封がされたままの手紙。
差出人も宛名も知らない名、だが歴とした私へ宛てられた物だ。
しかし、私はそれを見ることはない。
当然だろう?
なのに、その手紙は律儀に転送されて私の元に送られてくる。
全く、迷惑なことだ。
箱に入ったマッチを一本摘み上げて箱の側面をカッと擦る。
この時の為だけに購入した大箱のマッチも、中身を半分程に減らしていた。
朱色の頭の黒い擦過痕がチリッと瞬き、鼻をつく臭いとともに勢い良く火が着いた。
この火で差出人も燃やせないものか。
手紙を跡形もなく焼いていくオレンジ色の炎を見つめながら独り思った。
テーマ「隠された手紙」
2/2/2025, 3:32:33 PM