『終点』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ここが終点、人生の終わりだ」
目の前の彼はそう言う
私はいつの間にか教会のような美しいステンドグラスが張りめぐらされた廊下で小柄な男性と対峙していた
「んー、わかってなさそうだね君。ま、大体の人は君とおんなじ反応するし…」
「ここ、どこですか?」
「え?そこから?」
男はキョトンとした顔をした
どうやら知っていて当然らしい
「君どうやってここに来たか覚えてる?」
「いいえ、全く覚えてません」
「えっまじか...」
目の前にいる人?は気まずそうな顔をした
顔だけで会話出来ちゃいそう
「えっと、ここ死後の世界なんだ」
「あ、だから終点って言ったんですか」
「そう。そして人生の始まりでもある」
?どういうことだろう
「いわゆる転生ってやつだね。終わりがあるなら始まりだってあるだろ?」
「へーなんかすごいですね」
「でしょ、……そろそろ時間だ。第2の人生、たのしんでね」
その言葉と共に辺りが明るく輝きはじめた
「終わり」は始まり
「始まり」は終わり
「終わり」に着いても
そこから歩き始めれば終わりじゃない
『終点』
ここは世界の端、終点だ。
なんの色もないここは酷く寂しく感じた。
空は灰色の雲が分厚くかかっていた。
なぜ僕はここにいるのだろう。
どうやってここに来たのだろう。
なんのためにここに来たのだろう。
戻ることは出来ないのだろうか。
見渡してみても何も無い。
障害物が無いここは遠くまで見えるせいか
どこまでもこの景色が広がっているように感じた。
あぁ、世界の終点で僕も終わってしまうのだろうか。
─────『終点』
終わりのない世界から私は降りる
私が終わりを迎えても世界は進む
真の終わりはこの世界の終焉の時
#終点
『終点』
ある日、その男はどうしても列車から降りる気になれなかった。それは、端と端が繋がったフィルムのように廻り続ける人生に嫌気が差したとかいう、酷く文学に侵された下らない理由などではない。
確かに彼の人生は下らなかったが、それでもその駅で降りることを選び続けたということは、彼の人生における数少ない誇りの一つだった。そして実際にその選択は正しく、その駅で降り続けるということは、現代人にとっての完徳に違いないのであった。
だが、今日という今日ついに、彼は疑問という堕落に片脚を踏み入れたのである。それは前述の通り彼のビデオ録画の如く日常に対してではない、それであれば彼のような生粋の現代的完徳者は、そのような真理への挑発すら、自らの糧にしてしまうだろう。
だからここに言う彼の疑問というのは、それよりももっとくだらなくて、もっと怠惰で、それでいて最も高慢で、無意味かつ真理的でなくてはいけない。
つまり彼は、列車から降りるということを疑ったのである。実のところ、彼は降りる気にならなかったのではなく、最初から降りぬために列車に乗ったのである。
そうして彼が、眠ることも、目覚めることもせずに、ただ列車を味わっているうちに、列車は当然ながら一つの駅に辿り着いた。そして、もうその列車は、次の駅へ向かう気は無い様だった。
その駅は、大きくも小さくもない、実につまらない駅だった。列車の座席に腰掛けたままの男は、居眠り客を起こして回る車掌の足音に気が付いた。男は車掌に、ここがどこか尋ねることにしたが、車掌に声をかけてから、思いなおしてそれをやめた。
名前を聞いてみたところで、男にとってその駅が終点以外の何ものかに変化することはないと考えてのことだった。
その代わりに男は、車掌にこう自慢した。
「これからこの列車は、次に行かぬために走り出すのだ。この私のように。」
車掌は、こちらを一瞥したが、特別彼の言葉を気に留めるふうでもなく次の車両へ歩き始めた。専ら彼の関心は眠っている客であって、その大いなる目的の前にあっては、目覚めたる男の独り言なぞに用はないのであった。
男は、この列車は毎日、今日の男と同じような決意を持って生きているのだと感じて、列車と離れたくないと感じたが、そういうわけにもいかなかった。
男は渋々プラットホオムに降りた。寂れているが、特別叙情的に寂れているわけでもないその駅は、一つの階段の他に、隣接する全寮制のお嬢様学校への学生専用連絡通路がひとつ、門を閉じた状態で設置されているだけの、やはりつまらない駅だった。
振り向いて、列車の走り去ったあとに残った、左右に続く線路を見る限り、この駅がこの電鉄の一番端の駅ということではないようだった。
その事実は男に、あの行くには遅く、帰るには早い、無意味な列車が、一層無意味に向かうという意味を持って走っていたものであったと思わせたようだった。
そして男はその姿と自分を重ねて、このつまらない駅に、辿り着かぬために辿り着いたのは自分くらいのものだろうと、密かに誇りに思ったのだ。
そして男は、駅の外に出た。
そこに広がるのは、やはりつまらない景色であった。それは男の思うつまらなさを、あまりに巧みに写し出した景色であったから、その様を記そうにも、記すべき点が一つも見つからぬほどであった。
だからそこには、純粋にただ景色だけがあった。
そしてその景色を横切ったのは、これまた純粋に女学生としか言いようのない女だった。
どうやらこの女は、隣接する学校の生徒らしかった。
その帰郷は、全く無意味な時期の帰郷であったから、男にもそれが、すぐになんらかの凶報によるものであると察しが付いた。
男は女を追って、駅に引き換えした。
これから帰られぬことを知るために帰ろうという、女のそのアンビバレントを見届けるためである。
今日の男は、珍しく矛盾を受け入れる心があった。
しかし、男の意に反して、女学生はやってきた列車の写真を取ると、すぐに帰ってしまった。
男は少し不貞腐れたような声で一言つぶやいて、折り返しの電車に乗った。
「電車は乗るものだ。」
そしてすっかり興が削がれた男は、少しも眠ることなくいつもの駅まで列車に乗ったのだった。
そしてその日はもう、男は電車には乗らなかった。
男の半端な堕落は、ただそれだけのことであった。
だがしかし、やはり男が堕落者たる所以は、ただそれだけで十分なのであった。
人生の
終点にたつ時
何を感じるだろう
お題
終点
【終点】
ゴトンゴトンと音を立てて、電車が揺れる。満員だったはずの電車は駅に停まるたびに人を吐き出し続け、いつしか車両の中には私と君の二人だけになっていた。
私の肩に頭を預けて静かな寝息を立てる君の目元には、ひどい隈が浮かんでいる。車窓から差し込む太陽の光の眩しさがあまりに不釣り合いで、無駄とは知りながら君の顔の前に手を翳した。
制服のポケットの中でスマホが震える。ちらりと通知を見れば、無断欠席をしたことに対する友人からの心配のチャットだった。見なかったことにしてスマホの画面を消す。私にとっては数だけは多い表面上の友人たちなんかより、君一人のほうがずっと大切だった。
学校へ行くための乗り換え駅に辿り着いた時、君が「降りたくないなぁ」と小さくこぼしたから。私は君の腕を取って、電車を降りるのをやめさせた。そうして二人きり、電車に揺られ続けてここまでやってきた。
車掌のアナウンスが終点を告げる。その音に君の瞼がゆっくりと持ち上がった。
「おはよう」
「……おはよ」
まだぼんやりとしているのか、反応が普段よりも一拍遅い。眠たそうに目を擦った君は、そこではたと現状を思い出したのか眉を下げて私を見つめた。
「こんな所まで来てどうするの?」
「んー。終点で降りて、二人で日が暮れるまで遊ぼうよ」
夜になったら帰らなければならない。このまま二人で遠くまで逃げようと言ってあげられほど、私は世間の厳しさを舐めてはいなかった。高校も卒業していない世間知らずの家出人二人が真っ当に生きていくなんて、できるはずもない。
電車の終点までの、一日だけの逃避行。私が君にあげられるものはそれだけだ。なのに君は、この世で一番嬉しい言葉でも聞いたかのように、今にも泣きそうな顔でくしゃりと笑った。
「ありがとう」
ゆっくりと電車がスピードを落とす。ああ、もっと遠くまでこの線路がつながっていてくれれば良かったのに。たまに避暑へと訪れる隣県の山間の地名を眺めながら、心の中だけで呟いた。
「きさらぎ駅って知ってる?」
近くに座っている女子高生が何やら楽しそうに会話するのが聞こえてきた。
懐かしい響きだ。確かそんな都市伝説が流行っていたっけ。電車を乗り過ごして気付くと知らない駅に着いていて、そこには「きさらぎ駅」と書かれていた――とかそんな話だった気がする。行った人は戻れないんだっけ。だとしたら、誰がそれを掲示板に載せたんだって話だ。
そういえば、最近その都市伝説を元にした同名の映画が動画サイトに上がっていたのを見た。あれはあのサイトオリジナルの作品だったんだろうか。ホラー映画は好きだが観るのはいつも洋画ばかり。邦画となると、ホラーでも、貞子とか伽耶子とか有名どころの作品しかわからない。そういえば、貞子と伽耶子が戦う映画もあったよな…。予告を見た位だけど、電車にも乗っていた気がする。そのうち貞子と伽耶子がきさらぎ駅に行って恐怖の三つ巴になる作品とか出たりして……。
1人でそんな妄想続けながら電車は一駅、また一駅と進んでいく。鈍行列車の帰宅ラッシュど真ん中。当駅発に乗ったので座れてこそいるが、電車の中の人口密度は考えたく無い。空調も効かず汗と脂と香水と柔軟剤と…この時期なら制汗剤という可能性もありそうだ。とにかく色んなものが混じった嫌な臭いが車内に充満していた。
とはいえ乗り始めて10駅近く乗っている。もうむわっとするその臭いを感じられない程に鼻が慣れてしまっていた。
満員電車の鈍行に乗り始発から終点まで2時間の電車通勤り今日も高生生の話に耳を傾けてはそこから妄想を広げていく。これが私の通勤時間の楽しみである。スマホを見るのも本を読むのも悪く無いが、2時間の間沿線沿いに多数ある学校の高校生が乗り降りする電車で会話を盗み聞きするのは面白い。
高校生というのは、やはり時代の最先端をいっている。というのが私の持論である。いつの時代でも、流行の最先端は高校生だ。自分もそうだった。今でこそしがないOLで、髪も暗い茶色にオフィスカジュアルな洋服、黒いバッグなんて面白みの無い格好をしているが、高校生の時はそれは派手だった。
きさらぎ駅の噂が流行った2000年代。聞くところによると最近はその時代のファッションが再ブームきているらしい。そんなのもあってさっきの女子高生もきさらぎ駅の話をしていたのだろうか。
言われてみると、最近の若い子を見ていると自分の時代に流行ったものを身に付けている事が多いと思う。
レッグウォーマーにアームウォーマー、厚底の靴やミニスカ、ヘソ出しスタイル。昔と全く同じでは無いがらあの頃のファッションを更にパワーアップさせたような出立に懐かしさを感じるのは確かだ。
やっぱり自分達が着ていた頃のファッションに近いものを見ると可愛いと思う反面、再ブームと呼ばれる程時が経ってしまったのだと実感する。
それもそのはずだ。ブームは大抵10年周期らしいじゃ無いか。40代を間近に控え、高校生だった頃など20年近く前の話である。流行りが戻ってきてもおかしくない程には歳をとってしまったのだ。
しばらくしたらスマホをデコったり、バッグに大量のキーホルダーが付くのだろうか。付けまつ毛を重ね付けし長い付け爪をデコったギャルや、真っ黒く焼いて髪や服を盛るヤマンバギャルなんかが、パワーアップして戻ってくるのだろうか。そもそもギャル自体最近じゃ絶滅危惧種だと思う。そういえば、森ガールなんてのも流行ったっけ。
森ガールもパワーアップしたら面白いな。しかしギャルも森ガールもあれはもうあの時代だけのものなのだろう。なんとなくだが、そんな気がする。
どれだけ流行が周ろうと、その時代を象徴するものっていうのは、ずっとその時代だけに残ってしまっているものだ。受け継がれる事がないからこそ、象徴と呼ばれるのであろう。
と、そんな妄想を繰り広げていたら、いつの間にあの女子高生達は居なくなっている。きさらぎ駅の話を、もう少し聞きたかったな。惜しい事をした気がする。話をしている女子高生に直接聞く訳にもいかないが、懐かし名前がまた流行ってるのだとしたらなんとなく嬉しい気持ちになるものだ。それが例え都市伝説だとしても。
そういえば都市伝説という存在自体最近では聞かないなと、ふと思った。昔は、それはもう都市伝説が流行っていた。テレビでもよく取り上げられていたし友達ともその話題で盛り上がっていたっけ。そうか、それももう昔になってしまったのだな。そう思うと少し寂しい気持ちにすらなる。
10年一昔と言うなら、私の青春はふた昔も前になってしまう。流行りが戻ってきたと言われ、あの頃の思い出が懐かしいものとして語り継がれる事も無くなってしまう。寂しいな、これが歳をとるということ…つまりは人生の終点に向かうという事なのだろう。うん。上手い事を言った気がする。
頭の中で誇らし気な気分になっていると、車内アナウンスが流れた。
「まもなく終点〜終点○○でございます。お降りのお客様は〜……」
タイミングが良い。本当に終点が来てしまった。いつもより早い気もするが、楽しい事を考えているとそんなものだろう。
速度を落とす電車。私は抱えていた荷物を手に持ち、ドアの方を見つめる。そういえば今日はやたらと外が暗い気がするな。気の所為だろうか。天気予報では晴れだったと思うのだが…まだそこまで暗くなる程遅く無かった筈だ。
スマホで天気予報を確認しようと思うと圏外になっている。おかしいと思い顔を上げると車内には自分以外居なかった。
「おっと……?これはどういう事だ……?」
電車が止まり、ドアが開く。さっきまでは確かに、車内に人が居たし、最寄りの駅に向かっていた筈なのだが何処で間違えたのだろう。
車内の電気がチカチカと点滅する。早く降りろという事だろうか。この展開は予想していなかった。
私は立ち上がり、恐る恐る駅へと降り立つ。私が降りたのを確認したかの様に電車は扉を閉じ、また何処かへ向かって走り去ってしまった。ここは終点、奥に線路は無いはずなのに、繋がっている線路の奥は暗闇で何も見えない。
見慣れない風景に古びたコンクリートの駅。チカチカと点滅する街頭が青白い光でその看板をやけにはっきりと映し出していた。
『きさらぎ駅』と。
【きさらぎ駅】 #終点
空が、紺色のペンキを塗りたくったようになった頃。
私は貴方に別れを告げる。
星なんて一つも見えない。
お別れだって言うのに、貴方の視線はスマホに注がれている。
私は、今日という日の最後の最後まで、貴方のことしか考えていなかったのに。
ずっと見つめていたのに。
貴方は見てくれないのね。
最後の一本の電車がやって来た。
「じゃあね」
「おう」
それだけの会話。
私は今日も自分の家へと帰る。
コツン、とヒールの音を響かせて、つり革を掴む。
その時ですら、ちらりとも見ずに、貴方は帰った。
寂しいのに。
貴方はなんとも思っていないのね。
〜終点〜
終点
人生の終点まで本気で進む。
全力の人間になりたい。
「もう終わらせたいんだ。」
そう言って君は屋上のフェンスを乗り越えて
涙を浮かべているのに、笑いながら落ちてった。
「_独りに、しないって言ったくせに」
嘘吐き、裏切り者、許さない
でも僕は君が居なくなってからずっと部屋に居た
「どうして僕を閉じ込めるの?」「僕の話も聞いてよ」
「ねえあの子は??会えないの?」「…つまんない」
ずっとずぅっと、閉じ込められて何年か過ぎて
「ねぇまだ僕はお外に行けないの?」
部屋に来てくれる女性と男性は何とも言えない顔で
「ごめんね、まだなの…」と「もう少しの辛抱だよ」と
あと少し我慢すれば良いだけなのに耐え切れないから
ごめんね、お姉さんもお兄さんも悪くないから
「あの子の所にいく方法!分かっちゃった!」
声を上げる。驚きに満ちた2人と部屋の外側。
「antnsbn」ーアナタノソバニー
そして、今。僕は〝終点〟を迎える。
12日目
私の人生の終点とはどこなのだろうか。
好きな人と結ばれること?
願いが叶うこと?
人生とは、誰もがハッピーエンドで終われる訳ではない。
この世の数十人に1人の確率でバットエンドを迎える人もいる。
どう始まって、どう終わるのか、
私の人生は私にしか決められない。
限られた残りの人生をどう生きて、どんな結末を迎えるか、それも私にしか決められない。
私は、最高に幸せな瞬間だけを残して死ぬことを人生の終点にしたい。
終点を忘れていただけ。それが環状線だったら、なんて想像も今更遅かった。
A様
何か、恵んで下さい、
元気な男の子を産むんです。
作業員
‥‥
A様
米米米米
働かないば、ならないんですよ。
毎日、机に向かっている。
作業員
‥‥
1ヶ月ご‥
A様
¥¥¥¥
お金ないと、しょうがないでしょ。
机にしがみ、ついている。
作業員
‥‥
2ヶ月後‥
A様
🍚🍚🍚🍚
この子に、あげてください。
作業員
はい、飯っ。
A様
机から顔を上げる。
ああー、よかった、よかった、助かりました。
『終点、終点です――』
眠りこけていた私の耳に、無機質に流れる電車のアナウンスが響いた。
飛び起きて顔を上げると、電車のドアがもう閉まりかけている。
急いで立ち上がり、慌ててドアの外へと書け出した。
危ない危ない。またやるところだった。ギリギリセーフ。
後ろで閉まるドアを振り返る。今回は無事に降りることができたと、ほっと胸を撫で下ろした。
前回は終点に気付かず寝過ごしてしまい、そのまま折り返してしまったんだ。そして、元の場所まで戻ってしまった。
それはもう最悪だった。
やっとお別れできると思ったのに戻ってしまった。
また地獄の日々が始まったうえに、後遺症は残るしで散々だった。
だから、もう失敗しないと、次は確実性があるものを選んだ。
そして、今度こそちゃんと終点で降りようと、再度電車に乗り込んだのだった。この黄泉へと向かう電車に。
電車を後にする。また前を向き、終点の先へと歩き出した。
ここから先は未知の世界。
終わりの世界が続いている。
*
さて。投稿を終えた私は、先ほどの出来事を思い出して、少し後悔していた。
お題に沿った文章を投稿するアプリをやっている。
それは、今日のお題をこなそうと、そのアプリを開いた時のこと。
今日の文章のお題は『終点』か……。
書く内容を考えながら、とりあえずみんなの投稿を見てみようと、アプリにある『みんなの投稿を読む』ボタンを押した。
いつもなら最新の投稿が一つ、文末に投稿者の名前が表示される画面になるのだが――、
おしまい
今回表示されたのは、画面のど真ん中に『おしまい』という文字だけ。
今回のお題が終点だからこれだけなのかな? それにしても、上下中央揃えの機能なんてないのに綺麗に真ん中に表示されてるな。名前も表示されてないし……。
違和感を覚えながら、次の投稿を読んでみようと『次の投稿』ボタンを押す。
おしまい
またしても『おしまい』が表示された。そしてまた次も。何度押しても『おしまい』『おしまい』『おしまい』……。
慌ててアプリを閉じた。そして再びアプリを起ち上げ、恐る恐るみんなの投稿を開いてみる。
すると、今度は普通の投稿が並んでいた。ほっと胸を撫で下ろす。
あれはなんだったのか。
もしかしたら、バグってアプリの終点に辿り着いたのだろうか。全ての投稿を読み終えると出る表示なのかもしれないな。冷静に考えて、そんなことを思った。
まだ少しドキドキしながら、今度こそ書く内容を考え始めた。
そして投稿が終わってから、あぁ、さっきあったこの出来事を書けば良かった。そっちの方が面白かったかもしれないと、少し後悔したのだ。
結局、その話は投稿したものへ追記することに決めた。
今度こそ、ここが、本日の投稿の終点です。おしまい。
『終点』
良くも悪くも終点は必ずある。
終点をどう迎えるかそれは自分次第である。
運任せや人任せにするのではなく、自分で終点を決める。ただそれができる人間はあまりないことが悲しい
気づいてほしい。今この時も終点へ近づいている。
人生は思うがまま
あなたのためにある
終点
何から始まり、何に終わるのか。終わった先に何があるのか。
大爆発が起き、宇宙ができた。
宇宙の果てとは?きっとただの壁だ。その先には、違う宇宙。
銀河の果てとは?きっと流星群だ。その行先は、違う銀河。
太陽系の果てとは?きっと太陽による吸収だ。その先には、爆発だ。
では、私たちの果てとは?
孤独?その先は、虚無?
忘れられること?その先は、自分でも思い出せなくなること?
死体?その先は、炭素?
「私たち」の果てを知るためには?
別に宇宙も銀河も太陽系も理解してないけど、果ての想像はできる。
理解度は重要では無い。
誰か答えてくれないか、「私たち」の果てを。学問の根底を。
お題:終点
いつかの夜を思い出す。
終点という響きが不気味だからか、何なのか。
パラパラ、傘を叩く雨音と、ぴちょぴちょ、靴底に引っ付いて跳ねる水音と。青い傘を差していた気がする。水色の長靴を履いていた気がする。アスファルトの上を一人歩いていた。雨に濡れた砕石を街灯が照らし、キラキラチカチカ閃くのに釣られしゃがみこんでいた。吸い込まれそうなほど真っ黒なアスファルトをじっと見ていた。こんなに近い所に宝石はあったんだと、心弾ませていた。夜。
「何してるの」
優しい声色だった。声が聞こえたから傘を持ち上げた。そこに、確かにあの人を見た。
「ほうせきがあるから見てる。ほら、ほら、キラキラしてるでしょ」
掴めない物を一生懸命伝えようと、頭を動かし目を動かし。キラキラ、チカチカ、この人の目には宝石が見えているだろうか。こちらばかり見て、ただ、含み笑いをするだけ。
「そうだね、キラキラだね」
優しいあなたがそこにいる。
「ほら、おいで」
パラパラ、雨音がよく響いていた。
付いて行っていたらどうなっていただろう。
あの夜は終点に近い場所だったんだと思う。
終点
――終わりとなる所、終着点
――物事が最後にたどり着く地点
1番のレースの終点はきみの終点と重なり
2番のレースの終点は私の我慢の終わりと重なる
終わりを迎えて
2番のレースで1番を取らせ続けたきみの憎さ
しかし永遠に重ならない2つのレースのうち1つの終点は
べつの誰かの終点へ重なることを知る
きみにとって1番のレースを一緒に走らせてくれ
縁側に、かき氷に風鈴に西瓜。ああ今日も遠くで電車が走っている。
電車がやってくる。この夜中に。私は裸足でホームに立ちそれを待つ。夜明け前の一番暗い時間。静かな月の匂いがする。向かいに生えた草が海の如く波打った。
パーカーのフードを被り、横たわる。曇りで星は見えぬがそれもまたいい気がしている。誰もいないホーム。ペタペタと足音を立てて走ったりしてみる。
少し車輪が浸るほどの水を掻き分け、静かなホームにやってくる電車の音。遅れて風もやってくる。私の風呂上がりで濡れた髪を揺らす。
同時に空く電車のドア。無機質に中へもてなすので、私は乗る。いつもみたいに窓際に立って外を眺めるが、人が一人もいないことに段々と寂しさと恐怖を感じその場にしゃがむ。
深夜であるから私はいつの間にかパーカーで温まる自分の体温が心地よくなり寝てしまって、その間に一駅二駅と過ぎていく。誰かが乗って誰かが起きたのか、だとすれば私は気づかれなかったのか、気になるところではある。
黄泉
終点、
現世
あなたはどちらがご希望か。
〈終点〉2023/8.11
No.18