『スリル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
スリル
スリルを味わう。それが自分の緊張感になる。
【スリル】
綺麗な顔についた傷口の一つ一つに消毒液をかけ、絆創膏やガーゼで覆ってやる。不機嫌そうな表情を浮かべながらも俺の手を拒まないのは、俺がブチギレて余計に面倒になることを知っているからだ。
「おまえさぁ、いい加減に火遊びはやめたら?」
「うるさい。僕の趣味に口出しするな」
悪い大人どもと付き合って、悪い遊びにばかり連れ回されて、それを趣味とは笑わせる。結局コイツはそういう刺激と痛みがないと、生を実感できない大馬鹿者なだけだ。これ以上言っても無駄だとわかっているから、文句を飲み込んで代わりに一つため息を吐き出した。
スリルがなければ生きられないおまえと、安定と平穏のみを好む俺とは、決定的に噛み合わない。それでも二卵性で顔も性格も1ミリも似ていないこの双子の弟をあっさりと見捨てられるほど、情のない人間ではないのだ。
「ほら、手当て終わったぞ」
せめてもの腹いせに、真新しい傷をガーゼの上から軽く叩けば、小さな舌打ちと膝蹴りが飛んできた。
熱で頭がまわりません
熱あるけど運動したり
そーゆー
もっと熱が上がるようなこと
してみたいかも、
ちょっとこわいけど
がっこうやすめるし
「スリル」
ガシャン!
思いっきり屋根瓦を踏み抜いてしまった
早く逃げないと…
異変に気付き犬がけたたましく吠える
腰まで埋まってなかなか抜け出せない
となり近所の犬まで吠えだして大合唱が始まった
だから犬はキライなんだ
私の名は「キャッツアイ」この道20年のベテラン怪盗だ
表の顔は平凡な二児の母で万引きGメンの仕事をしている
絶対的な立場から万引き犯に説くモラルや人格否定ほど気持ちの良いものはない
その後、優しい言葉で語りかけ理解を示し、心からの謝罪を受け取ったあと優しく微笑み警察を呼ぶ
安堵から絶望そして怒りへと変わっていく表情がたまらなく面白い
もし捕まって万引きGメンの私がキャッツアイとバレたら袋叩きにあうだろう
いや待て…今は逃げることに集中しないと
私は屋根から飛び降り走り出した
!
あの公園でしばらく身を隠そう
身を隠すのに丁度いい遊具のトンネルがあった
ようやく落ち着ける
もうキャッツアイは引退しないと…さすがに潮時だ
………
安心したら眠気が襲ってきた…少しだけ寝よう…少しだけ
外がずいぶん騒がしい…子供たちの声がする
外を覗くと沢山の子供と数人の大人達
……ラジオ体操か!くそ、6時間も寝てしまった!
どうする?トンネル内で見つかれば完全に不審者だ
しかし出て行っても……いや待てよ…むしろ堂々と出て行けば…
「おはようございます!」
目を丸くする子供たち
笑顔、笑顔、堂々と振る舞え
「アハハ」
「気合いスゲー」
「おばさん面白い」
よかった…
夏休みでよかった
ラジオ体操でよかった
レオタード着てて本当によかった
スリル、って喰えるの?…などと思ってしまうくらい、スリルというやつには縁が無い。英単語の意味や用法では、かなり肯定的な意味合いを持って用いられる言葉らしい。私の世代だと、マイケル・ジャクソンのヒット曲「thriller」のMVイメージがかなり影響して、怖さとかホラー要素のまつわる印象が大きいようだ。
一方で、スポーツの試合の後に「今日のゲームはスリリングな展開だった」とか表現されるのも聞いたことがある。ある種の驚きのようなタイトな関心を引きつける、言わば「面白い展開」を見せた試合のときだ。じゃあ相撲の取組にもその言い回しは適用できるんでは?、と想像してみたが…似合わない表現だ。「この取組は非常にスリリングでしたね」なんて言うと、「えっ、いったい何がなんだって? で、どういう取組だったんだ」という感覚に陥る。言葉には、適した使い処があるんだな…と思う。
そして再び考える。日常のスリル、何があるだろう。
私の日常は概ね平穏だ。サプライズは基本的に無い。「スリル」というのは、「心理的底流に楽しみがある」という前提があるそうだから、要介護家族や子どもの健康状態を細かく観察しながらトラブルに対処するを目的とした「タイトな関心」ではベクトルが違う。
うん、トラブルシュートばかりだな。
正しく「スリル」を伴うなにかがあれば、気分転換や発散的なリフレッシュもできそうだけれど、落ち着いて取り組むには「ある程度まとまった時間」が必要になる。私は時間と作業の裁き方が下手なのかもしれない。
日本での「スリル」の意味するところなら、私の日常は「スリルに不足するところは無い」とも言えそうだ。要求されるフレキシビリティ、臨機応変はかなり正義。ぼんやり錆び付くヒマも無い。次々顕れる課題に、解決指向を以てクリアを目指す。幸か不幸か生涯現役の可能性もある。
thrillingだ。 ニヤリ。
スリルとは出来るだけ
関わらずに生きていたいと
常日頃から思っている
絶叫マシーン
バンジージャンプ
幽霊屋敷
ホラー映画
心霊現象
高所 etc…
どれも
大嫌い!!
スリルではないけれど
突然の大きな音にも
恐怖を覚える
要するに
わたしは
かなりの怖がり
ただ臆病なだけ
# スリル (329)
バイクで走るのが好きだった。
風を感じる。生きてる感じがする。
苦しかった肺が膨らみ、ようやく呼吸ができるようになる。
だから彼にもバイクに乗ってくれるようにせがんだ。優しい彼は「いいよ」と笑って免許を取ってくれた。何度も一緒にバイクで出かけた。彼の運転は安全で、穏やかで、少し物足りなかったけど、それでも良かった。
私のバイクを修理に出してる間、彼の後ろに乗せてもらった。
彼の運転は相変わらず安全だ。
街を出て山道に入る。
いつも私たちが走っている場所。
少しだけ、スリルが欲しかった。
「もっとスピード出して」
「だめだよ」
「だって、これじゃあ息ができない」
彼によく言っていた。
バイクに乗っている時だけ、呼吸が苦しくなくなると。優しい彼は「わかった」と言って、スピードを上げた。
「もっと」「もっと」
少しずつ彼はスピードを上げてくれる。
景色が変わる。呼吸ができる。
「もっと」
「これ以上はだめだよ」
困ったように彼がそう言った瞬間、生い茂った草むらから何かが飛び出してきた。何かはわからない。シルエットは小さな四足歩行の動物。狐か狸か、たぶん、そんなのだ。
彼は避けようとハンドルを切った。動物にはぶつからなかった。けれど、スピードが出過ぎて制御ができない。バイクはそのまま横転する。山道に投げ出される身体。音を立てて転がるバイク。全てがスローモーションだった。
うつ伏せに倒れた身体を起こす。
手も足も動く。起き上がって周りを見ると、動物の姿はなかった。……彼の姿も。
転がったバイクの先に崖がある。
まさか、彼はここから?
震える手でスマホを取り出し、救急隊を呼ぶ。
彼にも電話したけれど繋がらない。何度かけても繋がらない。ああ、ああ。神様。
私がスリルがを求めたばかりに彼が。
救急隊の手を振り切って、救助隊の背中を見つめる。
どうか助かってと願いながら。
アブノーマルが好き。
誰かを裏切ったり
ちょっとグレーなことしてみたり。
悪役だって言われても
そのスリルがいいんじゃない?
みんなそういう子が好きでしょ?
「しっかり掴まってろよ」
「わかってる」
「跳ばすぞ」
その合図と共に私たちは走り出した
遠い向こうにある水平線が見えてくる
「ねぇ、飛ばしすぎ❗」
「しかたねぇだろ、向こうから来るんだから」
ロングヘアーが風でなびく
「良平のせいなんだから」
「校長先生のかつら、、、、いやヘアバンド取ったから」
「教師全員追っ掛けてくんじゃない」
「ったく、あんたのお陰であたし留年確定じゃないの」
「すんません」
彼は、金髪の頭をぐしゃっとかいた。
「ってか、センコーたちカツラに命懸けすぎじゃね?」
「あれどうしても必要なのか?」
彼は不思議そうにカツラを見つめる
「あんたも可愛いーよね、ヤンキーのくせしていじめは校長のカツラいじりって」
「おまけに趣味は校長のカツラ集め」
「十人十色とよく言ったもんだ」
「うるせーよ」
彼は顔を真っ赤に染める
「おっ、北川先生と平良先生が車で追っかけてくる!!」
「んじゃ、飛ばすぞ‼️」
「しっかり掴まってろよ」
水平線がもう見える、はっきりとそしてくっきりと
「気持ちーーーーぃ」
今このステージは2人っきり
私たちはヒロイン
たった今、ここで
「、、、青春や」
「えっ」
「だから俺らもセンコーも青春やな~って」
「そんな真面目な顔で言わんといてください、不良めが!!」
「おめえも仲間入りだろ」
そりゃそうだねと笑ったあと私はふと思った
「青春かぁー」
ほんの少しだけでいい、だからだから
もうしばらくヒロイン(青春)を
スリルには、
種類が色々あって
わたしは
ジェットコースターのような
刺激的なスリルより
どちらかというと
たわいもないスリルが好き
小学生の頃のいたずらのように
本質的には、
バレるか、バレないかのスリルだか、
それは副産物であって、
その刺激を求めてるわけではない
今日も
冷蔵庫の中にスリルをさがす
まー
私はスリルが嫌い。
でもちょっとだけ悪いことをするってみんな通る道。
立ち入り禁止のところに入ってみるとか、
学校にスマホを持って行くとか、
先生がいないから掃除をサボるとか、
昔からそういうのが苦手な子だった。
俗にいう「静かにしーや!」キャラの優等生。
先生に怒られたくないし、
怒らなきゃいけない先生が可哀想とも思ってた。
ドラマやアニメの世界では、先生の味方につくような
「静かにしーや!」キャラはとことん嫌われる。
優等生ぶってるって。
でも私はそうじゃなかった。
友達に恵まれた。
一緒に悪いことはしないよってスタンスの
私を嫌っていじめるんじゃなくて、
一緒にしないの分かってるから、
私と一緒にいる時は悪いことをしないって
合わせてくれる子ばっかりだった。
だから私も優しくなれた。
今思えばきっと、
優しいって今も言ってもらえるこの性格は
幼少の頃の優等生キャラだった私の周りにいてくれた
たくさんの友達のおかげだなって思うよ。
今日は僕一人で護衛の任務だ。
女の人を守って町まで行って、お買い物のお供をして…
終わったら日が暮れる前にお迎えの人の所までお送りする。
誰なのかはわからないけど、大切な人って聞いてるから
もしかしたら高貴なお姫様かもしれない。
よーし、頑張るぞ!
意気込んで待ち合わせの場所に着いたら、市女笠のお姉さんが一人で立っていた。きっとあの人だ!
『こんにちは。』
今日はよろしくね、と優しく微笑ったその人はとーっても
綺麗だった。……大変だ、本当に本物のお姫様かも。
しっかり護衛しなくちゃ、と思って先を歩こうとしたけど、お姉さんの希望で手を繋いだ。とっても優しくて、帰り道で僕が日に当たりすぎてクラクラした時も、ちっとも怒らずに日陰で休ませてくれた。僕がお守りしなきゃいけないのに…と落ち込んでいたら、お姉さんは困ったように笑って、どうして僕を護衛にしたのか教えてくれた。
お姉さんには片思いしている人がいること。自分が出歩くとその人を煩わせると思って遠慮していたら、その人が僕なら
きっと仲良くなれるって薦めてくれたこと。
もう大人のお姉さんに、こんな可愛い顔をさせられる人って誰なんだろう? お姉さんは教えてくれなかったけれど、そのすぐ後に同じ顔をしていたから、僕には解ってしまった。
お迎えに来たのは、僕ととっても仲良しのあの人だ。
任務をありがとうございました、とお礼を言ってこっそり
聞いてみた。お姉さんは、本物のお姫様ですか?って。
『違うよ。…でも、私の大切な人。』
秘密だよ、と言ったその人はとっても優しい顔をして、ほんのちょっぴり照れてるようだった。
…ええっと、お姉さんはあの人をお慕いしていて、あの人はお姉さんが大切で。でも、それを二人とも知らなくって…
僕だけが知っている。それって、すっごい―――
【スリル】
妄想
想像
物語では
スリルあると
面白いのに
リアルでは
スリルは求めない
人間って
面白いね
(2023.11.12/スリル)
「いやー俺ギリギリにならないと課題やれないんだよね。やる気出ないっていうか」
友達はそう言う。まあいいだろう、それで苦しむ日がいつか来るのだから。
#スリル
いつ見つかるかわからないという背筋の冷たさが、私を我に返らせる。
踏み越えてはいけない。
心を強く持って、何としてでも耐えなくては。
「…まだ、耐えるつもり?」
なのに、胸の奥をくすぐる柔らかな声が、私の脳みそをあっという間に蕩けさせてしてしまう。
「っ、…あ」
全身を駆け巡る熱が私の思考を奪って、目の前の美しいケダモノに心が塗り変えられてゆく。
ゾクゾクするこのスリルさえ愛おしく思えるほどに、ただただ私は溺れて、逝く。
ガシャンと大きな音が廊下から聞こえてきた。今は深夜12時だ。僕以外誰もいないはずなのに。誰がいるのか見に行きたい好奇心があったが、本能が警告を鳴らしている。
今すぐ逃げろと。
その警告は正しかったのかもしれない。なぜなら、
今、目の前にナイフを持った男が教室に入って来たからだ。この男は確か、連続殺人犯で指名手配されていた。そんな男が今、目の前にいる。
その男はナイフを振りかざすと僕に向かって猛スピードで近づいてきた。まるで、見つけた獲物を逃さないように。僕は怖くて動けなかった。刺されると思ったとき、
ー夢から覚めた。
起きたときは汗でパジャマがぐっしょり濡れていた。呼吸も荒かったし、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。時計を見ると深夜2時を過ぎていた。
この夢は一生分の怖い夢を見たと思うくらいスリルがあり、怖かった。それから、僕は忘れ物があっても決して深夜の学校に取りに行かなくなった。
たまに君が読んでいる、小難しそうな専門誌。
君が席を外している隙に、興味本位で頁をパラパラと捲ってみた。
英語の長文、専門用語と読めない知らない漢字に申し訳程度のてにをは。 当然ルビはない。
頭がクラクラしてきた、本から離した手をそのまま額に押し当てて、テーブルの上をぼんやりと眺めた。
通話の邪魔と外されたタッチペンが転がってる。
片側がボールペンになっているタイプのヤツ、とても便利と君が重宝している物。
なんとはなしに手にとって、ボールペン側のキャップを取った。
そして、再び専門誌の頁をパラパラと捲って、幾つかの文字を丸で囲んでいく。
君は栞を使わないから、どこまで読んだのか分からない。
けど、気づいてくれると嬉しいな。
丸を描き終えて、テーブルの上、寸分違わぬ位置に専門誌を戻して。
君が戻ってくるのをドキドキしながら、ソファに座って待った。
テーマ「スリル」
スリル
破れ寺の薄暗い廊下を、二人並んでバタバタと走る。
「誰だこっそり潜入してさっさと任務を終わらせようなんて言い出したのは!」
「お前だ」
「俺だな!」
全速力で走りながらいつもどおりの冷静な突っ込みに笑いつつ、朽ちかけた障子を破って現れた敵を斬り払う。後ろからだけでなく左右からも襲いかかってくる敵の気配を察する余裕などなく、とにかく足を止めずに走りながら戦うしかない。
「お前の好きな驚きの展開だろう」
「こんなもの、お約束の展開で驚きも何もないぞ! いや、あまりにも定番すぎて逆に驚きなのか? どう思う?」
「知るか」
敵に見つかったのは失敗だが、任務そのものは成功しているのであとは二人揃って無事に帰還するだけだ。長い廊下の先にようやく見えた木の戸を、同時に振り上げた足で勢いよく蹴破る。朝焼けの光が差し込む中ぴょんと庭に降り立ち、振り返って刀を構えた。
「さて、反撃といこうじゃないか」
「息が上がっているぞ」
「君もなァ!」
息をひそめて潜入していた時よりも、どこから現れるのかわからない敵に追われながら全力疾走したことで心の臓が早鐘を打っている。
「いやぁスリル満点だった」
「二度とごめんだ」
心の底から吐き出された、疲れ切った声に思わず笑ってしまった。
「俺もしばらくは遠慮したいな!」
生と死の間をさまよう。
この表現はあまり適切ではないかもしれない。
フリをする、と文の後ろにつけた方がいいだろう。
本当はわかっている。
こんな方法では、さまようことすらできないのだと。
スリルなんて、感じられたものじゃないのだと。
それでも私は刃を手にする。
「どうして、僕は」
〇スリル
晴れ渡る良き春の日。とあるテーマパークの名物である、ホラー系アトラクションに並ぶ男女がいた。二人はお揃いのカチューシャをつけて、仲良く列に並んで自分達の順番を待っている。
カップルでテーマパークに行く時、鬼門とされるのは待ち時間である。数分の楽しみの為に、する事も少ない中で何時間も待つのは中々に堪える人が多い。人の本性が見られるのは酒とテーマパークのアトラクションの待ち時間である。
しかしこの二人には全くもって関係の無い話であった。女の子が男の子に向かってあのね、それでね、と話を一生懸命するのである。男の子が退屈しないように話を用意したようで、講談とまではいかないものの、順序を組み立てて話をしている。男の子はそれをニコニコ聞いて、しっかり相槌を返している。そんな調子なので、雰囲気が悪くなるなんて事は微塵も無さそうだった。
女の子が一生懸命話をしていると、列はどんどん前に進む。あと四、五グループがアトラクションに入れば、次はこの二人の番になるという所まで来ていた。度々出口から人が出てくる中に、この二人と似たようなカップルがいた。女の子が「怖かったぁ!」と涙目になりながら男の子の腕に絡み付き、男の子は笑って「だから言ったのに。」と言いながら女の子と一緒に去っていく。
そんな二人を見て、一生懸命話をしていた女の子は話を止めた。それは、女の子が「全く怖がらない女の子って可愛くないかな……」と考えたからである。
というのも、この女の子はホラーが大好きで、スプラッターでもサイコホラーでも、どんなホラー映画を見ても一ミリも怖がらず楽しむタイプだからだった。このテーマパークに来たのも、このホラー系アトラクションを体験してみたかったという理由が大きくある。それまで頑張っていた話を止めてじっと真剣な顔をして固まった彼女を見て、ニコニコしていた男の子は不思議に思い、「どうしたの?」と問い掛けた。
すると女の子はハッとし、ぴよぴよ汗を飛ばした後、ぴと…と男の子の腕に寄り添った。
男の子がいきなりの事に頭に疑問符を浮かべていると、女の子は「ちょ、ちょっと怖いかも…。」と言う。
女の子は完璧だ!と思った。こうすれば彼氏に引っ付けるし、可愛いって思われるかも!と思った。男の子にホラーが好きなのを言った事がない為、バレないだろうと。
しかし男の子にはこれが嘘だとバレていた。彼女はいつも使っているカバンにホラー映画の不気味なマスコットを付けていたし、家に行った時ホラー映画のBluRayケースが並んでいたのを見ている。なによりテーマパークに来た時、女の子は「ここ行ってみようよ」とホラーエリアを指差していた。
男の子はなんとなく女の子の考えを読み取り、ニコニコして「じゃあ、手繋いで入る?」と聞いてみた。すると、女の子はぱっと笑顔になって「うん!」と頷いてギュ!と手を握った。馬鹿である。
しかし男の子はニコニコ彼女を眺めて、可愛いなぁ、と思うので、結果として女の子の思い通りなのであった。