ペンだこ

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ーー人は死んだら星になるんだって


「つまりいつだって私は織田信長に見守られてるってことね」
「おい、やべーぞ。偉人にときめきメモリアルできねーぞ私は」
「いや、二人ともそういう話じゃないから」

胸を押さえ頬を染める喜代に芹那が返し、さらに実奈が二人に言った。そして実奈は右上に視線を向けながらかつての言葉を思い出していた。

「私が死んだおばあちゃんっ子だったからか、お母さんがそう言ってたなって。おばあちゃんが死んじゃったとき、めちゃくちゃ泣いてたから」
「なるほどね。つまりあの星のどれかひとつは実奈のおばあちゃんなわけね。私のおじいちゃんはあれかしら」
「んじゃ、あれが私の死んだばあちゃんかもな」

喜代が星空の1つを指した。続けて芹那が指をあげる。

「「老人会かな」」

喜代と芹那の言葉が重なった。
実奈が「夢がない!」と叫ぶ。

「もっと感動する話とか素敵な話にしようよ。なんで老人会って話になっちゃうの!?」
「なんでって、そういう話じゃなかったのかよ」
「私としては織田信長と、渋沢栄一の大河ドラマverに見守ってもらえればそれで」
「演じた俳優は星になってないからね。ってそうじゃなくて!!」

実奈はもー! と2人に不満そうだ。

「私が言いたかったのは、もし死んでも星になるなら、その、2人と死んでも一緒にいられるって、思ったからで」

徐々に言葉が小さくなる実奈の顔は真っ赤だった。
喜代と芹那は顔を見合わせ小さく笑う。

「それはとても素敵ね。確かに死んでも一緒にいたら楽しいわ」
「だな。この3人ならどんだけ一緒にいてもしゃべり足らないしな。どうせならカッコよさそうだからオリオン座とかいいな」
「私はベガとかデネブとかがいいわね」




「「「…………」」」


「「季節真逆じゃん(じゃない)」」
「2人のバカーーーーー!!」

4/5/2024, 1:52:15 PM