見渡す限りの広大な砂漠。
その下には何があるんだろうね。
もしかしたら超古代文明の遺物とかが眠ってたりするかも、と目を輝かせながらテレビのドキュメンタリーを見ている君。
宇宙戦艦は出てこないと思うよと、あの有名なアニメ主題歌のイントロ部分を、少し音痴に口遊む君に言った。
テーマ「友達」
ちょっと、トイレに行きたいんだけど……。
膝の上、香箱座りで舟を漕ぐ君を見下ろす。
ゴロゴロと喉を鳴らして、時折前足で脹脛をモミモミしてくる愛くるしい君の為なら、もう少しだけ尿意を我慢出来る気がして。
寒そうに毛を立たせている君の背を一撫で二撫ですれば、目が覚めたのか前足をグイッと伸ばした。
あ、退いてくれるかな?
しかし、私の狭い膝の上で君は器用に丸まって本格的に眠る体勢となった。
テーマ「行かないで」
せっかくの休みだというのに、本日は早朝から家の手伝いに駆り出されている。
垣根仕立てのブドウ畑をカゴを載せた台車と共に佇む。
収穫用のハサミでパチリパチリとブドウの軸を切っては、たわわな赤い房をカゴの中に容れていく。
熟した房が手近に見当たらなくなると一歩、二歩、横にズレて再びパチパチと房を収穫していく。
同じようにブドウを収穫している父母、手際の良さかどんどんと遠くへ行ってしまう。
貴方は自分のペースで来ればいいのよ。
遠くから聞こえた母の声に、わかったよと応えた。
遮蔽物のない農地に降り注ぐ日光が、冷えた手足をじんわりと暖めていく。
くあっ、と大きく口を開けて欠伸を一つ。
一杯になったカゴの上に新たなカゴを載っけて、ブドウの房を一つ手にする。
そんな、優しい夢から醒めて独りベッドの中、パジャマの袖で目元を拭った。
テーマ「どこまでも続く青い空」
君は一張羅で良いねえ。
日当たりの良い縁側で寝っ転がって寛ぐ君にそう言えば、庭を眺めていた綺麗な緑色の目が此方に向けられた。
こんな面倒臭いこと、しないで良いんだからさあ。
山と積まれた夏向けの衣類を一つ一つ畳んで収納ケースへと入れていきながら、眠そうに目を細めている君を横目で見る。
少々不服そうに鼻を鳴らした君が、大きな欠伸をしたかと思ったら、自分の後頭部を後ろ足でガガガッと掻きむしった。
ああっ、なんてことをするんだ。
風に乗って此方へ押し寄せてきた大量の抜け毛が収納ケースの中へ吸い込まれていくのが見えて、盛大な溜息を一つ、畳んだTシャツを毛塗れのケースの中に押し込んだ。
テーマ「衣替え」
アトラス彗星が次に来るのは八万年後。
その時に地球はまだ存在してるのかな?
八万年後の人間は、動植物は、どうなっているんだろうか。
ガンダムは作ったかな?
コロニーで生活してる?
……勉強は大変だろうな。
オルトの雲の先はどうなっている?
宇宙人には会えた?
その頃には、また私は生まれているかな?
居ると良いなあ。
……次生まれる時は、もう少しイケメンでヨロシクお願いします。
そう願いを込めて、青白い彗星の尾を仰ぎ見た。
テーマ「忘れたくても忘れられない」