『星空の下で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『星空の下で』
「これは398エンね〜......はい、毎度あり〜」
客は男から2〜3cm程の光る玉を受け取る。
珍しそうに眺めると、ポッケに突っ込んで店を後にした。
「次のお客様ぁ〜...」
「...あの」
目の前に現れたのは幼い少女だった。
「んぁ?これはまた小さいお客サマだねぇ」
男はカウンターを乗り越えて少女の元に屈み目線を合わせた。
「おじさんは...なんで星を売ってるの?」
男は少しだけハッとすると、すぐにいつもの切れ長な目で少女に答えてやった。
「それはなぁ、お星様が消えようとしてるからよ」
「...消える、の?」
まるでわけが分からないという風に少女は首を傾げる。
「あぁそう、死ぬんだ。お嬢ちゃんにはちぃと"ショウゲキテキ"かねぇ?」
男は少女に怪しく微笑んだ。
「消えるのに売るの?すぐに光らなくなるのに?」
「そうよぉ、寧ろ消える"から"売るんだ」
「なんだかよく分からない」
男は少女の頭をくしゃりと撫でる。そして呟いた。
「分からなくたっていいさ」
【星空の下で】
草原に寝転がり、空に手を伸ばす。
もちろん手には何も掴めない。
星空の下でそっと目を瞑る。
目を瞑っても瞼の裏には星空が広がる。
そよ風で丁度いい。
星空の下で僕は空想をする。
僕は空想をするのが好きだ。
頭の中では僕の行動を注意する人はいないから。
自分の世界に入って、好きなことを沢山する。
推しと喋ったり、テストで100点取ったりする。
でもやりすぎると大変な目にあう。
自分の世界に入りすぎて空想と現実が混ざってしまうのだ。僕は何回もなったことがある。
例えば名前とか。
こういう名前になりたかった。という時、
もしこの名前だったら…というのを空想する。
そして違う。僕の名前はこれじゃない。これは空想の名前だ。とふと本当の名前を思い出す。自分の世界に入りすぎてつい、空想の名前を現実の名前と間違えてしまう時があるのだ。
なんでこうなるのかは僕自身検討がついている。
僕は昔から話を自分のように考えるのだ。
物語の本だったら僕が主人公なら、友達が体験した話でも僕が体験してたら…と小さい頃から考えていた。
簡単にいうと、感情移入しやすいのだ。
いつか空想と現実が混ざってることに気付かずに生活する日がくるのか。そしてふらっと〇ぬのか。
そんな事も僕は空想する。
綺麗な星空の下で暗い空想をする。
【星空の下で】
暗い空の下、僕は平気だと笑いながら風が吹くたびに少しだけ震えた。
夜は冷える。春物の上着を持ってはきたものの、桜が揺れるたびに足の温度が奪われる。
うう。
それでも痩せ我慢をしたのは、君にカッコ悪いところを見せたくないからだ。
大人だから寒くないさ。と見栄を切った十分前の自分を叱りたい。
「ね、流星群、見れるかな」
弟は寒さを感じないのか、夜空を見上げながら白い息を吐いた。耳も鼻もすでに赤い。
だが、彼は目がキラキラと輝いている。
まるで夢を見る子供のように。
「もちろん見れるさ。兄ちゃんを信じろよ」
「うん。初めてみるから、見逃さないようにしないと。流れ星に願いたい事があるんだ」
夜空に飛び立つかの勢いで、気合を入れる弟。
まるで遠足前日の子供みたいだ。
絶対早起きしよう、と意気込んで布団に入ってそのまま眠れなくなるやつ。
そんな弟の願い事には心当たりがある。
きっと来週行う予定の手術に成功しますように、だ。弟は持病を治す為に腹を切ることになっている。
放置すると悪いものが体内で大きくなり、治せなくなるからだ。
つまり腫瘍切除、と言うやつ。
「じゃ、俺も一緒に願ってやるよ」
「え、いいよ」
「そう言うな。ほら、星が流れ出したぞ」
入院前のマンションの屋上で、流れ星の雨が降る。
チラ、キラッと瞬いて消える一瞬の輝き。
いくつも流れてくる様は、地上を生きる人々の営みに似てる。
輝けるのに、とても短い。
「俺の手術の時に、兄ちゃんが泣きませんように!!」
「ぶっは!」
叫ぶような弟の願いに、思わず俺が吹き出した。
「だって兄ちゃん、弱虫のくせにすぐ強がるから。今日だってちょー寒いんだろ?」
弟の言い分に、僕の耳がさらに赤くなる。
うん、まぁ、ほら?
威厳って大事じゃん?
「兄ちゃんは何を願うの?」
「あーそうだな。僕は真っ当な願いにするよ」
弟の手術が成功して、生意気なところも治ってくれますよーに!
2人の願いは、静かに流星の輝きの中へと溶けていった。
どこかで犬が遠吠えをあげる。
珍しく、今日は眩しいくらいの星月夜だ。
私は、満天の星空の下、長靴を履き、傘を持って、すっかり冷え切ったアスファルトの路を歩く。
凹凸のあるアスファルトには、ところどころ、水や氷が張っている。
鏡のように張った水面には、星空が映っている。
この街は、日中はいつも雨だ。
だから、私は雨の止んだ夜に、傘と長靴を準備して、うちを出る。
そして、孤独な夜を散歩する。
こんな風に。
雨は少しずつアスファルトの路を削る。
削れたアスファルトは少しずつ広がり、やがて、路にぽっかり穴が開く。
雨は尚も降り続く。
路の穴には水が溜まり、鏡のように張って、星空を映し出す。
そして、私の足元に、夜空が映る。
“満天の星空”。
2つの空が、私を挟み込む中を歩くこの散歩は、まさしく、“満天の星空の下”の散歩だ。
路の真ん中に、ひときわ大きな水たまりがある。
私はその真ん中に立ってみる。
風は吹かない。この地域はいつも、夜になると、大抵晴れるし、無風なのだ。
ぼうっと、星空に挟まれていると、そのうち、どっちが空か分からなくなる。
宇宙空間に放り出されたような変な浮遊感と、漠然とした不安感と、言いようのない心地良さ。
私は思わず目を瞑る。
…突然、足元からピシリッと音がした気がした。
……瞼が開かない。瞼の裏、漆黒が映る。
足の裏から、チリチリとした緊張感と恐怖が走る。
…冷や汗が吹き出す。
なんだこの感覚は。こんなの、、初めて…
息が詰まる。
なんの感覚だろう。
逃げなくては、目を開けろと、脳が訴える。
私は瞼をこじ開ける!
…
…?
何もない。私は星空の下、立っている。満天の星空の下。
目の前には星空と、足元には星空。頭上には星空が広がり、背後にも星空。
目を閉じてみる。瞼の裏にも星空。
私は、紛れもなく、満天の星空の下に立っている。
なんだ、私が星空の下で散歩しているだけじゃない。
私は傘をさすと、星空の下、星空の上を、星空に向かって、歩き出した。
ハローハロー、応答願います。
宇宙人の皆さん、私は地球人です。
お友達になりませんか。
宇宙戦争とかインディペンデンス・デイとかマーズ・アタック!みたいなのは嫌です。
スターウォーズは好きだけど。
きっとこの星の文明じゃ、皆さんの星には太刀打ち出来ないんでしょう。
分かってます。まだ月にまでしか行けてないんだから。
だけどね、この星には、素晴らしい映画やドラマ、アニメに音楽、そして小説やマンガまで、各種取り揃えております。
あなた達の星のそれらのものと、交換して文化交流しませんか。
負ける気はしませんよ。
何も生み出してはいない私が言うのも何ですけど。
マンションの屋上。
満天の星空の下で、スマホを高く掲げて。
この機械の中に、この星のすべての文化が詰まっています。映画も音楽も小説も。
月にまでしか行けないけど、想像力なら太陽系を軽々と越えていきます。
想像出来るものはいつか、きっと現実となるでしょう。
この、機械のように。
ところで、明日は高校の入学式です。
新しい友達が出来るかどうか、不安です。
あなた達の星に、吃音症というのはありますか?
それとも、テレパシーで会話が出来たりして。
きっと、私の些細な悩みなんか、吹き飛ばしてくれる能力があるんでしょうね。
言葉が通じなくても、心と心で会話したりして。
東の空から太陽が昇るまで、私は私の友達を探す。
宝石を散りばめたような夜空の向こうに、誰かが待っていてくれると信じて。
ハローハロー、応答願います。
宇宙人の皆さん、私も宇宙人です。
お友達になりませんか。
ーー人は死んだら星になるんだって
「つまりいつだって私は織田信長に見守られてるってことね」
「おい、やべーぞ。偉人にときめきメモリアルできねーぞ私は」
「いや、二人ともそういう話じゃないから」
胸を押さえ頬を染める喜代に芹那が返し、さらに実奈が二人に言った。そして実奈は右上に視線を向けながらかつての言葉を思い出していた。
「私が死んだおばあちゃんっ子だったからか、お母さんがそう言ってたなって。おばあちゃんが死んじゃったとき、めちゃくちゃ泣いてたから」
「なるほどね。つまりあの星のどれかひとつは実奈のおばあちゃんなわけね。私のおじいちゃんはあれかしら」
「んじゃ、あれが私の死んだばあちゃんかもな」
喜代が星空の1つを指した。続けて芹那が指をあげる。
「「老人会かな」」
喜代と芹那の言葉が重なった。
実奈が「夢がない!」と叫ぶ。
「もっと感動する話とか素敵な話にしようよ。なんで老人会って話になっちゃうの!?」
「なんでって、そういう話じゃなかったのかよ」
「私としては織田信長と、渋沢栄一の大河ドラマverに見守ってもらえればそれで」
「演じた俳優は星になってないからね。ってそうじゃなくて!!」
実奈はもー! と2人に不満そうだ。
「私が言いたかったのは、もし死んでも星になるなら、その、2人と死んでも一緒にいられるって、思ったからで」
徐々に言葉が小さくなる実奈の顔は真っ赤だった。
喜代と芹那は顔を見合わせ小さく笑う。
「それはとても素敵ね。確かに死んでも一緒にいたら楽しいわ」
「だな。この3人ならどんだけ一緒にいてもしゃべり足らないしな。どうせならカッコよさそうだからオリオン座とかいいな」
「私はベガとかデネブとかがいいわね」
「「「…………」」」
「「季節真逆じゃん(じゃない)」」
「2人のバカーーーーー!!」
星空の下で、遥か遠くに見える真珠のような光を見る。空に散らばっている無数の星に囲まれて、わたしはこの時代に生きている。
今、この同じ時代に、同じ時間の中で生き、君と出会って心を通わせている今日を「幸せ」と呼ばずになんと表現すれば良いのだろう。
君の笑顔は宝物だ。
わたしの胸元に下がる指輪に誓った、あの日の想いは決して褪せることはない。
もし君の笑顔が誰かによって曇るなら――。
わたしは決して許さない。
「ねぇ、百合香さん。どうしたんですか、ぼぅっとして」
君が微笑みながら話しかけてくる。わたしは微笑み返して、星空を見上げる。同じ電車を待つわたしたちの間を、五月の生ぬるい風が吹き抜けていく。
「いいえ、ちょっと考え事を」
そうですか、と君は言う。困ったように耳たぶを触る癖。その手――薬指には結婚指輪がつけられている。わたしとの結婚指輪――ではない。君にはもう別の人がいる。わたしは君に手を出そうとは思わない。けれど、相手が君を少しでも傷つけたら話は別だ。
「なにか困ったことがあったら、わたしに言ってくださいね。わたしで良かったら相談に乗りますよ」
出来れば一秒でも早く、苦しみをわたしに言ってくれますように。
そんな願いを込めて、わたしは上司に微笑んだ。
あの日はとても寒くて。
空気は澄んでいて。
果てしなく広がる空に無数の星。
あなたと色んな話をした
星空の下。
あの日の夜を私は一生忘れられないと思う。
あなたは今もこの星空の下で元気に暮らしていますか?
もう二度と会うことはないだろうけど
最後に1つだけ伝えたい。
あなたの事が本当に好きでした。
あなたと過ごした日々は私の中の永遠。
今までもこれからもずっとずっと。
星空の下。
いつもあなたを想っている。
【星空の下で】
寒い季節。
空気の澄んだ夜空は格別に美しい。
もう◯十年も前の話。
まだ学生だった頃。
あの頃に見た流星群が忘れられない。
あんなに凄い流星群は生まれて初めて見た。
天気に恵まれ雲のない星空が瞬く。
すぅっと流れる一筋の星。
それだけでも感動を覚えた。
それが徐々に多くなる。
幾筋の星が流れ弟達と流星に魅入る。
田舎なので辺りに街灯はなく、邪魔な人工の光が入らないのでより美しい。
そして響き渡る声。
離れた所から声が響いてくる。
「あっ、流れたよ!」
子供の声。
それは夜明け間近まで続いた。
澄んだ空気にきれいな星空の下で流星に感動する私達。
いつまでも記憶に残る、最高のしし座流星群。
きっとこの記憶はいつまでも心に残るだろう。
星空の下で
きみは泣いていた
星空の下で
ぽろぽろ涙が流れていて
それは
流れ星みたいに
見えたから
「きみが救われますように」
僕は3回
心の中で願い事をした
#星空の下で
本を片手に星空を眺める。
本の知識曰く、
北斗七星の長い柄のカーブを延長した先にある赤い星──うしかい座のアルクトゥルスから更に延長した先にある一等星──おとめ座のスピカ──この2つの星を結んで出来る曲線を「春の大曲線」というらしい。
夏の大三角、秋の四辺形、冬の大三角は知っていたが、春は大曲線なのか。
そんな事を思いながら、本の通りに星をなぞってみる。
この緩やかな曲線を元に春の星座を探すようだが、春の星座は、あまりパッとしない。
おおぐま座。こぐま座。うしかい座。りょうけん座。おとめ座。しし座。かに座。かんむり座。かみのけ座。やまねこ座。こじし座。うみへび座。からす座。コップ座。ろくぶんぎ座。ケンタウルス座。おおかみ座。
おとめ座、しし座、かに座など黄道十二宮で有名どころではあるが、コップ座やら、かみのけ座やらは日常の話題に上がらないと思うのだが…。
本に書かれた神話を読んでみたが、
春の星座にある黄道十二宮のおとめ座を除く残り2つは、へルクルスによって退治されて出来た星座とある。
それ以外の春の星座──ケンタウルス座、うみへび座等にも、へルクルス大暴れの後があるらしい。
英雄大暴れの神話を語る星空の下。
小市民を自覚している自分としては、
神話時代に生まれなくて良かったとその幸運に感謝したくなるのだった。
星空の下で
東の国の夜は冷たい。こごえる幼子を抱きかかえた母親が、前の者に続いて粗末な小舟に乗り込んだ。西へ向かう舟だ。
この舟に乗るために、彼らはなけなしの全財産をはたいた。それは極めて危険な決断だった。もし秘密警察に見つかったら、処刑は免れない。
それでも舟に乗ることにしたのは、生きるためだった。あるいは大切な人を生かすためだった。東の国はとても貧しい。病で先は長くないと言われた娘も、医療の発達した西の国へ行けば救うことができるはずだと、その母親は信じている。
不安げに身を寄せ合う彼らの頭上には、満天の星が煌々と輝いていた。中でも一際明るい光を放つその星の名前を、彼らの誰も知らなかった。
ところで、都市化が進んだ西側諸国の住民たちにとって、東の国との国境にある非武装地帯周辺は、現代に残された貴重な自然の楽園だった。
もはや人気の観光スポットと化したその場所では、今夜も恋人たちが星空を見上げて、ロマンティックに愛を囁き合っている。
君は僕のシリウス。どんな暗闇の中でもその輝きが僕を導いてくれるよ。
一人星空の下で、粛々と準備を始める。
これから俺は神聖な儀式を行う。
せっかくなのでと友人も誘ったのだが、『バカなことしてないで、早く寝ろ』と言って怒られた。
お前は俺のオカンかよ。
まあもともと一人でする予定だったので問題は無い。
ただ、儀式を準備するための人員が欲しかっただけである。
別に寂しいわけではない……
儀式の場所は、まだ種をまいていない畑。
もちろん、自分の土地なので犯罪ではないし、迷惑も掛からない。
ただ草刈りをサボっていたので、雑草が気になるところ。
というのも、今回の儀式では火を使う。
まだ寒いので、ポツリポツリ生えているだけだが、延焼の心配がある。
念のため、消火器を持ってきてよかった。
道具は全て持ち込んだので、今度は儀式の準備だ。
まずは火入れ。
これをしなければ、儀式を始めることはできない。
儀式台に炭と着火剤を入れて、ライターで火をつけしばらく待つ。
変化を見逃さないよう観察していると、炭の一部が赤く染まり始める。
どうやら燃料の炭に火が付いたようだ。
この小さな火を絶やさぬように、様子を見ながら風を送り、火を大きくしていく。
慎重に、時に大胆に、風を送る。
地味なように見えて、意外と難しい。
若いころは力加減を間違え、火を消してしまった事は一度や二度ではない。
当時は落ち込んだものだが、今となってはいい思い出だ。
そして順調に火はは大きくなり、側にいるだけで汗をかくほど熱が伝わってくる。
これぐらい火が強くなればいいだろう。
燃料の追加も必要なさそうなので、燃えている炭の上に網を置いて蓋をする。
これで準備は整った。
それでは儀式を始めよう。
クーラーボックスからあるものを取り出す。
それは儀式で捧げる生贄の肉。
肉を敷かれた網の上に置き、哀れな生贄を焼きあげる。
肉が焼ける香りが俺の鼻を刺激し、思わずツバを飲み込む。
体が『早く生贄をよこせ』と欲するが、なんとか押さえつけて、時が来るのを待つ。
そして十分に火が通った肉を、あらかじめ用意していた秘伝のたれに絡めてから、口に運ぶ。
口の中で肉汁が広がり、得も言われぬ幸福感に包まれる。
そして噛めば噛むほど溢れ出る旨味は、俺に生の実感を感じさせてくれる。
そして咀嚼した肉を飲み込むと、気づけば叫んでいた。
「くぅぅぅ、ウマい!全く星空の下のBBQは最高だぜ」
「星空の下で」
冷たい空気が入らないよう襟をたてながら
ラーメンの余韻に浸る。
追い越していく車のライトより、ずっと上の方に。
鈍い光が見えた。でも、僕は言わない。
5秒後、きっと君が嬉しそうに報告するからね。
星空の下で
星空の下で静かに泣けたらな
一人で泣ける空間があったらな
その時は人の温もりとかいらないからさ
『星空の下で』#2
「考え事は楽しいかい」
静かな声に振り向く。きっと君は賢い子だからこんな事で悩むことは無いのだろう。
君が隣に座り、僕は芝生に寝転がる。夜風に吹かれて草が少し冷たい。でもそれくらいがちょうどいい。今あたたかいものに包まれたらきっと泣いてしまうから。
「星、綺麗だよ」
なんとなく気まずくなって話題を探そうとしたら君が言う。きっと僕が必死に何か言おうとしている事もお見通しなのだろう。君はいつでもそうだ。一歩先から手を伸ばしてくれる。僕が馬鹿な事で悩んでいるのもわかっているだろうに、君は優しいから無理に聞き出そうとしない。
星を見ようと視線を上げて、ふと君の横顔が目に入る。君の綺麗な目に星空が映って一層綺麗に瞬く。オリオン座を見つけて目を輝かせるものだから余計に君の目が眩しく見える。
その目を見て思った。
どんなに迷っても、どんなに悩んでもきっと君が僕の一番星になって導いてくれる。
もう考え事はやめにしよう。
星空の下で
離任してったすごい好きだった先生も
ちっさい頃に何処かへ行った友達も
少しの間好きだった子で、今はどこにいるわからない子も
みんな星空の下にいる
思い出に残ってる人たちみーんな同じ場所じゃなくても、同じ星空(そら)の下にいる
星空の下で
桜が満開の星空の下で、何を想うか?
何も考えなくともいい。
桜と星のコラボレーションを楽しめばいい。
前提はどうでもいい。
今目の前にあるものに反応すればいいだけだ。
仕事に疲れれば、余計なことを考える。
淋しい話だ。素直になればいい。
星空の下の人間の考えなど、ちっぽけなものだ。
それを思い返せる星空に感謝する。
星空の下で、人間は無力だ。
それを思い出させてくれて、ありがとう。
星空よ、また明日。
僕はこの境遇と運命を選んだ。
僕はこの外見と中身を選んだ。
僕はこの欠点と欠如を選んだ。
そうして、僕はこの世界に生まれることを選んだ。
楽に生きることを選んだのではない。
幸せを望んだのでもない。
足りない何かを見つけるために
知らない何かを知るために
僕たちはこの世界に生まれることを選んだのだ。
苦しみや悲しみの中にしか
探している答えがないことを知っていたから。
【星空の下で】
何を願うだろう
君は何を思うだろう
隣にはいないけど
この星空の下で
今日も君が笑顔でいてくれたら