「しっかり掴まってろよ」
「わかってる」
「跳ばすぞ」
その合図と共に私たちは走り出した
遠い向こうにある水平線が見えてくる
「ねぇ、飛ばしすぎ❗」
「しかたねぇだろ、向こうから来るんだから」
ロングヘアーが風でなびく
「良平のせいなんだから」
「校長先生のかつら、、、、いやヘアバンド取ったから」
「教師全員追っ掛けてくんじゃない」
「ったく、あんたのお陰であたし留年確定じゃないの」
「すんません」
彼は、金髪の頭をぐしゃっとかいた。
「ってか、センコーたちカツラに命懸けすぎじゃね?」
「あれどうしても必要なのか?」
彼は不思議そうにカツラを見つめる
「あんたも可愛いーよね、ヤンキーのくせしていじめは校長のカツラいじりって」
「おまけに趣味は校長のカツラ集め」
「十人十色とよく言ったもんだ」
「うるせーよ」
彼は顔を真っ赤に染める
「おっ、北川先生と平良先生が車で追っかけてくる!!」
「んじゃ、飛ばすぞ‼️」
「しっかり掴まってろよ」
水平線がもう見える、はっきりとそしてくっきりと
「気持ちーーーーぃ」
今このステージは2人っきり
私たちはヒロイン
たった今、ここで
「、、、青春や」
「えっ」
「だから俺らもセンコーも青春やな~って」
「そんな真面目な顔で言わんといてください、不良めが!!」
「おめえも仲間入りだろ」
そりゃそうだねと笑ったあと私はふと思った
「青春かぁー」
ほんの少しだけでいい、だからだから
もうしばらくヒロイン(青春)を
11/12/2023, 5:47:30 PM