糖質オフのヤクルト1000。
ちょっと身体に合わなかったみたい。
二日間も通行止めを食らっていて辛い。
思えばカロリーハーフのヤクルトの時も数日間、腹わたに激痛が走ったっけ……。
普通のヤクルト1000かミルミルSが私のお腹には合ってるようだ。
そして、糖質オフなのに糖質が9.6グラムも入っているなんて……。
どういうことなんだ、ヤクルトレディよ。
テーマ「あなたのもとへ」
今年は寝過ごすことなく初日の出が拝めたようで、頬を赤くさせた君が冷気を伴って帰ってきた。
「ただいま」と上機嫌に言う君の口から酒と薬の臭いがして、思わず顔を顰める。
「お屠蘇、呑んできたのか」
「うん、友達の家でちょっとだけね」
「いまどき本物だなんて、珍しいな」
少々羨ましく思いながら、黒い漆塗りの椀に焼いた角餅と小松菜や根菜の入った済まし汁を盛り付けていく。
「友達の奥さんが漢方の何か?を、やってるんだって」
「何か、って何だよ」
クスクスと笑っていると、キッチンカウンターに白い紙袋がトサッと置かれた。
土と木の臭いが微かに漏れてきて、「なんだコレは」と首を傾げる。
「分けてもらったんだ、屠蘇散」
一緒に呑もう?、と見覚えのない朱塗りの酒器を手にした君が言った。
「良いけど……、呑めるのは昼過ぎだぞ?」
テーマ「日の出」
達成出来そうもない目標は掲げるだけムダ。
なので最低限の目標だけ、決めておく。
「生きる」
これなら達成可能だろう?
死ぬ、その直前まで諦めずに、生きる。
あとは、気ままにやりたいことやっていこうかな?
テーマ「今年の抱負」
早朝から現在に至るまで垂れ流されていた流行りの飯食うテレビドラマから一時的に開放された君が食卓につく。
「年越し蕎麦、じゃなくてチキンラーメンかあ」
「長っ細いモノなら何でも良いんですよ、まあ、そんなモノ食べたところで寿命なんて変わりゃしません」
用意した白いどんぶりにポイッと乾麺を放り込んで、小皿に置いておいた卵を手にする君。
「お揚げ入れる?」
「コイツさえ有れば何も入りません」
「夜中に腹減っても知らないぞ?」
「その時はスルメでも齧っときますよ」
テーブルの角で卵に小さな割れ目を入れて、どんぶりの上でペカンッと卵を割った。
途端に、君の嬉々とした表情が更に明るくなって。
「見て、ふたご!」
君が両手で包み込むように持って見せてくれたどんぶりの中。
「うわっ、ホントだ珍しい!」
チキンラーメンの上に鎮座する二つの黄身を見下ろし、直後、ヤカンの湯を回しかけた。
テーマ「良いお年を」
ホワイトアウト寸前の吹雪の中。
ようやく辿り着いた藁葺の古民家の引き戸を薄く開ければ、袂に包まれてヌクヌクとしていた黒猫が「お前はもう用済みだ」とばかりに私の腕の中から抜け出して、軽快な足取りで戸の内へと入っていった。
薄情なヤツだな、ため息一つ吐いて再び引き戸に手を伸ばせば、ガララッと音を立てて引き戸が全開になる。
「こんな日に当たるなんて、災難だったな」
ホラ早く入れ、と綿入れを羽織った君がニカッと笑った。
最近では、ヒートショックという危険なモノが流行っているそうで。
「足先とか手とか、末端から掛け湯するんだぞー」
と、浴室と脱衣所を隔てる薄い摺り硝子越しに声をかけられた。
「はいはい、わかりましたよ」
そう言って、手桶になみなみ入った湯をザバッと豪快に肩にかけると、君の忠告を無視して湯船に飛び込んだ。
テーマ「冬は一緒に」