に願いを)
いよいよ明日、プロクスの大地に足を踏み入れ、マーズ灯台に向かう。
長い旅もこれで終わるのだ。先に行ったカーストたちが火を灯しているとは到底考えられず、であれば何か待ち受けている障壁があるのだろう。強大な敵か、難解な仕掛けか。緊張と興奮がないまぜとなった気分のせいか、却って目が冴えてしまい、メアリィは困ってしまった。
夜風にでも当たろうと甲板に出れば、どうやら寝付けないのは自分だけではなかったようで、イワンとピカードがいた。二人して、空を見上げている。
「こんばんは」
声を掛けて、隣に立ち、二人を真似すれば、薄い雲の合間にいくつもの輝ける星が見える。思い返せば冒険の途中、何度もこうして空を見上げたものだ。
「人は亡くなったら星になると聞いたことがあります」
「星は本当は空のずっとずっと上にいて、何年もの時間をかけて光がここに届くそうですよ」
イワン、ピカードが、それぞれ星にまつわる話をする。
「流れ星が消えるまでに願い事を唱えれば、それが叶うと言われていますわ」
メアリィもまた、イミル村に伝わる話をする。
出身地がばらばらな三人は、星一つとっても見ているものが違うのだ。これは星以外でもそうで、その視点から見ればこの旅路は得るものも、新しく知る事柄も多く、楽しかったと振り替えられる。もちろん大変なことも危険なこともたくさんあったけれども。
「マーズ灯台、どんな灯台なのでしょう」
何よりも、全て火を灯し終えた先に、何があるのだろう。旅は終わり、また元の平穏な日々に戻るのだろうか。マーキュリー一族の使命は破られ、ヘルメスの湧水が復活した今、イミルに自分の居場所はあるのだろうか。
(なんて、今心配しても仕方ないわ)
メアリィは小さくかぶりを振る。そんな彼女と仲間たちを励ますように、星々が小さく瞬いた。
【流れ星に願いを】
僕は学校帰りに立ち寄った駅前の本屋の中で目が合った女性に一目惚れをしてしまった。
その女性は読みたい本があるのかは分からないが、一生懸命に本を探していた。
自分はそれが気になってしまって、ずっと見ていた。
悲しそうな顔をする事もしばしばあったが、やっとの思いで見つけたお目当ての本を手に取った時の彼女の表情が綺麗だった。
彼女が視線をこちらに移した時、僕と目が合った彼女は僕に嬉しそうな顔を向けてくれた。
その時に僕の胸が痛くなって、恋をしてしまったことに気付いた。
急いでお店を出て、その翌日からずっとあの店に立ち寄ったが会えなかった。
それに年上の人に恋をしたという恋愛相談が出来る友人もいないのだから、どうすればいいかなんて分からなかった。
そんなある日の事。天気予報では今夜は流れ星が見れると言って、学校中で大騒ぎだった。友達がいない僕でも大きい声で流れ星の話をされてしまえば、期待をするしかないだろう。
これで彼女に会えるのならなんだってするさ、もう一度あの表情が見たいんだ。
そして夜になって、僕はちょうど駅前にいた。
沢山の星が流れ始めて、僕は三回願いを唱えた。
彼女から見たら年下でイケてない男になるかもしれないけど、会いたいんだよ。
そんなことを思っているうちに星は流れ終わってしまって、その場にいた人は散って行った。
僕はその空を眺めながら「お付き合いできるかは分からないけどお会いできるといいな」と呟いた。
その後誰かに『君のお願い叶ったかな?』と聞かれて、その誰かの方を振り向いた。
それはあの日に本屋で出会った彼女で僕はさらにドキドキしてしまった。
「お久しぶりです、僕のお願いは叶いましたよ」
それを聞いた彼女は『じゃあ私のお願いも叶えてもらおうかな』と笑って言っていた。
「流れ星に願い事をするなら何を願いますか?」
普段はささくれた性格に思える彼女が急にそう僕に尋ねた。
新社会人になり、挨拶程度しか交わしていなかった僕らは新入社員歓迎会という名のくだらない飲み会に半ば強引に参加させられた。行きたいわけなどあるはずもないが断ることの方が後々面倒だと思ったのだ。
つまらない飲み会のつまらない上司のつまらない話に作り笑いをして心のどこかが削られていく感覚をアルコールで鈍らせながら何とか二時間乗り切り、店を出て夜風で顔を覚ましているとふと彼女と目が合った。僕はすぐに目を逸らした。
二次会の誘いを上手くすり抜け、ほろ酔いの頭で駅へと向かっていると「ねえ」と声をかけられた。振り向くと横には頬を少し赤らめた彼女が僕の瞳をまっすぐ捉えていた。「もう一杯どう?」と彼女は言った。
コンビニで僕はロング缶のハイボール、彼女は梅サワーを選んで買った。会計をしようとしたら彼女はいいから、と拒んだが僕はいや、払うよ。と言うと彼女は「うるさい、いいったらいいの」としかめ面をしたので僕は代わりになりはしないがお酒とつまみの入ったレジ袋を持って近くの公園まで歩いた。
僕らがそこで何を話したのか、翌朝の僕はよく覚えていなかった。とにかく長い時間を彼女と話した。声が出るほど笑ったりしたわけではなかったが、不思議と彼女との会話はまるで春の風みたいに心地よく流れ、酒が進んだ。唯一覚えている会話はこれだけだ。
「流れ星に願い事をするなら何を願いますか?」
まるで酒など一滴も飲んでいないかのような白百合みたいな顔色で僕にそう尋ねた。街路灯が夜の中にいる彼女の顔をさらに綺麗に照らしていた。まだ新しい黒いスーツと細い首筋との明暗は夜空に浮かぶ三日月を思わせた。
僕はそこできっと適当な返事をした。すると彼女は「流れ星って数ミリの塵らしいですよ」と言った。
「そうなんだ、知らなかった」と僕が言うと彼女は、「私はね、もし流れ星が願いを叶えてくれるならね、」そう前置いてこう言った。
「もっと、もっと大きくて綺麗な流れ星が見たい。まるで月がそのまま降ってくるような、そして私のところへ落ちてきて、私もろとも辺りを全部粉々にしてほしいです」と言った。
それからのことは忘れてしまった。
翌朝、若干二日酔いを感じながら出社すると彼女の姿はなかった。そして二度と彼女と会うことはなかった。
時が経ち、僕はたまに彼女と話をした公園で夜空を見上げる。都会の空は濁っていて、星など見えやしない。
それでも、僕は願ってしまう。月のような彼女が流れ星になってまた僕の元へ降ってきてはくれないかと。そして、彼女があの日の願いが僕の願いになる。
僕もろとも粉々にしてはくれないかと。
彼女の願いがあの日よりも少し理解できる気がする。
流れ星に願いを
天体観測が好きな幼馴染に誘われて
街でも星がよく見える場所に来た。
「流れ星綺麗だねぇ」
「本当ね」
2人で目を凝らしながらベルベットのような夜空を見つめていた。
「お願いごとできた?」
わくわくと尋ねる幼馴染に
「できたわよ。でも、話すと叶わなくなるって逸話があるから秘密ね?」
「そうなんだよね。話せないのが惜しいけど、私も秘密にしておくね」
顔を見合わせると、どちらからともなく笑いが込み上げてきた。
願いごとは、ただ一つ。大好きな幼馴染と何歳になってもこうやって星空の下で笑い合えていますように。
笑い合う2人のように、2つの流れ星が夜空を駆け抜けていった。
『流れ星に願いを』22/131
星が見えない私に代わって、お願い⸺
今日はふたご座流星群が見える日らしい。
ニュース番組やSNSでは専らその話題で持ち切りで、
星が良く見える穴場スポットなども紹介されている。
「天望山キャンプ場」「天野川河川敷」「月読神社」…
よく聞いた場所だ。リモコンに手を伸ばす。
その時、スマホが鳴る。聞き慣れないeメールの通知音。
この現代でメールを使うような奴は…
From:星見 優
To:彗
件名:集合
…やはりか。ただ、目を引いたのは件名の二文字。
本文が白一色の空メールにため息をついて立ち上がる。
厚めの上着を羽織り懐中電灯が入った小さな鞄を持つ。
そして、あの場所を目指して歩き出した。
着いた頃には既に日は沈み黒い森が僕を出迎えた。
懐中電灯を取り出し山道を進む。
中腹辺りまで達したところで、ふと横を見ると、
不自然にも木の棒が天を見上げて突き刺さっていた。
そちらに逸れ少しばかり歩くと、そこにあった。
ずいぶんと朽ちてボロボロになってしまったが、
まさに「秘密基地」とでも呼べるような小屋がそこに。
入口に立ち、ノックを3回。コン、コンコン。
「天を望むこの山に。」
「あのね…僕だって分かってるでしょ。」
「………」
「…今夜は星が降ってくる。」
戸が甲高い音を出しながら開いた。
「合言葉、覚えてたんだ。あんなに昔のことなのに」
「まあ…ね。どれだけやったと思ってるのこの流れ…」
「それもそっか。あはは」
手を後ろにニコリと笑う彼女こそが、
僕が小さかった頃の友達の優…星見優だ。
見ない間に身長も高くなり外見も大きく変わっていた。
しかし…
「…眼、やっぱり治らないのか」
「…うん、もう視力が戻ることはないって」
「………」
「そんな暗い顔しないでよ、もう何年も前の話だし」
そう言いながら優は髪を指に絡めて遊んでいる。
「………」
小学生の時の話だ。いつものように秘密基地に行った僕は中にいるはずの優を見て、
言葉を失った。彼女は戸の前に倒れていた。
赤黒い何かが僕の眼に飛び込んできて、離れなかった。
顔には三本の掻き傷。誰がどう見たって熊の仕業だ。
でも僕はその時、理解ができなかった。
ただただ、尋常ではない様子の優に、オロオロしているしかなかった。
パキッ。
僕が知らず枝を踏み折った音で我に返る。
そして、目を開けない優を抱えて、森を駆けた。
そこからの記憶は定かではない。気が付いたら僕たちは麓の猟師さんの家の布団の上で、夜は既に明けていた。
優はまだ起きてはいなかっただろう。
僕は…僕は、何と声を掛ければいいか分からなかった。
それから優は長い入院生活に入って、僕は毎日お見舞いに行った。けれど、僕は優の顔を見られなかった。
勿論、初めは包帯でぐるぐる巻きにされていたから、というのもある。でも、ある日それが取れていて、痛々しい傷痕が見えて…僕は俯くことしかできなかった。
優はそんな僕を知ってか知らずか、いつものように明るく話をしていた。髪をクルクルと絡めて遊びながら。
「…その癖」
「えっ?」
「髪の毛をクルクル絡めるやつ。変わってない。
不安なときにやってるでしょ」
「あはは…ばれちゃったかあ。ほんとに…よく覚えてるね、もう数年も会ってないのに」
「……ね、じゃあ、あの時のお願いも、覚えてる?」
「…お願い?」
「やっぱり覚えてないかあ、あの時は彗くんすごく頑張ってくれてたし、無理もないか」
お願い?あの日、あの時に?優が、僕に?
「うーん…もう一回言うのは少し恥ずかしいなあ…
頑張って思い出してくれないかな?なんて、あはは」
「えー…全然覚えてないよ、ヒントとかないの?」
「ヒントかー、そうだなあ…あ」
「彗くん、空見てみてよ」
「空?…って」
見上げると、思わず息を呑んだ。
何もかもを吸い込んでしまいそうな夜空に、光の筋が現れた。一つ、二つ、黒板に白いチョークで文字を書くように、星が空を滑る。その数は次第に増えていって、僕に何かを教えようとするかのようにいつまでも流れる。
そう、何かを…僕は何かを忘れている…
夜空…流星…お願い…見上げて…声が…
…声?あれは…優の声?
あの時、優は息も絶え絶えに、僕に何かを…お願い…
「…あ」
「お、ついに思い出した?」
「…うん」
「良かった、そんな事今になって言えないでしょ?」
「まあ…確かにね、だから今日も『集合』だったんだ」
「そう、あの日みたいにね」
「…さて、折角思い出してくれたことだし、あの時の続きを、お願い、しようかな」
「…本当に、いいの?」
「嫌だったらそもそも誘ってないよ」
「…わかった」
星に願いを託すには、今日しかないよね。
そう言って笑っていたあの日の君の笑顔が浮かぶ。
幾年を越えて、あの日と同じ星々へ。
星が見えない君に代わって、お願いします、どうか⸺
「終わった?」
「うん、願い終わったよ」
「何をお願いしたのかな?言ってごらん?」
「分かってるくせに…」
「あはは」
「さ、帰るよ」
「えー、まだ秘密基地の気分ー」
「もう子どもじゃないんだから…風邪ひくよ」
「この上着ちょうだいよー」
「そしたら僕はどうしたらいいんだよ」
「あはは、たしかに」
「ほら、足元危ないから」
「………」
「…はあ、ほんとあの時どおりだな」
「ゆっくりでいいよ?」
「ゆっくりとしか歩けないよこれじゃ」
「あはは、言葉には気をつけなさい」
流れる星に乗って、願いは既に叶えられた。
「私たち死ぬまで一緒だよ」
「もちろんさ。この手を離さない」
公園のベンチに座る一組のカップル。
彼らはお互いに手を握り合い、愛を語り合っていた。
だが二人の顔に喜びは無く、思いつめた表情をしている。
ベンチの端に置かれたラジオからは、悲しいメロディーが流れ彼らの悲壮感が際立つ。
「ああ、幸せ」
「僕もだ」
「でも、もうすぐお終いなのね」
その言葉を合図に二人は空を見上げる。
彼らの目に映るのは、視界いっぱいの流れ星。
文字通りの視界いっぱいであり、この数の流れ星など異常というほかは無かった。
「まるで世界の終わりだな」
「うん、でも最後はあなたと一緒でよかったわ」
「僕もだよ」
二人はお互いを見つめ合う。
そんな時、ラジオから流れていた曲が終わり、ラジオから司会の男の声が流れてくる。
「さあ、リクエストの『5年前のあの日』が終わったところで、隕石についての続報だ。
地球に接近していた大隕石<メテオ>は、核弾頭<ホーリー>によって無事破壊。
その破片も問題なく大気圏で燃え尽きたそうだ。
隕石による被害は無し。
素晴らしいね。
では次のリクエスト。
ペンネーム・アルテマさんから『J-E-N-O-V-A』。
さあ、行ってみよう」
司会の言葉と共に、テクノな音楽が流れてくる。
その曲を聞いて、二人は思わず吹き出してしまう。
「これじゃ『悲劇のカップルごっこ』できないね」
「この曲好きなんだけどねー」
二人は腹を抱えて笑い出す。
ひとしきり笑った後、男が口を開く。
「そういえば願い事した?」
「あっ、事忘れてた」
「やっぱり。……でも安心して。俺が代わりにしといたから」
「ありがとう。それで、なんてお願いしたの?」
「うーん、恥ずかしいから内緒」
「話ふっといてそれかい!気になるだろ。吐け―」
そうして二人は鬼ごっこを始め、公園内を走り回る。
いつもの賑やかな公園の風景。
雲一つない青空の下、二人の笑い声が響くのであった。
そして、ところ変わって地球から遠く離れたところの宇宙船。
そこにいる宇宙人たちは、公園のカップルとは反対に悲痛な面持ちで地球を眺めていた。
彼らは自分たちが移住する星を探すために、宇宙を旅する宇宙人。
長い旅の末、地球を発見し、地球を侵略せんと企んでいたのだ。
お察しの通り、あの隕石は宇宙人が差し向けたものである。
彼らは、地球に知性を持った生命体がいることは知っていた。
だが宇宙航行技術すらもたぬ知性体とは交渉の価値なしと判断し、邪魔な地球人を滅ぼすことを決定した。
地球に隕石を落とし、地球の生命を滅ぼした後で、ゆっくり地球を征服する……
その計画は完璧に思えた。
だが失敗した。
なんと地球人が隕石を破壊したのだ。
それもただ破壊するだけでなく、地表に被害が無いように計算をした上で、である。
宇宙人はただ恐怖するしかなかった。
隕石の接近を察知した地球政府が、『この隕石は破壊可能である』というアナウンスをしたことは知っている。
だがそのアナウンスはやせ我慢であり、不可能だと宇宙人は思っていた。
ところが地球人は隕石を軽く破壊した。
宇宙人自身にとってですら破壊困難であった隕石をだ。
もはや、疑う余地は無かった。
あの星の知性体は強力な兵器を保持している。
地球に関わるのは危険だ。
そして宇宙人たちは、万が一にも報復されるのを避けるため、即座に地球から離れることを決断する。
離脱の準備をしている中、一人の宇宙人が最後の破片が大気圏に突入するのを目撃する。
その破片は赤い光の尾を引き、すぐに消える。
それを見て、彼は思いだした。
地球には『流れ星に願いをかける』風習があることを。
『なんと馬鹿馬鹿しい。
流れ星と願いが叶う事は、なんの因果もないただの現実逃避。
これだから未開の星の知生体というものは……』
そう言って、地球人の風習を鼻で笑った彼……
しかし、今の彼は笑うことが出来なかった。
たとえ馬鹿馬鹿しくとも、地球人が現実逃避する気持ちが分かってしまったのだ。
無意味だと知りつつも、彼は流れ星に願う。
現実から目を背けるために、ただ願うしかなかった。
『願わくば、地球人が我々の存在に気づきませんように』
〝流れ星に願いを〟
流れ星というのは、大抵が塵の燃える姿らしい。
朽ちて無くなるその時にこそ、眩く煌めくのだ。
流れ星に願いを、そして敬意を。
「流れ星に願いを」
3回言えたなら。神様は願いを叶えてくれますか?
なあんて。対価も払わないのに虫が良すぎるかしら。
願い事を三回唱えると叶うらしいですが、そんなに早く言えっこない。
そのときはとりあえず「まぬけまぬけまぬけ」とお願いしましょう。
「(ま)毎日(ぬ)ぬくぬく(け)健康で過ごせますように」
やっぱこれが一番です。
さて昨日の答え合わせ。
答えは「お題の文字数」、ということで、流れ星に願いを=七つ、でした。
簡単でしたね。
(流れ星に願いを)
四コマ漫画『冷蔵庫物語』のネタ。
記憶喪失(させる)系男子のみょうがくんが好きです。
流れ星に願いを…
流れ星に願いを…もし、流れ星に願い事をするならば、私は、必ずしも、彼との結婚を早く出来る様に、と願うだろう…確かに彼と付き合って、同棲しているこの時間も大好きだ。だけど、彼と結婚したら、今よりもっと幸せな気がするんだ。こんな気持ちは、初めてなんだ。彼と別れたいって思えないし、思わないのは…今までの私なら、彼と何かある度に、切り捨て、別れ話をして、別れていた。そんな私なのに、不思議と今の彼とは、例え、何があっても、別れたいと思わなければ、別れたいと思えない。きっと、それ程、初めて、本気の恋をしているのだろう。彼が大好きだ。愛おしくて堪らないし、愛苦しくて、愛してやまないんだ。彼が、私を、こんなにも夢中に、そして、虜にしたんだ。彼と会えないこの時間さえ、今じゃ愛おしい。今までの彼と同棲したてや付き合いたての頃なら、早く彼に会いた過ぎて堪らなくろくにじっとしていられず、彼が仕事中でもお構い無しに謝罪の気持ちも無く沢山LINEしていた。でも、今は、彼と会えない時間でも、自分の時間を有意義に、有効活用出来る様にもなり、彼が仕事中だと知っていながらLINEしてしまった場合は、しっかり謝れる様になった。きっと、こうやって、人は、成長していくんだな。
流れ星に願いを。
星が流れる。
遠い空、宇宙のその先で。
一瞬の輝きは、あっと思えば消えてしまう。
ねがいを願う、ひまもなく。
誰が、最初に言い出したんだろうね。
星が願いを、叶えてくれるって。
「なるほど、汝は星読みの……」
夜空を分け与えられた瞳を見て、クラウスは納得した。静かな会場に、ヘレナは困惑しながらも、彼と天体観測に勤しむことにした。
流れ星に願いを
死柄木弔と、闇に堕ちたエレンイェーガー
『生まれたときから皆、自由だ』
『ヒーローは、他人を助ける為に家族を傷つける』
死柄木弔の本名は、[志村転孤]
デグのようにヒーローに憧れる彼だったが、
幼少期に家族を[崩壊]個性によって殺してしまった
過去を持つ。ヒーローが支える社会の全てを崩壊させることが目的で、エレンイェーガーは、始祖の巨人の力で壁の巨人たちの硬質化を解いて、地鳴らしを発動させて、パラディ島以外の人間たちを根絶やしにすることが目的だった
??『こんにちは』
『ん?なんだい?かわいい、お嬢さん』
死柄木は名前を知らない女性に対して言う
『孤独が集まる場所ですか?』
『そうだよ』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
死柄木が女性と話しているときにエレンイェーガーがワインを女性に注ぐ。
『流れ星を…見たことないな』
『流れ星を見たら願いが叶うんだって』
『…』
『孤独なんだよ俺たちは…』
『そんなことない』
『孤独だよ…』
パチンッと名を知らない女性が死柄木の頬をたたいた。
彼は、無言で彼女を睨んだ
『孤独じゃないよ』
『…ハ?』
『周りに人が沢山いるじゃない…えれんも』
『おお、そうだよ、この俺がいる』
『流れ星』に願いを念じると、必ず叶うらしい。子供だましじゃない、大人も本気にしてる噂。実際、叶った人もいるらしい。みんな血眼で探し回っているけど、まだ誰も見たことがない。一瞬しか見えない流れ星を探して願い事を念じるなんて変な話だ。暗くなり、空の星たちが地上に向かって瞬きを始めた。
「そろそろ行こうかな」
私は家から出ると背伸びをし、あくびをした。最近、流れ星を探すために昼間寝て夜に起きることが多くなったからだ。体には良くないが、流れ星が見つかればそれで帳消しだ。
「今日は見つかるかなー…」
春になったが、夜はまだ肌寒い。外套を着てきて正解だった。外套をかき抱き真っ暗な道を歩きながら、空を見上げる。だが、流れる光はなく、ただ満点の星が広がっているばかりだ。
「あー…綺麗。流れ星探してなきゃ、もっと感動できたのに」
そもそも、私が何故流れ星を探しているのか。
「おい、カペラ。ボーッと星見てんじゃねえよ。流れ星はあったのかよ」
背後から、イライラしたような声と共に頭を小突かれる。振り向けば、リゲルがこちらを睨んでいた。リゲルは私の友人だ。彼は体が大きくとても喧嘩が強いので、ここら辺の子供たちは逆らえずに大人しく従っている。私が流れ星を探しているのも、リゲルの命令だからだ。
「探してるよ。見つからないだけ」
「見つからないじゃないだろ、早く見つけるんだよ」
リゲルも、空から目を離さず探せば良いのに。一回人に当たらないと気が済まないのかな。
「俺はあっちの空を見てくる。先に見つけたら俺に言え、黙って願い事をしたら許さないからな」
そう言って、リゲルは自分が指を指した方にズカズカと歩いていった。
「…というか、流れ星なんてすぐ消えるでしょ。言えって言われてもね…」
ため息をつき、目を凝らしながら夜空を眺める。キラッと何かが空を横切った気がした。
「あっ何か今見えたような…」
流れ星だろうか。やはり一瞬だ。これをどうやって教えろと言うのか。まだ流れてくるかもしれない。
「って…そんな簡単に流れてくるわけないか」
首が痛くなったため、下を向く。首を回し、こりをほぐす。
「あー、疲れる。リゲルの友達も楽じゃないね…ん?何か頭上が明るい…?」
上を向くと、銀色にギラギラと光る球体がこちらに向かってきているのが見えた。慌てて待避すると、ズシンと地響きがした。
「え、何?流れ星じゃなくて隕石落ちてきた?」
恐る恐る、銀色の球体に近づく。銀色の球体を観察する。繋ぎ目のない綺麗な球体。
「これが流れ星?」
しばらく眺めていると、パカッと軽い音とともに球体が割れた。中から青白く発光する手がぬうっと出てきて球体の縁を掴み、ずるりと誰かが這い出てきた。手だけではなく、全身が青白く発光しているようだ。彼は、ここはどこだと言わんばかりにキョロキョロしている。青白く発光していること以外は、自分達にそっくりだ。ホッとして挨拶をする。
「こ、こんばんは…?」
声を発してから数秒で後悔した。見た目は一緒でも、言葉が一緒だとは限らない。もしかすると、彼らの言語では悪口だったかもしれない。内心アワアワとしていると、彼はにっこりと微笑んだ。
「こんばんは。はじめまして」
流暢に話しかけられ、驚く。
「この翻訳機があるから、分かるんですよ。ほら」
そう言って近づくと、彼は右耳のイヤーカフを見せた。
「翻訳も出来るし、こうやってあなたたちの言語に合わせて話すことも出来る優れものです」
「へえー…」
「あ!申し遅れました、僕はヒタ星からやって来たテオと言います。どうぞよろしく」
「私はカペラです。こちらこそよろしく」
挨拶をすませると、テオはさっきまで乗っていた銀色の球体を調べ始めた。何か難しいことをぶつぶつと呟いている。
「それって流れ星?」
「え?ええ、確かにこの宇宙船の名前は『流れ星』ですけど」
銀色の球体の中から取り出した小型端末を見つめ、何かを入力しながらテオは答える。
「最近流れ星の噂が広がってるけど、もしかしてテオが乗ってたそれ?」
ギクッとテオは体を固くした。カマをかけたつもりはないが、分かりやすく動揺している。
「どうして、そう思うんですか?」
「だって、変じゃない?一瞬しか見えない流れ星に何でそんなにみんな血眼になって必死なんだろうって」
テオは私の話に口を挟まずじっと聞いている。
「ずっと疑問だったんだ。ただの流れ星なら夜に外を眺めていればたまに見ることが出来る。だけど、大人たちは外に出て、毎晩探し回っているんだ」
流れ星が空にあることくらい、大人たちは知っているはずだ。なのに、地上を探し回っている。そうだ、それが変なのだ。
「流れ星ってもしかして空の星じゃなくて、テオが乗ってきた銀色の球体のことじゃないの?」
テオはパチパチと拍手をした。
「見事な推理です、大正解ですよカペラさん。そうです、僕たちは何回かここに来て誰かの願いを叶えてます」
「僕たち?」
「ええ。言い忘れてましたけど、僕はヒタ星の願い星管理センターで働いているんです。簡単に言うと、無数の星から送られてくる願いを管理し叶える場所です」
「へえ、すごい場所だね」
「はい。まあ、僕たちは管理するだけで叶えるのは『ベガ』っていう願望成就システムなんですけど…」
途中で言葉を切ると、テオの顔が暗くなった。
「そのベガがですね…動かなくなってしまったんです。短期間にたくさんの願いを叶えたからかもしれません」
テオは何かを思い出したのか、流れ星の端末に何かを入力し始めた。
「動かなくなると、その間の願い事を叶える仕事が溜まっていくので、僕たちが各々他の星に出向いて願い事を叶えるのですが…」
テオは端末を見て、安堵の表情を浮かべた。
「ああ良かった、システムは無事みたいです。それで僕たちは流れ星に乗って来ていますが、その際『アルタイル』というベガを小型化させた願望成就システムを乗せているんです」
なるほど、そういうことだったのか。
「流れ星が願い事を叶えるって本当だったんだ…」
「ええ、もちろん。ですが、タダとはいきません。僕たちの仕事はただ星を回って願いを叶えるだけではなく、星の調査もこなさなくてはいけないのです」
「星の調査って具体的に何するの?」
「そこであなたの協力が必要なんです。手を貸してください、どちらでもいいです」
言われるまま、右手を差し出す。すると、テオが私の手を握りしめてきた。
「…はい、ありがとうございました」
テオは私の手を離すと、端末に手をかざした。
「これで調査は終わりです。ご協力ありがとうございました。では一つだけ願い事を…」
「おい!カペラ!」
リゲルの鋭い声が背後から飛んできた。テオは突然の闖入者を不思議そうに見ている。
「カペラさん、この人は?」
私の友人のリゲルだと答えると、テオは合点がいったような顔をした。
「おい、カペラ。流れ星見つけたら俺に言えって言ったよな」
「そうだね」
「そうだね、じゃねえだろ。何勝手に願い事をしようとしてんだ」
「これが流れ星だとは限らないでしょ?」
「今、一つだけ願い事をってそいつが言っただろ!」
リゲルはテオを指差す。ちょうど聞こえてたらしい。
「独り占めするつもりだったんだろ!」
「誤解ですよ、リゲルさん。カペラさんは調査協力のお礼を受け取ろうとしてるだけです」
テオの援護射撃でリゲルの火に油が注がれたのか、リゲルは怒鳴り始めた。
「お礼なんかどうでもいい!こいつには俺に流れ星を譲る義務がある!願いを叶えるのは俺だ!」
テオはリゲルの剣幕に気圧されたのか、助けを求めるように私を見た。
「カペラさん…」
「いいよ、リゲル。流れ星は見つけたら譲る約束だったもんね」
このままリゲルを逆上させると、私だけではなくテオも殴られるかもしれない。私がそう言うと、リゲルは満足げな表情をした。
「分かれば良いんだよ。それじゃ、俺の願いを叶えてもらおうか」
「あの、カペラさん本当に良いんですか?」
「大丈夫。いつものことだから」
リゲルは、独り言を言いながら願い事を考えている。たくさん叶えたいことがあるようだ。
「僕、納得いきませんよ。協力したのはカペラさんなのに」
「仕方ないよ」
テオは不満げに友達って何なんだ、と口を尖らせた。
「よし、決まったぞ!」
意気揚々と、リゲルが近づいてきた。
「…では、一つだけ願い事をお願いします」
「俺に願いを叶える力を寄越せ!そうすればいつだって願いを叶え放題だ」
テオはポカンとした顔をしていたが、みるみる笑顔になった。
「…それはつまり、僕たちとこの仕事がしたいということですね!」
「は?違う!俺が欲しいのは願いを叶える力だ、仕事なんかしたくねえよ!」
「いや~人手不足だったんですよね。じゃあさっそく、ヒタ星へ一緒に戻ってデネブ所長に報告しないと」
「おい、聞いてんのか!」
「すみません、願いを叶える力を与えるのはタブーなんですよ。でも、願いを叶える機械とは一緒に働けますよ、ヒタ星に行けばね」
少しずつ状況を飲み込めてきたのか、リゲルの顔は青くなっている。
「さあ、行きましょうか」
「お、おいカペラ。こいつ何とかしてくれ」
「ヒタ星に行けばあなたの願いが叶うんですよ、リゲルさん。カペラさんに何をしてもらうんです」
「もともと、カペラへのお礼なんだろ。カペラが望まなければ願いを取り消せるはずだ」
「カペラさんはリゲルさんに願いを叶える権利を譲渡しましたが?」
リゲルは逃げ出そうとしたが、テオの手がアメーバのように大きく広がり先にリゲルをがんじがらめにした。
「くそっ、離せ!」
「カペラさん、協力ありがとうございました。あ、これは内緒なんですけどね…」
テオが近づいて私に耳打ちをした。
「満点の星の夜に願い事を書いた紙を燃やすと、ヒタ星に最優先で送られるんですよ。一年に一回だけですけどね。何か叶えたいことがあったら試してください」
テオはにっこりと微笑む。
「私の方こそありがとう。元気でね、テオ。リゲルのことよろしく」
「はい、もちろん」
テオはリゲルを掴んだまま、流れ星に乗り込んだ。リゲルが何かわめいていたようだが、流れ星が閉まるとすぐに聞こえなくなった。銀色の球体はふわりと浮き上がるとすぐに上空に飛んでいき、空の星に紛れて見えなくなった。