『一筋の光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私にとっては光だった。
それがどんなに汚れていようと、どんなにいけないことだろうと。
みんな、私に差し伸べられた手を非難する。
おかしい。そもそも助けてくれない人達が、寄って集って偉そうに批判するのだ。
私にとって、この手は変わらない。ずっとずっと、一筋の光なんだ。
真っ暗闇を歩いていた。
しばらくして、おまえと出会う。
それから、おまえに段々惹かれていって、オレは弱くなった。
そう思っていたけど、今は違う。
おまえを愛してるオレは、強くなれた。
もう、おまえの傍を離れないから。
一筋の光。
とても、美しい言葉だと思う。誰もが希望を持つ言葉だと思う。
でも、私はこの言葉が嫌い。
一筋の光に導かれた先にあったのは、ただの崖。その先には道はなかった。
私は一筋の光に突き落とされ、崖から落ちた。今まで上ってきた坂、階段、全てが無駄になった。
誰も知らない。
一筋の光が、必ずしも救ってくれる訳では無いことを。
ゆらゆら、ゆらゆら。
遠くにみえる水面から差す光に目を細める。いつも通り暗い水底でボーンと鈍い水の流れる音をただ聴いている。
もうない。なくなってしまった手で、足で、この口で。
どうしょうもなく眩しい記憶をもう一度、なんて。
本当にわかっているんだ。頭では理解しているの。
それでも諦めきれずに何度でも願っては視界を閉じ、変わらない景色の中で目覚めて落胆する。悲しいとか、寂しいとか。怒りや憎しみなんてとうに擦り切れてしまった。
思い出すのは目には見えない温かさとその心地よさだけ。
この冷たい水の中で、それだけが唯一の光なんだ。
【題:一筋の光】
【一筋の光】
ほら 見えている
1つの光が
絶望を希望に変える 光が
ほら 見えている
私達の未来が
可能性が無限大の 未来が
ほら 見えている
私の愛する人が
綺麗な笑顔で笑ってる
守りたくなる様な笑顔が
ほら 見えている
小さな赤子が
まだまだ未熟児の 天にも響く産声が
ほら 見えている
君たちの中にある 夢が
今はまだ気づけていない 力
秘められた自分だけの力が
君の中にも ある
ねぇ…。
どうしてそんな顔してるの?
どうしてそんなに暗いの?
笑顔がないキミを見てそう思ったよ。
人生なんてやり直しができないから
楽しんで君の色々な感情、表情をみたいよ。
君が私の太陽なら、
私は君の月(ひかり)になって支えるよ
でもそれでも君が心が折れそうな時は
私の名前を思い出して
きっと君の近くには花が咲いてるから
一輪の花と月(ひかり)を君に。
一筋君の未来が明るくなるまで。
「wing」
苦しい
この暗闇が
この閉じた空間が
体を壁へ打ち付ける
ただ必死に
必死に光を目指して
パキッ
生温かったこの牢に
冷たい風が
光の粒子が
飛び込んでくる
ついに!
始まるんだ
この僕の
新しい人生が
さあ行こう!
より高く、遠くへ!
自由の翼と共に!
「 一筋の光 」No.33
この世界には私しかいなくてあたりは真っ暗。懐中電灯は持っていない。適当に外を歩いていると、灯りが見えた。その灯りに向かって走ると人がいた。私はそのとき安心したのかその場に座り込み涙がとまらなかった。出逢った人は、何も言わず私の背中を優しくさするだけだった。
一筋の光
一筋の光を見つけたら、
迷わず光をたどれば良い。
もし、躊躇してしまうなら、
それは光ではなく、光に見える何かだと思う。
自分を信じて、光の導き追う。
きっと浴びたことのない光が待っていると思う。
一筋の光をまずは見つけたい。
『行かないで』
「行かないでください」
玄関先で革靴を履いていると、滅多にスキンシップを取らない彼から急に後ろから抱きつかれてしまった。
弱みを見せない、むしろ弱みなんてものはなくて、いつも完璧な彼から告げられたかぼそい声。その発せられた声にはいつもの彼のような強さはなくて、巻きついた両腕はただ俺を捕らえて離さない。
「どこにも、行かないで、」
今にも泣き出しそうな声が背中に当たる。無理もない。今日の仕事は最期になるかもしれない、危険な任務だからだ。
「大丈夫です、ちゃんと生きて帰ってきますから」
俺はできるだけ優しい声で話しかけた。決して俺が行きたくないと言ってはいけない。俺はこの仕事に選ばれた存在だから。これがあるべき運命なのだと思い込まなければならなかった。
「ほんとですか」
ゆっくりと腕が解かれていく。俺は彼の方へ向き直った。
彼の輪郭をなぞるようにいくつもの涙が伝っている。目は赤く充血していて、普段の綺麗な顔がぐちゃぐちゃになっている。いつもは表情が読み取りづらい彼は、今日は手に取るようにわかる。俺のことを心配して不安になって涙を流している。もう二度と会えない気がして。
「愛してます」
軽く口付けを交わして、俺はいつもの笑顔をした。心の底から幸せな顔をしていたと思う。
ーー
『愛言葉』
彼に好きと伝えたことはない。好きじゃない、信頼して、尊敬している。
それなのに。
「社長」
俺が呼ぶと資料からゆっくりと目を離す彼。俺を見つめたその視線は、柔らかでまっすぐだ。両目で俺を捉えると「なんです?」と言う。
言葉にしないと伝わらないこともある。このどうしようもないくらい重くなってしまったこの気持ちだってそうだ。この気持ちの正体に気づいてしまったあの日からずっと彼に伝えるつもりでいた。
今日こそ、と意気込んで2人きりのオフィスにいる。
「あの、えっと、俺、社長のこと、」
社長への想いは誰にも負けないくらいなのに、意気地無しは俺に負けるヤツはいない。
「……いえ、なんでもない、です」
失礼しました、と社長の顔も見れずに後ろを向いてオフィスを出ようとする。
今日も言えない。「好き」なんて。いつも完璧な彼が、俺みたいな落ちこぼれの部下に恋愛感情を抱くはずは無いのだ。
と、両腕が俺の体に巻きついた。
「社長……?」
振りほどこうとしたが、抱きつかれたことが嬉しくてそうすることもできない。社長の体温が服越しに伝わって熱い。心臓は狂ったように早鐘を打つ。
「あなたの想いは伝わっていますよ」
ーー
『紅茶の香り』
「紅茶、飲みませんか」
彼はいつもコーヒー派だ。俺は紅茶の方が好きだけれど、いつも彼に合わせていたので紅茶はたぶん半年くらい飲んでいない。
「さっき取引先の方からいただいたんですよ、よかったらいかがです?」と湯気が燻るティーカップを俺の方へ向けた。
「じゃあお言葉に甘えて」
一口口に含むと暖かいジャスミンの香りが口に広がる。さわやかに駆け抜けたそれは心を癒すようだった。
「美味しいですねこれ」と彼へ言うと、彼は俺をじっと見つめていた。
「……美味しそうに飲みますね」
どうやら口に運ぶところから見られていたみたいだった。なんだかむず痒いような恥ずかしいような気持ちになって俯く。
「好きですよ、あなたのそういうところ」
にこやかに微笑まれた笑顔に俺は撃ち抜かれてしまった。
ーー
『懐かしく思うこと』
「……もう随分と経ってしまったんですね」
小さなお墓の前で目を閉じ手を合わせながらそっと呟く。
墓石には10年以上一緒にいた人の名前が掘られていた。その名前を見る度に、本当に死んでしまったんだと心がきしきしと軋む。
私の右隣から降ってくる声も、慌ただしく駆け巡る日々もない。
あの人が亡くなってしまった今、ただ穏やかな日々が淡々と流れている。それは私にとっては退屈だったのだけれど、あの人がいなくなってしまったからなにも出来ずにいる。
久しぶりに出歩く街。ここは私とあの人がまだ会社を経営していた街だ。汚いものが蔓延るなかで、あなただけは輝いているように見えていた。この人と一緒にいたらどんなこともできると感じていたことを思い出した。
街を歩く中で、ここは一緒に遊んだ場所、初めて一緒に交渉しに行った場所、一緒に飲んだ場所……様々なあの人との思い出が蘇ってきて懐かしく思う。
もういないことを考えると身を切られる思いだが、自分の中ではもう踏ん切りはついていた。この場所でもう一度、会社を経営しよう。あなたがそばにいなくても、あなたがいなくても、私がなんでもやれることをあの人に見てもらわなければ。
ーー
『理想郷』
「私はこの街を……」
何度も聞いた言葉だった。俺は彼の言葉の通りに世界は動いていくと思っていた。
けれど。
「ーーさんは残念ですが亡くなりました」
できるだけの手は尽くしました、と目を伏せて言われる。真っ白になった顔を見て、どうして、と思う。無理もない彼は身体が弱かったのだ。それに致命傷である右腕の損傷。それは俺を庇ってのことだった。本来なら俺が背負うべきだった傷だった。
それでも彼を生きさせられなかった医者をぶん殴ってやろうと握り締めた拳は、俺の横で寒さで凍える小動物のように震えていた。
……俺は何も出来なかったのだ。ただその罪悪感に飲まれた。
彼の訃報から3年が経つ。早すぎる月日の流れに深いため息を吐いた。
俺はこれからあの人のために何かできるだろうか。完璧な彼にすらできなかったことが、こんな俺にできるのだろうか。
「できますよ、私の右腕だったあなたなら」
聞きなれた声にはっとして伏せていた顔をあげる。
しかしそこには彼はいなかった。ただ彼の名前が彫られた墓石がぽつんと寂しそうに建っている。
風が吹いた。
ああ、俺、あの人に救われてばっかりだと涙を拭う。
「前を向きます。」
墓石の前でそう宣言する。風で前髪が揺れる。
「俺、あの時造れなかった社長との理想郷を、造ってみせます」
風がまた頬を撫でる。柔らかく誰かに触れられたように暖かかった。
#一筋の光
突き落とされた奈落の底
閉した心は壁をつくり
全ての動きを否定した
それでも
奥底にある眠れる魂の叫びは
微かな時空の狭間に響く
誰か気づいて…
誰かを呼んでいる
何かを求めてる
いくら悲しみや憎しみが
心を支配しても
ヒトは優しさや温もりを求めるもの
どうか気づいて
ワタシの聲に
鮮やか光が届けられた時
すべての閉ざされたものは
ほどかれ開いてゆくから
夜空に一筋の光が見えた
流れ星のような 流星のような そんな光
赤い輝きを放ったそれは
徐々に徐々に此方へと近づいていた
視界が全てその光に呑み込まれる
その光からドロドロとした何かが生み出されていた
桃のような色のそれは、人間のような姿だったが、背中から腕や足のようなものが生えていた。
顔は人間の顔を潰したかのような形相だが、口角は目尻まで上がっていた。
そんな存在達が、光のなかから次々に生み出されていく。
その光は人間にとっては絶望の光で
彼らからしたら希望の光であった
お題『一筋の光』
「一筋の光」
嫌々ながらも明日の準備は終えた。あとは寝るだけだ。
彼女は昭和の小学生である。
毎日赤いランドセルに教科書を詰め込み、学校指定の黄色い巾着袋をぶら下げて登校する。
明日は算数と図工があり、大好きな音楽も国語もない木曜日。計算は苦手だし手先は不器用だから木曜日は楽しくない。しかしどうあがいても次の日はやってくる。
ひとりっ子の彼女は6畳の自分の部屋で眠る。ベッドはなく畳のうえに布団を敷いている。寝転がると閉め切ったふすまの下から一筋の光が差し込むのが目に入る。
光が差し込むのはふすまの向こうに起きている人間がいるからだ。彼女が眠ったあともしばらくは差し込むだろう光は彼女がひとりではない証。
明日は行きたくないな、と思いながらみた光を彼女は幾度となく思い出すだろう。
布団がベッドになり、ふすまがドアに変わり、差し込む光がなくなったひとり過ごす日々の夜に。
Theme:一筋の光
光が見えた。
纏わりつく暗闇を切り裂いて引き上げてくれるような、一筋の光。
私はその光に向かって手を伸ばした。
アラームの音に目を覚ます。見慣れた天井が目に入る。
「また、この夢か」
幼少期から私はときどきこの夢をみることがある。
自分が本当に存在しているのかさえ疑わしくなるような暗闇に佇む自分。不思議と恐怖はない。
そんな中、前方に突如現れる一筋の光。
暗闇から出たいと思っているわけでもないのに、私はその光に向かって思わず手を伸ばす。
いつもそこで目が覚めてしまう。
私の手は光に届いたのだろうか?その光は私を暗闇の外へ導いてくれたのだろうか?
それとも、届かずに手を伸ばすのを諦めてしまったのだろうか?夢のなかの私はあのまま一人で暗闇に残ったままなのだろうか?
いや、そもそもあの夢にはどんな意味があるのだろうか?
「支度をしよう」
答えの出ないことを考えるのは時間の無駄だ。
いつもの結論に落ち着くと、私は出かける支度を始めた。
この夢についてそれ以上考察したところで意味はないだろうから。
こうして淡々と日々が過ぎていく。
特段心が動かされるようなこともない、退屈だが平和な毎日だ。
その日の夜もまた、あの夢をみた。しかし、いつもと同じ展開ではない。
夢の中で私は前に向かって歩み、一筋の光を目指していた。
いつになく胸が高鳴るのを感じながら、光に向けてひたすらに歩を進めた。
私の手が、確かに光を掴んだ。同時に手を握られたように感じたのは気のせいだったかもしれない。
意識が途切れる最後の瞬間、言葉が見つからないほどの満足感を覚えた。
【一筋の光】#76
夏祭りの100本くじのようね。
何本も紐がだらんと垂れているところから
一つ当たりだと思うものを直感で選ぶ。
ただ、紙のくじより当たりやすい気がして
よく近所のお祭りで出ているのを見かけては
500円玉を握りしめて數回引いた。
99本はハズレのはずなのに、
毎回、心がくすぐられてもう一回…と続く。
大人になって思うことがあるの。
大袈裟な様に聞こえるかもしれないけど、
私にとってそれは
「生きる意味」とか「人生」って
言うような感じの良い例えだと思うわ。
だから、今これを読んでくれている貴方が
周りの環境、置かされている状況に
不満や苦しみ等を少しでも持っているのなら
思い出して。
子供の頃はお金と引き換えに娯楽を得た。
それを大人に置き換えみる。
苦しさや辛さから生まれた努力と引き換えに
充実した人生を得ることができるはず
ってこと。
もう無理よ、とはなる。でもそれはそうよ。
だって、
心とお金では全く天秤が釣り合ってない。
でも安心して。大丈夫。
誰の人生にも、
一筋の当たりは必ず入っているわ。
いつか、引いて見せましょう。
ゆっくりでいいの。大丈夫、大丈夫。
急いで引いたくじなんて
ちっとも面白くないんだもの。
「一筋の光」
雲の隙間から溢れる一筋の光
上を見なければ分からなかった空の美しさ。
淡い光が地面を照らす。
私の往く路を照らす。
ただ真っ直ぐに伸びる光。力強く、優しく輝く。
そこに向かってただ進む。
正しいかどうかは人生の終わりにしか分からない。
今は光の方向へ進むだけ。
それは突然だった。
なんの前触れもなくその雨は全てに降り注いだのだ。
どこかで怒号が起こりあたりは喧騒に包まれていた。
(なぜこうなった!?)
こうなる事はある程度予測できたはずだった。
俺たちなら止められたはずだ。
なのになぜかそれをしなかった事にも問題はあったと思える。
だが現実としてそれは既に起きてしまっていた。
俺は息を整えあらためてその舞台となった場所を見た。
そして気づく、(あれ?あそこは...)
不意に見えた一筋の光に俺の腕は吸い込まれるように伸びていた。
揉み合う仲間たちの視線もその手の先に集まっていた。
もう少し、あと一瞬でこの手はそれに届く!。
そう誰もが息を飲んだ瞬間、
ジャっと幕が開き彼が現れたのだ。
『すみません、ほかのお客様のご迷惑になりますので、もう少し声を抑えていただけると...』
腰の低い店員さんが申し訳なさそうに注意してきた。
俺は付け合せの野菜の下敷きになっていた唐揚げを箸で持ち上げ、店員さんが『ありがたいのですが』と言い終えるのを待たずに「すみません。」と頭を下げた。
立ってもみ合っていた姿勢のまま仲間たちも
『あ、すみません』と姿勢をなおしながら
それぞれに頭を下げて座り直した。
そして店員さんが去ると始まるさっきの続き。
『おまえ、レモンかける?とか先に聞けよ』
『いやみんなレモンかかった唐揚げ好きだろーよ?』
『あたしそーゆーデリカシー無いのキラ〜イ』
『僕は別にどっちでもいい。』
「まぁ、俺もどっちでもよかったんだけど...」
そう言いながら俺はGETしたレモンのかかってない唐揚げを口に頬張った。
まぁ、ほのかにレモンの味はしたけど...。
結局、みんなレモンのかかった唐揚げを普通に食べて完食していた。
そんな飲み会の話。
あ、あと店員さんが開けたのは『幕』ではなく『暖簾』だったことだけは訂正しておこう。
最初はただただ鬱陶しいとしか思っていなかった。
整った容姿。もの静かだが欠けていないコミュ力。転校生というシチュエーション。まるで漫画の主人公だ。
お れ
人格破綻者なんかとはまるで違う。
それでもそいつはあの日から毎日のようにおれに話しかけてきた。
空き教室でおれの歌を聴きに、もしくは歌いに来たり、体育の授業でも必ず一人余っているおれのところへ来て、
「せっかくだし、一緒ならない?」
なんて決まったように言う。人気者のお前のことだ、引く手あまただろうに。
ただ、おれは彼女と仲良くしようなんてこれっぽっちも思っていなかった。
人は嘘をつく生き物だと知っていたから。
人は人を裏切る生き物だと知っていたから。
どうせコイツもすぐ離れていく。
「ねえ、それはなんて曲なの?」
“信じる”なんて無駄なんだから仲良くなる必要も無い。
「卵焼き、作ってきたの。一緒に食べましょ?……え?……バレなければオッケーよ」
全部嘘。なにも信じない。
「昨日の授業よく分からなくて、教えてほしいの………大丈夫よ。お菓子は持ってきたから」
なにも………………
「私は変にもごもごしている渡辺君……隣の席の彼より、主張がハッキリしてる君の方が好きよ」
………………彼女はとてもマイペースなやつだった。
だから無愛想なおれのことも、ものともしなかったのかもしれない。
助けを求めることも、誰かを信じることも、期待を抱くことも、全て無駄だと思っていた。
だか、彼女はそんなおれの閉じこもっていた世界を少しずつこじ開けてきた。
そこから差し込んでくる一筋の光は、おれには眩しすぎて、触れたら自分が焼かれてしまうのではないかという恐怖を与えてきた。
しかし、それと同時に“触れたい”という気持ちも湧き上がってきた。あの暖かい光に。
もしかしたらおれは……本当は………
“ーーーーーー”
………まあ結構、おれはその答えを出すことも、彼女にお礼を言うこともできずにこの世から去ることになってしまったが………
いま
あの光の答えを“私”は現在も探している。
〜一筋の光〜
???
『白姫様、お身体が冷えますゆえ…』
己の視界に刺激を与えてくれる景色は戸に飲まれた
紅葉も枯れ落ちる季節
シミ一つない白一色の薄着物は風の冷たさを柔肌に教える
「婆や、少しで良いの。もう少し外を見させてちょうだい」
『白姫様、お身体を悪くしては神も眉を顰めます』
病を妖の力と呼ぶには信憑性も何も無い
だとしてもこの家は邪を拒む
七々扇家代々の伝統とも言うべきか
~神望むわ邪を拒む純~
簡単に言えば神様に純粋無垢且つ健康な処女を捧げろと言うもの
病にかからぬよう清潔な空間で過ごし
健康的な食事と健全な生活を行い
15を境に神の迎えが来ると言う
迎えがどういう意味かなど自分には分からない
だが自由が一つも無いと言えばそうなのだ
七々扇家の長女は皆同じ運命を辿る
「神も景色を慈しむ心くらいは許すでしょうに」
『妖が付けば神も見放します』
「妖なんて居ないじゃない」
『妖は姿も見せぬうちに生命を奪います』
「まるで子供騙しの御伽噺ね」
『白姫様』
白一色の柔らかな布団に下半身を包まれる
逃げ出さぬようにと足に付けられた枷が軽く引っかかるが老婆はお構い無しだ
『神も仏も妖も邪も総じて在ります。大主様の耳に入らぬよう言葉にはお気を付けください。』
七々扇家で産まれた長女は戸籍に名を残す事も許されない
それなのに産みの親を、家の主を敬えと強要する
家を繁栄させる神とやらへの供物として自分を扱う癖に
滑稽な話では無いのか
「婆やは私の味方でしょ?」
『私は七々扇家の使いですので…』
「そう、公私混同はしてくれないの」
老婆はスクッと立ち上がりそそくさと寝屋を後にする
産まれてこの方この部屋から出た事が1度も無い
外の世界はどんなものなのだろうかと
どれほど思考を凝らした事だろうか
其れに何度蓋をしたのだろうか
ズリズリと布団から這い出て畳を這う
木と金具で造られた古風な足枷は酷く重くて
畳を傷付けぬよう這うのにも一苦労だ
「あら…今日は満月なのね」
僅かに戸を開けて庭を覗き込めば空は暗くなっていた
美しい月が丁寧に整えられた庭木を照らし
寂しさを紛らわせるように星は煌めく
暗い部屋に入る月明かりのように
時と共に動く月のように
己も自由になりたいと望む
「星も地に落ちるのね」
流れる光を目で追い微笑んだ
“きっと自由になれるわ”
そう心の中で呟いてから布団に戻った
題名:一筋の光
作者:M氏
出演:カゴ
【あとがき】
軟禁洗脳って現代でもよく使われてますよね
恐ろしいと私は思います
出演してくれた彼女はちゃんと自由になれますよ
望んだものかは分かりませんが
一筋の光
ここはどこだろう。
先の見えない場所。辺りは暗くて、闇に包まれている。
ただ歩く場所だけがあるだけで、他は何もない
ように感じる。手をあおいでも空を切るだけで
何も掴めない。まるで自分が何か分からなくなるような
場所だった。
もう諦めたくなった。光も何もないこの場所で、
俺だけが一人取り残されている。ふと、後ろを
見てみると、道が続いているように感じた。
俺はそれを頼りに進もうとした。その時、
一筋の光が見えた。
誰かが俺を呼んでいる。手を差しのべている。
俺はその光を頼りに進んだ。
目を開けると白い天井。混乱していると、
「れん!起きたの?良かった。」
優しい声が俺を包んだ。あぁ、この人が俺を
助けてくれた。呼んでくれたんだ。
「……おれ、を…た…すけてく……れて、ありが…と、う……かい、」
そういった俺の頬を優しく撫でながら、
「…おかえり、れん。」
あぁ、戻ってこれて良かった。