空が、紺色のペンキを塗りたくったようになった頃。
私は貴方に別れを告げる。
星なんて一つも見えない。
お別れだって言うのに、貴方の視線はスマホに注がれている。
私は、今日という日の最後の最後まで、貴方のことしか考えていなかったのに。
ずっと見つめていたのに。
貴方は見てくれないのね。
最後の一本の電車がやって来た。
「じゃあね」
「おう」
それだけの会話。
私は今日も自分の家へと帰る。
コツン、とヒールの音を響かせて、つり革を掴む。
その時ですら、ちらりとも見ずに、貴方は帰った。
寂しいのに。
貴方はなんとも思っていないのね。
〜終点〜
8/10/2023, 9:35:59 PM