粉末

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万物流転。この世は常に流れ続けて変化する。
時代に取り残されぬように私も必死にもがいている。
みっともない年寄りにはなりたくないし
なにより新しいものは面白い。着いて行くのでやっとだが。
「いっせーのーでーゼロ!」
「馬鹿。だから自分が指上げてどうするの。」
「あーっ!またやっちゃった!もうっ!」
今日も2人の仲は良好なようで何よりだ。
しかし、強すぎてつまらないという理由であのゲームを出禁になってしまった私の相手をしてくれるのはゾンビやクリーチャーだけなのはいかんせん寂しい。
ふう、ひと息ついたその時すらりとした影が私を覆った。
「おや、もう終わったのか。」
「馬鹿の相手は面白いけど疲れるよ。ひとりにしてごめん。ねえ僕もやっていい?」
「それはありがたい。このステージが難しくてね、手を貸してくれると助かる。」
疲れているようには見えないが。構ってくれるのは素直に嬉しい。年甲斐もなく浮かれてしまった。
「いいよ。あんたのことは僕が守ってあげるから。」
私の隣に座ったかと思えばふわりと自然な手付きで頭を撫でられた。なんという子だ。
「あっ!人にジュース取りに行かせておいて!私がいるのにいちゃつくなっ。」
「うるさいな。負け犬は黙って数の数え方でも勉強しなよ。」
「うぅ…あとで私にもコントローラー貸してね…。」
「もちろんだ。君がいちばん上手いからなあ。」
「へへっ。まあねえー。」
「うざ。」
「…可愛いな。君達は。」
「「?!」」

私達は人だ。生きている。歳もとる。
いつまでも同じではいられない。
わかってはいるがこのにぎやかな時が続いてくれと願ってしまう。

そう


これからも、ずっと

4/9/2024, 7:20:44 AM