さくら ゆい

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【流れ星に願いを】

僕は学校帰りに立ち寄った駅前の本屋の中で目が合った女性に一目惚れをしてしまった。

その女性は読みたい本があるのかは分からないが、一生懸命に本を探していた。
自分はそれが気になってしまって、ずっと見ていた。
悲しそうな顔をする事もしばしばあったが、やっとの思いで見つけたお目当ての本を手に取った時の彼女の表情が綺麗だった。
彼女が視線をこちらに移した時、僕と目が合った彼女は僕に嬉しそうな顔を向けてくれた。
その時に僕の胸が痛くなって、恋をしてしまったことに気付いた。

急いでお店を出て、その翌日からずっとあの店に立ち寄ったが会えなかった。
それに年上の人に恋をしたという恋愛相談が出来る友人もいないのだから、どうすればいいかなんて分からなかった。

そんなある日の事。天気予報では今夜は流れ星が見れると言って、学校中で大騒ぎだった。友達がいない僕でも大きい声で流れ星の話をされてしまえば、期待をするしかないだろう。
これで彼女に会えるのならなんだってするさ、もう一度あの表情が見たいんだ。

そして夜になって、僕はちょうど駅前にいた。
沢山の星が流れ始めて、僕は三回願いを唱えた。
彼女から見たら年下でイケてない男になるかもしれないけど、会いたいんだよ。
そんなことを思っているうちに星は流れ終わってしまって、その場にいた人は散って行った。

僕はその空を眺めながら「お付き合いできるかは分からないけどお会いできるといいな」と呟いた。
その後誰かに『君のお願い叶ったかな?』と聞かれて、その誰かの方を振り向いた。
それはあの日に本屋で出会った彼女で僕はさらにドキドキしてしまった。

「お久しぶりです、僕のお願いは叶いましたよ」

それを聞いた彼女は『じゃあ私のお願いも叶えてもらおうかな』と笑って言っていた。







4/26/2024, 4:51:15 PM