川柳えむ

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 突き抜けるような青空に、白い雲が心地良さそうに漂っている。暖かい風が優しく吹いて、もうすぐ春が来ることを告げている。
 あぁ。なんて素敵な、お別れ日和だろうか。
 今日という日、僕らは別々の道へ旅立つ。それぞれがそれぞれの胸に、様々な想いを抱いて――。

「もう卒業かぁー。早いねぇ」
「そうだね。なんだかあっという間だったな」

 こうやって、教室でみんなとわいわい会話するのももう最後。
 そんなことを考えてしまうと、鼻の奥がツンと痛み、目の端から何か零れ落ちそうになる。
 それを気付かれないように、あえて元気良く振る舞う。

「卒業だしさ、せっかくだから今月中にどこかみんなで集まって、一日遊ぼうよ」
「おー」
「いいねぇ」
「そういやここ行ってみたいと思ってたんだけど」
「みんなで夜タコパしたい」

 そうやって、遊ぶ計画を立てていく。みんなの楽しそうな顔を眺める。

 大切な仲間。楽しい時間。忘れたくない。絶対に、忘れない。
 寂しさはあるけど、大丈夫。だって、お別れしたって、何もかもが終わるわけじゃない。きっとみんなわかっている。こうやって集まって話したり遊んだり、そういったことが簡単にはできなくなってしまうけど。
 この青い空は繋がっていて、その下にみんないるんだ。僕らは違う道を、果てしなく広がる世界を、それぞれに希望を持って旅を続けていく。それでもお互いを思う心はきっと一緒だ。
 これからも、ずっと――。


『これからも、ずっと』

4/9/2024, 6:36:23 AM