(二次創作)(流れ星に願いを)
いよいよ明日、プロクスの大地に足を踏み入れ、マーズ灯台に向かう。
長い旅もこれで終わるのだ。先に行ったカーストたちが火を灯しているとは到底考えられず、であれば何か待ち受けている障壁があるのだろう。強大な敵か、難解な仕掛けか。緊張と興奮がないまぜとなった気分のせいか、却って目が冴えてしまい、メアリィは困ってしまった。
夜風にでも当たろうと甲板に出れば、どうやら寝付けないのは自分だけではなかったようで、イワンとピカードがいた。二人して、空を見上げている。
「こんばんは」
声を掛けて、隣に立ち、二人を真似すれば、薄い雲の合間にいくつもの輝ける星が見える。思い返せば冒険の途中、何度もこうして空を見上げたものだ。
「人は亡くなったら星になると聞いたことがあります」
「星は本当は空のずっとずっと上にいて、何年もの時間をかけて光がここに届くそうですよ」
イワン、ピカードが、それぞれ星にまつわる話をする。
「流れ星が消えるまでに願い事を唱えれば、それが叶うと言われていますわ」
メアリィもまた、イミル村に伝わる話をする。
出身地がばらばらな三人は、星一つとっても見ているものが違うのだ。これは星以外でもそうで、その視点から見ればこの旅路は得るものも、新しく知る事柄も多く、楽しかったと振り替えられる。もちろん大変なことも危険なこともたくさんあったけれども。
「マーズ灯台、どんな灯台なのでしょう」
何よりも、全て火を灯し終えた先に、何があるのだろう。旅は終わり、また元の平穏な日々に戻るのだろうか。マーキュリー一族の使命は破られ、ヘルメスの湧水が復活した今、イミルに自分の居場所はあるのだろうか。
(なんて、今心配しても仕方ないわ)
メアリィは小さくかぶりを振る。そんな彼女と仲間たちを励ますように、星々が小さく瞬いた。
4/26/2024, 6:03:09 PM