たまに君が読んでいる、小難しそうな専門誌。
君が席を外している隙に、興味本位で頁をパラパラと捲ってみた。
英語の長文、専門用語と読めない知らない漢字に申し訳程度のてにをは。 当然ルビはない。
頭がクラクラしてきた、本から離した手をそのまま額に押し当てて、テーブルの上をぼんやりと眺めた。
通話の邪魔と外されたタッチペンが転がってる。
片側がボールペンになっているタイプのヤツ、とても便利と君が重宝している物。
なんとはなしに手にとって、ボールペン側のキャップを取った。
そして、再び専門誌の頁をパラパラと捲って、幾つかの文字を丸で囲んでいく。
君は栞を使わないから、どこまで読んだのか分からない。
けど、気づいてくれると嬉しいな。
丸を描き終えて、テーブルの上、寸分違わぬ位置に専門誌を戻して。
君が戻ってくるのをドキドキしながら、ソファに座って待った。
テーマ「スリル」
11/12/2023, 3:41:09 PM