僕を運ぶオンボロ船
まっすぐまっすぐ進む
嵐の中へ
氷山のど真ん中へ
僕の意思はてんで無視
それで良いのです
それしか無いのです
臆病な僕には
それが丁度良い
未来への船
届かないのは書いていないからです
書いていないのはわからないからです
君への思いの正体は一体全体なんなのです
書いたって届きません
永遠に届かないのです
君は僕を知らないのだから
届かない……
笑ってる。こんな近くで。
優しい、優しいこの人が、笑って、楽しそうに。
手を伸ばしていただろうか。
ピース、なんてしていただろうか。
ああ、思い出せない。
夢の中のあの人。
笑って、何より、自分のために。
夢が
終わり、また始まる、
今日
「今日さ、なんか見れるらしいよ。流星群だかなんだか。」
ふぅーっと気だるげに吐いた煙の向こう側で
ほう、とすました声が聞こえた。
「そういうのは興味ない?」
「ああ…まあそうだね。すまない。」
「いいよ。僕もだし。」
そう、僕だって興味ない。
「はは、どうしたんだね。なんだからしくないな。」
「そうだね。らしくない。」
「そうさな、どれ、ちょっと外に出てみるか。」
「は。」
どうしたの、本当。らしくないのはどっちだよ。
というかタフ過ぎるでしょ。さっきまで死にそうな顔していたのに。
まだ長い煙草をぐしぐしと灰皿に押しつけて
僕の北極星がきらめいた。
「見に行こう、星を。」
星
「ん、ああ、すまない。」
ああこの馬鹿。またやってしまった。
呆れたような、諦めたような彼の目が
愚か者の心臓をしめつけた。
「いや、いいよ。たいした話じゃないし。」
「もう一度話してくれないか。」
「え、ああ、もう忘れちゃった。」
もう寝るよ。おやすみ。
その手は優しかった。
昨日の彼、今日の彼。1分前の彼。
もう二度と会えない彼。
こうして私の知らない彼が増えていく。
それなのに私ときたら嗚呼。
本なんていつでも読めるじゃないか。
今すぐベッドまで追いかけて
すがりついてみっともなく泣いてみせれば
こんな私を可愛いと言ってくれるだろうか。
それともついに嫌われてしまうだろうか。
嗚呼この意気地なし。
嗚呼