『これからも、ずっと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
これからもずっと、
そばにいさせてください。
これからもずっと、
あなたの事を考えさせてください。
これからもずっと、
仲良くしてください。
これからもずっと、
『大切な人へ』
#これからもずっと
これからも、ずっと
あなたの中にいられますように。
離れていても、距離ができても、
あなたの永遠になれますように。
そう唱えながら、君への想いを綴ってゆく。
幼い時の将来の夢は分単位で変わっていた気がする。幼稚園の頃は特にピザ屋さん、ケーキ屋さん、アイスクリーム屋さん、お花屋さんなどの店員さん 。テレビで写った人が全て将来の夢になっていた。中にはパトカーや救急車、戦隊モノ、プリキュア、うさぎさん、と絶対なれないものでも夢にあげていた。
小学生の時は少し進化して、パティシエ、料理人、先生、お父さん、お母さんと具体的になった。そして大きくなるたびに将来の夢は叶いにくいものだと知った。叶わないから夢なのだと覚えていくようになった。
中学生では将来の夢は無いという人が多いだろう。将来の夢は叶わないもの、でも叶えたいもの。他人に言うのも恥ずかしい、現実的でないものは 言いたくない。夢叶ったんだ、良かったねと思われたい。そうして将来の夢から離れていく。将来の夢は消えていく。
高校生、夢を叶えるための一番の岐路。幾千幾万の選択肢の中から夢を叶えるために選択し、3年間の全てを注ぐ。ああなりたい、こうなりたい、を叶える絶好のチャンス。ただ、積み重なった約3年が邪魔をする。言いたくない、夢などない、将来の夢なんかバカらしい。そうして人生が決まっていく。
私の夢は小説家。作家になりたい。
幼い時は本を書く人。小学生ではこんな本を書く人。中学生では小説家。高校生では中高生向けの小説を書く作家。大学生でも、社会人になっても、『これからもずっと』
万物流転。この世は常に流れ続けて変化する。
時代に取り残されぬように私も必死にもがいている。
みっともない年寄りにはなりたくないし
なにより新しいものは面白い。着いて行くのでやっとだが。
「いっせーのーでーゼロ!」
「馬鹿。だから自分が指上げてどうするの。」
「あーっ!またやっちゃった!もうっ!」
今日も2人の仲は良好なようで何よりだ。
しかし、強すぎてつまらないという理由であのゲームを出禁になってしまった私の相手をしてくれるのはゾンビやクリーチャーだけなのはいかんせん寂しい。
ふう、ひと息ついたその時すらりとした影が私を覆った。
「おや、もう終わったのか。」
「馬鹿の相手は面白いけど疲れるよ。ひとりにしてごめん。ねえ僕もやっていい?」
「それはありがたい。このステージが難しくてね、手を貸してくれると助かる。」
疲れているようには見えないが。構ってくれるのは素直に嬉しい。年甲斐もなく浮かれてしまった。
「いいよ。あんたのことは僕が守ってあげるから。」
私の隣に座ったかと思えばふわりと自然な手付きで頭を撫でられた。なんという子だ。
「あっ!人にジュース取りに行かせておいて!私がいるのにいちゃつくなっ。」
「うるさいな。負け犬は黙って数の数え方でも勉強しなよ。」
「うぅ…あとで私にもコントローラー貸してね…。」
「もちろんだ。君がいちばん上手いからなあ。」
「へへっ。まあねえー。」
「うざ。」
「…可愛いな。君達は。」
「「?!」」
私達は人だ。生きている。歳もとる。
いつまでも同じではいられない。
わかってはいるがこのにぎやかな時が続いてくれと願ってしまう。
そう
これからも、ずっと
四六時中あることに思考を独占されることがある。
あることとは、新しいものだったり、古いものだったり、人によっては一つだったり、たくさんあったりする。
思考を独占されているときは、周りのことなどどうでもよくなって、生活すらも疎かになる。
それはひたすらに楽しくて、楽しくて、ずっと続いて欲しいと、あなたは願っている。
そう、熱中しているのである。
だがそれは、いつしか消えて無くなって、もうあなたにとって、どうでもいいものとなる。
何が理由かは分からない、時の流れに抗えなかったからなのか、どこかで繋ぎ止めていた糸が切れたのか、はたまた切られたのか。
でもどこかに、その時の熱は残っている。
ふと思い出す、熱中していた、あの頃の自分。
とても愛おしく思えて、あの頃の記憶が蘇る。
また熱中するのもいいだろう。
一度熱中したものは
これからも、ずっと、
あなたの中に生き続ける。
――――――――――――――――――――――――
ずっと何かに、熱中していたいなあ。
突き抜けるような青空に、白い雲が心地良さそうに漂っている。暖かい風が優しく吹いて、もうすぐ春が来ることを告げている。
あぁ。なんて素敵な、お別れ日和だろうか。
今日という日、僕らは別々の道へ旅立つ。それぞれがそれぞれの胸に、様々な想いを抱いて――。
「もう卒業かぁー。早いねぇ」
「そうだね。なんだかあっという間だったな」
こうやって、教室でみんなとわいわい会話するのももう最後。
そんなことを考えてしまうと、鼻の奥がツンと痛み、目の端から何か零れ落ちそうになる。
それを気付かれないように、あえて元気良く振る舞う。
「卒業だしさ、せっかくだから今月中にどこかみんなで集まって、一日遊ぼうよ」
「おー」
「いいねぇ」
「そういやここ行ってみたいと思ってたんだけど」
「みんなで夜タコパしたい」
そうやって、遊ぶ計画を立てていく。みんなの楽しそうな顔を眺める。
大切な仲間。楽しい時間。忘れたくない。絶対に、忘れない。
寂しさはあるけど、大丈夫。だって、お別れしたって、何もかもが終わるわけじゃない。きっとみんなわかっている。こうやって集まって話したり遊んだり、そういったことが簡単にはできなくなってしまうけど。
この青い空は繋がっていて、その下にみんないるんだ。僕らは違う道を、果てしなく広がる世界を、それぞれに希望を持って旅を続けていく。それでもお互いを思う心はきっと一緒だ。
これからも、ずっと――。
『これからも、ずっと』
この春はいったいどうしたと言うくらい日々の気温差が大きい。自然、あちらこちらで体調不良が現れる。自分もだ。トホホ。
さて、お題「これからも、ずっと」と。
来し方を振り返る…ずっと、続いてきたもの…えーと、「ずっと」って、どれくらいの? 生まれてから? どこらへんから考えたら「ずっと」なのか、しばらく考え、考えてたらぼやけてわからなくなってしまった。
「ずっと」って、「長さ」の感覚とコンビになっている言葉だとは思う。「長さ」に「これからも」と聞くと、時間的長さのことだろう。
昔、ショーン・コネリーの出ていたTVCMのキャッチコピーに「時は流れるのではない。時は降り積もる」というのがあった。確か酒のCMだったと思う。
確かに、酒の熟成は「酒の中に時間の累積がある」感じはする。
他方で「時間、というのは概念で、“時間”とやらに実体はない」と、よく聞くようになった。先日の法事に来られたお寺の御住職も、世間話的にそのようなお話をなさった。昔々のお坊さんも「前後裁断、今だけがある」と言った。「今に生きる」ことを積み重ねて「馥郁と香る存在感」の顕れるのが人生なのかもしれない。…そうなれたら良いんだけど…
さて、「これからも、ずっと」だ。
これからもずっと、「今に生きる」…って、課題だなと思ってしまう。燃える焔のようだ。
題 「これからも、ずっと…」
「……相棒,君はこれからもずっと,ずっと俺と一緒に居てくれるよね?」
ふと俺は麻婆豆腐の入ったスプーンを止めて彼に問いかけた。
「うーん…弟を見つけたら旅立つ事になるけど…絶対,絶対にまた帰ってくるから。その時はまた一緒に食事でもしながら話そうよ,」
彼はそう,軽く質問に対して答えになってないような答えを返して来た。
「……そっか。それじゃあ俺は待ってるから
いつでも,俺を思い出してまた会いたいって思うなら来てよ,……なんか恥ずかしいね!
ここは俺が払うよ。」
……嗚呼思いの外麻婆豆腐は辛かった。だから涙が出たんだ。これは別に別れへの悲しみでもまた会える喜びでもないに決まってる。
………だから,ずっと待ってるからまた来てね。相棒?
もう、あれが何年前のことだったのかも覚えていない。
ある朝、通勤の電車、結構満員で、車両の端っこで目の前には人の壁。
何となく、ホントに何となく、
「あーこの状態だと、降りたくてもすぐには降りられないな」と思った瞬間に、それはやって来た。
心臓がバクバクして、冷や汗が吹き出し、追い詰められたような気分になる。
「俺をここから出してくれ!」
洞窟の中で迷子になり、暗く右も左も分からず、永遠にここから出られないんじゃないか、みたいな錯覚。
出口のドアはすぐそこにあるのに。
次の駅に着いてひとまず安心するが、またドアが閉まり電車は動き出す。
さらに人が乗り込み、乗客は増える。
壁は一層強固になった。
岩が崩れて洞窟は行き止まりだ。
頭の中ではそんなことはないと分かっているのに、このままここで死ぬんじゃないかという恐怖に襲われる。
結局、目的の駅のいくつか手前で、人混みを無理にかき分けて途中下車した。
ホームのベンチに座ってしばらくすると、心臓はドキドキしているが、やばい状況は治まってゆく。
ものの数分。
次の電車には何とか乗車して、その日は普通に仕事した。
そこからは葛藤の日々が続いた。
まずは、自分が情けない、という感情との闘い。
なんでこんな、当たり前のことが出来なくなったのか、と。
映画やライブなどの人の集まる場所、飲み会やタクシーなどのすぐには抜け出せない場所が苦手になった。
もちろん、満員電車が一番の恐怖だった。
それでも仕事には向かう。
何度も途中下車したり、車両の片隅で汗だくで堪えたりして、何とか職場に辿り着く毎日。
電車の時間や車両を変えたり、リラックス出来る音楽を聴いたり、気が紛れるスマホゲームをしたり。
でも、そうやって気にし続けている自分がいる限り、コイツとはオサラバ出来ないんだってことも…分かってる。
これからもずっと、付き合っていくんだろうな。
まあ、それでもいいかと思うようにした。
そうするしかなくて、そう思うことが必要だと思うから。
個人差はあるだろうけど、これは医者には治せないと思ってる。
すべて、自分が心に描いたことが原因となっているから。
自分ですらままならない心の動きを、他人がどうこう出来るとは思えない。
こんな状況の中で、心というもののパワーを思い知らされた。
いや、正確には頭で考えたことだが、冷静に脳が活動したのなら、こんな風に自分が苦境に陥るようなことになるとはイメージしにくい。
病は気から。まさにコレ。
そして、このパニック障害のおかげで、たくさんの本を読み、ポジティブに生きるための術をたくさん手に入れたように思う。
悪いことばかりじゃない。
少し生きづらくはなったけど、まだまだやれるよ。
生きてる限り、その生き方は幾通りだってある。
そこから自分がどれを選ぶか、それすらも楽しんで、こんなもんに負けない自分を誇りに思うよ。
朝起きておはようと挨拶をして
寝ぼけながら美味しいご飯を食べて
のんびりしすぎて慌てて家を出て
窮屈な満員電車に乗って
遅刻ギリギリで教室に飛び込んで
眠気を必死に堪えてノートを書き写して
お弁当を食べながら恋バナに花を咲かせて
部活で思いっきり動いて汗を流して
友達と下校途中にコンビニでアイスを食べて
電車の中で寝過ごしそうになって
家に着くと温かくて美味しいご飯の匂いがして
家族全員揃って食卓を囲んで
ゆっくりお風呂に浸かって
好きな人からメッセージが届いて舞い上がって
嬉しさのあまり友達に報告の電話をして
いつの間にか寝落ちしてしまって
こんな日々がいつまでも続くと思っていた
『これからも、ずっと』
もう、60才目前の私にとって、これからも、ずっと続けられる事はそんなにないような気がする。
私の父は79才が寿命だった。それを思えばあと19年しか時間は残されていない。
もちろん、もっと長く生きられる可能性の方が高いと思われるが、現時点では何とも言えないのだ。
私の、前の前の職場の先輩は、60才で定年退職した。
実直な方で、貯金もそこそこあり、年金もたっぷり貰える算段も整えられていた。充実した老後が待っている筈だったのに、
退職後、半年も経たないうちにこの世を去ってしまった。
原因は飲酒。
現役の時はそれほど酒好きでもなかったのに、大きなプラスチックのボトルに入った安いウイスキーを買って、飲んでいたらしい。
これといって趣味もなく、好きなテレビのビデオを繰り返し見ながら、ただただ飲酒を続けた結果なのだ。
この際だから、タイトルも記しておく、『ビックダディ』シリーズだ。私は見た事がないが、大家族の半ドキュメンタリーなのだろう?
先輩は何故かこれが大好きで退職前から繰り返し見ていると言っていた。
家族の触れ合いを描いた内容らしいが、それを見て毎回涙を流すとも言っていた。
ある意味、とても幸せな終わり方と言えるかも知れないが、
特別装備の新車を購入し、納車する前だったというから、1番驚いたのは本人自身だったと思う。これからあちこち旅しようかな?なんて言っていたのだから。
定年後、のんびり旅行をするのは素晴らしい計画だったのに、昼間から家飲みするから、止めどなく飲んでしまうのだ。
同じビデオテープを何回も見ていたのも良くない。
辞める前から少し認知症の気があったが、こんな見方だと脳は活性化出来ない、むしろ思考は停滞してしまうだろう。
『ビックダディ』が悪かったとは言わない、好き嫌いの事だから。
ただ、それを見続けるにしても、無条件に受け入れるような態度ではなく、あらゆる角度から見るべきだったのではないだろうか?時には敢えて批判的な目で見たりして。
これは1種の推し活みたいなものだったのだろうか?推し活だったとしても、思考停止してしまうのは良くないだろう。
私が今、新しく勉強を始めようとしているのは、このような先輩が身近に居たのも一因なのかも知れない?
これからずっと、勉強を続けるにしても、どうしたらそれが続けられるのか、考えている最中なのだ。
現時点で言える事は、脳以上に身体が大事だと言うことくらいだろうか。
創作)8話
今日は母の提案で私が宗乃さんの家に向かう事になった。
最初、宗乃さんは必死に断っていたが、
母の圧を感じとったのか、最終的には
「いいですよ…」と言っていた。
外に出ること自体がとても久しぶりでストレスが
溜まっていってるのに、人の家に上がるなんて無理。
元々、人の匂いで吐きそうになるのに、
それで溢れてる場所に行くなんて本当に無理。
でも、他にも心配な事がある。
これからずっと、いつまでも、このままで、
宗乃さんの言っていることが全部嘘だって
分かっているまま、この関係を保つのは
少しモヤモヤする感じがして無理だ。
だから、思い切って………!!
「家、ここなの。どうぞ、入って」
と宗乃さんが言い、
「お邪魔します」
と言いながら入っていった部屋を見てびっくりした。
宗乃さんは以前、こう言っていた。
「流麗とは遊園地や水族館、動物園など色々な場所に
行っていて、その度にお揃いでぬいぐるみを買ってて…
全部が思い出の品なので部屋に飾っています。
飾りきれない物は流石にしまってますけどね(笑)」
何もそれらしき物が何も無い……
ぬいぐるみやキーホルダーがどこにも無い。
物が少なすぎる訳でも無いが、不必要な物は
なるべく捨てる様にしている感じがする。
人の匂いで気持ち悪くなったのもあるし、
頭の中がごちゃごちゃしたのもあって、
倒れてしまった。
題 これからもずっと
これからもずっと一緒だよね
「あ、うん、そうだね・・・」
ファーストフードで私は彼氏にそう言うと、彼氏は微妙に視線を反らしてそう言った。
・・・あやしい。
「ねえ?私のどこが好き?」
「え?今更そんなんいいじゃん」
付き合って1年半。高校に入って付き合い出した彼氏。
今までも冷たくなったと思っていたけど、さっきの曖昧な回答と視線を反らしたことで、私は何となく予感がした。
他に好きな人がいるんじゃないかって。
私も、1年同じように彼氏を好きだった訳じゃない。好きだったり、気持ちが彼氏じゃなく部活にむいたり、なんとなく倦怠期みたいなのも感じていたから。
でも、ちゃんと彼女と別れてないのに他の人と付き合ってたりしたら許せない。
順番違うでしょって思う。
彼氏が私に視線を向けることもなく携帯を注視してる。
と思うと・・・。
「あ、用事できたわ、またな」
そう言ってお金も払わず店を出ていく。
私は無言で会計を済ませると、彼氏の後をつけた。
しばらく歩くと、彼氏は誰かに手を振っている。
「はあっ?!」
私はその現場を見て思わず声を上げてしまった。
相手とハグし合ってる彼氏はギョッとした顔でこちらを振り向く。
「なっ!?お前、なんでここに?」
「いや、あんたが最近怪しいから浮気してるかと思って・・・そうだったの?」
「ごめん、そうなんだ・・・」
「はぁ・・・」
なんとも言えない気持ちで私は彼氏とその恋人を見つめる。
「それじゃ、仕方ないね、別れよう」
「ごめん、言い出せなくて・・・」
言い出せない気持ちはわかる。
だって、相手は・・・男性だったから。
そうなってくると、私もあまり踏み込んだ事言えないや。
私は複雑な気持ちでその場を去った。
元彼氏の新たな一面を見てしまい、怒りが動揺に全振りしてしまっている。
・・・新しい彼氏みつけよっと!
とりあえず、私はそう思った。
家中に響く明るい笑い声
夜の静けさ
家族で囲む食卓
はしゃぎ声
ご飯が進む話
小その小さいことがあるから
毎日幸せに楽しく過ごせている
その日常が
明るい笑い事が
これからもずっと続きますように
この家に続きますように
お題[これからもずっと]
No.92
自販機の前で何を買おうか指を迷わせていると後ろから伸びる指がボタンを押す。がこん、という耳障りな音とともに落ちてくる飲み物は「コーラ」ため息をついてコーラを後ろ手に渡す「さんきゅ」もう一度小銭をじゃらじゃらとかき混ぜ、投入口に突っ込む「最近研究室来てないな」「あー、うん。訓練室篭りきりよ」後ろで炭酸の抜ける音がする。毎度毎度同じ飲み物を美味しそうに飲んでいるが飽きないのだろうか「え、何、もしかして新作作ってる?」「そんな楽しい仕事じゃない。遠征艇のシミュレーション」ついて出たため息に「うわ、つまんなそう」と声が重なる。どれを買うか、また指が迷い始める「雷蔵が担当してる人型ネイバー、どうなの」「いい奴だよ、楽しいし」がこん、と音がして結局同じ飲み物を手に入れる。今が何時で、どうして雷蔵がラウンジにいるのかも知らないが、まだ仕事が山ほど残っていることだけは確か。じゃあとその場を離れた後ろから名前を呼ばれ振り返る「どうせ仕事おわんないんでしょ。うちきなよ」思考は停止しているので、意味がわからなかったが雷蔵の後ろをついて歩けば彼のラボに案内される「久しぶりだ〜」例のネイバーはというと、今は起動停止しているようでオブジェクトのようになっている。適当に座れば「いっつもそこ、座るよね」「そうだっけ?」「どうする、寝る?」彼の個人ラボには簡易ベッドがある、何度もお世話になっているそのスペースに視線を動かす。仕事終わってないんだよ、と頭は言っているが体は限界だ「仕事…」「はあ…とりあえず寝な」なんでため息をつかれたのか、いつもなら悪態をつくところだが、脳はしんでいる。促されるままベッドに吸い込まれ、沈む体と意識の向こうで雷蔵にお礼を言っておく「俺が見てないと全然だめじゃん。そばに置いておくから」遠くの方に聞こえたセリフが夢じゃなかったと気づくのは、また明日の話。
これからも、ずっと
猫なんて、拾わなければ良かった。
一人暮らしで猫なんて飼ってれば友達の呑みにも気軽に行けない。
少しほっといたって猫は寂しくないよ
なんて友達は言うけど、捨てられてたこの子がどんな気持ちであの段ボールの中に居たかなんて人間の私には分からない。
ずっと寂しい思いをしてたんじゃないかって思ってしまったって仕方がない。
この子を拾った時、私も寂しかったのだ。
仕事も上手くいかずに、婚約していた相手の浮気が分かって、友達とも喧嘩して…
私とこの子は寂しいもの同士
名前は特に付けなかった。
1人と1匹だけの生活で、必要ではなかったから。
ここ数日、具合が悪そうなこの子を最寄りの動物病院へ連れて行って、名前を書く欄でパタリと手が止まる。
看護師さんは、「拾ってきたばかりなら名前が無いのは仕方がないから、次までにお名前を決めてあげてください」って言うけど、この子との生活ももう5年が経つ。
名前、なんて必要だろうか。
名前なんて付けてしまえば…
「ただの風邪ですね。お薬出しますので1週間後また様子を見せに来てください。他に、お困り事はございますか?」
1週間。
それまでにこの子の名前を決めなきゃいけないのかと心がザワついた。
「…名前って、決めなきゃいけないんですか」
ふと口から零れた言葉にお医者さんは少し驚いた顔をしたが、すぐに優しく笑った。
「どうしても名前を決めたくないなら、それはそれでいいですよ。…ただ、これから、ずっと、この子が歳をとるまで傍にいるのは貴女です。この子には貴女しか居ません。名前はこの子がこの世に生まれた時に最初に貰うプレゼントですから、無いよりはあった方が素敵だと思いませんか?」
病院から出ると疲れたのかこの子はケージの中で丸まって眠っていた。
真っ青な雲ひとつない晴天を見上げて、ふと思いつく名前を口に出す。
にゃー
と、眠たげな目でそれでいて嬉しそうに見える表情で鳴くこの子に、これから、ずっと呼び続けるであろう名前を付けた。
その1秒が、
永遠になる。
----- これからも、ずっと
「ねぇ、まじー」
「ん?」
「もう12年なんだって、干支一周しちゃったよ」
「へぇ……」
「リアクションうっすい!凄くない?時間経つの早くね?」
「いやだってもう終わってるし。今まで継続出来てたら凄いけどさ記録は8年で止まってるからね」
「それはそうだけどさ……時間の流れって怖いよねって話じゃん」
「つうか、あれから12年だけど俺とお前は出会ってそんなもんじゃないだろ。あれが確か……18年前か」
「その前にも出会ってるだろー?共通の友人の紹介でさ」
「あぁそうだった……でも覚えてないくらいの付き合いの長さってことでしょ?12年なんて大したことないよ」
「でもさぁ、寂しいじゃん。あの時はコンビみたいな扱いだったのに」
「あー、相方だからなんでも知ってるだろ?みたいな感じで居場所とか聞かれたな。俺はGPSかっちゅーて」
「俺はまじーのことなんでも分かるけどね」
「誰に対してのマウントなのそれ」
「今は……俺の相方って誰なんだろ。誰って思われてるんだろ」
「俺でしょ」
「でも検索トップは……」
「他なんてどうでもいいでしょ。現に俺がアナタの隣にいるんだから」
「……まじーってときどきオレ様だよね」
「事実を述べたまでですけど?」
『これからも、ずっと』
(公私ともによろしく相方)
作者の自我コーナー
いつもの…ではないですが、私の大好きな二人です。
てことは、干支一周する年月私も彼らのことが好きなんだなぁ。
最近君らを好きでい続けていいのか迷ってる
別に嫌いなわけじゃない
だが本当にこのまま応援しててもいいのか不安に思う
中の事情
勝てない現状
でもまた応援したいとも思うから
これからもずっと君たちとともに!!
「1月の『ずっとこのまま』、先月の『ずっと隣で』、今回の『これからも、ずっと』、それから7月の『これまでずっと』。
ずっとシリーズは少なくとも5種類あるんだわ……」
某所在住物書きは去年投稿分を確認した。
雨降る外を眺める。去年はこのような物語であった。
すなわち、「ストレスが過剰な職場に『これからも、ずっと』居続けると、事実としてそのストレスが脳を傷つけるので、転職も手」。
新社会人へ向けた、ひとつのお節介を書いた。
あれから1年である。時は早い。
「1月と先月と今回と7月」
405日続けている物語投稿は、これからも、もう少し続くだろう。 物書きは呟いた。
「少なくとも5種類あるずっとシリーズ、残りの1種類がいつかって?――うん」
去年から何も変更が無ければ次回である。
――――――
雨降る都内のおはなしです。某所某職場、本店某部署のおはなしです。
加元という名前の、男性っぽい女声、あるいは女性っぽい男声の持ち主がおりまして、
先月から転職してきて、その目的が元恋人探し。
8〜9年前に勝手に自分の前から去り、去年やんわり「ヨリを戻すつもりは無い」と言われ、
しかし相手の就職先と所属部署は、しっかり突き止めておったのでした、
が、いざ該当部署に潜り込んでみると、居るはずの相手がおりません。
内線電話のマップも見ますが、すぐ見つかる筈の元恋人の名字がどこにもありません。
だって、「附子山」です。バチクソ珍しい名字です。
おかしい。 実に、 おかしいハナシです。
実は附子山、この加元に心をズッタズタにされたので、合法的に改姓して、それからこの職場に就職しまして、去年まで逃げおおせておったのです。
勿論加元、そんなこと、知るよしもありません。
あら残念。
「本店には、いない」
附子山改姓のトリックを知らず、加元、8つの支店のうち、6支店を巡り終えました。
「探してない支店は、残り2個」
ふたつの支店のうち、「最も来客が多くて忙しい」とされている方に、今日行ってみる予定でした。
ここに「附子山」が居なければ、異動先は最後の「最も来客が少なくてチルい」と評判の支店で決定だと、加元は確信していました。
「……なのになんで、雨降るかな」
濡れる、汚れる、ゴミがつく。加元は自然が大嫌い。
元恋人の居場所まであと少しなのに、雨に雲、風に気圧、最近の悪天候が邪魔をします。
「思い通りにならない。これだから自然は嫌い」
――場面変わって、旧姓附子山の所属部署。
現在上司の緒天戸が、会合で外出しておりまして、実質休憩時間の様相。
「加元、性懲りもなくお前のこと探してるぞ」
旧姓附子山の「旧姓」を知る宇曽野が、ひょっこり遊びに来ておりました。
「最後の支店も探して、『附子山』の名字がどこにも無いと知ったら、あいつ、どうするだろうな?」
それでも、これからもずっと、探し続けると思うか?宇曽野は元附子山、現藤森に、問いかけました。
「これからもずっと、この職場で『私』を探し続けるのは、まぁ確定していると思う」
「だろうな」
「そして近々、付烏月さんの『自称旧姓附子山』のイタズラに引っかかると思う」
「まぁ、それも事実だろうな」
「『附子山の勤務先を突き止めて、先月勤務先に就職してみたら、そこに居たのは自称附子山であって本当の附子山ではありませんでした』」
「『しかも自称旧姓附子山を名乗っていた理由が、「面白そうだったから」でした』」
「……荒れるな」
「荒れるだろうなぁ」
はぁ。
藤森と宇曽野はふたりして、浅いため息をひとつ吐いて、加元の部署があるだろう近辺を見つめます。
恋の執着って、すごいな。ふたりは数秒、あきれた視線で見つめ合い、またため息を吐くのでした。
「なぁ『附子山』。逃げた元恋人をこのままずっと追い続けるって、どんな気分なんだろうな」
「私に聞かれても、分からない。返答が難しい」
「たとえばのハナシだ。たとえばお前のところから、例の後輩が勝手に消えて、行方不明になって」
「宇曽野。それの逆を今、別に恋人でもなんでもないが、まさに私が後輩にしている」
「あっ、」
「先月からここに飛ばされて、異動先を一切知らせていない。あいつ私のこと怒っちゃいないかな……」
「さぁ?俺に聞かれても、それこそ分からんな?」