Anemone

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『星空の下で』#2

「考え事は楽しいかい」
静かな声に振り向く。きっと君は賢い子だからこんな事で悩むことは無いのだろう。
君が隣に座り、僕は芝生に寝転がる。夜風に吹かれて草が少し冷たい。でもそれくらいがちょうどいい。今あたたかいものに包まれたらきっと泣いてしまうから。
「星、綺麗だよ」
なんとなく気まずくなって話題を探そうとしたら君が言う。きっと僕が必死に何か言おうとしている事もお見通しなのだろう。君はいつでもそうだ。一歩先から手を伸ばしてくれる。僕が馬鹿な事で悩んでいるのもわかっているだろうに、君は優しいから無理に聞き出そうとしない。
星を見ようと視線を上げて、ふと君の横顔が目に入る。君の綺麗な目に星空が映って一層綺麗に瞬く。オリオン座を見つけて目を輝かせるものだから余計に君の目が眩しく見える。
その目を見て思った。
どんなに迷っても、どんなに悩んでもきっと君が僕の一番星になって導いてくれる。
もう考え事はやめにしよう。

4/5/2024, 1:33:21 PM