いつ見つかるかわからないという背筋の冷たさが、私を我に返らせる。踏み越えてはいけない。心を強く持って、何としてでも耐えなくては。「…まだ、耐えるつもり?」なのに、胸の奥をくすぐる柔らかな声が、私の脳みそをあっという間に蕩けさせてしてしまう。「っ、…あ」全身を駆け巡る熱が私の思考を奪って、目の前の美しいケダモノに心が塗り変えられてゆく。ゾクゾクするこのスリルさえ愛おしく思えるほどに、ただただ私は溺れて、逝く。
11/12/2023, 3:48:16 PM