優しくしないで』の作文集

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優しくしないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/4/2024, 2:13:36 PM

優しくしないで
「好きなんだよ?分かってないでしょ。気がないなら優しくしないでよ。勘違いしちゃうでしょ?」

5/4/2024, 11:56:37 AM

(二次創作)(優しくしないで)



 イミル村とは全く違う人の多さに、視界がくらりと揺れた。
 イカの魔物に襲われたり、進路が傾き小さな島に上陸したりと、散々だったカラゴル海の航海をどうにか終えて、ようやく辿り着いたトレビの街は、コロッセオの真っ最中だった。ロビン、ジェラルド、イワンと一時別れ、メアリィは空いている宿屋を探しているところだった。
「っ……」
 身動き取れないほどではないにしろ、故郷とは比べようもない程賑やかだ。次から次に、目が滑る。早く宿を見つけてしまいたいのに、これではどれだけ時間が掛かることやら。コロッセオを見にきた人、参加しにきた人、そういった人々を相手に商売をしようと集まってきた人。年齢も性別も職業も違う多様な人々の塊。やや気温も高い気がする。メアリィは、一旦近くのベンチに腰を下ろした。息をゆっくりと吸って、吐いて、気持ちを落ち着かせてからもう一度、人々に視線を戻す。
 その中に、見覚えのある、水色の長い髪を見かけた。
「アレク、」
 そんなわけがないのに、メアリィは思わず立ち上がった。その人が消えた方向に、急いで向かう。その瞬間、踏み出したはずの足から急に力が抜けて、バランスを崩す。どうにか身体を捻って、石畳に顔をぶつける事態は防いだが、代わりに周りから悲鳴とどよめきが湧き上がる。
「おい、嬢ちゃん大丈夫か!?」
「アンタ、顔色が悪いよ!」
 大丈夫です、と答えたはずの口は何も発さず、まるで吸い込まれるように意識が薄れていく。急に倒れてしまった少女に、周りの人々はいよいよ色めき立った。

 次に目を覚ました時、メアリィはどこかのベッドに寝かされていた。ゆっくりと目を開いたはずなのに、視界がまだ揺れている気がする。
 覚束ない体と裏腹に、意識ははっきりしていた。
 あの時見た、あの水色の長い髪。あんな色の髪の人間なんて、マーキュリー一族以外にいない。そしてメアリィは、自身以外にあの色の髪の人物を、一人しか知らなかった。
(アレクス……)
 メアリィはマーキュリー灯台を守る使命を背負う代わりに水を自在に操る力と癒しの祈りの力を持つ、マーキュリー一族の少女だった。今や数えるほどしか残っていないこの一族であったアレクスは、かつてメアリィの父に師事していた。父が亡くなった後不意に姿を消した彼と、再開したのがマーキュリー灯台の頂上にて。
 彼が、一族の使命に反し、灯台に火を灯す手助けをしていたと知ったのも、その日だった。
(アレクスがトレビにいるはずがないのに)
 アレクスが与するサテュロス一行を追う旅をしているメアリィだが、彼らは自分たちより前の船便に乗っていたと知っている。
 目を閉じたまま、そんなことを考えているうちに、視界の揺れも落ち着いた気がする。とにかく、今自分の置かれている状況を確認するためにも、起き上がらなくては。メアリィは、ゆっくりと目を開き、身体を起こそうと力を込めた。
「おや、目が覚めましたか」
 まさか、と思った。
 自分よりは大きい手が、額の前に翳された。かと思えば、プライ、という声と共に、じんわりと優しい蒼の光がメアリィを包む。そんな、と声にならない言葉が胸に浮かぶ。おおよそここにいないはずの人なのに。
「ア、レクス……?」
「あなたは、倒れたんですよ、メアリィ。街中でいきなり」
 よく知った手が、前髪を優しく撫でる。幼い頃、何度か触れられたものと同じ手つきに、懐かしさが込み上げる。
「あなた方の船旅は、大変なものだったそうですね。クラーケン、素人のオール漕ぎ、宝島への意図せぬ上陸……色々と噂はお聞きしました」
「アレクス、どうして、ここに……」
「野暮用ですよ」
 仰向けのままの姿勢では、手が誰のものかはっきり視認できない。答えは十分に与えられていたが、それでも確かめたくて、メアリィはもう一度身体を起こそうと試みた。気が付いたのか、手が離れ、背中に回される。そっと起こすのを手伝ってくれる。濡れたように冷たい髪の一部がメアリィに触れた。
「アレクス」
「そんなに何度も呼ばなくても、私はここにいますよ」
 穏やかに微笑まれて、メアリィは胸が少しだけ締め付けられた。
 改めて周りを見れば、ここは宿屋の一室のようだ。個室ではなく、空のベッドが3つはある。ベッドサイドには小さな机があり、可愛らしい花が生けてあった。ロビン達を見かけたらこの宿屋にメアリィが運ばれたことを伝えるよう、人々に頼んであるとアレクスが話す。ついでに、彼は今単独行動中で、サテュロスたちは既にこの街を発ったとも。
「…………」
 何故、一族の使命を裏切ったのかと、尋ねたかった。何故、サテュロスたちと行動を共にしているのかと、訊きたかった。しかしメアリィに出来ることは、ただアレクスを見つめるだけだ。
 どうやって切り出せばいい?
 何と言えばいい?
 思考がぐるぐる、どろどろと、回り、混ざり、溶け合って掴めない。ただ、無言で見つめる視線に、アレクスが気付いた。
「そういえば、ここの女将から林檎を分けてもらいました。擦りおろしてありますが、食べますか?」
 アレクスに尋ねられ、メアリィは初めて喉の渇きを自覚した。反射的に頷くと、では、と立ち上がり、アレクスが手ずから林檎を食べさせてくれる。幼い頃のようだ、と感じて、思わず目尻に涙が滲む。アレクスの手が止まった。
「おや?」
 彼の手が、メアリィの額に触れる。
「やはり、まだ熱があるようです。私のプライでは、あなたのように病を癒す力は弱い」
 そのまま、もう少し眠るように促され、彼の手でそっと身体をベッドに押し倒された。再び、視界が知らぬ宿屋の天井になる。言いようのない寂しさに、胸がまた苦しくなって、彼の名が口から溢れた。
「アレ、クス、……」
「はい」
 ベッドがやや沈む。どうやらアレクスは、メアリィのそばに腰を下ろしたようだ。
「あまり効果は期待できませんが、もう一度プライをしましょうか?それとも、あなたが眠るまで、手を繋いでいましょうか」
 ややからかうような、それでいて慈しむようなアレクスの声が心を包み込む。なんと甘美で、温かくて、安心できるのか。
「大丈夫、ロビン達が来るまでは、私がそばにいますから……安心してお眠りなさい。目が覚めたら、今よりずっと楽になってますよ」
「…………」
 どうして、ここまでしてくれるのか。一族を裏切ったくせに。ああ、違う、そうじゃない、まずはお礼を伝えなければ。そして何を考えているのか、訊かなくては。焦る気持ちと裏腹に、思考がどんどん散らばっていく。熱があるせいだろう。そして、言葉通りアレクスは、メアリィの手を握って優しく撫でている。宥めるように、あらゆる不安を取り去るように。嬉しいのに、同じぐらい、胸が張り裂けそうな思いがする。
(どうか、優しくしないで)
 アレクスのことが、いよいよ判らなくなる。それは与えられた安らぎの中に新たに生まれる恐怖の芽であった。

5/3/2024, 12:47:38 PM

『優しくしないで』


 わたしと葵は同じ病院で3日違いで生まれた。ちなみにわたしがお姉さんである。母親同士が友達だったので双子の様にして育った。幼稚園に入ってからは昴とも仲良くなった。家も近かったので3人はいつも一緒にいた。
 葵はおとなしい性格で後から付いてくるタイプだ。
 昴は活発でスポーツ万能タイプである。
 わたし[琴美]はお姉さんタイプで何かを決めるのはいつもわたしだ。
 昴は他の男の子と遊んでいても、声を掛ければすぐに飛んでくる。オママゴトもイヤイヤながら(半強制的ではあるが)付き合ってくれる。
 夏休みには、親同士が話し合い2日交代でわたしたち3人の面倒をみることになった。2日間は嵐のようだが4日間は夫婦水入らずで落ち着けたのだろう。特に葵の親は出来ちゃった婚だったので新婚生活を味わっているようだった。
 当然いろいろなエピソード(
事件・事故?)が勃発したが、それはまたの機会に...。
 小学校3年生の時に響が転校してきた。席が隣り同士になったわたしたちはすぐに仲良くなった。
歓迎会(単なる3時のオヤツ)を開きクラスが違う葵と昴にも紹介した。昴は男友達が加わったので大いに喜んでいた。響はどちらかと言うと内向的な性格で自分から意見を言いタイプでは無いが4人の中では1番頭が良かった。
 響は、誰にでも優しく、そして何かと暴走しがちなわたしを抑えてくれるのも響であった。
中学生になると、昴はバスケットボール部、響は吹奏楽部、葵は美術部、わたしはテニス部に入り4人ではなかなか会えなくなっていた。
 中3の3学期それぞれの進路が決まった後、葵と響が一緒にいるのをよく見かけるようになった。もしかしてふたりは付き合っているのかな?と思った瞬間何かが弾けた!。葵は姉妹同然だ。葵に彼氏ができるのはとっても嬉しい、でもどうして響なの?響は...響はわたしにとって...その時やっと気がついた。いつもそばにいた響が、いつも優しかった響がわたしは好きだったんだ。
 卒業間近にテニス部伝統の卒業生vs在校生の試合が行われた。
琴美は試合に集中出来なかった。響の事が頭から離れないのだ。
 ガキ大将とケンカになった時、助けようとして、代わりに殴られて鼻血を出した響。
 高い場所ではしゃいでいて脚を滑らせて落ちた時、助けようと下敷きなった響。
 テストで0点を取った時、一緒に怒られてくれた響。
 お母さんの化粧品をかってに...
「危ない先輩!」
あっ!っと思ったときにはもうおそかった。後輩のサーブが顔を直撃してわたしの意識は飛んだ。
 
 わたしは、保健室で目を覚ました。周りには葵、昴そして響がいた。
響  「琴美ちゃん大丈夫?痛く無い?。」
琴美 「痛いに決まってるでし
ょ。」
響  「代わってあげられなくてごめんね。」
琴美 「何言ってんのよ。そんなことできる訳ないでしょ。」
響  「分かってるけど、でも、でも、ごめんね。」
琴美 「わたしの事なんてほっといてよ!優しくなんかしないでよ!あんたは葵の事が好きなんでしょ!。」
葵  「えっ、コトちゃん何いってるの?」
琴美 「だって、最近はいつも一緒にいるじゃない。」
葵  「コトちゃん勘違いしてるよ。わたしは響の相談にのってただけだよ。」
琴美 「相談ってなんのよ?」
葵  「それはちょっとわたしの口からは...。」
響  「だって、だって、高校生になったらみんなバラバラになっちゃうんだよ。琴美ちゃんに2度と会えなくなるなんて、ぼく、ぼく、死んじゃうよ〜!」
葵  「ね、わかったでしょ。響が好きなのはコトちゃんなんだよ。そうだよね響?」
響  「うん。」
昴  「お前は、相変わらず人騒がせなやつだな。」
琴美 「てへっ。」

           おわり

5/3/2024, 11:40:15 AM

「ごめん」

小さな謝罪の言葉には何も答えず、彼から距離を取る事で反抗する。
実際にはほとんど変わらない、僅かな隙間。
その僅かな抵抗すら、背後から腕を引かれ抱き留められて、零に戻る。

「……っ」
「いかないで。お願いだから」

懇願する声音は、どこか甘さを孕んで目眩がした。

「そばにいて。もう離れないで」

『もう二度と俺に関わるな!』

静かな懇願の言葉に重なる、かつての彼の拒絶の言葉。

今さらだと思った。
最初に手を振り払ったのは彼の方だった。
ようやく、一人でいる事にも慣れてきたのに。
忘れられるとすら思っていたはずなのに。
今さら、
関わるなと拒絶したその唇で、依存を乞うというのか。

「…やめて」
「ここにいてくれるなら」
「やめて。ここから出してっ」
「ごめん」

優しささえ感じる謝罪の言葉とは裏腹に、抱き留める腕の力は強く。
もはや拘束でしかないそれは、息苦しささえ覚えるほどで。

「それだけはだめ」

拘束していた右腕が離れ、けれどもその指はいたずらに首筋をなぞり、そのまま唇に触れる。
それ以上の拒否を咎めるような彼の指に、思わず息を呑んだ。

「それ以外なら何でもあげる。一緒にいてくれるなら、望むところに連れて行く」

変わらず囁く声音はどこまでも甘い。
その甘さは背中から感じる熱と混じり合い、何もかもを分からなくさせていく。

彼の優しさは毒だ。
上辺だけの甘い言葉を、その行為を、愛だと勘違いさせる。
そうして勘違いしたまま、弱って一人では生きられなくなったその時に。
彼はまた、あの日のように冷たく突き放すのだろうか。

「優しくする。大切にするから」

それならばいっそ、酷く咎めて罵ってくれればよかった。
そうしたら何の期待も持たずに、彼の檻の中で生きていけるのに。

「だから、俺を愛して?」

愛を乞われ、頸に口付けられる。
まるで恋人にするような、優しいだけのそれ。

「…っ!」

深く堕ちていく感情から逃げ出すように、絡みつく全てを振り払い。
今出来る、最大限の反抗を込めて。
その優しさを拒むように。
背後の彼に、噛み付くように口付けた。




          20240503 『優しくしないで』

5/3/2024, 11:26:35 AM

『優しくしないで』

 校舎の3階、2年1組の教室に、1人の女子高生が泣いていた。

 その女子高生の名前は小夜。そう、私です。

 何故泣いているのか。それは——

 「お〜い、小夜!」

 この男だ。名前は煌驥。私の幼馴染にして私が恋心を抱いている人。

 「どうした、小夜? 帰ろうぜ」
 
 「何を言っているの? 貴方、付き合っている人が居るんでしょう?」

 「それは……なんと言うか……」

 付き合っている人が居るのに何故私を誘うのか。浮気になるじゃない。

 「だから、私には関わらないで。貴方はあの子と幸せになれば良い」

 「おい、ちょっと待てよ小夜!」

 煌驥が私の腕を掴み、私の歩みを止めて来る。

 「何? まだなんか用?」

 「お前、何かあったか?」

 「は? 何も無いけど。それだけ? ならもう行くから」

 「何も無いならなんでお前、泣いてるんだよ」

 「え……?」

 右手で頬に手を当ててみる。すると、指に涙が付いた。意図せず出てしまったのか。我慢出来ていると思っていたのに。

 「貴方には関係ないから気にしないで」

 「気にするだろ。俺はお前の幼馴染なんだから」

 「私に優しくしないでって言ってるの!」

 思わず、声を荒げてしまう。私が諦めようとしているのに、何故この男はそれをわからないのか。

 「貴方にはもうあの子が居るんでしょう?! だから私は諦めようとしているのに! なんで私に話しかけるの! 優しくするの!」

 「それは……」

 煌驥がきまづそうに目を逸らす。煌驥に良くある癖だ。

 「あの子が居るのに私に話しかけるなんて! 貴方はそんな人じゃないでしょう? 貴方は好きになった人を一途に愛する人だった! なのに何故変わったの!」

 「変わってない!」

 煌驥のその真剣な雰囲気に、言葉に、顔に、びっくりした。そう、その顔。その顔をあの子に向けてあげて。それが、今の貴方のやるべき事なんだから」

 「わかった。言おう。あの子の事だからあまり言いたくなかったけど、好きな人に嫌われてまで秘密に出来るほど俺は優しくない」

 「え……?」

 意味がわからない。煌驥が私の事を好き? じゃああの子は? どう言う事?

 「よく聞け。あのな、俺とあいつは付き合ってない。偽装だ。俺が好きなのはあいつじゃない。」

 「俺が好きなのは——!」

5/3/2024, 10:18:13 AM

「気持ち悪いw」
「うっ」
私はいじめられていた。
いじめが始まったのは今年の6月から、理由は分からない。
いじめが始まる前に、学校一のイケメンの先輩から告られた。
だけど、私は「ごめんなさい」と断った。
たぶんそれがいじめの始まりだったのだろう。私は毎日水をかけられ、殴られ、ものを隠されていた。
「はぁ、」(いつからだろ、生きたいが死にたいに変わったの、)
「あははは!だっさw」
「学校来んなよ」
「うっ、」
「先輩に告られたにもかかわらず、振ったてw」
「調子乗ってんの?」
「乗ってなんか!」ボコ
「うっ」
「何、口答えしてんの?」
「あんたの立場わかって、言ってる?」
「まぁいいや、今日はこんくらいにしてやる。明日から来んなよ。」
「はぁ、やっと終わった。」(保健室行かないと)
トコトコ
ガラガラ
「失礼します、」
「どうしたの?!」
「ちょっと転んでしまってw」
「転んでそんなんになるはず、ないでしょ!」
「あはは、いじめられちゃってw」
「笑い事じゃないじゃない、手当てするからそこ座って」
「はい、」(我慢出来るところまで、我慢してみよ)




「あぁ、あいつ腹立つわ、」
「それなw調子乗ってるよな」
「まぁいいや、ほっとけ」

「はい、これでおっけい」
「ありがとうございます。」
「今日は安静にして帰りなさい。親に連絡しとくから。」
「親はダメ!!」はぁ、はぁ
「え?」
「あっ、ごめんなさい!」
バタバタ

バタン!
「あ、大丈夫かしらあの子。」



「とっさに、感情をむきだしてしまった。」
「え?」
キキー!ドン!


-------------ピーポーピーポー



---!
〇〇!
「ん?」
「良かったぁ」
「あれ、私なんで視界真っ黒なの?」
「…………」
「ミカ?」
私の幼馴染ミカだけが頼りだった。
だけどそこにいるのは、分かるのに見えない。
「目覚めましたか。」
たぶん先生だろぅ。
「はい、なんで見えないんですか?」
「驚かないでくださいね、あなたいじめも受けていませんでしたか?」
「まぁ、一応やられてました、」
「それのこの事故が重なって、目が見えなくなりました。事故らなくてもいじめだけでも見えなくなっていたかもしれません。」
「え?w嘘でしょ?」
「〇〇…」
「うそだよ、うそだよ、そんなこと」
「………」
「治らないんですか?」
「もう、手遅れかと。」
「すみません、1人にしてください、」
「わかりました、」
「ミカも出てって。」
「でも、」
「出てって!」
「わかった、いつでも呼んで」
「………」





(はぁ、いじめと事故が重なって、目が見えなくなったかぁ。不便だなぁ泣これからどうしよ)


------------

それから私は3ヶ月後退院した。

「今日から、学校か慣れないな、」
「早く行ってよね邪魔」
「はい、行ってきます。」


「え?あいつ目見えなくなってんじゃね?」

キーンコーンカーンコーン

「みんな、席につけ。大事な話がある。」
「〇〇出てきてくれ、」
「はい」
「〇〇は、事故といじめが重なり目が見えなくなった。」
ザワザワ
「なので、みんな助けてやってな」
「そ、そんな、私たちのせいで、」
「……」




「席替えするぞー」
ゾロゾロ


「……」
「よろしくね」
「……」
(無視か、そりゃあそうだよね。)
(ガタッ
「痛った」
「大丈夫?!」
「う、うん」
「良かったぁ」


-------------



それからいじめっ子は私に対して優しくなってきた。
自分自身は、いじめてきた人達に優しくなんてして欲しくない。嫌だった。

------------



バタ

「痛った、」
「大丈夫?!」
「…て」
「え?」
「やめて!」
ドン!
「痛て」
「なんで、あなたに優しくされないといけないの!みんなもそうだ!」
「……」
「先生も、味方になってくれなかった!唯一味方になってくれて、心配もしてくれた保健室の先生が!優しかった!」
「なのに、なんで?目が見えなくなっただけで、そこまで優しくなれるの?今までやってきたこと悪いと思ったの?」
「〇〇、親は?」
「はっ、親なんて口なんて聞いてくれたことすらない。挙句の果てに邪魔だってさw笑えるよね」
「……………」
「もう、私に対して優しくしないで!もう、うんざりなの!」



これで終わりです。ありがとうございました。

5/3/2024, 10:05:57 AM

《優しくしないで》

 みんなが僕を可哀想だと口々に言う。
 僕は、可哀想なんかじゃないのに。
 僕が僕を可哀想にしている、だなんて言い掛かりもやめてくれ。
 僕は嫌なんだ、そうやって言われることも。
 だからって理由で優しくしてくれる、誰も彼も。
 何が可哀想なの?
 僕の目の前で両親が殺されたこと?
 僕の目の前にいたのに、両親を助けられなかったこと?
 僕の目の前で死んだ両親のこと?
 何が、誰が、可哀想なの?
 それが僕は分からなくなる。
 そうして与えられる優しさは、腫れ物に触るみたいで、何処か他人事で素っ気ない。
 それを、ずっと与えられなきゃいけないのか。
 誰かの自己満足を満たす為なのか。
 僕の渇きを癒す為だとか、そんな御託は要らない。
 だってそうだろう。
「君も、僕が『可哀想だから』優しくしてくれてるんだろ」
 だから。
 もう、要らない。
「優しくしないでよ! 僕は両親を見殺しにした——ただ勇気の出なかっただけの、子供なのに」
 せめて君くらいは、僕に同情しないで、優しくしないでいてほしかった。
「何言ってるんだ? そんなことはどうだっていい。ただ俺が、お前を好きだから優しくするんだよ」
 そう言って君は呆れて。
「……ああそうか」
 僕は僕自身で、優しさを同情の証だと決め付けていたんだ。
 そうして、自分自身で『可哀想な子供』に貶めていのか。
「……こんな僕なんかに、優しくしないでね」
 君の優しさに、気付けなかった僕なんかに。

5/3/2024, 10:00:14 AM

私は今エリコの家の前に来ている。
学校でのエリコの特徴を上げるならお嬢様だ。
たまに常識知らずな所があるけれど、取り上げて言う程ではない。
緩いウェーブの掛かった綺麗な髪、 姿勢、言葉遣い。
何処を見ても気品溢れる出で立ちに、高嶺の花として少し浮いた存在。
家に招待された時は、お嬢様の家に入れると期待に胸を膨らませていたのに、これはどういう事?
明らかに貧乏屋敷。
ペンキの剥がれかけた壁。
手作りの柵。
地面に竹を打ち込んで麻紐を使って十時に綺麗に結んであるけど、これ畑以外で見た事無かったわ。
それと何故トイレの横から煙突が生えてるの?
サンタトラップなの?
窓ガラスなんて、ノックしたら割れてしまいそうだ。
とは言っても汚い訳じゃない。
雑草は一つも生えてないし、物が散乱してもいない。
むしろ物持ちの良さが伝わってくる良い家だ。
ただ、お嬢様のお住いにはとても見えないというだけで。
家の周りを見回していると玄関が開けられた。
「どうぞ上がって」
「お……お邪魔します」
「散らかっていて申し訳ないわ」
「いえ、お構いなく」
今までそれ程仲が良かった間柄でも無かったし、変な緊張感から敬語で応えてしまう。
昭和感が漂う家で、セレブ感を感じさせるお嬢様が中へと招き入れてくれる。
散らかってないし。
むしろ我が家の方が汚いまである。
居間に入ると、丸テーブルの横に置かれた座布団へと案内された。
変な緊張感から正座してしまう。
「飲み物を用意してくるわ」
そう言って部屋を離れたエリコは、お盆を持ってすぐに戻ってきた。
紅茶と牛乳と……納豆!?
何故に納豆が乗ってる?
茶請けか?
茶請けのつもりか?
当たり前のようにお盆に乗ってくる納豆に視線が奪われる。
そんな私の視線なんか気にも留めてなさそうなエリコは、隣の座布団に正座すると納豆を混ぜ始めた。
混ぜたけど!
私やだよ?
紅茶の茶請けに納豆は嫌だよ?
それにしても姿勢良いな!
茶道のように納豆混ぜてるよこの人。
軽く混ぜると納豆をお盆に戻した。
紅茶を手に取ると、牛乳を注ぎ入れる。
余りにも凝視し過ぎた所為で、エリコが私の視線に気付いた。
「あら、もしかしてミルクティーは苦手だったかしら?」
「ううん、全然そんなことないよ」
首を振りながら否定した。
良かったわと言いながらミルクティーにガムシロップを入れてくれた。
ありがとうと言ってコップを受け取ろうと思ってたのに、エリコの手はまだ止まらない。
コップをお盆の上に戻して、代わりに納豆を手に持つエリコ。
次の瞬間、私の世界は急速に加速する。
エリコがミルクティーに納豆を入れ始めたのだ。
何故!?
止めてー!
どうしたエリコ!?
ボケてんの?
ツッコミ待ち?
パックからコップに垂れ落ちる納豆を見ながら、私の思考は何倍にも加速するけど、一言も声を発することが出来なかった。
「はい」
エリコがコップを渡してくる。
は?
私に飲めと?
私がコップを受け取ったままの姿勢で固まっていると、エリコは自分の分の納豆ミルクティーも用意していた。
硬直している私を見てエリコは
「ふふっ乾杯♪」
チンッと綺麗な音を立てて合わさるコップ。
違うから!
乾杯したくてコップを持ってたんじゃないから!
「かん……ぱい?」
釣られて乾杯とは言ったけど、何これ、飲むの?
「はい、マドラー」
いや、箸!
それマドラーじゃなくて箸だから!
「いや、え? 使わない……かな?」
「あらそう?」
エリコは不思議そうに箸を自分のミルクティーに突っ込んで混ぜている。
完全に納豆まぜまぜしちゃってるよ。
ツッコミ待ちか?
ツッコミたくても頭の処理が間に合ってないよエリコ、お前どうした?
エリコは太めのストローを渡してくる。
タピオカミルクティーを飲む時に使うやつだ。
ちょっと待て、ストローは違うだろ。
「エリコ……、これ何?」
「我が家秘伝タピオカミルクティー」
ニコッと笑う笑顔が可愛い。
小悪魔的だ。
いや、悪魔かも知れない。
悪魔的だ。
エリコがストローを自分のミルクティーに突っ込むと、飲み始める。
マジで?
お断りなんですけど?
そんなことを考えていると、家の玄関が開けられる音がした。
「ただいま」
「お母さん、おかえりなさい、今お友達が来ているのよ」
「あ、お邪魔してます」
助け船が来た!
助かった!
それとなく、納豆ミルクティーご馳走になってますとでも言えば、エリコお母さんも察してくれるだろう。
「あ〜喉乾いた、エリコ少し飲んでいい?」
エリコお母さんがそう言うと、エリコが納豆ミルクティーを差し出す。
勝った!
そう思った私だったが、考えが甘かった。
「ご馳走様!」
お前もか!
それにしても美味しそうに飲むな。
案外美味しいのか?
そう思って私も覚悟を決めて一口飲んでみた。
ゴクリ。
ぎゃあああああ!
水、水は無いの?
水をくださいって言いたいんだけど。
納豆ミルクティーお前邪魔だよ!
お前の所為で、水も頼めやしねえ!
「どう?」
エリコが小首をかしげて聞いてくる。
可愛いなくそっ!
ドッキリパネルはどうした!
私は恐る恐る聞いてみた。
「もしかして醤油入れた?」
そう聞くとエリコは人差し指を唇に当てて言った。
「隠し味♪」
隠せてねぇからな!?
紅茶と牛乳と納豆と醤油が、思い思いに個性を主張し合ってるわ!
そこから私は納豆ミルクティーをちょびちょびと二時間掛けて飲む事になった。
「それじゃあ私そろそろ帰るね」
納豆ミルクティーのおかわりを出される前に。
「今日はありがとう、とても楽しかったわ」
立ち上がろうとした私は、立ち上がれずに横に倒れる。
二時間も正座していたから、足が痺れて動けない。
「痛ててて、足痺れて立てないや」
「あら、大丈夫?」
「あはは、ごめんちょっと休憩させて」
少し待てば動けるから、と思っていたのにエリコが何故かエリコお母さんを呼ぶ。
「お母さーん、足が痺れて動けないって!」
「はいよー」
え?
どうしてお母さん来たの?
「ずっと正座してたから血行が悪くなっちゃったんだよ、ちょっと我慢してろよ」
腕まくりをしながら近づいてくるエリコとエリコお母さん。
ちょっと待って!
止めて!
ホント今逃げられないから!
触らないで!
お願いだから!

『優しくしないで』

5/3/2024, 9:59:15 AM

めんどくさい女が勝手にやきもきした挙げ句男にふりまく虫除けスプレー。

 アンブローズ・ビアス風にしてみました。




(優しくしないで)

5/3/2024, 9:55:32 AM

優しくしないで

やめて‼︎
もう、やめてよ‼︎
その言葉で自分の中で何かが切れてしまった
オマエがーーー

なんでだよ。。。
そのとき、俺は後悔した。自分の全てに


「はじめまして。。」
「はじめまして‼︎」
俺があいつと出会ったのは3歳の頃
たまたま親同士が友人で高校生ぶりに出会ったらしい。あいつが引っ越してきたからどこに行くにしてもよく一緒に動いていた。
アイツは昔から容姿端麗でオンナみたいな中性的な可愛い顔だった
俺はアイツと幼小中高と一緒に進んできた。
昔からアイツはどこか忙しくておっちょこちょいだった。
天然のようでいつもアイツの先には俺がいたと思う。
そんな生活をずっとしてたんだ。
何もおかしいとは思わなかった。
だが、周りは違ったんだ
アイツは顔も声も立ち振る舞いも中性的で中学も高校も制服の規定がなかったからみんな知らなかった。
そいつがオトコだってことを。。
別に普通の生活をするのに性別がわからなくて困ることもそうなかった。
どうせ俺もアイツも仲のいい友人もいなかったし、
あまりものとしていたから男女ペアになることなんてなかったし体育とかでも先生も配慮して詳しいとこまで踏み込まなかった。

だからなんだ。
アイツに嵌められたんだ。。

アイツは頭がよく常に学年2位だった。
俺はそれがすごいと思い誉めたり
祝い事もたっくさんしてきた
アイツに不自由なく楽しんで欲しかったんだ
だが、おれが描いた現実が本物になることはなかった
高校2年の冬の初め頃事件は起きた
いつも通りアイツとくだらない話をしてたんだ
だけど、その時にアイツが言ったんだ
「いつも悠くん優しくしてくれるよね。
 そんな優しくしなくていいのに。。。」
俺は謙遜に思えた。
「春といるのが楽しいからいいんだよ。」
だが、ここまでだった。
その刹那廊下にも響く声で
「キャーーー!!!!」
と叫び声がした。
俺は唖然とした。
その声は目の前のいつものアイツが出したんだ
「この人が猥褻行為をしてきた‼︎」
「は?」
俺は理解が追いつかないうちにクラスの男子に抑えられた。
そして先生も来て
「何してるんだ‼︎」と怒号が飛んできた
いまだに理解が追いつかないままアイツの顔を見上げた
すると、アイツは誰にもわからないように
不敵に笑って見せた
まるで蔑むように。。

そいつは淡々と続けた
「この人が急に手を出してきて
 やめてと言っても聞いてくれなくて…
 怖くて…」
俺はそれ以降何も考えれなかった。

そして、俺が教師に連れてかれる前に
そいつは耳元で囁いた。
「だって言ってたじゃん
 優しくしないでって
 面白かったよ」
アイツのヤバさは俺以外にはわからなかった
それもそのはずだ

アイツはもうーーーーー
おれはただのーーーーー

N1

5/3/2024, 9:54:33 AM

優しくされたら 惚れたけど
別れの回数を増やしただけだった

5/3/2024, 9:47:19 AM

⋆⸜♱⸝‍⋆

「好きだよ。」

何回も愛をくれたそれが友情的なのか愛情的なのか僕には分からないけど僕も君に

「好きだよ。」

って囁いた文面だけのやりたりだったけどその時間が好きだった。その時間が永遠に続けばいいと思ってたのに…ある日突然ヒビが入った。なんで?どうして?僕は考えたけど何も分からなかった。他の人にも愛を囁いてたその事実に僕は傷ついたと同時に僕の中に嫉妬という感情が生まれた。

あー僕はずっと君が好きだったんだ、愛していたんだ。愛おしい君が僕のモノになるまでどれくらいの時間がかかるんだろう。君が僕のモノになるまで待つよ永遠に

だから、ね、優しくしちゃダメなんだよ僕みたいに勘違いしちゃう人が増えて苦しくなるだけだから、だからさ君はずっと僕のそばにいて僕だけに愛を囁いて、君の瞳の中を僕でいっぱいにすればいいんだよ。そうすればみんな幸せになれるよ。

そう僕は君に依存していたんだ。それに気づいた時はもう遅かった。

ずっとずっとアイシテル



2024.05.04【優しくしないで、】

5/3/2024, 9:35:36 AM

「優しくしないで」

優しいことがいいことかと言われると素直に頷けないのは私だけだろうか。

優しくしているからといって、それが思いやりから来ているものとは限らない。

思いやっているからこその厳しさがある。
思いやっているからこその儚さがある。

優しくすることが、あなたのためにならないことだっていくらでもある。

あなたにはそれが届いているのだろうか。

5/3/2024, 9:33:44 AM

優しくしないで。

貴方はみんなに優しいから、私にも優しいの?
それとも、私だから優しくしてくれるの?


中途半端な優しさなら、私は要らない。

5/3/2024, 9:32:30 AM

2024 5/2(金) 短編小説

ステージに立ったらマイク一本で勝負だ。
相手がこいつだからって俺は一切手加減しない。ラップバトルというのはそういうものだ。いくらこいつを前にしても、俺のその概念を、壊すことはできなかった。
djのジュクジュク、というスクラッチ音をスタートに、ビートが流れ出す。
ビートを聴いたお客さんが次々と沸き出して、その波がライブハウスを揺らしているように感じた。
ふと、体を音に乗せて揺らす彼と目が合った。多分、こいつと俺は今、同じことを思っていると思う。このビート懐かしい。な?そうだろ相棒。ビートが止んで、あたりはしんと静かになった。
8小節4ターンが、短く思えるほど語りたいことがあるけれど、今は一旦その気持ちを置いとかなければならない。俺はひとまずジャンケンをして、先行を選んだ。
「では行きます」司会者の合図で、再びビートのスクラッチが流れる。俺は息を大きく吸った。その時、マイクを持つ右手が酷く震えていた。
「ステージの上にあがりゃプロップス で圧勝俺の圧倒的ステータス 見りゃわかるだろ 俺の方が売れている 今日はフローもあなたに贈る」
俺は1バース目を難なく歌い上げた。こいつは今にも泣き出しそうな顔をしていて、必死に堪えているのがわかった。今は、そんな場合じゃないだろ。
いよいよこいつの番だ。俺はなんだか自分のターンでもないのに緊張してしまう。自分の鼓動がマイクに入らないように祈った。
「今日はフローをあなたに贈る? いつも送っとけ トライアングル お前の横に俺いるってことは それはすなわちレベルが高いってこと これからバトル出てくんなら覚えとけ これアナウンス」


あっという間に、バトルが終わった。
勝者なんて、どっちでもいい、なんてことは無い。ラップを愛しているから、そこは譲れない。俺は勝ちたかった。
それなのに、だ。
観客はあいつに沸いて、あいつが勝利した。
2人でステージを降りて、控え室に戻った。実に、5年振りの再開だった。
「……有名なったな、お互いに」
俺はこいつに話しかけた。なんだか久しぶりで少し恥ずかしくて、目は合わせなかった。
「だな。でも俺は最初からなれると思ってたよ。日本は狭いからな」
「あはは、バカにしすぎやそれ」
昔から変わらない声と、彼の冗談。変わったのはスキルだけかと、俺は少し安心する。
「俺とのバトル、どうやった?俺は悟に負けて悔しいわ」
「昔なら、ガチでやり合っただろうけどな」
「あははっそれ、今日本気出さんで俺負けたんかよ」
俺はこいつを土俵に引きずり出そうかと思った。勿論冗談だけど。
沈黙が流れて、間を埋めるように俺は麦茶を1口飲んだ。悟も真似するかのように水を飲む。
俺は、こいつにずっと言いたかったことを言わなければと思った。
「ビートのこと」
ふと、脈絡もなく俺は口にしていた。一瞬言い直そうかと思ったが、この1文だけで通じるくらいの親友だったから、きっと大丈夫。
「ああ、懐かしいね。俺が泣いて、お前がメンヘラなったの覚えてる」
「いやあれは俺悪くないやろ」
そう、あれは俺のせいじゃない。俺のせいではない。もう会わないだなんて言う悟が悪かった。
あれは5年前のこと。15歳で、俺らが当時高校1年生の時の話だ。
4月、クラスでひとりぼっちだった俺に話しかけてくれた悟とは、共通の趣味があった。それはラップで、俺らはラップを通して仲良くなった。俺はラップが好きだった。それはあいつも同じくらい好きだったと思う。
ラップを語れる相手なんて身近にそんな居なかった。だからだと思う。
俺らは軽い気持ちで2人きりの、ヒップホップチームを組んだりして、よく公園でバトルをしたものだった。
でも、悲劇は突然訪れた。
高1の夏、彼は突然ラップを辞めた。
俺はそれがショックで、しばらく学校を休んだし、飯も食わなかった。それくらい悟は俺にとって大きな存在だったし、彼のいない生活なんて考えられなかった。
そのくらい仲が良かったから、俺は彼に理由を尋ねた。
「ねえ、なんで辞めるの」
重い雰囲気。その質問に彼は目を逸らした。しかし、悟はきちんと説明してくれた。良い奴だから。親の仕事の関係で引っ越しをしなくちゃいけなくなったこと、親のラーメン屋を継がなくてはならなくて、ラップの時間を取れず、もうできないこと。俺と離れるのが嫌で言えなくて、ずっと不安だったこと。
その時のことは今でもはっきりと覚えている。でも仕方なくて、そんなの呪うことさえできないものだと思って泣くしかなかった。
悟が引っ越す1日前、俺達は約束をした。最後に1回だけ、ラップバトルをしよう。と。
スクラッチの音が流れる。ジュクジュク。
――お前の才能には負けるよ こんなにも愛されてるのに 俺はお前がいないと心から笑えないんだ ──彼は最後にそう、歌った。

その日は全くうまく言葉が出なかった。野次が耳にガンガン響いた。まるで、死刑宣告を受けたみたいに感じた。ラップバトルが終わったあと、僕はさらに辛い気持ちになっていた。もう彼とは、二度と一緒に語り合えないし、バトルもできないのかと。
「ねえ、辞めないでよ、ほんとにもう、会えないの?ラーメン食べたいよ、毎月会わせて」
「それはお前が金欠なるわ。会ったら色々辛くなるから会えない。親を恨んでしまいそう。だから会わないで。いい?もう俺、ラップはやらないから」
その時、彼の目頭に涙が浮かんでるのが見えた。俺は知っている。ほんとは、彼もまだラップを続けたいということ。その気持ちを押し殺して、明日彼は遠くの県へ引っ越す。好きなことも出来ないなんて。いや、悟はラーメンが嫌いかって言われたら絶対好きって答えるだろうけど。
俺は耐えられなくなって、やだ、と思わずメンヘラみたいに泣きじゃくった。
8月25日、僕の前から彼が消えた。



「後あれ、メンヘラじゃなくてラップに対する熱い気持ちだからな。勘違いしないで。いやあ、それにしてもびっくりだよ。まだ続けてくれてたんだね、ラーメンはどうしたんだよ」

「まあ、去年潰れたんだ。だから突然暇になってさ。また始めてみた。やっぱ諦めきれないもんだな、子供の頃からの夢ってのは。」
「えっ、まさか、」
俺が言いたいことが伝わったのだろう。
「そうだぞ。たった1年でここまで上り詰めたんだ。オマケにお前より100倍上手いラーメンも作れる」
「えっ、やめてよ。5年やってるのに今日の試合負けた俺がくそみたいじゃん」
「はは!まあでも俺は嬉しいよ」
悟が、俺の肩を叩いた。
「また会えてさ」
「おう」
俺も、と、彼の肩を軽く叩く。
この再会を祝して乾杯したいと思ったから、今夜は飲むことにした。
「悟、続けてくれてありがとう。対戦できて良かった。しかも引っ越す時にやったバトルのビートと、今日のビート、同じだったね」
「本当にな。俺も驚いてるわ」
お互いに顔を見合わせて笑った。
悟と久しぶりに話して分かったけれど、俺にとってこいつは相棒でも親友でもないんだなと思った。もっと概念的で、言葉で簡単に表現できない何かだと思う。やっぱりそれは、俺の人生に欠かせないものだし、俺の一部だと感じた。
「なあ、飲んだあと、公園寄って昔みたいにスマホのゴミ音響でラップバトルしようや」
「あははっ、それが世間で言うエモいってやつ?」
「さあ、しらね。容赦しねえからな?また俺が勝つ」
「いいよ、俺に優しくすんな。なんかうぜえから。ボコボコにしてもっと2人でスキル磨いてこう。ほら、お前の憧れのラッパーみたいにさ。俺らもラップ界の四天王と呼ばれるくらいに」
「だな、もっともっとやっていこうぜ!」
「おーっ!!!」
2人は勢いよく熱いハイタッチをした。手と手のパチン!という音がまるで、2人だけのスクラッチのようだった。

#18 優しくしないで

5/3/2024, 9:31:45 AM

背伸びして優しくしないでって笑いあう大きめにくれるケーキひとくち

5/3/2024, 9:30:47 AM

【優しくしないで】

まず、始めに言っておくが僕はクラスの飾りでしかない。

いつも、一人で本を読んでいるだけだから、男友達何て夢のまた夢。

そんな僕に関わってくれる女の子がいる。

何でかは知らない。

男たちに何か押し付けられたり、からかわれたりすると、いつも助けてくれる。

とっても優しい。

でも優しくしないでほしい。

恋に落ちたくなかったのに、落ちたから。

5/3/2024, 9:23:11 AM

『優しくしないで』

誰にでも優しいあなたは
私にも 優しい

好きでもないのに
優しくしないで

もっともっと好きに
なってしまうから

もし私を好きだとしたら
やっぱり 優しくしないで

私だけに優しい
あなたでいてほしい

5/3/2024, 9:23:06 AM

あなたの優しさに触れる度、自分がいかに最低か思い知らされる。

自分の身を守るためにあなたを傷つけるような嘘をついた。今まで積み上げてきたあなたとの何もかもを無に帰す愚かな所業だった。

しかし、あなたは笑って私のことを許した。いっそ怒鳴って私のことを責めてくれたら良かったのに、あなたはそうはしなかった。それが私にとって一番の罰だとわかっていたからだ。

あなたは私の手を取って今までと変わらぬ笑みを浮かべている。

「本当にごめんなさい」

「いいんだよ、もう」

好きだったあなたの優しさが、今では一番痛い。

5/3/2024, 9:19:22 AM

人は人に優しくして欲しい時として欲しくない時がある

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